拝啓、今はもう会うこともないであろう前の世界の母ちゃん。
俺、転生したよ。
今まで異世界モノを馬鹿にしてたけど、本当に異世界ってあったよ。
確か、俺死ぬときにトラックに轢かれて死んだんだっけ?
この世界で10年以上過ごしても前の世界の記憶は忘れないよ。
親よりも先に死ぬ、親不孝者でゴメン。
葬式とか色々大変だっただろうし、息子が死んで悲しんでいるかもしれない。
あれだけ仲の悪かった弟や姉ちゃんも悲しんでるのかな?
俺はこちらの世界で元気にやっているので、そちらも俺の死に囚われずに元気にやってくれたらと思います。
転生する時に、神様に最高の環境と異世界モノの主人公みたいな境遇になるように頼んだんだ。
そしたら山奥の聖剣を守っている家に生を受けたよ。
なんで山奥にあるのかなって思ってたらそもそもなんか諍いに負けて山の中に逃げ込んだそうです。
やっぱり聖剣を守る一族でも一枚岩ではないんだって。
自分が転生者である記憶を取り戻したのは物心ついた頃だったけど、その頃には死ぬんじゃないかな?って思うような鍛錬の数々を課せられて大変でした。
でも今では割と剣振って戦えるようになったんだ!
家族は厳しいけど、まぁ魔物が闊歩している世界観だからしょうがないって割り切っている。
最近は魔物とは違って自分たちと同じく冒険者やってる亜人種っていうのも存在しているんだって。
山から出れるようになるまでが楽しみだよ。
唯一の不安は名前が変な事だけど、多分この異世界では別段変な意味ではないんだろうなって思います。
これも転生の弊害かな(笑)
こちらの世界の母親は生まれてすぐに居なくなったらしいので、俺にとっては今でも母さんだけが唯一無二の俺の母親です。
重ね重ねになるけど、俺は元気でやってるから。
みんなもそちらの世界で元気にやってたら嬉しいな。
◇
階段を下りて地下室。
今までは入ることを禁じられていたこの場所へ、俺は爺さんに呼ばれたのだ。
一歩一歩暗くて湿っぽい階段を下りていくと、ぼんやりと燭台の光が道を示していた。
その道をただひたすら進んでいくと、固く閉ざされた扉。
それに手を掛けると、ゆっくりと開いた。
「....待っていたぞ。オーガズムよ。」
坊主頭に深い皺が刻まれた老人が椅子に座っている。
俺の祖父であるイキスギ・フトマーラだ。
どう考えても下品な名前をしているが、まぁ多分この世界では下品な言葉ではないんだろうな。
だってそうじゃないと家名がフトマーラとかありえないもの。
俺は彼の前に歩み出ると、膝を突く。
そして頭を下げた。
「お待たせ致しました、御爺様。」
頭を垂れて、丁寧に言葉で爺に言葉を告げる。
今日は俺にとって運命の日であるからだ。
俺が聖剣を引き継いで、この家を出る日であるからだ。
「うむ、...覚悟はできているか?フトマーラ家の当主として、魔物を駆逐して世の中を照らすという使命を果たす覚悟が。」
「出来ています。これまでの鍛錬、過ごしてきた時間は全て今この時のための物であると理解しておりまする故。」
「そうか、流石はワシの自慢の孫じゃ。最早ワシが厳しく律する必要もない。貴様は一人前だ。」
俺の言葉を聞くと、爺は自慢げに鼻を鳴らした。
どうやら、俺は認めてもらえているようだ。
であれば、つまりそれは....。
「ということは、私が.....。」
「あぁ。我らがフトマーラ家に先祖代々継承され、守ってきた力を受け継ぐ権利を得たということに他ならない。」
聖剣を受け継ぐことを認めてもらえたということか。
聖剣、どんなものかは詳しく知らないが先祖代々引き継いでいるということはかなり強力なアーティファクトに違いない。
今まで鍛錬で幼い時間を使ってきたのだ。
その分、俺の時代が始まるということ。
家庭環境で強くてニューゲーム。
力があれば魔物に追い詰められてピンチなかわいい子とかを助けたり、クエストとかで名を挙げて女の子と同じパーティになれるということ。
俺の時代が始まるのだ。
そう考えると、これから先の冒険に胸が躍る。
爺は立ち上がる。
壁の一部を押すと後ろの壁が音を立ててスライドし始める。
そして爺は手を広げて、高らかに声を上げた。
「さぁ、刮目するが良い。これが我らがフトマーラ家が守ってきた力、貴様が受け継ぐ物だ!!!」
顔を上げて、それを刮目する。
すると、そこには....。
紫色の巨大なイチモツのような物に柄が付いたものが入っていた。
....いや、もっとストレートに言うと西洋剣くらいの大きさのディルドが収まっていた。
「....え?」
目を疑った。
えっ、これが?
俺の目には何度見ても大人のおもちゃにしか見えないんだが....。
すると爺はしたり顔で俺を見返す。
「ふん、その神々しさに気圧されて言葉が出ないようだな。これこそが我が家宝である聖剣《倒錯剣アクメリオン》じゃ!!!!」
どうやらマジでこれのようだ。
....いや、聖剣っていうか性剣じゃねーかぁぁぁああ!!!!
は?えっ、えっマジで?マジでこれ持って冒険行くの?俺が?マジで!!?
神々しさっていうか馬鹿馬鹿しさに声も出ないよ!!
だってもろディルドだもん!なんなら名前もイカレてるもん!!!
俺物心ついた頃からこんな猥褻物引き継ぐ為に鍛錬してきたんか!?
俺の人生返してくれよ!!!
「...あの、俺これ持って冒険するのい....」
「貴様の今までの人生は全てこのアクメリオンを使う為だけに存在していたとしても過言ではない。今まで、よく頑張ったな....。」
爺は俺の言葉を遮りながら遠い目をしている。
いや、良い感じに話纏めようとするな。
大人のおもちゃ使うためだけに今まで教育されていたって知る子供の立場になって物考えろ。
こんな時に素直に褒めるんじゃねーよ!
「いや、だからさ?僕嫌だって....」
「これから貴様が為すべき使命。それは旅に出て出来れば人間10人以上、亜人10人以上の合計20人以上の女子と恋仲になって子供を沢山作ってここに帰ってくることじゃな!そうすることで世継ぎも安心して残せる。...安心せい!フトマーラ家一の醜男と呼ばれたワシも大体8人くらいに種は残せたからな。」
おい、このジジイとんでもないこと言い出したぞ。
え?魔物倒すとか魔王討伐とかじゃないの?
は、じゃあ今まで滅茶苦茶戦闘訓練とかって一体なんなの?
「あの...冗談ですよね?流石に目的は魔王倒すことですよね。」
なんなら目の前の性剣も冗談であって欲しい。
しかしジジイは俺の言葉を聞いて一瞬キョトンとした後に、快活に笑いだした。
「愉快愉快!我が孫ながらなんて男ぞ!!猛り狂う男気は性欲だけでなく闘争心に出ているとは。良いだろう、ではついでに魔王も討伐して来るんじゃ!」
「いや、普通逆だよね?ついでって無理だよね?」
普通魔王討伐が本命で、子作りついでだよね?
なにこの本末転倒な感じ。
「逆ではない。....正直魔王なんか倒さなくても何とかなっているっていうか....倒す敵が居なければ冒険者は食いっぱぐれるっていうか....。少なくともわしらの家はそこまで本気じゃないから、ワシらは嫌な思いしてないから。」
「本当に良いのかよアンタ、それで....。」
ワシらは嫌な思いしてないからってなんだ。
お前、チンフェか?
ちょうどチンコみたいな武器持たされるところやったわそう言えば。
狂いそう.....(怒り)
倒す敵が居ないから魔王を倒さないなんて、どことなくマッチポンプ味を感じる。
「では....陳御代様...目の前の若者こそが貴方様の担い手でございます....。」
俺はまだ話すことがあるのに、爺はもう話すことはないと言わんばかりに俺に背を向けてデカディルドに話しかけ始める。
俺の爺ちゃん、ディルドと話すんだぜ?凄いだろ?(白目)
奴ももう長くはないな。
ボケてるのかな?
陳御代ってなんだよ、周恩来か?
歴史人物かお前、こちとら世界史だけは得意だったんだぞ!
するとディルドが淡く紫色に光り、埋め込まれていた壁から一人で抜け出しこちらに浮遊して来る。
なんだこのシュールな光景は.....浮遊感与えちゃったかな?
一人でに自律意思持ち始めたディルド。
それは俺の眼前にまで来ると、頭の中に野太い男の響き始める。
『問おう、貴様が陳の....スマタ―か?』
「シバキ殺すぞクソボケ。」
いかん、つい本音が。
一人称陳ってどういうこと?
形がチ〇コだから陳ってか?やかましいわ。
すると急にディルド剣がヴィィィィンと音を立てて振動し始める。
なんだ....?怒ったのか?
『ほう、小生意気なオスガキだ...担い手に不足はなし!今陳は貴様の言葉で歓喜に打ち震えているぞ!!』
ドⅯじゃねぇかこの剣。
こんなのが家宝って良いんか?
....いや、そもそもなんでディルドが喋ってんだ?
滅茶苦茶自然に話し始めたから一瞬普通だと思っちゃっただろ!!
あと人をメスガキみたいに言うな。
『良いだろう。陳は汝、汝は陳....己がケツを見開きて、今こそ達せよ!!』
「もう本当にやめて....頼むから。」
マジで汚いペ〇ソナやめろ。
なんだ?これから俺はスタイリッシュなBGMと共にこのディルド振り回さないといけない...ってコト!?
....それペ〇ソナじゃなくてぬ〇たしじゃね?
どっちにしろこんな名場面下品改変ドマゾ猥褻剣と結び付けられるなんて絶対に嫌なんだけど。
陳は汝じゃないんだけど。
こんなのと結び付けられるんだったらヘイセイバー君と結びついて毎日Partyしてるわバカタレが。
嫌がる俺の心とは別に急に俺の手の甲が痛みだす。
見ると、紫の蛍光色で正の字が俺の手の甲に刻まれていた。
人の体に落書きしてんじゃねーよ。
好き放題やりやがって.....!!
「おしっ、じゃあもう契約したことだし、孫よ家から出ていけ。」
「アンタ無茶苦茶だな....絶対にもう行きたくないもん。少なくともこの剣とは行きたくない。」
『もう契約したから離れられんゾ。』
クソかよ。
その証拠にいつの間にかディルド剣に手を伸ばして俺はがっちりそいつを握っていた。
俺に拒否権ないの?
コイツ装備決定なの?
呪いの装備かよ....。
これで装備固定だったら俺プリンセス...プ〇ンセスナイトになっちゃう!!!
赤ちゃんになっちゃう!!!(自暴自棄)
俺の言葉を聞いて、さっきまで一人で勝手に盛り上がっていたジジイが表情を険しくする。
「貴様...今、なんと言った?<天高く聳える雄々しき男根>の意を持つ我らがフトマーラ家に生まれた以上、これは使命だ。貴様の天命を果たせ!!」
「家名って...マジでチ〇コの意味だったのかよ!!!?」
普通に別の意味なんかと思ってたわ!!
ガチでおち〇ち〇の意味だったのかよ!?
つまり俺の苗字は勃起した男性器って....コトォ!!?
今更そんな事実明かされても困るんだけど!
控えめに言って死にたくなるんだけど!!!!
「天命を果たさぬのなら、覚悟は出来ているな?出来損ないの孫など、誅殺してくれる!!」
爺はこちらを睨みながら剣を見せる。
え、この爺さん俺殺す気なの?
極端すぎるでしょ、もっと話し合おうよ!!
さっきから話ほとんど聞かねぇしよぉ!
実際のところ、俺は爺さんには勝ったことがない。
勝ち目は...多分ない気がする。
「分かった....俺、行くよ....。」
「ふむ、初めからそう言えばよかったんじゃ。めんこい女子仕留めて来いよ!カカ、カカカ、カカカカカ!!!」
ジジイは俺の返答を聞いて、馬鹿笑いしていた。
このまま頭からすっころんで死んでくれねぇかな。
ジジイには勝てない、それにこの山の中に仮にずっと入れたとしてもどうしようもないのも事実だ。
第一、家名や今まで自分の家が何をしてきた家庭なのかわかった現在、俺は一刻も早くこの家から離れたかった。
この家の一人と思われたくない。
そりゃ、山に追いやられますわ。
聖剣とか言ってディルド振り回しているような家は。
控えめに言って基地外だもん。
聖剣という概念に謝れ。
拝啓、母さんへ。
どうやら、俺は自分の異世界生活を根本から勘違いしていたみたいだ。
苗字が勃起したチ〇コだったよ。
最高の環境と境遇を要求したのに、この始末。
神様っていうのは意地悪なのか、それとも怠惰な物かもしれません。
...よくよく考えたら聖書だったら悪魔よりも神様の方が人殺してるしな。
『最早貴様と陳は男と男性器と同じ、切っても切れない関係になった。これからは陳の事は“相棒”と呼ぶように』
「肉棒形似てるからってか?やかましいわ。」
本当に、こんなの持って旅に出るとか大丈夫かよ....。
つかパイプカットって言葉があるようにチ〇コは切ったら切れるんだろうが。
何が相棒だよ、汚い遊〇王か。
頭を抱えながらも、喋るデカディルド携えて地下室から出た。
とにかく...荷物を纏めたりと旅に出る準備しないとな....。
もうここには居たくねぇ....。
少なくともジジイとヘンテコ性具の相手両方とか頭痛くなってくるし...。
苦手なハーレム物に初挑戦です!
基本武器の汚さと展開のネタ具合以外は案外まともに異世界ハーレム物が出来ればいいなぁ...(遠い目)