織斑一夏と愉快な家族達   作:探さないで!

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こういう話(シリアス)がてんでダメで作者には書けねぇってのと、文章構成能力の無さを改めて痛感した回。

スランプ時に書いた、シリアス回です。長さも中途半端で、なぜか二話構成に....

では、ドゾー



第47話

 

 

 

 

 

 

「.....ぅぅ」

 

「大丈夫?」

 

「.......ダメっぽいかも」

 

 そう言うと父さんは、廊下の壁に体を押し付けてうずくまった。

 青い顔をしながら丸くなる父さん。俺は優しくその背中をさすった。

 

「焦んなくていいから」

 

「....ごめんね、一夏ぁ」

 

「......うん」

 

 震える父さんの肩を軽く抱き、俺は父さんが落ち着くまでただひたすら待った。

 なぁに、いつもの事だ。今更めんどくせぇ女とは思わない。....いや、やっぱ常時めんどくさい女だけどさ。それは今言ったら追い討ちだからやめとこう。

 

 

 

 

「.....もう大丈夫かも」

 

「分かった」

 

 やがて父さんは体を『震えるさせたまま』立ち上がった。

 俺の事を気にしてるんだろう。そして二人で寝室に戻った後、一人でまたトイレかなんかに篭るつもりだ。

 つい最近のマドカの件もあって、俺は父さんに少々腹が立った。

 

「父さん、今更気を使うような関係じゃないだろ? 落ち着くまでちゃんと傍にいるから」

 

「...でももう3時よ? いい加減一夏も寝たいんじゃない?」

 

「......まぁね」

 

「ほらやっぱり!! そうやって私の事イジメて楽しいの!!!?」

 

「うん」

 

「何よもう!! さっきまであんなに優しかったのにぃ!!!」

 

 夜遅いので小声で怒鳴るという神業を披露しながら、父さんはリビングに向かった。俺もその後を追いかける。

 よかった、本調子とは行かないまでも、大分良くなったみたいだ。

 

 

 

 

 

 

「ま、すたー......すこーる、さま.....?」

 

「「あ」」

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「それで、一体どういう事なのでしょうか?」

 

 午前3時。いつもならラウちゃんはとっくに爆睡している時間帯だが、今日は「運良く」眠りが浅かったようだ。

 リビングに水を飲みに来た際に、俺達にばったりって事だ。

 全く、気にせず寝て良かったのに.....

 

「スコール様、何かあったのですか?」

 

 最初は眠そうなラウちゃんだったが、父さんの顔色を見て眠気も吹っ飛んだようだ。心配そうな面持ちで父さんに問いかけるラウちゃん。

 仕方ない、適当に誤魔化すか。

 

「ラウちゃん、父さんは今日女の子の日なんだ。だから....こう.....な? 分かるだろ?」

 

 こんなもんで良いだろ。ラウちゃんは素直だから、俺の言葉を素直に......

 

「本当ですか?」

 

「.....え?」

 

「マスター、それは本当ですか?」

 

「ほ、本当って?」

 

 あら、雲行きが怪しくなって参りました。

 一体どうしたと言うのだ、ラウちゃん。

 

「失礼ですが、お二人の雰囲気はその様なものではございませんでした。もっと深刻な....」

 

「だから、父さんは.....」

 

 と、半ばラウちゃんとの口論になりかけたところで、

 

 

 

「もういいわよ、一夏」

 

 

 

 

 そう言われて俺は閉口する。

 

「よくよく考えれば、ラウラちゃんも鈴ちゃんも一緒の家族になるんだし、隠す方がおかしいのよ」

 

 自虐的に笑みを浮かべる父さん。その瞳からは、悲哀とかすかな憤りが見えた。

 

「......それにね、元々隠し通せるとは考えてなかったわ。ただ、打ち明ける時間が早まっただけ」

 

「.....父さんが決めたなら、俺は何も言わないよ」

 

 てか、俺が口出す事じゃないしな。これは父さんの問題だ。

 俺の言葉を聞いて、父さんはゆっくりと頷いた。

 

「父さん、俺席外した方がいい?」

 

「ええ、お願い」

 

 俺は大人しくリビングを出ていった。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「さて.....」

 

 一夏が出ていくのを確認すると、スコールはゆっくりとそれをテーブルに置いた。

 

「なっ.......!」

 

「まず私の体がどうなってるか知ってもらわないとね」

 

 

 

 

 

 

 腕 だ 。

 

 

 

 

 

 

 

 ラウラはその事実を理解するのに、数秒を要した。

 スコールは今、自分の右腕をなんら気負いなく()()()()()のだ。

 ちょうど肘の上の辺りからテーブルに力なく横たわる腕は、指先まで完全に人間の物である。

 一見精巧な模型の様に見えなくもないが、どちらかというとこれは死体のそれだ。

 

 なんだこれは......スコール様は今一体何を.......!?

 

 ラウラは余りに現実離れした出来事に、狐につままれたかの如く動きを止める。

 

「ラウラちゃん、次はドコがいい?」

 

「ど、どこ、とはっ.....!?」

 

 ラウラの背筋に悪寒が走る。

 同時に次に何が起こるか、勝手に脳が予想してしまう。

 

 考えるな、考えるな、考えるな考えるな考えるな考えるなっ......!!!

 

 

「左腕は最後にしないとだし、そうなると次は足......」

 

 不気味な言葉が聞こえた後、ゴトリ、とテーブルの上にまた何かが置かれた。

 

 ラウラは反射的に目を伏せる。

 どんなものか分かっているんだ。ただ、『右』か『左』か......。

 

「よいしょっ」

 

 いや、それもどちらでも良くなったか。

 

 カシュッ、と何か空気の抜ける様な音。

 先程までは気が付かなかったが、恐らく取り外す時にこの様な音が出るのだろう。

 自ら視覚を塞いだお陰で、ラウラの聴覚は普段より多少鋭敏になっていた。

 

 

 そしてまた、ゴトリと音がした。

 

「ッッ........!!?」

 

 今やラウラには己の体を動かす事すら困難だった。

 スコールの発する謎のプレッシャーと恐怖に、身動きすら取れないよう体を雁字搦め(がんじがら)にされていた。

 

 怖い。

 

 今まで彼女には思いもしなかった感情が、今のスコールから着々と形成されていく。

 

「ラウラちゃん、左手は自分じゃ取れないんだけど、取ってみる?」

 

「いいいいいいいえ、結構ですっ......!!?」

 

 ラウラは目をつむったまま慌てて拒否した。

 

 冗談じゃない、今までの人間解体ショーだって直視出来なかったのに、それを自分でやるなんて正気でいられる自信がない!!

 

「あら、そう.....残念ね。もうチャンスは無いわよ?」

 

 そんなものは無くていい!!

 

 ラウラは心の中で叫んだ。

 

 ......本当にこの人はあの優しかったスコール様なのだろうか。この人は実はスコール様によく似た別人なのではないか。

 ラウラの脳内にそんな疑問が生まれる。

 それほどまでに、今のスコールはラウラにとって恐怖の対象であった。

 

 

 そしてそんなふうに怯えるラウラを見てスコールは―――

 

「.....これくらいにしとこうかしら。あんまりイジメたら嫌われちゃうものね」

 

 ふっと、空気を軟化させた。

 

「あ、れ.......?」

 

 おかしい。今までの体をキツく縛り付けていた恐怖が、突然に霧散した。

 ラウラはその異変の元凶を確認するため、うっすらと薄目を開けた。

 

「もう大丈夫よ、ラウラちゃん」

 

 そこには、手も足も元通りになり、いつもの様に優しい笑顔で佇むスコールの姿があった。

 

 

 

 

 

 

「スコォォォォルさまぁぁぁぁぁぁっ.....!!!!」

 

 ラウラは涙をボロボロとこぼしながら、テーブルを飛び越えスコールの胸に飛び込んだ。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 ラウラが泣き止むまで、たっぷり三十分は掛かった。

 その間スコールは、ただひたすらにラウラの頭を撫でていた。

『大丈夫、大丈夫......』と。

 

 

 

「スコール様、お見苦しいところを....」

 

「いいのよ、私もイジメ過ぎちゃったから。ごめんね?」

 

 ラウラはまた頭を撫でられた。

 その手のあまりの心地良さに、ラウラは目を細める。

 しかしラウラは、同時に別の事を考えていた。

 やはり事故....? それとも何か事件に巻き込まれて.....?

 この空気で聞こうとは思わなかったが、それでもやはり一度脳内に誕生した疑問は中々消えない。

 

「気になる...?」

 

「っ......!?」

 

 ギクリと体を硬直させた。

 このタイミングで聞いてくるということは、読まれているのだろうか。

 いや、読まれていても不思議ではない。現に私とマスターも、言葉を交わさずとも会話出来るではないか。

 ラウラは数瞬逡巡したあと、大人しく頷いた。

 

「ラウラちゃんは、『白騎士事件』って知ってる?」

 

 それは質問と言うより、確認だった。

 もちろんスコールはラウラが知っていると思っているし、実際ラウラも知っていた。

 

「......ええ」

 

 が、質問の意図まではラウラには読めなかった。よって最低限の返答で、スコールに続きを促した。

 スコールも表情を変えず、それに応じた。

 

「...今から十年前、中国やロシア、その他多数の国の軍事基地がハッキングされ、約二千発ものミサイルが日本に発射された大事件。『どこかの誰かさん』が『とある兵器』の有用性を知らしめる為に行われた大量虐殺(ホロコースト)は、『とある兵器』の活躍によって奇跡的に犠牲者はゼロだった.......と、公式にはなっているわ」

 

「公式.....?」

 

 途中まで静かに聞いていたラウラだったが、一拍置いて付け足された言葉に疑問を抱いた。

 

「ラウラちゃん、そのミサイルが実際は何発か分かる?」

 

「確か、二千三百四十八発だと記憶してます」

 

「そ、公にはミサイルの数はそう発表されているわ.....でもね、ホントはそれより二つ多かったのよ」

 

「は........?」

 

 話が見えない。彼女は私に何を話したいんだ.....?

 ラウラは口を開けたまま硬直した。

 構わずスコールは続ける。

 

「その二つのミサイルは、『とある兵器』の目を逃れ、何故か本来の射線を外れて雪国の小さな小さな村に直撃した。当然の様に『どこかの誰かさん』はその事実を揉み消したわ。その村の存在ごとね」

 

「......」

 

 それくらい『どこかの誰かさん(篠ノ之 束)』なら朝飯前なのだろうか。

 そこまで考えたところで、そもそも彼女ならミサイルを外したりはしないのでは、とラウラは考えた。

 

「意図してる意図してないはどうでもいいのよ......いえ、意図していなかったのでしょうね。わざわざ痕跡まで消してるって事は、彼女にも想定外だったはず」

 

 改めて天災の恐ろしさを知ると同時に、ラウラはなんとなく理解してきた。

 これは多分、スコール様の―――

 

 

「そして、生存者も予想外だったと?」

 

「.....正解」

 

 スコールは暗いとも明るいとも言えぬ声音で返答した。

 流石のラウラにも、この先はなんとなく想像出来た。だから、これ以上は何も聞かなかった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「盗み聞きとは、よろしくないんじゃないか。一夏?」

 

「おはよ、母さん」

 

「おう」

 

「どしたの? いつもならまだ寝てる時間でしょ?」

 

「いや、久しぶりにアイツの殺気を感じたからさ」

 

「.....殺気なんて任務中は普通だったじゃん?」

 

「違う違う、オレがスコールと会った当時のヤバヤバ殺気だよ」

 

「ヤバヤバって......どんな感じだったの?」

 

「なんつーか.......『ぜってぇ篠ノ之束を殺す』みたいな」

 

「信じられねぇ......」

 

「体も出来立てホヤホヤで、日常生活にすら苦労してたぜ」

 

「.........」

 

「まぁ、オレが弄りまくってたらいつの間にやらあんなキャラになったんだがな」

 

「やるじゃん母さん」

 

「だろ」

 

「「はっはっはっ......」」

 

 

 

 

「ところで一夏。『今日』だったのか?」

 

「ああ、うん。父さん辛そうだった」

 

「そっか......アイツもそうだが、お前もキツくなったら言えよ?」

 

「.......うん」

 

 

 




言い回し、表現、比喩その他もろもろ。アドバイスお待ちしてます。感想も。
誤字は見つけ次第、修正していきます。  

感想をくれた方ありがとうございます!

さて、次回に続くって奴です。やっぱ一話完結って難しい。
短くしようとすれば前話のように、長くしようとすれば二話以上に膨らむし.....極端なんだよなぁ。
ここら辺は慣れでしょうかね。もっと頑張らないと.......




どうでもいいけど、今回はスコール回なのでは.....?
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