織斑一夏と愉快な家族達 作:探さないで!
「なぜ初っぱなからシスコン全開なんだお前は。
もう少しまともな挨拶はできんのか」
え、誰だ?
まだ拍手すら鳴ってないぞ。質問はそれからにしてくれ、頼むから。
しかし言葉選びを間違えたかな。確かに今の声の言う通り、シスコンです、と公言しているようなもんだったな。
声のした方を見ると、そこには
「げぇっ!かん」
「言わせるかぁ!他の世界線でそのテンプレをどれだけやったことか!!」
千冬姉だ。そこには千冬姉が居た。殴りかかってきた。意味が分からない。どうやってここに。何故ここに。そしてその言葉も意味が分からない。あとなんで右フック。
「うっ!」
なんとか体を捻ってかわす。あっぶな。
「ちっ!やはり世界線は収束するのか!?結局、げぇっ!関羽!?は回避できないのか!?」
ちょっとちょっと、千冬さん!落ち着いてくれ、頼むから!!
「千冬姉、なんでここに!?」
「それは勿論、私がこのクラスの担任だからだ!」
え、マジで?
なんてこった、姉の仕事がまさか教師だったなんて。てっきり自衛隊か何かの教官でもやってるのかと思ってた。だって腕力だけで車を持ち上げたあげく、投げ飛ばすような人間がただの教師だなんて、あり得ないだろ。でも、冗談を言っているような感じではないな。
「世界線って?」
「何故か言わなければいけない気がしたのだ。気にするな」
「お、おう」
チラッと教室の皆を見ると、一様にポカーンとしている。そりゃそうだ。当事者の俺が理解不能なんだから、皆はもっと分からないだろう。
ち、千冬姉!皆唖然としてるぞ!
取り敢えずアイコンタクトで知らせる。すると彼女も気付いたようだ。
クルリ、と体をクラスに向ける。
「ゴホン、私がこのクラスの担任の織斑千冬だ。一年間、貴様らをビシビシ鍛えていくからそのつもりでな」
切り替えが早い。てか、本当に教師だったんだな。なんと言うか『それ』っぽいぞ、雰囲気が。さっきまでの人とは別人だ。
さてと、今のうちに座っとくか。
「兄様兄様」
席につくと、マドカが小声で聞いてきた。
「また姉様の『いつもの』ですか?」
「多分な」
千冬姉が時々おかしくなるのは、今に始まったことじゃない。『そして何よりも、女 子 力がたりない!』とか急に言い出して、料理の勉強を始めたり。精神科をそろそろ勧めるべきだろうか。
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「さて、この学校は初日から授業がある。各々準備しておけ」
千冬姉がそう締めくくると、ちょうどよくチャイムが鳴る。あれ。自己紹介が全員終わったらしい。聞いてなかった。しまった!マドカの自己紹介聞き逃した。さぞや可愛らしかったのだろう。「おりむらまどかです。よろしくおえがいします!」なんて舌足らずな感じで言われたら、堪らないな。それを千冬姉の回想シーンで逃した。畜生! ....なんか興奮してきた。
「あ、兄様。先程の私の言葉、聞いてくれてましたか?」
クソッ!自己紹介の時か!?
待て待て、落ち着け。ここで聞いてなかった、なんて言ったら、BADENDだ。えーと、なんだ。
「兄様は私の物です、だろ?」
自分の意思とは関係無しに言葉が出る。
マドカはほんのり頬を染めると、コクン、と頷いた。可愛い。しかし、そんなこと言ってたのか。よく聞いてたぞ、俺の耳。ワンサマーイヤー。流石だ。やるじゃん。無意識に妹を悲しませない様に頑張ってたんだな。
「ちょっといいかなー?」
マドカを愛でていると、誰かが声を掛けてきた。
あー、ヤバい。名前聞いてなかった。この子誰だろう。制服の大きさミスってんぞ。ダボダボじゃん。
「えっと、何?」
いやでも、この子随分ほんわかしてる気がするし、名前知らないって言っても許してくれそう。
「えっとねー?皆、おりむーに質問があるんだってー」
「だからね、ここらで質問タイムー!なんてどう?」
おお、横からもう一人飛んできた。この子も名前分からないな。後でマドカに聞いとくか。
質問タイム、ね。確かに今はクラスの皆、「ちょっと誰か早く話しかけなさいよ」みたいなムードだしな。このまま一年間はきついな。
「りょーかい、じゃあ質問ある人挙手!」
俺は再度、教卓の横に立った。
「「「「はい!!」」」」
殆ど全員の手が挙がった。奥の方の金髪ちゃんと、前の方に座っているどっかで見たようなポニテちゃんは乗り気じゃ無いみたいだ。初日で緊張してるのかな。仕方ないね。
「じゃ、そこの君」
「織斑君は、シスコンなんですか?」
イ、イキナリだな。まぁ想定内だ。落ち着けー。冷静にだ。
「そうです」
「「「「「キャー!!」」」」」
「いいなー、私もあんなカッコイお兄ちゃんほしい!」
「妹を傷つけた奴はただでは済まさない、キリッ」
恥ずかしい。なんだこの公開処刑。今時の女子高生ってこのテンションが普通なのだろうか。
「え、えーと次は~、君」
「千冬様ともご兄弟なんですか?」
「そうなんです」
「「「「「キャー!!」」」」」
あんな事してても支持率は絶大だな。ブリュンヒルデの名は伊達じゃない、ってか。
「いいな!いいな!千冬様と織斑君、二人がいる家に生まれたかったぁ」
それは聞き捨てならんな。
「中々に波乱万丈な人生だから、やめたほうがいいぞ。それと忘れないでくれ、我が家のヒエラルキー最上位はマドカだ。マドカを中心に世界は回ってるんだ。可愛いは正義」
「に、兄様.....」
「うわぁ....私も兄貴にあんな事言われてみたい!」
「バッカね、やめときなさい。世の中顔よ」
酷いな。否定は出来ないけど。
「波乱万丈ってその眼帯とか関係あるの?」
おおっと、ここでキラーパスだ。俺は正直に言ってもいいんだが、そんなことしたら国のお偉いさん方が動き出しそうだし、適当に言っとくか。
「んーと、これはアレです。中二病。ほらカッコイイでしょ?」
「うん!超似合ってるよ!!」
「残念風イケメンって感じ!シスコンの時点で残念だけど!」
「「確かにー!」」
まぁ弾にも、それはキャラで通せる、みたいな事言われてたし大丈夫だろ。うーん、残念風イケメンがグサッと来たぜ。妙に的確。
「でもそれ先生に許可とってるの~?」
「俺の姉を誰だと思っている!融通してもらいました!」
「あははー、ずるい!」
とか言いつつも、皆冗談だって分かってるみたいだ。詳しく聞いて来ない所とか、ありがたい。優しい人多いみたいだな。
「さて、そろそろ授業だ。またなんか聞きたい事があったら、気軽に聞いてくれ」
「「「「「はーい!!」」」」」」
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二時間目が終わってすぐ、ポニテちゃんが教室を出て行った。
授業中ずっと頭の中かき回してて、やっと思い出した。あれは幼馴染の箒だ。間違いない。随分と美人になっていたから、昔の記憶と一致しなくて気が付かなかった。
「マドカ、知り合いを紹介するからついて来てくれ」
「了解です、兄様」
二人で箒を追いかける。お、後ろ姿もエロくなったな。
「兄様、何考えてるんですか?」
「いっ、いや!?別に?どこいくのかなー、とね!」
声が裏返った。マドカの「兄様、何考えてるんですか?」の発動条件は、大体俺がマドカ以外の女の子の事を考えてる時だ。それも物凄い精度である。未だに百発百中だ。女の勘ってやつか、恐るべし。
「そうですか。それより、どこ行くんでしょうね?」
今回はお咎め無しらしい。ホッと胸をなでおろす。こんな事でマドカに嫌われたくない、気を付けよう。
と、扉に入っていく箒。
「屋上?」
箒を追って、たどり着いたのは屋上。
何の用だ。
「何の用でしょう?」
マドカも同じ意見の様だ。
「さぁな、覗いてみるか」
扉を少し開けて、箒の姿を探す。
いた。物憂い気な表情で、たたずんでらっしゃる。
どうしよう。一人にしておくべきだろうか。でも今、挨拶しとかないと機会を逃しそうだな。明日になって「おお!箒か、久しぶりだな!!」とかワザとらしいよな。
よし、とりあえずは話掛けてみるか。
「よっ!箒、久しぶりだな!」
「む?一夏か....」
ええ....。なにその冷めた対応。
かれこれ5年ぶりほどになるだろうか。もう少し、こう....なんというかドラマチックな感じにはならないだろうか。「一夏!元気だったか!?」「ああ!お前こそ!」「「あはははは~♪」」みたいな。いや違和感が凄いな。それとも、俺が話しかけなかったから、拗ねてんのか。質問タイム~、とか調子乗ってたからか。
「いやー、ごめん。あまりにも箒が綺麗になってて、箒だって分からなかったんだよ」
「そ、そうか!?なら、私はお前の妹より綺麗だろうか!?」
「いや、それは無いけど」
「....」
あ、しまった。つい即答してしまった。
そうか、なる程。そりゃあ幼馴染が知らない間にバリバリのシスコンになってたら、冷たくもなりますわ。納得。だが妹を愛でる事はやめん。もう妹無しじゃ三分ともたない。
「......お前に妹なんて居なかったろう?それにその目。何があったんだ?」
「その件については後で話す。それと紹介しとくぜ、妹のマドカだ」
「よろしくお願いたします。篠ノ之 箒殿」
「殿なんてつけるな、箒でいい、よろしく頼む。それと一夏、今話せ」
「ええと、でもそれはカルピスを極限まで薄めたような過去編が始まるから後でも....」
「聞こえなかったか?今話せ」
「はい」
すまんなぁ、マドカ。お兄ちゃん強い女の子に弱いんや。
言い回し、表現、比喩その他もろもろ。アドバイスお待ちしてます。感想も。
誤字は見つけ次第、修正していきます。今回は特に。
千冬さんはこーゆー感じで。
過去編をサラッと流すか、ちょい本腰いれて書くか、お悩み中です。
ホントは明日投稿する予定だったので、色々荒いかもしれません!すいません!
感想が嬉しくて、自分が抑えきれませんでした。