しかも久しぶりの投稿なのに文字数がいつもの半分程度しかないのも申し訳ないです。
次回からはいつも通りの4000以上、5000未満くらいの文量になるようにするつもりです。
青子がラービットと交戦しているのと同時刻。
遊真と修はラービットと遭遇した。
「ラービットっ⋯⋯!」
その声が聞こえたのか、ラービットは修を見て、その剛腕を振り下ろした。
「
修は咄嗟にレイガストの盾モードで防御する。
しかし、ラービットは一発では物足りないらしく、追撃を振り下ろそうとする。
「
だが、その追撃よりも早く、遊真が黒トリガーでラービットを蹴飛ばす。
ラービットはかろうじて腕で蹴りをガードするが、それでも数メートル、離された。
「うおっ⋯⋯こいつ、かってーな」
「空閑!おまえ⋯⋯」
そんな遊真に修は、
「黒トリガーは使うなって言ったろ!ぼくや林藤支部長じゃかばいきれなくなるぞ!」
「けど、このままじゃチカがやばいんだろ?」
その言葉は事実だったので、修は反論できなかった。
「それに、アオコも自分のトリガーを使ったらしいぞ」
「なにっ!?」
「アオコが使ったってことは、オレが出し惜しみしてる場合じゃないってことだ。一気に片付けるぞ」
遊真はそう言って、ラービットに追撃しようとするが──突然、遊真に銃弾が撃たれた。
「命中した!!やっぱこいつボーダーじゃねーぞ!!人型の近界民だ!!」
「本部、こちら茶野隊!!人型近界民と交戦中!!」
彼らは遊真が敵と認識して、修に逃げろと言う。
──が、それが間違いだった。
先程のラービットが彼らを捕獲しようとしていた。
掴まれる茶野隊の2人。
修は助けようと動いた──が、それよりも速く、ラービットの上空には無数の弾幕が展開されていた。
ラービットは防御すらできず、
「目標沈黙!」
為す術なく、機能を停止した。
「嵐山さん!」
「三雲くん!無事か!?」
その後、嵐山の取りまとめで茶野隊の誤解は解け、本部に連絡は──できなかった。
本部の方を振り向くと、そこには──。
「爆撃型トリオン兵⋯⋯イルガー!」
イルガーが本部に自爆特攻をしていた。
▲
その光景を青子も見ていた。
「イルガー?」
相手の目的は何かと、青子は思考する。
指揮系統の破壊?それとも緊急脱出先の破壊?もしくはその両方……いや、それ以外に────
そこまで考えたところで、青子は歩み始めた。
今は考えることよりも行動することの方が優先だ。
そこに、
「ちょっといいかな?」
実力派エリートこと、迅が現れた。
「一つ、お願いがあって」
「なに?」
青子は立ち止った。
「オレが見た未来のことなんだけど、もう少しで厄介なトリオン兵が出てくるっぽいんだよ」
「トリオン兵?」
「そう。今のところ、A級はラービットを倒しに各地に分散して、B級が警戒区域からトリオン兵を漏らさないように動いてる。だけど──」
一瞬、迅から珍しく笑顔がなくなった気がした。
「もう少しで出てくるヤツがA級のほとんどを倒して、防衛が困難……というより、失敗する未来があるんだよ」
「じゃあ私はソイツを倒せばいいってこと?」
「いや、やってほしいのはそれじゃない。
青子ちゃんには、人型を倒してほしい」
「人型?」
「具体的にキチンと言うと、今からいう場所に行って、そこで一人倒してから、もう一人──そいつの足を止めてほしい」
「倒さなくていいの?」
「負けない戦いをしてくれたらいい」
青子はうなずいた。
「それだけで未来は格段に変わるし、なにより、最悪の未来を回避できる可能性が上がるから」
「最悪の未来って?」
青子は気になった、つい聞いてしまった。
「眼鏡君が死ぬんだ」
迅はいつも通りに、しかし残酷にそういった。
「修が?」
「まだ決まったことじゃないよ。第一、それを止めるために、オレはこうして頼んでいるんだから」
○
木虎が捕らえられ、敵の目的がC級隊員だと把握された直後。
本部は新たなトリオン兵の反応を検知した。
「新たな新型が東、南、南西、に5体現れました!」
「ラービットか?」
「いえ、これは……」
ソレを最初に見たのは出水たちであった。
「おい槍バカ、あいつ」
「この前情報がきたのとは違うな」
本部で見たラービットの姿とは全く異なる異形。
身長はほとんどラービットと変わらない。
しかし、腕、脚、頭の大きさはラービットよりも細い。
そして、最も印象的なのは、顔。
「なんていうか──」
言葉を紡ぐ前に、ソレは顔を上げ、彼らを見た。
「────」
言葉に直せない唸り。
彼らは第六感で理解した。
「弾バカ!」
「わかってるよ!」
出水はアステロイドとメテオラを威力重視に編成し放つ。
ソレは自分がただ直撃するのを見た。
だからわかった。
敵を。
殺すべき相手を。
一つが多に情報を伝達してところで──。
「─────!」
今度は高らかに、意思があるかのように鳴いた。
「マジかよっ!」
ソレに与えたはずのダメージは、無に等しかった。
『本部!こちら出水!ラービットじゃない、新型と交戦開始する!!』
その情報に、本部は驚嘆する。
そして、理解した。
迅が全部隊を三門市に集結させるように言ったのは、コイツが原因だと。
忍田は出水が送った映像を見て、つぶやいた。
人狼────と。
▲
太刀川もまた、人狼を見ていた。
「ん? ありゃ伝えられたのとちがうな」
ラービットを切り続けていた彼には、その人狼とラービットは、どこか似ているように感じた。
「……どう考えても、こいつをほっとくのはダメだよな」
彼は半分まじめに、半分切りたい、と思いながらつぶやく。
忍田は自分に新型を切ってこい、と命令した。
新型とは文字通り『新しい型』である。
すなわちボーダーが見たことのないトリオン兵はすべて新型である。
「──んじゃ、切るか」
彼が二本の弧月を構えなおした瞬間。
人狼は動き出し、太刀川を──
「やしゃまるシリーズをごちゃ混ぜにしたって感じか? 」
──認識して、拳を振り落とした。
太刀川は身を引いて避ける。
それを見た人狼は──
「────っ危ねぇ」
今度は確実に、かぎ爪を太刀川に当てた。
太刀川は何とか弧月で防御する──が。
今後は脚で、追撃が命中する。
「────オーケイ、これぐらい切りがいがあった方が、良いってもんだ」
追撃をくらっても、太刀川は笑って、人狼を見据えた。
こうしている間にも距離をつめてくる人狼に、彼は。
「────旋空弧月」
ボーダー本部において最強である師匠直伝の、二筋の伸ばした刀の刀身を、お返しとばかりに浴びせた。
だが、
「硬えな」
まともにくらったはずなのに致命傷はおろか、僅かなトリオンすら漏れだしていない。
「────」
人狼は太刀川を切り裂かんと、かぎ爪を大きく振りかぶり、下した。
彼はその一撃を避け、避ける途中に弧月で先程と全く同じ個所を、渾身の一撃でたたき切った。ようやく微かにトリオンが漏れ出した。
ここで、人狼は避けた太刀川を無視して、一直線に駆け出した。
「! そういうことか」
太刀川はその行動の意味を理解した。
『本部、こちら太刀川』
『なにかあったのか、慶?』
応答に出たのは忍田だった。
太刀川は内心、ラッキーと思いながら、
『さっきまで人狼と戦っててわかったことが』
『なんだ? 』
『まず強度が段違い。俺が弧月で全力で切っても、かすり傷程度。もう一回全く同じとこに当てて、ようやくちょっと傷がつく。たぶん、動きを止める方が楽っすね。
それと────あの人狼、たぶん市街地に出ようとしてますよ』
その情報に、上層部は絶句した。
ただでさえA級がラービットに時間をかけているところに、ただでさえ硬いラービット以上の装甲を持つ人狼型。
これがもし市街地に出てしまえば、市民の虐殺は避けられない。
『慶、おまえは引き続きラービットの方を切ってこい』
『人狼の方はどうするんすか?』
『あれは私が相手をする』
その言葉に、上層部は納得しながらも、ここからのことを考えて不安になる。
「忍田君、もしこの先人型が出てきたら、誰が相手をするのだね!?」
広報部長の根付が尋ねる。
「隊員たちに任せます」
「しかし、それではすぐに──」
「見くびらないでいただこう」
忍田が根付の発言を遮る。
「隊員たちはこのような日のために、訓練をしてきた。簡単に負けるはずがない」
「……万が一、A級でも人型を止められなかった場合は────どうする」
城戸が静かに忍田に問う。
「そうなれば────
そう言って、忍田は指揮を城戸に託し、戦場へ向かっていった。
▲
「ミラ、報告をしてくれ」
アフトクラトルの遠征艇で、隊長であるハイレインが部下のミラに命令する。
「現在、ミデンの精鋭たちがラービットと交戦中。交戦中の精鋭たちの背後を捉えられる位置に人狼を出撃させました。5機のうち1機が戦闘中です」
「ヴィザ翁たちの状況は? 」
「ヴィザ翁とヒュースは金の雛鳥の確保に。
エネドラは主力部隊の一つと交戦中。
ランバネインは……」
そこで、ミラは口を閉ざした。
「どうした? 」
「……隊長、作戦に少し狂いが生じました」
「──まさか」
ハイレインは気が付き、納得した。
この段階では、思いもしなかった相手の名前だったからだ。
√
それは、ランバネインにとって願ってもないことだった。
噂に聞いていた強敵。
今回、戦える相手ではないと思ったからだ。
それがどうだ?
現実は奇なり。
あろうことか、そいつは自分を探していたのだ。
彼女が何のために戦うのか、わからない、いや、わからなくていい!
今はこうして戦うことに集中しなくてはいけないのだから!
戦闘以外に頭を使うな!
撃て!
飛べ!!
そして、勝て!!!
それが仕事だ!
それが至福だ!
「そうとも、これはもう、二度とないかもしれんからな。
さあ────楽しもうじゃないか!」
「おしゃべりする余裕があるなんて、なめられたものね──」
彼女は心底、嫌気がさしたようにため息をつく。
以前、経験した記憶と相まって、彼女は誰が見てもわかるほど、腹を立てているように見える。
「その羽────捥いでやるわ」
「さあ俺に見せてくれ!『魔法』とやらを────!」
瞬間、蒼白い弾丸と、青の魔弾が、互いに向けて、放たれた。
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