厨二病の田中くん。   作:ララコッペパン

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闇の善人

ーーーーそれは、希望であった。絶望から救ってくれる、英雄であった、

ある日、絶望が、東京という都市に舞い降りた。その名もディスペア。世界を破壊するために生まれてきた、絶望そのもの。

ディスペアによって、東京という都市は壊滅状態なってしまった。倒れていく建物、死んでゆく人々、無慈悲にも東京は破壊されていった。

 

ーーーーだからこそ人々は望んだ。この絶望から救ってくれる希望を、英雄を、とーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーそして望みは叶った。

 

ーーひらりと、その英雄は現れた。白のロングコートに不気味な仮面を被った一人の男。少し、不安だった。

 

 

しかしーー絶望の淵にいた人々は、それが光に見えたのだ、その白いロングコートが、その不気味な仮面が、その背中が、その存在感が、希望であり英雄であると、思ったのだ。

 

 

思い通り、その男は英雄であった。ディスペアを、一瞬で殺した。

 

ーー人々は歓喜した。やった、と、助かった、と。

 

ーー人々は感謝した。ありがとう、と、英雄だ、と。

 

 

 

ーーーーだが、その男は言った。やめてくれ、と、俺はそんな大層な者じゃないんだ、と。

その背中には心なしか、少し哀しみが乗っているように見えた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーそれを聞き、人々は願った。どうか彼に幸せが訪れるように、とーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー東京の中心部に、ある高層ビルがあった。全長300メートルほどの超高層ビル。

この超高層ビルの名前は【英雄塔】日本中の能力者たちを集めた世界最高峰の能力者協定。保有している能力者は100万人以上。

そのどれもが実力者揃いだ。

 

そしてその英雄塔の最上階、沢山の名画が飾られており、見るからに高さそうな椅子に机が置いてある部屋で、ある女が鎮座していた。

すらりと伸びた黒のロングヘアーに凛とした雰囲気。彼女の名前は桜庭美優。この【英雄塔】の正式な社長。

一見、美人な女の人という感じだが、その実力は本物。舐めてかかったら殺されるだろう、

 

今、桜庭美優は願望書を片している。やれ、最近怪物が強すぎる、やら、やれ、【闇の善人】に俺の手柄が全部奪われるどうにかしてくれ、やら、所属しているいろんな能力者たちから願望書が届けられる。

 

【英雄塔】は怪物を倒せば倒すほどもらえる給料が増える形式だ。【闇の善人】に手柄を奪われると嫌なのは、給料が減るからだろう。

 

はぁ、と桜庭美優はため息をはき、一旦手を止める。すると、コンコン、とドアをノックする音が部屋に響いた。

 

 

「入れ」

 

「失礼します、桜庭社長」

 

入ってきたのは報告係の女の子だ。年齢は20歳ほど。まだまだ若いのに頑張ってくれる。

 

「報告があって来たのですが………」

 

そう言って報告係の子はチラリと、机の上に散らばっている願望書の書類を見やる。

仕事が忙しいのかと気にしてくれているのだろう。優しい子だ。

 

「あぁ、いい。報告してくれ」 

 

「はい。わかりました。ではーーーー」

 

報告係の子がどんどん報告をしてくれる。

……最近怪物が一層強くなっている気がする。この前も宮城県に現れた怪物を討伐しにいった際に、二十人もの負傷者が出てしまったのだ。

まあ、その怪物も【闇の善人】によって倒されたのだが。お陰で、助けられた負傷者の間でガチ恋勢が出てしまったようだ。

最近は【闇の善人ふぁんくらぶ】とかいうのもあるらしい。

 

ーーーーー【闇の善人】か……。

白いロングコートに不気味な仮面。

素性も、年齢も、名前もわからない。ひとつだけわかるのは男だということ。だが、それ以外何もわからない。

ただ怪物を殺すために現れ、用が済んだら消える。謎に包まれた男。

 

私は一回だけ【闇の善人】に出会ったことがある。

 

3年ほど前、まだ【英雄塔】ができる前のこと。夜中に不意打ちで、怪物に襲われてしまったのだ。

私は咄嗟にファイアーボールを放ち距離を取った。しかし、私の本職は魔剣士。生憎私はその時愛用の【魔剣アイリス】を持っていなかった。

できる限りのことはした。が、やはり勝てなかった。私は怪物の猛攻に耐えきれず吹き飛ばされた。

無理矢理体を起こして、立ち上がった時だ。ーーソレは現れた。

 

白いロングコートに不気味な仮面を被った男が私の目の前に立ったのだ。その背中はなによりも逞しかったのをよく覚えている。

意識が朦朧としながらも「あ……な…たは……?」と、絞りカスのような声で私は問うた。

 

彼は振り向いて答えた。

 

「名乗るほどのものでもない、俺は自分の過ちを怪物を殺すということで償った気になっているーー」

 

 

 

 

「ーーただのバカだ」

 

仮面越しでも、悲しそうな顔をしているのがわかった。

その言葉を最後に彼は怪物を一瞬のうちに殺して、すぐに去っていった。

 

私はあの言葉が今でも忘れられない。

 

【闇の善人】よ、あなたは、あなたはーーーー

 

 

ーーーー何者なんだ?

 

 

 

 

「……う!!」

 

「……さん!」

 

「桜庭社長!!!」

 

報告係の子の声に、私はハッとする。

 

 

「す……すまない…少し考え事をな」

 

考えすぎか……社長ともあろう者が、情けないな……。

 

「もう…どうかしましたか?すごく難しそうな顔をしていたので……」

 

「い……いや…大丈夫だ…もういいぞ…ありがとうな」

 

「そうですか…何かあったら言ってくださいね!社長に何かあったら困るんですから!」

 

「あぁ……ありがとう」

 

報告係の子はそう言って出ていった。

 

それを確認した私は、椅子から立って窓の下を覗く。きれない街並みだ。

 

………この綺麗な街並みを見ながら、私は思う。いつまでこの街が、日本が、世界が、残るのだろうか、と。

いつか、怪物に壊されてしまうのではないか、いつか魔王が攻めて来てこの世界は、消えてしまうのではないか、と。

 

 

 

ーーーーだけど多分大丈夫なのだろう。

 

この世界には【闇の善人】がいる。彼がいる限りこの世界は大丈夫なのだろう。根拠なんてものはない。

 

彼はーー怪しい。何者かもわからない。でも、それでも。私は彼を信じたい。あの背中は偽善なんかじゃないと。

 

 

 

 

 

 

 

「頼むぞーー【闇の善人】」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー祈るように、私はそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やべえなんか自分でも何書いてるかわかんなくなって来た。


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