【SAO】ハイドGMなのにJCプレイヤーにばれた件について   作:伊葉 翔

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9話からリアルタイムで書いてます、明日に最終話が上がれば良いかなと言った流れになっております。


10話 決着

「あらぁ? 珍しくちゃんときたのねぇ。貴方ならほっぽり出して逃げるのかとばかり思ってたわぁ」

 バッカニアの町のとある屋根上で高々と笑い声をあげるシェラ。

「そうだな。てめえは全く信用してないがマコトはまだ信用してるから来てやったよ」

 と、一つ隔てた屋根上で自身に満ち溢れた俺が返答している。

「目的のモノは持ってきたのかしらぁ?」

「ここにある」

 俺が首輪を取り出してシェラに見せる。

「それじゃあ、それを私に渡してくれるぅ?」

 そこで俺がぐっと首輪を握りしめながら首を横に振る。

「その前にマコトはどこだ? 無事を確認できなきゃ渡す気はないぜ」

「そうねぇ、それぐらいは見せてあげるわぁ」

 と、シェラが顎で近くの部下へ合図を送ると屋根の下から手と口を縛られたマコトが部下とともにやってくる。特にケガをした様子は無く、確かに無事であることは確認できた。

「これでどうかしらぁ?」

 それでも俺が首を縦に振らずに、シェラをにらみつけている。

「そのマコトが本人である確証は?」

「信じろ、なんて言ってもあなたは信じないわよねぇ? 逆に信用してもらう方法を提示してほしいぐらいだわぁ?」

「もっと近くで見せろ。手が届かない距離ぐらいなら良いだろ?」

 そこでシェラが部下と何やら密談を開始するも、ある程度予想済みであったのかすぐに終る。

「わかったわぁ。そこの煙突までならマコトちゃんを近づけても良いわよぉ」

 部下に連れられてトコトコと煙突付近まで歩いてくるマコト。距離は大股で走って三歩ぐらいの間合いだが、その間に屋根と屋根の隙間が長く、急加速するソードスキルを使用しないと飛び越えるのは難しいだろう。

 そこで俺がマコトをじっくりと確認しようとすると、その当人は煙突に顔をぶつけ、そのまま擦り付けて猿ぐつわを外した。

「セスさん! 早く逃げてください! シェラさんはんぐっ!」

 大声で警告を発するも部下に口を取り押さえられる。

「そこまでよぉ? これ以上は譲歩できないわぁ。これで首輪を渡すのぉ? 渡さないのぉ?」

 シェラがマコトへ近寄って細剣を首筋に当て、これ以上の猶予はないと警告をしている。

「マコト! 俺がイリオスの変わりになってやるって言ったら迷惑か!?」

 と、堂々と恋人……いや、家族宣言か? らしき確認をする俺って……まてまて!

「お喋りも禁止よぉ? 早く首輪を渡さないと殺しちゃうわよぉ?」

 警告は本当だと細剣でマコトの腕を指すも、彼女は顔を歪めながらもその勢いで部下を振りほどき、一瞬だけ口を解放させて大声で叫ぶ。

「迷惑じゃないです! セスさんがご迷惑でなければお願いします!」

「そうか、じゃあその台詞を本人の前でもう一回言ってやるんだな」

 そして俺がシェラに首輪を投げ、俺に合図を送る。クソったれ、俺が何も言えないからって好き放題言いやがってと、心の中で文句を言いながら部下とシェラの右手めがけて矢を打つ。

「マコト! すぐに俺と方向に逃げろ!」

 俺はさらに解放されたマコトの縛られている手めがけて矢を打って縛られている手を解放すると、すぐに頷いて走っていく。

「あらぁ? もしかして目の前のセスは偽物なのかしらぁ?」

 部下は麻痺でその場に倒れてくれたが、やはりシェラの奴には効かない様子で何事もなかったかのように動いている。

「その通りだ。残念だったな」

 と、シェラと話していた俺がマントを脱ぐとそこには漆黒の剣士、いわゆるキリトが姿を現した。

「それじゃあ私もちょっと本気を出しちゃおうかしらぁ?」

 シェラが指をくわえて大きな口笛を鳴らす。

「あらぁ? なんでほとんど来ないのかしらぁ?」

「半分はお前から離反したよ、このり半分の何人かは俺が眠らせておいた」

 カリアゲさんからの情報で、敵の位置と警備範囲も完璧だった訳で大規模な増援を防ぐことはできたが、キリトに五名、俺に二名対峙する形で囲まれていた。

 さすがに状況を理解してるようで、敵さんは待ったなしで俺たちに襲い掛かってくる。

 とりあえず近い方へ麻痺付きの矢を打ち、倒れたことを確認しながら二人目がこちらに近接する前に姿隠し(ハイド)で視覚を奪い、気づかれる前に距離を取ってさらに麻痺矢を打ち込んで倒れてもらう。

 キリトの方はずいぶんと余裕そうで、まさに無双状態とでもいうべきか。二本の剣で攻撃を弾くわ逸らすわで、まさに敵さんは手も足も出ない状態だ。

 ならあとはシェラを仕留めれば終了だが、ここでシェラはマコトの方へ向かって走り出す。これはまずい!

 矢を打ち込むことはできるが、状態異常をほとんど受け付けずHP(ヒットポイント)も全然削ることができない。むしろ削る前にマコトに追いつかれてしまうだろう。

 だとすれば俺も必死になって追いかけるしかないが、すでに俺とシェラの差は屋根三つ分ぐらい先まで開いていた。

「くそったれ!」

 毒づきながらもシェラを追撃する。ただ、俺の説得が上手く行ってればそろそろこの事態にも対処できるのだが……。

 シェラが俺よりも先にマコトに追いついて細剣を突き立てようとしたその時だった。

「マコトちゃん! 大丈夫!?」

 横から細剣の一突きがシェラの細剣を叩き落とした。

「アスナ……さん!?」

 どうやらセーフだったようだ。一応キリト経由でマコトはシロで助けてほしいと伝えていたが、当時の誤解は解けしっかりと作戦通りに準備をしていてくれたようだった。

「どうやら同じ細剣使いみたいだけど……私とやってみる?」

 マコトを止めた一撃がかなり強力だったらしく、アスナさんの気迫に後ずさるシェラ。

 そこへ追いついた俺がシェラの足元めがけて氷結矢を放つ。

「アスナさん! マコトは任せた!」

「解ったわ! セスさん、この前はごめんなさいね」

「気にすんな! その辺はまた後で頼む!」

 俺がシェラの真後ろで弓を再び構えていることを確認して、アスナさんはマコトを守るようにシェラから後ずさり、そのまま屋根の群れへ消えていく。

 

「面白いわぁ。ただのへたれ坊やがここまでこの私を追いつめるなんてねぇ?」

「正直俺も驚きだわ。まさかここまで上手く行くとは思ってなかったぜ?」

「でもここで終わりよぉ? セス、貴方はここで死ぬのよぉ!」

 語尾を裏返して絶叫しながら落とした細剣を拾い直しこちらへ切りかかってくる。

「甘えよ!」

 細剣ならこれが最適と一本の短剣を取り出して、シェラの細剣を弾くと同時にへし折った。

「あはははははっ! 剣殺し(ソードブレイカー)だなんて、面白い、面白いわぁ!」

 狂ったように笑いながらシェラは長剣を引き抜いた。あれはイリオスが使ってた内の一つだな。

 俺が用意した剣殺し(ソードブレイカー)は二本、あまり使う機会が無い上に耐久力があっという間になくなって壊れるので貴重品である。

 だが、イリオスの持っていた武器と対面するのであれば、これを使わなければ勝機は無い。

 更にイリオスの使っていた鎧のおかげで単純にぶつかってもジリ貧で、距離を取って弓で攻撃するのもダメージは通らない。

 姿隠し(ハイド)不意打ち(バックスタブ)急所付き(クリティカルポイント)を狙ってもほとんどダメージは与えられない。

 だとすれば武器を徹底的に壊して、そのあとにじっくりと削って殺す方法が一番の近道と言う結論になった。

「ほらほらぁ、貴方の剣殺し(ソードブレイカー)もそろそろ限界なんじゃなぁい?」

 長剣を叩き折り、同じ短剣を破壊して、続いて斧やら槍やらを壊しても壊しても出してきやがる。さすがにそろそろ一本目は限界か、耐久力ゲージが赤い点滅を繰り返してるしな。

「むしろ限界はそっちの方だろ!」

 かなり強引に間合いに入り、シェラの何本目かの長剣を折って破壊する。

「甘いわよぉ」

 俺が間合いに入った瞬間を狙ったのか、俺の真横で風が大きく揺らいだ。

「くっ!」

 何とかかわすことはできたが、シェラが見せたのは大剣。それもイリオスの奴が一番愛用していた大剣だ。

「へっ、それが最後の在庫って所か。そいつは骨が折れそうだ」

「そうよぉ? 貴方が最後に絶望する様を見たくて取っておいたのよぉ」

 確かあの大剣は耐久力がかなり高かった記憶がある、そうなればここまで何とか持たせてきたこの剣殺し(ソードブレイカー)ではまず破壊にたどり着けない、むしろもう一本あっても壊せるかどうか怪しい代物だ。

「降参するなら苦しまずに殺してあげるわよぉ?」

「そいつはこっちのセリフだな」

「そう、じゃあ公開しながら死んで貰うわぁ」

 縦横無尽に振りかざされる大剣に剣殺し(ソードブレイカー)を宛がうも勢いがほとんど止まらずこちらの耐久度が一気に低下する。

 三発目だったか四発目だったかは分からないが、何発か受けたところで俺の剣殺し(ソードブレイカー)から何かが軋む嫌な音がした。

「さよならよぉ」

 その音をシェラも聞いていたのか、横薙ぎで俺の胴体を狙った一撃を受け止めるとそこで剣殺し(ソードブレイカー)が限界を超え、甲高い音と共に刀身が割れて吹き飛んだ。

 その際に何とか大剣の軌道を逸らすことはできたが、今度は兜割りのごとくシェラが俺の頭を砕く一撃を振り下ろしてくる。

「あらぁ? 何が起きたのかしらぁ?」

 確かにシェラからすれば俺を殺しうる一撃になったはずだ。

 しかし状況は全くの逆で、俺の真横に折れた大剣の刀身が突き刺さり、シェラは刀身がほとんど無い大剣を持っていた。

「さすがクリスタルライト製の剣殺し(ソードブレイカー)と言ったところか。俺にも隠し玉があったんだよ。それこそてめえの絶望する顔を見たくてなぁ?」

 少しシェラの口真似をしながら、意地の悪い笑顔をシェラに向ける。

「降参よぉ、助けてくれないかしらぁ。お礼は弾むわよぉ?」

 この期に及んで見苦しい命乞いをしてくるなんて何を考えてやがる……いや、むしろ潔く諦めてくれるよりはずっと良いな。

「誰が助けるかよ。あの世でイリオスに詫びて死ね」

 殺すのに躊躇う必要すらないほどのクズで助かった。そう思った一言だった。

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