魔法の森。
幻想郷に存在する原生林で幻想郷に唯一存在する森のこと。
地面まで日光が殆ど届かない森の中は闇のように暗く、拙僧の衣もジメジメするほどの湿気が充満しておりまする。
慧音殿からの話では茸が多数生息していると聞いておりましたが、森には化物茸なるものが胞子を飛ばし、普通の人間は息をするだけで体調を崩してしまう最悪の環境。
……ンン、この道満、元々法師にて陰陽師。この森とは相性が良いので、拙僧は昂ぶっておりまするッ!!
この胸の高鳴り、如何にお伝えしたものかッ!!
…さて、そんな拙僧は今、魔法の森と呼ばれる異界の森の中で茸を採取しておりまする。
何でも最近、人里での茸の数が少ないとのことで、慧音殿に使いを任されたのです。
茸の採取ならば式神を用いて簡単に集めることが可能ですが、今はこの道満、少しだけ困っておりまする。
「なぁなぁ道満。そんなに茸を取ったんなら私に少しだけ譲って欲しいんだせッ!!」
「魔理沙殿。茸を少しだけなら構いませぬが、その量を少しとは言いませぬぞ?」
「え〜…いいだろ少しぐらいさぁ」
「魔理沙殿、お止めなされ。拙僧の衣を剥ごうとするのはお止めなされ。拙僧の服は一点物にて破られては拙僧、とても困り……お止めなされッ!!」
この魔法の森に住む人間の魔法使い、魔理沙殿にせっかく拙僧が式神を用いて集めた茸を少しではなく、多くの茸を奪われそうなのです。
いやはや、そのお姿はまるで…いえ、これは拙僧の記憶違い。いや、ただの勘違い。
拙僧の記憶ではなく、儂の体の記憶が呼び起こした違和感でしかございませぬ。
「道満はケチだな」
「魔理沙殿は強欲なことで。しかし、拙僧は慧音殿から遣わされている身。少しなら良いのですが、全ては魔理沙殿に与えられませぬ」
「……なら、仕方ないか。なんか悪かった」
「いえ、納得して頂ければそれで良いのです」
もし、魔理沙殿が納得して頂けなければ我が術を行使し、穏便に終わらせる予定でしたが、ンンン、残念ですぞ。
…おや?もうこのような夕刻に……では、この辺りで拙僧は退散致しましょうぞ。
「少しではありますが、どうぞ魔理沙殿」
「わりぃな道満。ありがとなんだぜ」
「では、拙僧はこれにて」
十分な茸の量も無事確保。
これで慧音殿に拙僧は何か言われることはありませぬが……魔理沙殿はあの様子から見るに、もう少し魔法の森におられるようで。
…ならば、1つ。この道満が魔理沙殿と同じ寸分違わぬ式神をこさえて差し上げ──
「なぁ、道満」
「……ンンンン、どうされたのですか魔理沙殿。拙僧に何か──」
「お前、異変なんて起こさないよな?」
「……はて?異変とは一体何のことでしょうか?」
「あぁ、そう言えば道満は最近幻想郷に来たばかりだったから知らないのも無理ないか。異変はその名の通り妖怪達や神、人間が起こした問題みたいなものなんだぜ」
「異変……つまりそれは人災や厄災のようなものでおられるか?」
「それで合ってるんだぜ。ふと霊夢に言われたことを思い出したんだが……私の考えすぎか」
「霊夢……それは確かこの幻想郷の守護者、でしたか」
「そうなんだぜッ!!……って、引き止めて悪かったんッ!!じゃあな、道満ッ!!」
「えぇ……では」
…ンフフフ、フフフフ、ははははははははッ!!魔理沙殿ッ!!なんと勘が優れているようでッ!!……いえ、これは巫女のお導きというものでしょうな。
でなければたあっぷりと呪を込めたる蟲の式神を凝らして寿いで差し上げる筈でしたが……本当に魔理沙殿は運が良い。ンンン、残念。
…しかし、魔理沙殿が言っていた幻想郷の守護者の巫女、確か霊夢と魔理沙殿は申しておられましたな。
……ンッフフフフフ。次にその巫女とお会い出来る時にはこの道満が──。
霧雨魔理沙
普通の魔法使い。
道満とはよく人里で出会う。コミュ力がとても高いので、道満に会う度に話をしたりしている。
ただ、霊夢から道満には気をつけろと忠告されているが、実害があまり無いのでまだそこまで気にしていない。
道満の服を引っ張るのは反応が面白いから