織斑一夏と愉快な家族達   作:探さないで!

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やっと書けた。
しかし、うーむ......今回の話、作者が何をしたいのか、どんな話を書きたいか、ってのは皆さんに伝わると思うんですけど、しかし伝わるだけで形自体はお粗末な訳で......


まだまだ経験不足かなぁ......


第50話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ.........」

 

 それは、自分にしてはひどく軽率だと思った。

 でも、同時に、だからどうしたとも思った。

 だって彼女は、もはや己がちょっとやそっとの有象無象に害されるとは微塵も思ってなかったし、させるつもりもなかった。

 それでも、それでも強いて今の行動に理由を付けるなら―――

 

 鬱陶しかったのだ。

 

 ただそれだけで彼女は男の首を()()()()()()

 

「―――ッ」

 

 声にならない悲鳴を上げ、宙を舞う首。

 そうして分離した肉塊(くび)が地に落ちるより早く、さらに彼女は男の胴体を四つに分断した。

 頭を無くし、しかもそれに気付かず立ち惚けていた男の体が、積み木めいて瓦解する。

 

 

 瞬殺。

 

 

 蚊を殺す様なスピードで行われたそれは紛れも無く殺人であった。

「あーもう、ラーメン伸びちゃう」

 

 特に気にした様子もなく自分の席に戻り、男を殺した割り箸(ぶき)でラーメンを啜る彼女。

 そしてその横にはサイコロステーキよろしく四角くまばらに切り取られた肉片。男の赤い血は、まるでソースか何かの如くそれらを彩っていた。

 

「キャァァァァァァァッッッ!?」

 

「ウアアァァァァァァァァッ!!?」

 

 その時になって、ようやく周囲が動き出し、『一部』の関係のない一般人が、我先にと店の出口に向かう。

 

「~~~ッ!!?」

 

「~~~~~!!!!!」

 

 一方、店員はすぐさま誰かの名前を呼び、何かを叫んだ。その表情からは、恐怖と同時にあらかじめ『これ』を予期していたかの様に見受けられる。

 

「はいはい、何言ってるか分かんないからねー」

 

 彼女は落ち着いてメンマを口に運んだ。

 実際は「殺せ」だの「銃を持って来い」だの聞こえた気がするが、そもそも彼女は聞く気がなかった。

 

 無駄だから。

 

 そうこうしている内に、『一部』以外だった黒いスーツを着た厳つい男共が彼女の周りを取り囲んだ。

 

「~~~~~ッ!!!!!?」

 

 リーダー格と思わしき禿頭の男が、懐から出した拳銃を彼女の額に突きつけた。

 怯えも怯みも一切見られない、賭け値なしにその男は彼女を殺す気だ。

 

 

 

 

 

 

「......食べ終わるまで待ってくれる?」

 

 

 

 

 

 ―――にもかかわらず、彼女は手馴れた動作でどんぶりを持ち、残ったスープを静かに飲み始めた。

 マトモな神経を持つ人間ならココで恐怖が限界点を突破するはずだが、生憎とマトモでは無い彼女は食事を優先した。

「~~~~~~!!!?」

 

 言葉が通じないと思ったのか、これ以上は時間の無断だと思ったのか.......。

 どちらにせよ、愚かな事に男は引き金に指を掛けた。

 

 

 

「ごちそうさまでした」

 

 

 

 フワリと彼女の『ツインテール』が揺れ、いつの間にやらどんぶりの中身は消え去っていた。

 男は引き金をいまだ引かない.....いや、引けない。

 

「いーち、にー、さーん、しー....」

 

 彼女が何か唱えるごとに、彼女の美しいツインテールがフワリと浮く。

 男は次第に音が聞こえなくなってきたことに気がつく。

 

「―――、―――♪」

 

 機嫌のよさそうに、彼女は何かを唱え続ける。もはや何度目か分からないが、彼女のツインテールの揺れは徐々にスピードを増していった。

 ふいに男の視界に、奇妙な断線が現れ始める。

 

「―――、―――♪」

 

 彼女は立ち上がり、それでもなおまだ唱え続けていた。しかし男にはそれが聞こえない。動けない。何も感じない。

 ツインテールの揺れも、男には認識出来ない速度になっていた。

 同時に男は、ここまで来てやっと全て終わっていた事に気がつく。

 

 

 

 

 

 いや、気がついてしまう。

 

 

 

 

「さて、私に歯向かったアナタには、特別に努力賞をプレゼント♪」

 

 彼女は拳銃を向けてきた男の隣に立つと、まるで旧知の仲であるかのように首に手を回した。

 そのまま彼女は何のためらいもなく、首から上を取り外した。

 

「うわ、頭重いなぁ.......よいしょっ」

 

 為すすべもなく、首から上を刈り取られ、『自分の体』を正面から見上げるようにして地面に置かれた男。

 男は自分が生きているのか死んでいるかも分からないまま、自分の体がゆっくりと崩れ落ちていく様を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、店の外に出た彼女は、

 

「やっぱ刃物じゃないと綺麗にイカないなぁ....」

 

 不満気な顔でそう呟いた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 映像はそこで止まり、唐突に逆再生を開始する。

 景色がキュルキュルと音を立てて移り変わっていく。

 同時に数えるのも馬鹿らしいほどの怨嗟の声が、耳の中に流れ込んでくる。

 何処からともなく飛来してきた銃弾や斬撃が、体を貫いてくる。

 

 そうして彼女(わたし)の体に、幾千の(じごく)がまとわりついてくる。

 

 

 今日はマだ許してモらェないラしィ.......

 

 

彼女(わたし)はもう一度、悪夢を見るために瞳を閉じた。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に目を開いた時、彼女は震えていた。

 カタカタと歯を鳴らし、震える体をギュッと両手で抱きしめる。

 

 ああ、怖い。

 

 この後に及んで、彼女はまだ恐怖していた。

 いくら愛する者のためとはいえ、殺人は()()()()

 

 

 

 

 

 

 ああ、怖い。

 

 助けてよ、『一夏』!!!

 

 

 

 

 

 

 叫び出しそうになるのを、必死でこらえる。

 ここはもう敵地だ。そんな事をすれば、一瞬で蜂の巣だろう。

 

 でもでも、殺人というのはつまり人の温もりを奪うという事だ。人生を奪うという事だ。命を奪うという事だ。

 

 そんな事が許されるのか?

 

 否。許される訳が無い。

 

 なら一体どうすれば―――

 

 

 果てのない自問自答を繰り返す。ここまで磨きに磨いた決意は、とっくのとうに鈍っていた。

 

 

 

 

 

「大丈夫か? なんならオレ一人で片付けるか?」

 

 

 

 

 彼女は仲間が居たのを思い出した。

 その女性は、彼女とは違って金で雇われた本物傭兵だった。当然、こういう仕事にも慣れているのだろう。

 その傭兵が、一人でヤッてくれると言う。

 

 任せても良いのではないか....?

 

 そんな考えが彼女に浮かび、慌てて打ち消す。

 

「わ、わたしも.....ヤルわ」

 

 声が震えた。やはり怖い。

 それでも殺らなければならない。強くならなければならないからだ。他ならぬ、『一夏』のために。

 

 ―――そう。それこそ、あのブリュンヒルデを圧倒するくらい強く。

 

 彼女は拳をキツく握った。そうしてまずは、自分の震えを殺した。

 それを見た傭兵が、ニタリと笑う。

 

「よーし、ならアドバイスしてやる。なに、てめぇは素質がありそうだし、楽勝だろうよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の瞬間、彼女は誰かの体に包丁を突き刺していた。

 彼女はその光景をどこか他人事の様に見ながら、先ほど傭兵が言っていた言葉を思い出す。

 

 

 

『いいか、殺すのに力なんていらねぇんだ。それと同様に、技なんてのもいらねぇ。理由も、躊躇もいらねぇ。人を殺してしまう罪悪感なんてのも、ああ、全くもってくだらねぇ。

 結局はてめぇの都合で人様の全てを奪い去るんだ。どう取り繕っても、その事実は揺るがねぇ。

 .......だからよ、そんなんだったら全部プラスに変える必要があると思うのは当然だろ? つまり、他人の全てを自分のモノにするんだ。

 こっからがアドバイスだ。いいか、決してソイツの死を無駄にすんな。全部余さず自分の糧にしろ。そうすりゃ絶対強くなれんぜ。

 .....ヤリ方だぁ? だから言ったろ、殺しに力も技も要らないって。ただお前は、RPGの選択肢のように「Yes」を選ぶだけだ。

 なんだったら、ソイツを人だと思わなけりゃいい。EXPオーブとでも思えば、少しは気が楽になるんじゃねぇか?』

 

 

 

 

 簡単に言ってくれる。

 彼女は苦笑した。

 そもそもそんな簡単に認識を覆す事が出来たら、こんなに苦労してないだろう。

 

 彼女は結局、最後までそれを「人」と認識して事を起こした。

 恐怖は最高潮になり、彼女は立つことすら困難だった。

 その誰かと一緒に倒れ込み、そのまま目を閉じた。

 朦朧とする意識の中、彼女が最後に聞いたのは、

 

 

 

「やれば出来るじゃねぇか」

 

 優しげな傭兵の声だった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッッ.......!!?」

 

 

 鈴は眠りから覚めると、すぐさま飛び起きた。

 

 辺りに視線を走らせ、剣呑な殺気をまき散らして自分の周囲を確認する。

 

 そうして自分の部屋だと気が付き、ホッと息を吐いた。

 

 

 

 

 

 ―――あの日、初めての人を殺したその日から、こうして私は毎日「悪夢(のろい)」に苦しんでいる。

 多分、罰なんだと思う。今まで一夏のためとか言って自分勝手に人の命を奪ってきた罰。

 だから私は黙って(のろい)受け入れる。当然の結果だ。仕方ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ......とか言って、実際は言うほどあっさり受け入れられて無かったり。

 だって、こんなのあんまりじゃないか。

 必死に、必死に、今まで駆け抜けて来たのに、待っていたのはこれだ。

 殺して殺して、奪って奪って、やっとたどり着いた一夏との生活(しあわせ)

 でも蓋を開けてみれば、愛する男の隣ですら満足に眠れない現状。

 満足に眠れないってのは、もちろん、今みたいな姿を一夏に見られたくないから。

 あの状態はイロイロと物騒で、正直自分でもドン引きだ。殺気だって殺人レベルで爆発してるし、私が一夏でも、まず近づかない人種だろう。というかガン逃げレベル。

 

 ......そんなこんなで、つまり私はまだ一夏と再会してから一度も睡眠を取っていなかった。

 無論、悪夢を見たくない、ってのもあったと思う。

 それでも、それ以上に一夏に見せたくないって方が大きかった。嫌われたらどうしようって思いが強かったのだ。

 ......一夏が隣で寝てる時は、ドキドキが凄くてただ単に寝れなかっただけだけどね。

 

 

 

 

 まぁ、そんな事思いいつつ、実際は割りと毎日幸せだった。

 一夏が笑って、マドカが笑って、ラウラが笑って、それで私が笑って。

 眠れないのは辛かったけど、幸せパワーはその何千倍も強力だった。だから不眠でこれた。

 

 

 

 

 ......もっとも、それもここまでだった。ついにこの生活にも限界が来てしまったという事だ。

 

 

 

 

「ついつい、昼寝しちゃっただけなんだけどなぁ......」

 

 

 

 

 さてどうしたものか。今この家には、良くも悪くも強い人がいっぱいだ。しかも今の殺気で私の強さもある程度割れてしまった......

 先ほど殺気が殺人レベルと冗談めかしたが、あれは比喩ではない。実際に殺気だけで人を殺した事はある。更に言うなら、寝ぼけて誰かの首を斬り飛ばすなんてことも、あの頃の私は日常茶飯事だった。

 そんな火のついた爆弾みたいな女を、彼女らは一夏の傍に置いておくだろうか。

 ......私はそこまで楽観的にはなれない。

 

 もちろん、一夏とマドカとラウラは味方になってくれるだろう。

 しかし、他の家族達はどうだろうか。少なくとも私は、ラウラほど彼女達に友好的にしてこなかった。

 会話は最低限するが、警戒は常にしている。そうやって接してきた。

 向こうもそれは感じ取っているだろう。信用されてないな、と。

 

 今まで生きてきた世界が世界なだけに、私は人を信じるという事が難しくなっていた。裏切ったり、裏切られたりの世界だったからだ。......まぁ、結局全部殺したんだが。

 ......えっと、話を戻そう。つまりそんな訳で、恐らくスコールさんやオータムさんは、私が得体のしれない奴だとか思ってるかもしれない。というか思っているだろう。

 そんな奴がに家の中で殺気爆発させた。

 

 

 

 

 

 

 

 私はただ、一夏の傍にいたいだけなんだけどなぁ......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鈴、ちょっといいか?」

 

 

 

 

 

 来た。声で分かる。オータムさんだ。

 

 

 




言い回し、表現、比喩その他もろもろ。アドバイスお待ちしてます。感想も。
誤字は見つけ次第、修正していきます。  

感想をくれた方ありがとうございます!

次週に続く......!!
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