「青」と「黒」   作:アメイジング長なす

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5ヶ月も経ってました。のんびり気長に書いてくことにしたので、次は1年後かもしれません(1年経ったら覚えてるはいないでしょう…)

気長に待ってくれないなら、加古さんのチャーハン届けに行きます


アフトクラトル 1

 

 

 √

 

 現在、敵の精鋭たちと交戦している隊は2つある。

 一つはボーダー最強と謳われる「木崎隊」。

 そして、もう一部隊が、

『帯島ァ、気ィつけろよ。角が黒い──黒トリガーだ』

『ッス!』

 ボーダー主力部隊、B級部隊、それも上位の一角を担う「弓場隊」。

 

 彼らが対峙するのは、

「あぁ? クソ猿2匹? 俺もなめられたもんだな」

 黒トリガーの使い手、エネドラである。

「まぁいいぜ⋯⋯おまえら殺してさっさと違う猿どもを殺しに行くとするか」

 距離をとりつつ、弓場はホルダーに手をあて、すぐに撃てるように構える。そして帯島は孤月を正眼で構える。

 対するエネドラは構えない。

 

『帯島ァ』

『ッス!』

『コイツを、どう思う?』

 弓場が帯島に問う理由としては、成長の確認。

 ランク戦を通じて、どれほど戦術・戦略眼が養われたのかの確認。

 

 そしてもう一つ。

 互いの認識を共有するため。

(構えてない⋯⋯だから)

 黒トリガーとは理不尽の権化。

 風刃然り、黒トリガーというものは『非常識』を可能にする───いわば常識外の存在。

『──』

 

 瞬間。

 弓場は右手で帯島を後ろに投げ、同時に自身もバックステップをしたが、左腕と右脚を失った。

 帯島はそのおかげもあり、身体のあちこちが削られ、大幅にトリオンを削られたが、四肢と供給機関に致命傷は入らなかった。

 

「帯島ァ!」

 彼は彼女が口を開く前に、彼は残った右手で自身の武器を取り出し、

「離脱しろ!!」

「ああ? 逃がすと思ってんのか!?」

 弓場がエネドラに向かって、六発の弾丸を放つ。

「早くしろ、帯島ァ!!」

「理解しろよ、クソザルが! てめぇらはオレに、勝てねぇんだよ!!!」

 だが、彼の弾丸は全て意味をなさず、お返しと言わんばかりの大量のブレードの波が放たれる。

「「─────ベイルアウト!!」」

 彼らは同時に宣言し、撤退した。

 

 √

 

 さすがに手強いな──ランバネインは口には出さなかったが、本心では敵ながらあっぱれ、と言いたい気分であった。

 

 ───『消費・消滅を担う最新の魔法使い』。

 

 それだけでなくとも、彼女は自国に滞在していた、あの女の妹でもある。捕まえて人質として使い、あの女をおびき寄せることにも使えるかもしれない。

 故に。

 本来ならばなんともしてでも彼女を捕まえたい、というのがアフトクラトルの本意であるが─────。

 

 今はブルーではなく、金の雛鳥を手に入れるのが最優先。早いところ決着をつけたいのだが…………。

 

「──ッ!」

 放たれる魔弾を雷の羽(ケリードーン)で避ける。同時に、自身の蒼弾をブルーに向け穿つ。

 

「クソ───ッ!」

 遮蔽を使って射線を切る。命中しなかった蒼弾は全て地面に吸い込まれ、地面が半壊していく。

 

 決定打が届かない────! 

 青子の魔弾なら難なくヤツの体を撃ち抜けるだろう。だが、その相手が魔弾よりも早く移動するため、当たらない。

 加え、 同時に反撃をしてくるので、一度に放たれる魔弾の数は限られている。

 次第に焦燥感が募っていく。

 

 彼らは互いの目的のために殺意に塗れた牙を見せ合い、睨み合う。

 

「仕方ない───本来なら、まだコイツは使いたくなかったが、な」

 彼はそう言いながらも、喜びを含め、一人─────。

 

 ▲

 

 ケリードーンの強みは空中を自在に飛行できる点と、圧倒的な威力を誇る弾を連射できる点だ。

 射線が通っていなくとも、真上に飛んで無理矢理通すことができる。

 

 青子のトリガーの強みは青子のトリオンの質を活かし、少ないトリオンで高威力の弾を撃て、その他にもいくつかの機能が備わっている点だ。

 自身を銃身として、トリオン回路を改造し、さらに威力を上げることも可能。

 

 青子は以上のような強みを考え、機動力と威力はあちらの方が上。しかし、トリオンの応用という点においてはこちらの方が上だと判断した。

 脚にトリオンを回し、脚力を強化する。

「──」

 初速で最高速近くまで速度を上げ、その際──ランバネインを補足して、自身の魔弾を撃ち込む──。

 

「───読み通りだな」

 ランバネインはシールドを張らなかった。

「──なっ」

 予想外の一手に呆気を取られ、足を止めてしまう───それが命取りだった。

 突如として空間が開き、()()()()()()()()が降り立ち、魔弾を受け止めた。そして───

「─────!!」

 目の前の怨敵に最短距離で殺しにかかる──! 

 

「チッ──!」

 間一髪、人狼の攻撃を避ける。が───

「オレのことも、忘れてくれるな──!」

 頭上から、ランバネインによる弾幕が降り注ぐ。

 脚力を強化、そしてシールドを張り、すぐに近くの民家に入り、最高速度で家を走り抜ける。

 しかし───。

「─────!!!」

 その剛腕は壁を壊し、青子を撃ち抜かんと突き出される…………! 

 

「今──」

 避けずに、どころか、青子は白兵戦を挑む。

 左脚で地面を蹴りだし、人狼へ身体を向かわせる。

 

「あんたに───」

 剛腕が顔を掠める──だが、それは脚を止める理由にならず──

 

「かける時間なんて────」

 右足に溜まっていた力を、力いっぱいに撃ち出す───! 

 

「ないのよ─────!!」

 正中線に撃ち込まれた青子の蹴りにより、人狼は、ほんの一瞬、体勢を崩した。

 

「熱くなっているところ悪いが──」

 再度、弾幕が降り注ぐ。

「オレの相手もしてもらわくては、な」

 ランバネインの作戦は最初からコレだった。

 人狼を囮にして、人狼ごとブルーを生き埋めにする。

 

 反撃を許さない弾幕が降り注ぎ、まだ活動を停止していない人狼が牙を向ける。

 彼女は───。

 

 ▲

 

 人狼型トリオン兵は、ラービットの元となったトリオン兵だ。

 アフトクラトルのある研究者が⬛︎⬛︎から構想した兵器。

 ⬛︎⬛︎のような耐久力と戦闘力を再現することを目標とされた人狼型は、運用するために必要なトリオン量があまりにも多く、燃費も悪く、何より、トリガー使いを捕獲するためのリソースが足りなかったので、お蔵入りとなっていた。

 

 だが、注いだトリオンは、人狼を運用しない限り、トリオンを消費することはない。

 ハイレインが数年前に作っておいた人狼を残していたのは、殲滅戦等を想定していての事だった。

 そして、この侵攻において、2度目の実戦投入がなされたわけのだ。

 

「数が多すぎる──」

 戦況は芳しくなかった。

 人狼型は敵と味方の識別ができるようで、出会った部隊はトリオン兵の大軍と人狼型を同時に相手とらなければならない。

 現在人狼と交戦している部隊は3つ──二宮隊、草薙隊、風間隊だ。

 

 3部隊とも手間取っているらしく、精鋭たちにラービットを処理を任せる予定が狂ってきている。

 今ラービットを殲滅している隊員は主に太刀川慶と小南桐絵。

 二人ともラービットを処理してはいるが、それ以外にもトリオン兵が迫り来るため、どうしても相手が一手早い。

 

 故に、考える余裕も時間もなく。

 ただ目的のために走っていた。

 

 √

 

 レイジがヴィザに倒されたとき、ハイレインは機をうかがっていた。

「今の状況を詳しく報告してくれ」

 遠征艇に窓が開き、ミラが艇に戻る。

「玄界の精鋭部隊とみられる大半はラービット、人狼型と交戦中。主力部隊は合同で確実に一箇所ずつ排除することにしたようです」

 

「金の雛鳥はどうだ?」

「ラービットに追跡させています。仮にラービットがやられても、すでにヒューズが磁力片をさしているため、場所は特定できます」

 

 ランバネインがブルーを抑えている──これは予想外だ。

 何故か奴は『魔法』を使わないらしい。もしくは使えないか? だが、どちらにしろ、好都合なのは変わりない。

 

「俺の人狼を3体、ヴィザ翁、ランバネイン、ヒュース達の援護に回してくれ。それと、残りの人狼の半分を俺とおまえの権限下に置いておけ」

 そうして、彼は席を立ち、窓をくぐって行った。

 

 

 

 




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