"四代目"Big Red story 作:シンバル・シャンシャン
とりあえず初めてなのでエタらないように頑張りたい。
おかしな所があれば、ご指摘頂けると幸いです。
俺、転生
それは突然の事だった。
最近、興味を持った競馬を観に行ってみようと駅から競馬場へと歩いていた時、突如前から走ってきた男にナイフで腹部を刺された。
刺した男はすぐに周りの人達に取り押さえられていたが、自分の腹からドクドクと流れる血を見て、もう自分は死ぬんだと確信してゆっくりと目を閉じる。
徐々に意識が薄れて行く中で、
何者かに声をかけられた気がした……。
────目が覚めるとそこは、病室でも棺桶の中でもなく、藁が敷き詰められた小さな部屋の様な場所だった。
周りを見渡せば数人の人間と、すぐそばに馬が居た。
寝転がっているせいか、やけに目線が低い。とりあえず立ち上がろうと、脚に力を込める。しかし、どうしても立ち上がる事が出来ない、四つん這いの状態から2足で立つ事が出来ないのだ。ふと、自分の手足を見てみるとそこには、人間の手足ではなく先端に蹄の付いた馬の手足があった。
この時、初めて自分が馬に生まれ変わったのだと気付いた。
うまだけに。上手いっ!!
冗談はさておき、自分が馬だという事は理解した。そりゃあ、これでは立ち上がる事など出来ないだろう。
となると、自分の横に居るこの大きな馬は、俺の母親なのだろう。初めまして、今生の母よ。元気に産んでくれてありがとう。
そういえば、先程から人間達が俺を見ながら何やら話しているが、日本語ではないな?どうやら、此処は英語圏の様だ、金髪や茶髪の肌が白くて彫りの深いおじさん達が英語で話しているから間違いないだろう。アメリカあたりかな?
英語ならまだ良かった、幸いにも英語は得意な方だったから何とか聞き取れる。えーと、なになに?
「いやぁ、元気な子が生まれて本当に良かったなぁ。」
「両親に似た燃える様な栗毛だな。それに、生まれたばかりなのにしっかりとした馬体、これは将来的にかなり大きな馬になるんじゃないか?」
「確かに、それでレースでも抜群に強ければまさにビッグレッドだな」
ビッグレッドねぇ……ん?ビッグレッド?…ビッグレッドって確か特に強い栗毛で巨大な馬に与えられる称号みたいな物だよな?
この牧場のおじさん達はかなり俺に期待してるんだな。
正直、期待されるのは窮屈だが嬉しくもある。せっかくだしおじさん達の期待に応えてあげようじゃないか、とりあえずアメリカ三冠を目指して頑張れば良いのかな?
そうと決まれば頑張るぞ!
俺のサラブレッド道はこれからだ!!
………どうやら俺はアメリカ三冠競争には出走出来ないらしい。というのも、俺の母馬のオーナーは日本人で俺が生まれる前から、俺は日本で走る事が決まっていたらしい。
日本で走る以上アメリカ三冠に挑むのは難しいだろう。牧場のおじさん達も残念そうにしていた。無念。
しかし、まだビッグレッドの道は閉ざされた訳ではない、別に三冠以外にも大きいレースはある。BCクラシックとかな。
俺の馬主様はアメリカにも馬を持つ海外志向の強い人らしい。日本で活躍出来れば、遠征する機会もあるだろう。そこで他の馬をブッちぎって勝てば、ビッグレッドと呼ばれることもあるだろう。むしろ、アメリカ生まれ日本育ちのビッグレッドとか唯一無二じゃないか?
そのためにも日本で活躍出来る様に頑張らなくちゃな、目標が決まって俄然、やる気が出てきた。頑張るぞ、オー!!
そういえば、牧場のおじさん達の話を盗み聞きしたことで他にも色々な事が分かった。
まず、此処は1992年のアメリカらしい。
という事は俺は1992年生まれの競争馬ということだ。
俺の走る日本で1992年生まれと言えば、指原莉乃や本田翼が居る。
競争馬ならマヤノトップガンやジェニュイン、フジキセキ。俺の主戦場になるであろうダートではコンサートボーイやエムアイブラン、アブクマポーロが居る。
特にアブクマポーロは日本競馬史でもダートならトップクラスの実力があると言われている。
俺がどれだけ強いのかは知らないが、3歳時ならともかく古馬になってからは一筋縄ではいかないだろう。
他には、俺の血統について分かった事がある。どうやら俺は、かなりというか凄い良血らしい。
おじさん達の話によると、まず父親がイージーゴアらしい。
イージーゴアと言えば、ベルモントステークスを含むG1競争を8勝してる名馬で、三代目ビッグレッドと呼ばれる事もある馬だ。日本ではサンデーサイレンスのライバルとして有名だろう。
種牡馬としてはあまり活躍した印象が無いが、わずか4世代でG1馬を複数出している。というか、比較対象がサンデーになりがちなのでパッとしない様に感じるのも無理はない。
母親は俺も聞いたことの無い馬だが、父親がセクレタリアトなんだそうだ。
セクレタリアトと言えば、今もなおアメリカ競馬史最強の呼び声高い二代目ビッグレッドとも呼ばれる不朽の名馬だ。その伝説的エピソードは数え切れない。
種牡馬としては父としても活躍馬を多数輩出したが、母の父としての活躍の方が有名だろう、なんせ競走馬としても種牡馬としてもアメリカを席巻したストームキャットやエーピーインディはこのセクレタリアトを母の父に持つのだから。
正直、何でアメリカで走んねぇんだよ!!と言いたくなる様な血統をしているが、馬主様には逆らえないので仕方ない。
そんなこんなで今は生まれたばかりなので、牧場でのんべんだらりと過ごしている。……一生こうしてたいなぁ…。
しかし、競走馬として生まれたからには走ってレースに勝たなければ生き残れない。
この生まれ変わりが神様による物だとしたら、その神様はろくでもない奴に違いない。
そんな事を考えながら、自分の行く末に思いを馳せる。
……頑張れ、俺。俺の未来は険しいぞ。
とりあえず1話です。
主人公も言ってましたが、何でこの血統で日本で走るんでしょうね、不思議です。
主人公の明日はどっちだ……!