100日後に壊滅する門兵部隊。   作:にゃあたいぷ。

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3日目

 黙々と時計の針が進むのを眺めている。

 此処は国境門付近の詰所。夜間担当は私、エノスの御役目だった。

 民間用の軽機関銃を壁に立て掛けて、粛々と来るかどうかも分からない機械兵を待ち続ける。

 本当は、私に配備されるのは軍用ガウス機関銃だった。

 でも配備予定だった機関銃は、入り用だとか、なんだとかで前線に送られてしまったらしい。

 困ったので、私は軍用倉庫の奥の方で、埃被った民間用の軽機関銃を見つけた。

 だから私は民間用の軽機関銃を持っている。

 

 ビーッ、ビーッ、ビーッ! と、けたたましい警報音が部屋に鳴り響いた。

 

 行かないと、と呟いた私は壁に立て掛けていた軽機関銃を担いで門前まで走り出す。

 それでも、のんびりとしているように見られたのか「ぼやっとするな!」と兵士の一人に怒鳴り付けられてしまった。

 急いで来たんだけどな。もっと、しっかりとしないと。

 

 私は、数週間前に実施された急遽徴兵された兵士の一人。それまではマーキュリー専門学校を卒業した後、雑貨店の店員として長らく勤務していた。今年で24か25歳、兵科別の適正訓練を受けた後、徴兵として、国境門の警備を任じられた。

 

 昨日は小型の機械兵が一体だった。

 小型といっても人並みの大きさがあった。鉄板で固められた二脚兵器が重厚な足取りで、のっしのっしと迫ってくる様は間近で見ると身震いする程の迫力がある。

 民間用の軽機関銃を両手に斉射して、兎にも角にも引き金を引き続けた。何発、当たったのか分からない。耳がつんざくような発砲音、機械兵の装甲が銃弾を弾く甲高い音。今にも抜けそうになる腰を必死で堪えて、ただひたすら機械兵に目掛けて銃弾を叩き込んだ。

 そうして気付いた時には、機械兵は沈黙しており、無惨にも装甲が剥がれて、中身はぐしゃぐちゃになっていた。

 

 はあっ、と息を吐いた。

 どうやら呼吸をすることも忘れていたようで、大きく肩を上下に揺らす。

 不意に込み上がってくる嘔吐感。無理に飲み込んで、ほっと胸を撫で下ろした。

 そして、ポロポロと涙が溢れ出す。

 

 嗚咽を零すとか、泣き喚くとか、そういうのじゃない。

 悲しいのか、悔しいのか。そんなことも分からない涙が零れて、どうしようもなかった。

 これから、ずっと、こんな事が続くのか。

 そう思うと、涙が溢れて、仕方なかったのだ。

 

 そして今日、機械兵が二体。空を飛んでやって来た。

 

 地平線の彼方に向けて、構えていた軽機関銃を空に掲げる。

 相変わらず、私には目も暮れず、門に目掛けて突っ込んでいった。それを迎撃する為に弾幕を張る。耳が壊れてしまいそうな発砲音、歯を食い縛って引き金を引いた。空を飛ぶ敵を狙うなんて、初めてだったから撃墜するまで手子摺った。

 倒したのは、国境門への砲撃を幾度と許してしまった後になる。

 

 損傷は大きくてすれ違った整備兵に舌打ちと愚痴を浴びせられた。

 

 私なりに、一生懸命、やっているつもりなんだけどな。

 昼間は、ハンドガンで同じ飛行型の機械兵を二体も退治した新兵がいたようだ。

 それも門への被害はなし、完全防衛だ。

 

 ……高望みはしない。

 私は私のできることをすれば良い。一生懸命仕事をすれば良い。

 そうすれば、いつか、きっと、褒められる。

 努力は、何時の日か報われる。

 何故なら、テレビで、そう言っていた。

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