「青」と「黒」   作:アメイジング長なす

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唐沢さんと!橙子さんを!会話させたい!!


玉狛式練習法

「なるほど。ようするに私たちがA級に上がるためには、まずC級からB級に上がって、B級のランク戦で勝たないといけないのね」

 結成した翌日。

 玉狛支部では、青子たち四人は、宇佐美による解説が受講していた。

「その通り! じゃあ次はチームのポジションを決めようか」

 

 戦闘員には三つのポジションがある。

 攻撃手(アタッカー)銃手(ガンナー)狙撃手(スナイパー)

 前者から順に、主に接近戦、中距離戦、遠距離戦をするポジションだ。

 遊真は攻撃手、千佳は話し合いで狙撃手となった。青子は、

 

「中距離って銃手だけなの?」

「厳密に言うと、銃手と射手(シューター)の二つあるよ」

 修くんは後者だね──そう細くする宇佐美。

「じゃあ私も射手にする。銃よりもそっちの方が、私と相性良さそうだし」

 使っていたトリガーのことも考えたか、射手にした。

 

 ドンッ! 

 

 その直後、勢いよく扉が開かれ、

「あたしのどら焼きが、ない!! 誰が食べたの!!?」

 謎の女子が乱入してきた。

 突如として入ってきたその女子は、

「おまえか!? おまえが食べたのか!?」

 陽太郎に尋問を始めた⋯⋯尤も、陽太郎は寝ぼけているので、効果は期待されないであろう。

 

「さわがしいな小南(こなみ)

「いつもどおりじゃないすか?」

 騒ぎにつられて落ちついた筋肉とモサモサがやってきた。

「おっ、この四人って迅さんが言ってた新人すか?」

 その言葉を受けてどら焼き女子が修たちを見る。

 

「新人⋯⋯? あたし、そんな話聞いてないわよ!? なんでウチに新人なんか来るわけ!? 迅!!」

 気が強そうなどら焼き女子は修たちのことを知らなかったらしい。

「実は──この三人、おれの弟と妹なんだ」

 は? 

 口に出すならこの一文字で、まさに一文字で表されるこの空気。

 青子は困惑を口に出そうとしたが、すんでのところでとどまった。

 

「えっ、そうなの?」

 ──待って、コイツ、嘘って気づいてない!? 

 絶句する青子を横目に、悠真を迅に似ていると言い出すどら焼き女。

 モサモサも嘘をついたのを加味しても、この信じようはおかしい。

 これは玉狛クオリティなのか? 

 

「レイジさんも知ってたの!?」

「よく知ってるよ。迅が一人っ子だってことを」

「!?」

 どら(じょ)は混乱する。

 栞に嘘だと伝えられ、理解したところで、この謎めいた現象は終幕した。

 

 ○

 

「モサモサした男前が烏丸 京介(からすま きょうすけ)、十六歳。

 こっちの落ちついた筋肉が木崎(きざき) レイジ、二十一歳」

 青子の第一印象は玉狛も共通だったらしい。

 

「さて、この四人は訳あってA級を目指してる。

 正式入隊日までの約三週間を使って、おれたち四人で新人四人を鍛えようと思う。

 具体的に言うと、マンツーマンの方針でいこうと思う」

 

 明かされる新人教育。

 これは支部長の命令なので断ることはできないらしく、新人入隊に反発してたどら女⋯⋯小南 桐絵(きりえ)という名前らしい⋯⋯は、しぶしぶ従っていた。

「⋯⋯わかったわ、やればいいんでしょ。でもそのかわり」

 にゅっ、と手を伸ばして、

「こいつはあたしがもらうから。

 あたし、弱いやつはキライなの」

 遊真を盗った。

「ほほう、お目が高い」

 見ただけで遊真の戦闘能力を見切った小南に、遊真が感心する。

 この二人、相性良さそうだ。

 

「じゃあ千佳ちゃんはレイジさんだね」

 千佳は四人の中で唯一、狙撃手の経験があるレイジが指導することになった。

「よ、よろしくお願いします⋯⋯」

「よろしく」

 体格差がアリとゾウのような二人。

 いや、ゴリラと少女と言うべきだろう。

 

「迅さんは誰を教えるんスか?」

 残るはシューターの二人。

 迅が選んだのは──

「おれは青子ちゃんを教えるよ。そうした方が良さそうだ」

 未来でも見たのか、そんな言い方をする迅。

「そっスか。よろしくな、修」

「よ、よろしくお願いします」

「よろしく、青子ちゃん」

「よろしく」

 

 ○

 

「それじゃあ、射手の説明からしようか」

 基地の地下。

 トレーニングルームを使わなかった二人は、まず説明からになった。

 

「射手っていうのはこの弾丸の性能をいじって戦うポジション。

 いちいち弾をいじって戦うから、銃手と比べると少し撃つまでにタイムラグがあるのと、命中精度が少し荒いのが欠点。ここまではオッケー?」

 頷いて返事をする青子。

 

「それじゃあ次は弾丸のトリガー説明。

 まず、アステロイド──これは特殊な効果がない代わりに、そのぶん威力が高い。

 次にハウンド──相手を追跡する弾。でも、レーダーの反応を消されたら追跡ができなくなる。

 そして、メテオラ──着弾すると爆発して、広範囲に影響を与える。

 あと、バイパー──弾道を設定する弾丸」

「弾道を設定できるって──」

 反則じゃない、と言おうとする青子。だが、

 

「ただ、その弾道を設定するのが難しい。ハウンドより複雑な動きはできるけど、それが原因で自由自在に操れるのが少ない」

 それぞれの弾に長所と短所がある。完全に使いこなすのは難しいよ──と迅は付け足す。

 

「まあ、今から使うのは訓練用のトリガーだから、弾丸は一種類しか使えないけどね。

 何か使いたいのはあった?」

「⋯⋯とりあえず、操作に慣れないといけないから、アステロイドを使うわ」

「了解。じゃあこのトリガーだな」

 迅がトリガーを渡す。

 

「トリガーオン」

 トリオン体に換装し、手のひらにアステロイドを出す。

 言い忘れたけど──迅がそう言って、「弾丸の性能をいじるって言ってたけど、他にも弾速、威力、射程距離、弾丸の大きさも決めれる」

「ふーん。こういうこと?」

 見ると、青子はアステロイドを細かく分割していた。

 

「そんな感じ。じゃあ、次は模擬戦でもしようか」

 もうすぐメガネくんたちが帰ってくるし、と迅は未来を見て言った。

 

 ◇

 

 勝負が始まる。

 青子はアステロイドを分割して迅に放つも、全てかわされる。

「やっぱりそうなるわよね」

 未来予知でかわされるのは想定内。

 なら、迅に攻撃を当てるにはどうすればいい? 

 

 方法は二つある。

 迅がかわせないほどの弾幕で押し切る。

 未来を予知する時間を与えない。

 青子が選んだのは──

 

「弾幕で押し切る!」

 アステロイドを小さく、細かく分割するし、迅に放つが⋯⋯

「それも見た」

 今度はスコーピオンで捌かれた。

 もう少し威力と弾速があったのなら、ここで傷一つぐらいはつけられたのかもしれないが、そんな反省をする暇など今はない。

 なら次はどうすれ──

 

「迷ったらそこで試合終了だよ」

 考える暇も与えられずに、一戦目は青子の敗北で幕を閉じた。

 

 ○

 

「まだ0勝⋯⋯」

 現在、0勝8敗の青子。

「まあ、初めて使うトリガーだからしかたないんだけどね」

 今の青子には(勝者)のフォローも頭に来る。

「せめて、一回は勝つ」

 八回やって青子が気づいたことは、未来予知は万能じゃない、ということ。

 

 致命傷はいまだに与えれていないが、傷はいくつかつけられた。

 未来を予知できるからといって、絶対に負けないということはない、ということだ。

 攻略法は弾幕と予知の時間を与えない方法。

 使えるのはノーマルなアステロイド。

 さあ、青子()はどうする──? 

 

 アステロイドを分割して、腕の周りに円を描くように浮かばせる。

「おっ、やり口を変えたな」

 イメージはこれまで使ってきた自分のトリガー。

 アレとは撃つまでの過程が全く違うが、想像と同じ撃ち方をすると、

 

「!」

 無意識にやったのかはわからない。だが、命中精度や弾の性能が上がっている。

 事実、先程の撃ち方と比べると、格段に弾が迅に当たっている。

 それでも、まだ致命傷には至らない。

 ボーダーのトリガーに慣れていないからか、やはり少し感覚が狂う青子。

 だが、迅はそんなことお構い無しで近づいてくる──! 

 

「くっ⋯⋯」

 思わず距離をとる、否、とってしまった。

 しかし迅はそれを既に見ていたのか、スコーピオンを投擲する。

 顔の横を通るスコーピオン(敗北)を紙一重でかわすが、

「ホント、厄介⋯⋯!」

 もう一本のスコーピオンが青子を切りつけた。

 だが、裏を返せばそれは──

 

「ッ!? マジで?」

 迅の足を全力で踏みつける。

 トリオン体である以上、そこに男と女の筋肉量の差など存在しない。

 もしここで迅が足を自由にしたのなら、それは青子に執念が足りなかったということ。

 ──そんなことは起きるはずがない。今のこの状況ならば、勝者はもはや決まったのと同じ。

 

 迅の心臓付近に手をあてる。

 真のゼロ距離射撃。

「もらった──!」

 

 ○

 

 トレーニングルームから出てきた青子に、遊真が話しかける。

「アオコ、おつかれ」

「チィッ⋯⋯」

 舌打ちをする青子。

「あんたボーダーのトリガー使うの初めてよね?」

「⋯⋯そうよ」

 暗めのオーラで小南に返事を返す。

 

「なにも嫌がらせとかするつもりじゃないわよ。

 むしろ褒めることよ。射手用のトリガーを初見で迅相手に一戦でもあそこまで持ちこんだのは、凄いことよ」

 京介が珍しい、と思う。

 実際、強がりの小南が他人をこれ程絶賛するのは珍しい。

 だが──

 

「まあ、でも? 私の方が迅より強いから? あんたがボーダーのトリガーで、私に勝つのは、まだまだ先のことね!!」

 

 今の状態の青子に、無知とはいえここまで言う人間がいるとは。

 故に、もうじき、何がとは言わないが、凄まじくなる青子を抑えようと遊真が打った手は──

 

「こなみ先輩、オサムが今こなみ先輩のことカワイイって言ってたぞ」

 

 ──『相棒を売る』だった。

 厳密に言うと、相棒を売ることによって、何とかこの空気を変えようとする、ということだ。

 

「ッ!?」

 当然、混乱する修。

 そんな修に遊真は「頼んだ」とジェスチャーを、京介は神に祈るように手を合わせていた。

「えっ! そうなの!?」

 さて、すぐにお約束になるあっち側はさておき。

 

「射手のセンスは良かったから、あとは慣れるだけだよ」

 件の青子さんは栞と話していた。

「最後のはしかたないよ。あんなふうに相打ちをしたのは、あたしだって初めて見たし」

 そう、青子が問題にしているのはそこ。

 青子がトドメを刺す瞬間、迅は腕からスコーピオンを出して、青子のトリオン供給機関を刺したのだ。

 その結果、相打ちになり引き分け。青子は一勝もできなかった自分に苛立っていたのだ。

 

「勝ちがないって言っても、迅さんの未来予知に一回でも勝てたから、全然問題ないよ! 今の実力でもかなり上の方だから、練習したらすぐにもっと強くなれるよ!」

 栞の言うことはもっともだ。

 未来予知ができる迅に、初めて使うトリガーで引き分けを一回でも作れたら大金星だろう。

「たしかに⋯⋯」

 納得する青子。

 どうやら怒りはとうの昔に霧散したらしい。

 

「気分はどうだ、アオコ」

「まあまあね」

 先程よりはマシになったと伝える。

 それにホッと息をする遊真。

「それよりも、コレなに?」

 オサムは小南にギロチンをかけられているのを見て、青子は珍しくキョトンとしたのだとか。

「⋯⋯もしかしてオレの出番いらなかったか?」

 そんなことを思った遊真がいたそうな。

 

 ▲

 

 二日後、時刻は夜。

 夜特有の黒に溶け込む彼らが目指すは玉狛支部。

 レーダーに探知されぬ用にバックワームを着込み、最短距離を最速で駆け抜けていく。

 木戸司令の命を受けた彼ら、ボーダーの精鋭部隊──太刀川(たちかわ)隊、冬島(ふゆしま)隊、風間(かざま)隊、そして三輪隊は空閑遊真の黒トリガー、そして蒼崎青子のトリガーを奪取するために、結成された今宵限りの特別部隊。

 しかし、その精鋭集団に立ちはだかる者がいた。

 

「迅⋯⋯!」

「太刀川さん久しぶり。みなさんお揃いでどちらまで?」

 迅悠一、ボーダー最高戦力の一人で、黒トリガーの使い手。

 そして──暗躍の達人だ。

 

 ▲

 

「悪いけど、先手は打ってある」

 その一言で構える太刀川たち。

 それもそのはず。

 迅が使う黒トリガー、『風刃』は見える限りどこにでも斬撃を物体を伝って伝播させるモノであり、物体にその斬撃を仕込めるからだ。

 だが、迅が打った手というのはそんな乱暴なものじゃない。

 

「オレが打ったのは本部にだよ」

「⋯⋯どういうことだ」

 風間が殺気を出しながら迅に問う。

「オレがここで頑張っても乱暴な手段になるからね。

 そうならないために、特別なゲストを本部に送り込んだんだ」

 今音声繋ぐね、と柔らかい表情で言う迅。

 

「はい、繋い──」

 だ、と言い切る前にそれは流れた。

『──貴様! そんな要求が通るわけないじゃろ!?』

 鬼怒田の怒号。それも太刀川たち全員に聞こえるほどの大声。

 ──一体本部で何が起こっている⋯⋯? 

『それにウソはないのだな──』

 

 蒼崎青子──その名前は精鋭部隊を凍りつかせた。

 

 

 

 

 




誤字脱字などがありましたら、報告してくれると幸いです。
相変わらずの低クオリティですみません。
許して!
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