再会の日に   作:ぽぽろ

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やっとアニメの三話まで見終わったので。
まだアニメが絶賛放送中なので後々の話によって設定の矛盾が生じる可能性がありますが、それは発生次第手直ししておきます。


再開の日に

幼い時の僕は、同い年の女の子の言いなりだった。

それは僕は自身の気の弱さから来ていた。

お菓子を選ぶ時も迷った時に道を選ぶのも小学校も習い事も全て彼女が決めて全て彼女と一緒だった。

気がついたら彼女と同じ事をさせられて、習わせられて、選ばされた。

凡愚な僕は周りに褒めそやされている彼女の才能の差の様なものをむざむざと見せつけられた気分になっていた。

 

数ある習い事のその中でも音楽は彼女が先生として教えてくれた。音楽だけは教室に通う事を許さなかった。

そのお陰かある程度は演奏はできる。

 

一回だけ彼女に反攻というか疑問をぶつけた時がある

 

「ねぇ、なんで、れんちゃんはボクのこと全て決めるの?」

 

れんちゃんとはその幼馴染の名前だった。

上の名前は確か葉月だったと思う。

 

「だってあなたはわたしが決めないとなにも出来ないでしょう。それともなにか不満があるの?それか……だれかに言われた……?だれなの!」

 

その時の彼女の瞳は見てしまえば底冷えする程冷たく、まるでメドューサに見つめられた様に身体も口も固まった様に動かせないほどだった 。

僕に今にも掴みかからんという勢いの彼女を僕はさらに恋ちゃんが怖くなった。

 

───────

 

そして、僕が小学四年生の時だったと思う。

僕は親の都合で地方に引っ越すことになった。

引っ越すまで一、ニ週間程時間はあったけれど、僕は彼女に引っ越すことを伝えなかった。これでもし伝えたら彼女も来るかもしれないと言う気持ちと一応お世話になったし、友達として。そして僕にできる僅かな反抗として言うべきという二重思考が頭にあったけれど、彼女から離れるという事に僕は頭がいっぱいだった。

 

ただいつも通りに彼女の言うことを聞きながら一、ニ週間を過ごした。

そして、僕は慣れ親しんだ地を離れる寂しさと彼女と離れられる嬉しさを胸に抱きながら東京を去った。

 

月日は百代の過客にして、矢の如し速さで過ぎ去っていくもので僕はいつの間にか高校生になっていた。

そしてまたここ、東京に帰ってくることになった。

あれから十年くらいの月日が流れてきっと彼女もそして僕も一応成長をして、一目で分からないほど変わっただろう。

彼女はもう僕の事を覚えていないかもしれない。

僕は久々に来た懐かしさを噛み締めながら、たまたま見つけた喫茶店でコーヒーを飲んだ。

そこにはマンマルという名前のコノハズクと僕と同じくらいの女の子がいて、コーヒーもとっても美味しいお店だった。

 

─────────

 

家に帰って、ベットに寝転がろうと思ったけれどその前に親に呼び止められた。

曰く、懐かしい人が来ているから挨拶くらいはしなさい。と言うことだった。

 

僕には一つ頭を過ぎる嫌な予感があった。

廊下とリビングを分けるドアノブが鉄の様に重たい気がした。

 

「大きくなったわね、覚えてる?」

 

僕を見て少し顔を破顔一笑した女性と僕をただじっと見つめている妙齢の女の子。

 

「こんにちは」

 

嫌な予感は当たっていた。

女の子の方は凛とした印象を受けるが昔の面影がどこかに残っている。

確か……

 

「葉月……恋……」

 

僕の小さい時の恐怖の象徴とも言える彼女。

僕をキッと睨む目線は昔も今も変わらずで昔の恐怖を思い出し震えさせるには十分であった。

一方彼女は、名前を覚えていたのが嬉しいのか顔を少し綻ばせる。

 

「覚えててくれてたんだ……やっぱり……私達……」

 

ガタッと椅子から立ち上がり、僕を涙を滲ませながら見つめる。

 

「えっと……久しぶり……だね?葉月さん?」

 

互いに成長した身で、もう何年も会っていないから『恋ちゃん』と呼ぶのは少しむず痒いものがあった。

親が『僕の部屋でゆっくり話してきなさい。』と言うから仕方なく僕は彼女を案内した。

 

去り際におばさんが僕にこう言った

 

「そういえば最近新しい学校が作ったのだけど見学に来ない?恋もそこに通っているのだけど……」

「考えておきます」

 

僕はそう返した。紙を鋏で切るようにキッパリと。

その間彼女はずっと僕を頬を赤らめながら、熱の篭った目で見つめていた。

 

***

 

アールグレイの茶葉と沸かしたてのお湯が入ったティーポットとカップとソーサーをお盆に乗せて自分の部屋のテーブルに置いた。

カップに紅茶を注ぐとベルガモットの甘酸っぱい匂いがした。

 

「何故私に何も言わずに出ていったのですか」

 

息で湯気を切り払って、ミルクも砂糖も入れていない普通の紅茶を時間を掛けて僕は一口飲んだ。

入れ方を間違えたのかとても渋かった。

彼女も紅茶を一口飲むとキッと目を細め睨む様に僕を見た。

その目は前と変わっていない、いや、それどころか更に威圧感を増した様な気がする。

僕はその視線から逃げるようにティーポットに視線を移して、ただお湯の中で茶葉が舞っているのを見ていた。何とも彼女から注がれる視線で居心地が悪かった。

ポットの中のお湯は段々と紅葉のように染まって行った。

 

暫く黙っていると、諦めたのか彼女は大きくため息をついた。

 

「まぁ、それは今会えたので許すとしましょう」

 

僕も心の中で安堵のため息を着いた。

そして、彼女はさて。と前置きをして、こう続けた。

 

「私は今、結ヶ丘女子高等学校に通ってます」

「確かそこって……」

「えぇ、音楽に大変力を入れている、新設校です」

 

結ヶ丘、という事は同じ学校に通わされるという心配は杞憂であったようだ。

おばさんがさっき言っていたのはこの学校だろう

 

「一応、貴方には私が昔、音楽のレッスンをしていましたし、だから楽器は弾けますよね?」

「まあ、出来るけど……」

「入学、しませんか?」

「僕、男だけど。結ヶ丘って女子高でしょ?だから行けないと思うんだけど」

 

至極真っ当な意見だと思う。

いくらおばさんが学校を設立したからって、女子校に男子が入り込むなんて。

設立して大分時間が経っていて、人不足で共学化の為ならまだ納得は出来るが。

 

「入学とは言っても体験入学、簡単に言ってしまえば見学くらいみたいなものです。私が今何をしているか知って欲しいのです」

「なるほど、そのくらいならいいかな」

 

うんうんと二回ほど頷く。

場所は分からないけれどまぁ、行けるだろう。

それじゃ、と席を立とうとした瞬間、いつの間にやら詰め寄ってきた彼女がもう一度釘を刺すように淀んだ目で僕にこう言った。

 

「他の女に目移りをしないように」

 

僕は冷や汗が一筋落ちるのを感じた。

やはり僕は彼女が苦手だ。

 




マンマルと恋ちゃんが私の中の正ヒロイン
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