少し走るとすぐに息切れする。
致命的なまでに体力不足な私では、前線の作戦行動に付いていくことが出来なかった。それ故に、私の事を何処の舞台も持て余してしまうものだから、たらい回しにされるように部隊を転々としてきた経緯を持っている。
元々、私は生物学を専門とするカビの研究者であった。
しかし生物兵器の開発に力を入れていた軍に入隊を強制されて、CBRNE対策部隊と掛け持ちで生物兵器の開発に勤しむ事になる。新兵器の開発は難航し、開発チームのリーダーが隣国に亡命した事で計画は頓挫。チームの解体に伴って、私は別の部隊へと左遷させられる事になった。
勉強漬けの毎日を送ってきた身の上、銃を持たされたからといって戦果を上げられるはずもなかった。
そして今日もまた我慢が切れた隊長に別部隊へと左遷させられる。
次は何処の戦場に向かう事になるのか。
前線は何処も酷いもんだ。敵国で自爆特攻兵器が開発されてから拠点は見るも無残に破壊され尽くしており、辛うじて残った防壁も新しく登場した跳躍型の機械兵に軽々と飛び越えられる。
おかげで前線の維持もままならず、近頃は後退を繰り返していた。
「……こんな無駄な争いやめて、勉強したいんだけどな」
呟かれる言葉は、誰の耳にも届かない。
死守命令に次ぐ死守命令、前線の崩壊は時間の問題だ。
誰を殺して、誰を生かすか。
お偉い様による選別作業はもう始まっていた。
◆
私、ストレルカは切り捨てられなかった訳ではない。
むしろ逆だ。苛烈になりつつある前線に付いて行けなくなった為、彼女は置いてかれてしまったのだ。
そんな彼女の行く先は、未だ。定められない。
右へ左へとゆらりゆら。
時折、アリビナという感性のズレた少女と出会い。稀代のスナイパーであるフェリセットと顔を合わせた。
二人とも私と違って問題児で、私と違う理由で部隊を転々とする。でも悪運が強いだけの私と違って、優秀な二人は今もまだ生きているし、たぶん私よりも長生きをするのだと思った。
そして今日も私は生きている。私が生きているから、きっと二人も生きているのだと思った。
本を読んでいる。参考書を読み漁っている。
読書そのものが目的であり、内容は、まあ目に付いたものを読んでみている感じだ。
主にカビ関連、生物学のものは積極的に手を伸ばしている。
そんな私の行く果てが、使い捨てられる為だけの部隊になるのは、そう遠い話ではない。
しかし、今はまだ前線崩壊の見届け人に過ぎない。
Zakes様、マガミ様。評価をして頂きありがとうございます。
貴方達には国の為に義務を果たす権利を差し上げます。
よく働き、よく税を納めましょう。