織斑一夏と愉快な家族達   作:探さないで!

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第28話

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

「あら?」

 

 セシリアちゃん達が待っているので多少急ぎ足で俺の部屋に向かっていると、ばったりとセシリアちゃんに廊下で出くわした。それもデュノア付きである。

 デュノアは頬を軽く赤らめながらセシリアちゃんのおててをギュッと握っている。

 一体何が―――

 

「一夏氏、詳しい事はまた後ほど。もうそろそろディナーのお時間故に」

 

 バチコーン☆と茶目っ気のあるウィンクをかますと、セシリアちゃんはそそくさと歩いて行ってしまった。もじもじとそれについて行くデュノア。

 俺は思わずマドカと顔を見合わせる。

 よく分かんないけど、

 

「.............とりあえず夕食の時間と言う事らしいので」

 

「だな」

 

 細かい事は後回しにして、一旦セシリアちゃんの後を追う事にする。

 ふとマドカの手が恋しくなったので、俺は無言で手を握った。

 

 

ーーーーーー

 

 

 もうクラスの大半が揃って、皆して今か今かと飯が運ばれて来るのを待っていると

 

「一夏、少しいいか?」

 

 千冬姉が俺をご指名してきた。

 

「へへへ、なんでござんしょ?」

 

 両手をスリスリしながら近付くと、頭をコツンと叩かれた。

 もちろんツッコミ用のゲンコツだったためにさして痛くは無かったのだが、とりあえず殴られた所を多少大袈裟にさすってみせた。定番ネタですな。

 

「あ、姉貴!痛いでやんす!!」

 

「まだ続けるか、いいだろう。抹殺のぉ.......」

 

「ごめんなさい」

 

 ラストブリットされそうだったので、慌てて土下座。ファーストもセカンドも飛び越えて初っ端からそれはヤバイでしょ。

 

「ふん.............」

 

 千冬姉のいつものだ。鼻鳴らす奴ね。最近は鳴りを潜めていたが、癖というのは中々抜けないものだろう。別に煩わしいとは思わないので、放置だ。千冬姉の数少ない個性だからな。

 まぁ、それを有り余る存在感な訳だが。

 .....っと、こんなこと考えてると、また千冬姉のシェルブリットが火を吹いちまう。自重、自重。

 頃合いを見計らって話を進める。

 

「それで?」

 

 まさかこんな茶番をするために俺を呼んだんじゃないよな。いくら『寛容と言ったら織斑一夏』の俺でも流石に怒るぜ。

 いや、怒んないけど。

 

「布仏が見当たらない。一夏、探しに行ってこい」

 

 千冬姉が嘆息しながら、言葉を吐き出す。

 

「えぇ.......?」

 

 布仏ってのは、多分同じクラスの娘だよな。あんまりよく覚えて無いけど。

 .............探しに行く? 今この人探しに行けっていったよね? 迷子?迷子なの?

 

「とりあえず部屋を見に行ってきてくれ」

 

 千冬姉が物凄く気だるげな表情で睨んでくる。さっさと行けって事だろうか。

 あれ? でも部屋って事は

 

「同室の子は?」

 

「そちらも行方不明だ。まぁ二人共時間を忘れていて、未だ部屋にいるだけかもしれんが.............」

 

 何で部屋にいるか確認してないのに行方不明扱いなんだよ。それって教師の仕事じゃないのか。何故俺が駆り出されるのだ。いくら『寛容オブ寛容の織斑一夏』でも怒る時はあるんだぜ。

 いや、怒んないけど。

 

「曲がりなりにもお前がクラス代表だからだ」

 

「..........そう言えばそんな設定でしたね」

 

 いやでもだからって職務放棄はどうかと思います。山田先生、何か言ってやってくださいよ!

 期待を込めて視線を送ると、彼女は何故か畳に突っ伏していた。

 

「えへぇ....もう食べられませんよぉ.....」

 

 こ、こいつっ!? まだ何も食べていない筈なのに!!?

 あざとい奴だな。クラスのマスコットキャラクターと言われるだけはある。

 

「いいから行ってこい........」

 

 千冬姉のやたら投げやりな声音。察するところ、既に山田先生については色々と諦めているのだろう。

 仕方ないね。

 

「りょうかーい........」

 

 とりあえず言われたとおり、その布仏って奴の部屋を確認しに行こう。

 ......もしかして千冬姉が俺をクラス代表にしたのは、こういう事態に備えての事だったのだろうか。これからもっと雑務を押し付けられるのだろうか。 

 織斑千冬、恐ろしい子ッ!!!?

 

「...........行くか」

 

 一人でやってて悲しくなった。

 千冬姉に布仏の部屋の場所を聞き、廊下にでる。すると当然の様にマドカ、鈴、そしてラウちゃんがスタンバイしていた。

 

「えーと......ついて来る?」

 

 三人共一様にコクリと頷く。

 

 マドカが仲間に加わった!

 

 鈴が仲間に加わった!

 

 ラウちゃんが仲間に加わった!

 

 織斑一夏のテンションが四段階上がった!

 

「んじゃ、れっつらごー」

 

 四人パーティーになった俺達は、やたら年季の入った渡り廊下を歩く。至る所から老舗旅館臭が漂っている。ここについた時も思ったけど、割りと有名だったりするのだろうか。

 こういう時は、ラウちゃんかな。

 

「ラウちゃん、何か知ってる?」

 

「確か、ここの旅館はレッドドラゴンと言う名で、去年開業したそうですよ」

 

「あー.......そう」

 

 俺超恥ずかしいな。何が老舗旅館だよ。あと何でキラキラネーム。.............旅館の名前にキラキラネームの概念があるのだろうか。

 

「一夏、何考えてたの?ねぇねぇ、何考えてたの?」

 

 意地の悪い笑みを浮かべて、脇腹辺りをつついてくる鈴。ああ、可愛いなぁ。

 

「愛してるよ、鈴」

 

「はうっ.......!」

 

 鈴赤面させて、ひとしきり満足する。相変わらずの癒しパワーだ。こんな愛くるしい人間が俺の嫁でいいのだろうか。いや、いいんだ。鈴を愛する気持ちなら誰にも負け

 

「兄様」

 

「おっと」

 

 マドカの声で急に現実に引き戻される。そうだ、まずは布仏の件を片付けよう。その後でたっぷりとマドカ達を愛でればいいじゃないか。うむ。

 確かここの廊下の突き当たりを右に行けば、すぐに布仏の部屋らしい。

 この距離なら尚の事千冬姉がパパっと来れば良かったのに。今更言っても仕方ないけどね。

 

「とか思ってる間に到着~」

 

 わずか一分程度。カップラーメンすら完成しない。

 まぁいいや、さっさと終わらせよう。

 俺はノックもせずに扉を開ける。

 

 

 

 

 

 ああ、なんでノックしなかったんだろう。

 

 この時、俺は全くもって油断していた。

 

 『まさか』を一切想定していなかった。

 

 さすがにもうないだろうと、度外視していたのだ。

 

 

 

「へい、お嬢さん方!ディナー........」

 

 

「あんっ.....簪ちゃんっっ!!!!」

 

「お姉ちゃんっ.....そこぉっ.........!!」

 

 

 

 部屋の中には見知った水色が二つ。

 

 

 

「........おうふ」

 

 

ーーーーーー

 

☆鬼神と奴隷兎☆

 

「夜の海で水着は寒いな......」

 

「さようでございますね......!」

 

「それと束、私はそろそろ腹が減ってきたぞ」

 

「箒様もですか!?奇遇でござりまするなっ!!実はこのわたくしめも」

 

「貴様の同意など求めておらんわぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」

 

「ごふっ......きゃ、きゃうん!これが箒様の愛のムチ!?」

 

「束、そもそも貴様は今日食いまくりだったであろう」

 

「.............そうですね。ぶっちゃけ、あんまりお腹空いてません」

 

「そうであろう、そうであろう。苦手野菜克服の為に、今日は散々貴様の口に自然の恵みをぶち込んだからな」

 

「生のゴーヤ丸ごとはちと厳しかったですけどね........」

 

「貴様の為を思っての事だ。許せ」

 

「ほ、箒様.......!」

 

「さて、では今度は私の為に飯を持って来い」

 

「もちのろんです!!」

「うむ。魚の所までは私が飛ばしてやる」

 

「ちょ、え」

 

「イィィィィナァァァァァズゥゥゥゥゥゥマァァァ.........キィィィッックッッッッッ!!!」

 

「ごっふァァァァァァァァァァ!!!!」




言い回し、表現、比喩その他もろもろ。アドバイスお待ちしてます。感想も。
誤字は見つけ次第、修正していきます。  

感想をくれた方ありがとうございます!

そろそろこの「愉快な家族達」も終わり.....ですかね?
話が進まないのも、作者が知らず知らずにこの作品に愛着湧いちゃって終わらせたくなーい、とか思ってるからなんでしょうね。すいません。

「愉快な家族達」を書き始めた当初考えていた終わらせ方を無視して、原作にくっついていくのもあr......いや、こんな設定でついてくのは無理っすね。

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