Fate/ Lost Reals 作:オタクA
「とうとう東京に到着かぁ~、まだ見ぬ同人誌に出会えると思うと胸が躍るなぁ」
俺の名前は衛宮四郎。衛宮家の四男某にして何処にでもいる普通の高校生だ。おっとここで勘違いするなよ。俺は例のゲームで聖剣の鞘として剣とうまぴょいした自称正義の味方(悲しみ)とは全くの別人だからそこん所よろしく。
【この飛行機は○○〇航空、羽田行き、○○便でございます。まもなく着陸します。シートベルトを────】
まぁそれは置いておいて、今俺は実家のある福岡から東京へこの通り飛行機で向かっている最中だ。
理由は単純明快で国内随一にして最大級のボリュームを誇る同人誌即売会イベント、コミックミッケマーケットに参加するためだ。
コミッケマーケット、通称コミッケとは簡単に言えば色々な人が個人やグループで作品を詰め寄って同じ志を持つ同士に対し販売するイベントだ。
その作品にはアクセサリーや本、音楽にゲームなど様々な種類の物が売りに出されるけれどその中でも一番賑わっているジャンルが同人誌と呼ばれる分類のものが一番で今もなお勢いが収まる事がない。その内容は表現するなら至ってシンプル、既にある作品のパロディ……つまりは二次創作と呼ばれる分類の物だ。同人誌の歴史は古いもので────―ってそんな事まで話していたら自分でも訳が分からなくなるので割愛するとして、つまりは志を同じくする同好の人達が個々で産み出した作品って事だ。そんでもって俺が何故その様なイベントへ参加するかというと──―
「シートベルト、よし。スマホOK。それじゃFGO起動!」
このゲーム、FGOと言うゲームに関する同人誌を買い漁るためだ。
FGO──Fate/Grand Orderとは、ゲームブランドTYPE-MOONが作り出したゲーム作品であるFateシリーズのひとつ。スマーフォン向けRPG、つまりはソシャゲに分類されるモノの為か機能の内の一つであるガチャ要素はクソの一言。だけどストーリーモードは最高過ぎるほどに素晴らしい。原作であるFate作品と遜色ない内容となっていてもうほとんど長編の文庫本と変わらないボリューム。ただでさえシナリオゲー好きな俺は軽く触れただけで俺はドはまりしてしまった。
「ふふふ、俺のランサー、キャストリアシステムが出来てから更に強くなってきたよな……単体宝具だからボス戦でしか使えないが」
そんでもって俺の一番のお気に入りがぐだ鯖と呼ばれるキャラクター達。元はギャグ時空のゲームの広告担当のキャラクター達だったんだけどその人気の高さからゲーム内イベントにて本編入りを果たした。それでも侮るなかれ、インフレの激しいゲームの中でも既に古参キャラの位置づけになるはずなのに第一線で強敵相手に同等以上の戦いを行えるほど強い。でも俺はそんな高性能な点を理由に好きになった訳ではなく、ギャグ時空のキャラクターでありながら深く設定が練られ、元となった人物を掘り下げた壮絶な過去を持ちながらそのような雰囲気を一切感じさせない明るい性格を持っている、そんなキャラクター性に俺は惚れたんだ。
【飛行機の降下に備え、背もたれとトレイテーブルが完全に──―】
おっといけねぇゲームに夢中になり過ぎててテーブル出しっぱなしだった事を忘れてたぜ。
断腸の思いでゲームを一時中断し出しっぱなしだったテーブルを元に戻す。そのままゲームを続けようとも思ったが座っている座席が斜めに傾き、もう着陸している最中と分かるからスマホを仕舞うと俺は目を瞑った。だって怖いもん。こう体がふわぁ~って感覚が超怖い。文字道理肝っ玉が冷えると言うモノ。
神様仏様第六点魔王様、どうか俺をキチンと地上に降ろしてください。神に祈る俺の思いが届いたのかそのままスゥーっと意識が遠くなりやがて落ちた。
※※※
【※※※※、※※※※……ダメか。他の人よりも私なら声が届くと思っていたけどそれは思い過ごしだったみたいだな】
真っ黒と真っ白が合わさった人がいる。姿やボヤケ声も何と言っているのか分からないけと必死で黙々と何かを俺へと訴えかけている。
【む、時間か……なるべく早くこの事を伝えたかったけど仕方ない。直接守るしかマスターを助ける方法は残ってないか】
あ、そろそろ落ちる。
【待っていてくれ※※※※、絶対に間に合ってみせるから】
最後に見た光景はこちらへ手を伸ばす白黒の人物だった。
※※※
「なぁ~んか大事な夢を見ていたような……うん~?」
目が覚めた俺は早々と荷物をまとめ上げ空港のターミナルを歩く。羽田って始めて来たけど人多すぎじゃね? 右を見ても人、左を見ても人。余りこれほど多くの人に囲まれたことがないからちょっと人酔いするなぁ、うぇぇ。
ちょっと人酔いしながらも小腹が空いたので適当にフードコーナーで売ってあるホットドックでも頂こうかなぁ~とも思ったが、ふと今の時間が気になり腕時計を見る。
06:24
「っげ、ホテルの時間もうすぐじゃん」
コミッケ開催期間中の滞在場所として予約していたホテルチャックインの時間が迫っている事に気付いてしまった。やっぺ、タクシーで間に合うかな? キャリーケースを引きながら、割と早走りで人込みをかき分けながらも外を目指す。人の溢れるホームを抜け、タクシー乗り場まで到着したが……こりゃやべぇな。
「……乗れるかな?」
タクシー乗り場には長い行列、バス乗り場も同様でそっちの方がタクシーよりも長いかもしれない。長い行列に並んでバスやタクシーを待つにも時間がかかり過ぎてチェックインの時間をオーバーしかねない。残る手段は歩きだけど……キャリーケースあるからな。携帯を起動しFGOのアプリから地図アプリを起動。ホテルの場所を打ち込んで予測時間を見るけど20分後か……何とかなる、のかな?
「ちょっと疲れるがチャックインに間に合わなくとヤバイし仕方ないか」
キャリーケースを引き俺は歩き出そうとするがそんな時、一台のタクシーが横切った。それは空車で何処かへ去る個人タクシー。コレはラッキー。アレに乗れば問題解決だ。
「おーいッ!」
大声をあげ、腕を振りながらタクシーを追いかける為俺は走り出す。視界の端には俺と同じように手を振る、頭の光る中年のおじさん姿が――――って、負けるか!
「バクシンッバクシンッバクシィーン!」
走る為、地面を強く踏みしめて俺は走る。風だ、俺は風になったのだ! そんな感想が頭を過った瞬間―――――視界が反転する。
「へ?」
時はゆっくりと進み、遅くなってゆく。そして視界に映るのは目指していたタクシーだったはずなのに、そこに見えるのは太陽覗く青い空。雲が浮かび青く大きなそれはそれはそれは美しい。 体が宙に浮き、浮遊感を全身で感じることが出来た。
あ、俺死んだ。
何となぁーくそんな予感が体を巡って行き視界に映る空が真っ赤に染まる。それはまるで夕日に染まる夕焼けの空かのように――――そこで俺の記憶は切れた。まるでブレイカーが突然下がり意識と言う回路がOFFになかったかのように。
【すまない※※※※、遅くなった】
朦朧とした状態まで復活した意識では満足に聞き取れなかったが何か、何か俺に対して言葉をかけたらしい。
その直後からだろうか、耳を塞ぐほど大きい耳障りな音が響き始める。
「うあぁ」
その音に促され俺の意識は正常な状態へと戻っていき、やがては眼を覚まし始める。
煩い音だと思いながらも目を開けるとそこに――――――信じられない光景が広がっていた。
「なん、だと……」
停止する紫色の空。
鳥は宙に浮かび、雲は停止する。風が吹くこともなく何も変化の無い空が広がるばかり。立ち上がり、辺りを見回すが何もない。ただ停止した世界が広がるだけ。あの煩い音もいつの間にか聞こえなくなっていた。
「一体何が起こって――――」
突如爆発音が耳に響き思わず両手で耳を塞いでしまった。何があったかと当たりを見回してみると遠くに煙が上がっているのが確認出来てしまった。そして何かが高速でこちらへと飛んできている事も――――
「わぁ!」
突如突風が吹き荒れ、俺はその場で尻もちを着いてしまった。風が酷く何も聞こえず目も開けられない。
「? ……あ、すまないマスター」
風が強い中何故かハッキリと聞こえてしまったその声。どこか聞き覚えのある声で風も弱まり思わず声の主へと目線を向ける。
「な―――!?」
――――そして、俺は
ひこうきあんまりくわしくなぁーい