黒子のバスケ with 牧紳一   作:塔類

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第1Q 再会

誠凛高校仮入部期間が始まった。

バスケ部にも1年生はたくさん入ってきているが、その中に誰よりも目立っている男が1人いた。

 

(あ、あいつ牧紳一じゃないか?)

(牧?誰だよそいつ)

(知らねぇのかよ!?元帝光中出身で、2年の全中の時にレギュラーで出てたやつだぞ!)

(ってことはキセキの世代か!?)

(いや、大会に出てたのは2年の時だけで3年の時にはベンチにも観客席にもいなかった。どうやら親の都合で転校したとか……)

 

「……」

 

彼らはヒソヒソ話しているつもりだが、牧にはすべて聴こえていた。

親の都合で転校したのは本当だが、一体どこからその情報を得たのだろうか。

だが帝光にいた時も、どこからか大量の情報を仕入れてくるマネージャーがいたので、牧はあまり気にする必要はないと判断した。

 

「全員集まったわねー?」

 

声の方向を見ると、そこには朝受付をしていたマネージャーらしき女、相田リコが立っていた。

 

「誠凛高校男子バスケ部監督、相田リコです。よろしく!」

 

「「ええ〜!?」」

 

1年生の大半は驚いていたが、牧は動揺していなかった。

もちろん少しは驚いたが、牧がかつていた世界のライバルは、選手兼監督をしていた。

珍しいと言えば珍しいが、動揺する程ではないだろう。

 

「それじゃあ早速……シャツを脱げ!」

「……なんだと?」

 

さすがの牧もこれには動揺したようだ。

 

---

 

(火神君も偉い化け物だったわね……。さてと、次は牧君……!?)

 

リコは優れた身体能力を持つ体を見ると、普段は恍惚とした顔でそれを眺めているが、牧の場合は違った。

引いているのだ。

少なくとも、高校1年生の数値と完成度ではない。

 

火神も1年生離れしていた肉体だった。

だが牧はそれを凌駕していたのだ。

どの筋肉を見ても劣っていることがなく、満遍なく鍛えられていることがわかる。

 

ちなみに、リコの目には身体能力だけではなく、身長と体重も数値で映し出される。

牧の数値はこうなっていた。

 

『身長184cm

体重83kg

LV80/100』

 

(高1でLV80って普通有り得ないわよ……。服無しで見ると本当にバケモノね。牧紳一君。怪物の名は伊達ではないってことね……)

「よし!それじゃあ、練習始めるわよ──」

「あ、少し良いですかカントク」

 

リコが練習の号令をかけようとしたが、牧がそれを制止した。

 

「どうしたの?牧君」

「まだ、()()()が残ってますよ」

「コイツって、どこにもいないじゃない……って、えっ!?」

 

いつの間にか牧のすぐ側に、上半身半裸のまま立っている1年生がいた。

 

「ありがとうございます。牧君。君がいなければ忘れられていました」

「えっと……君は誰かしら?」

「紹介遅れました。黒子テツヤです」

「黒子……き、君が帝光の黒子君なの!?」

 

「帝光!?牧に続いて2人目かよ!」

「いやいや、こんなヒョロそうだしさすがにレギュラーじゃないだろ。な、黒子君」

「……?試合には出てましたけど……」

「ほら、試合には出てたって……えっ!?」

 

誰もが信じられないという顔をしていた。

ただ1人、牧を除いて。

 

「相変わらずだな黒子」

「……キミは変わりましたね。牧君。最初会った時は僕と背は変わらなかったのに……」

 

((こ、こんなに弱そうな奴が、あの牧と対等に会話してるだと!?))

 

誰が見ても弱そうな見た目、てか影が薄すぎて弱そうな体すら見ることが難しい。

一切強さを一切感じないのに、なぜ牧に認められているのか。

 

「カントク、どうやら全員揃ったようだな……って聞いてんのかよ?」

「……あ、ごめんね。そ、それじゃあ練習行くわよ!」

 

キャプテンの日向の声で我に返ったが、リコは先程黒子を見て信じられない思いだった。

 

(彼は一体何者なの?すべての能力が平均以下、しかも伸び代がほぼない……それでも帝光のレギュラーを勝ち取っている。どういうことよ……)

 

部員たちはリコのような目を持っているわけではなかったが、全員ほぼ同じような感想だった。

なぜあれでレギュラーなのだろうか。

自分たちのほうが全然強いんじゃないのか。

 

だが、1日後に彼らは黒子の真の力を知ることとなる……。

 

---

 

(キセキの世代……か)

 

練習を終え、火神はよく行っているファストフード店、マジバーガーで大量のハンバーガーを注文し、席を探していた。

 

(そいつらなら本気で……)

「よう、奇遇だな。火神」

 

火神が声をかけられた方向を見ると、そこには牧が座っていた。

火神は牧の席に近づき、向かい側の椅子に座った。

 

「なんだ、お前も1人でここに来んのか。あまりそういう奴には見えないから以外だぜ」

「1人じゃないぞ。横を見てみろ」

「は?横って誰も……うおっっ!?」

 

そこには黒子も座っていた。

黒子は何食わぬ顔でシェイクを飲んでいる。

 

「おまっ……いつから居たんだよ!」

「ずっとですけど。火神君が来る前からいましたよ」

(ほ、本当にこいつが日本一なのか……!?)

 

火神は信じられない気持ちで黒子を見ているが、黒子にただならぬ雰囲気の持ち主であることを悟っていた。

 

黒子には匂いがない。

 

強い奴には強いなりの、弱い奴には弱いなりの匂いがするのだが、黒子からは一切その匂いを感じない。

無臭なのだ。

 

そして向かい側に座っている牧という男は強者特有の匂いを、火神は感じていた。

 

「ちょうどいい。2人とも飯食ったらちょっとツラかせよ」

「いいですよ。もちろん牧君も来ますよね?」

「当たり前だ」

 

ハンバーガーを食べ終え、彼らは屋外にあるコートに移動した。

 

そして火神は黒子と1on1をやったが、余りの弱さに拍子抜けしてしまっていた。

 

「お前、なんで俺に勝てるって思ってたんだよ!」

「まさか。勝てるなんて言ってませんよ。僕は火神君の強さを直に見たかっただけです」

「はぁ!?」

 

憤怒の形相で黒子を睨んでいる火神だが、牧はため息をついて火神に近づいた。

 

「やる前に言ったはずだぞ、火神。1on1じゃ黒子の強さは何もわからない」

 

そして、今は火神と牧が向かい合っている。

先攻は牧だ。

 

「お前は失望させんなよ、牧」

「それはこっちのセリフだ」

「なんだと────なっ!?」

 

牧は火神の真横をあっさりドリブルで通り過ぎた。

1回目から火神は牧の動きに対応できなかった。

だが……。

 

「させっかよ!」

 

火神は何とか追いつき、レイアップをしようとした牧の前にジャンプをして立ちはだかった。

 

「うおっ!?」

 

だが、牧はそれをものともせず、そのまま正面から押し切り、火神を吹っ飛ばしてゴールを決めた。

火神は呆然とした表情で、地面に座り込んでいる。

 

「そんなもんじゃないだろうお前は。早く立て」

「……日本で俺を吹っ飛ばしたのはお前が初めてだぜ牧……。いいね、燃えてきた!」

「そうこなくてはな……!」

 

---

 

「で、結果はどうでした?」

「0-10で負けだよ!」

「まあ、内容自体はそこまで悪くなかったがな」

 

本来は先に5本先取したほうの勝ちだったが、火神がごねたため、更に+5回やった。

結果は火神の惨敗。

 

「次はゼッテー勝つ!負けたままじゃ終わらねぇぞ、牧!」

「いつでも来い。行くぞ、黒子」

 

牧と黒子は火神と別れ、すっかり暗くなった夜道を歩いていた。

 

「……牧君」

「どうした黒子」

「なんでずっとニヤニヤ笑っているんですか」

「ああ、すまん。火神が似ているって思っただけだ」

「似ている?」

 

牧はかつていた世界の事を思い出していた。

素人だが格上相手に何度も立ち向かい、倒されながらも最終的には勝利をもぎ取っていた男、湘北高校10番、桜木花道を。

 

(桜木ほどうるさくはないが、負けん気の強さと身体能力はそっくりだな。こりゃ練習も楽しみだ)

「牧君って考え事をしている時オッサンみたいな顔になりますよね。まあ普段も少し老け気味……って痛いです。頭鷲掴みにしないでください」

「……相変わらず口の悪さも健在のようだな、黒子」

 

傍から見れば喧嘩をしているように見えるが、2人の表情は朗らかだった。

そして、黒子の家の前まで着いた。

 

「じゃあな、黒子」

「はい、牧君も気をつけて」

 

牧は黒子を送り、家への道を歩いた。

 

(火神と黒子……あの2人が協力しあって、そこに俺が足りないところを補えばキセキの世代にだって勝てるはずだ……。待ってろよ、赤司、紫原、緑間、黄瀬、そして……青峰)

 

牧は1人静かに闘志を燃やし、道を歩き続けた。




文章力がかなり壊滅的ですが、何とか頑張ってみます!
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