100日後に壊滅する門兵部隊。   作:にゃあたいぷ。

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前話、夜迷子ノエ様。誤字報告ありがとうございます。


9日目

 前線にある一部の拠点は半ば、崩壊したらしい。

 敵国の新型である自爆特攻兵器が拠点を吹き飛ばし、その勢いのままに国境門まで侵攻した。

 残った特攻兵器は辛うじて、門兵部隊が迎撃した。

 

 しかし、御世辞にも無事とはいえない有様だ。

 

 国境門の修復には、どれだけ掛かる。

 負傷者も出た。門兵部隊の立て直しには、もう暫くの時間が必要だ。

 今、取れる最前の選択を。

 

 とにかく部隊の配置換えは必須だ。

 此処から先、彼女達には今まで以上の無理を強いることになる。

 頭が痛くなるばかりだ。

 

 とりあえず、上官の机を磨く事で気持ちを落ち着ける。

 そして今日もまた警報音が鳴り響いた。

 

 

 背中には半壊した国境門、向こう側が見えてしまっている。

 最早、聴き慣れた警報音。ショットガンを両手に握り締めて、前を見据えた。

 地平線の彼方から攻め込んでくる機械兵。空と陸の波状攻撃、迫り来る鉄塊を迎え討つ為に砲口を向ける。

 充分に引き付けて、引き金を絞った。衝撃を全身で押さえ込んで、一、二、三と速射する。

 装甲が剥がれて、爆風と共に液体が飛び散った。

 

 装填する。弾を詰め込んで、そしてまた数秒にも満たない時間で三回、引き金を引き絞った。

 

 爆風の隙間から、鼻先に破片が飛来する。

 それを首を傾けて躱し、返す刀で空戦型の小型機械兵を撃ち抜いた。

 的確に、相手の動きを見切り、動いた先に照準を合わせる感覚、後追いではなくて待ち受ける。

 何度か装填と速射を切り返せば、目の前に残るのは爆発四散した機械片のみ。

 今日もまた、機械兵御一行様を殲滅せしめた。

 

 

「ああ、本当に厄日が続くわね」

 

 後ろには修繕中の国境門。その先には衛兵の宿舎があり、更に先には7等級未満の国民の居住区が広がっている。私の兄妹は、そこで暮らしている。此処から先に通す訳には行かない。

 今日は私の後ろにエノスは居ない。

 人手不足との話で、それぞれ別の国境門を守っている。サブマシンガンを両手に握り締めて、迫る機械兵に向かって駆け出した。

 

「何処までだって足掻いてやるわよ……!」

 

 

「また、一人……」

 

 背後には、無傷の、綺麗な国境門。

 何度か、守ったことはある。ここはマルフーシャが、守り続けてきた場所。

 そこを今、私が、一人で守っている。

 

「……やって、みる」

 

 地平線の果てから向かってくる機械兵、軽機関銃の銃口を向ける。

 先の特攻兵器の襲撃で、此処と、私とベルカで守っていた国境門以外の全てが、半壊以上の被害を受けたと聞いている。

 みんな、修繕とか、怪我の手当てとか、せかせかしてる。

 

 こんな時でも、機械兵は、やって来る。こんな時だからこそ、機械兵は、やって来る。

 

 私の頭は包帯で、ぐるぐる巻きだ。

 ベルカが、やってくれた。血は出てたけど、怪我は軽いとか、ちょっと頭がまだ、ぽけっとしてる。

 いや、それは何時ものことか。とりあえず、今日も頑張る。

 この国境門の先には、私の家族もいる。

 

「ここから、先は、行かせない……!」

 

 迫り来る機械兵に目掛けて、弾幕を張る。

 力の限り、弾をばら撒いた。

 

 

 マルフーシャは勿論、エノスとベルガにも国境門を単体で守れるだけの力がある。

 しかし、それでも部隊の能力には限界があった。

 

 ……今日は前に出て、ショットガンの引き金を引いた。

 機械兵を撃ったの何時ぶりか。

 憲兵が敵兵の矢面に立つのは間違っているけど、そうしないと凌ぎ切れない。

 

 とりあえず、今日を凌ぎ切った事で幾分か余裕はできた。国境門の修理を急ピッチで進めさせる。その為に大量の物資を消費する羽目になってしまったが、これも国家防衛の為の致し方ない犠牲だ。

 ただ、まあ、私の部隊が大きな被害と出費を出してしまった事は否定できない。

 元々は前線の失態とはいえ、被害を食い止め切れなかった門兵部隊に非がある。その責任は、部隊の監査と監督を続けていた私にも飛び火する。出向からの出戻り栄転、憧れの内地勤務。その夢が遠のいた事に溜息を零す。

 これは私、ライカが軍属になって以来の大失態だ。

 

 とにかく不貞腐れていても仕方ない。

 戦力が足りない、人員不足なのは明白だ。ついでに云うと武装も行き渡ってなかった。

 機械兵の猛攻が激しくなる今、ないない尽くしで嫌気が差す。

 足りぬ足りぬは工夫が足りぬと云うけども、リソース管理をするにも限界がある。

 それでも、やらねば、国を守ることができない。

 

 今、前線は、どうなっているのか。

 その詳細な情報が、この門兵部隊に配属されてから届き難くなっている。

 前線は今、何処にあるのか。前線の部隊は、どういう状況なのか。

 それでも、為すべき事を、為すしかない。

 そうするしか、ない。




ポンコツだけど有能っていう表現に困るライカさん。
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