このブシドーやべーな・・・
もしかして改造人間か・・・?
「「・・・・・・」」
蘭と巴の2人を中心に店内の空気が冷え切り、2人は暗い表情を受かべて言葉を交わすことは無かった。
目の前の状況が呑み込めないレイヤ達は弦太朗へと説明を求めていた。
「弦太朗・・・これどういうこと・・・?」
「あぁ、蘭は今、巴と親父さんと喧嘩中でな・・・」
「巴とだけじゃなくて親と喧嘩・・・?あぁ・・・そんで家出して、弦太朗の家に泊まってたってことか?それにしてもお前たちが出来てるとは思わなかったな」
目の前の光景とさっきまでの光景からますきは現在の蘭の状況を言い当てる。
ますきの答えの一部間違っているがそれはある程度は合っていたことに弦太朗は驚気を浮かべる。
「出来てねぇけど・・・。それにしてもますき。お前よく分かったな」
「これまでのを見て、分かんねぇ方が難しくねぇか・・・?」
「・・・(ますきが言うまで全く分からなかった・・・。)」
「あんたら何してんの・・・?早く座りなよ」
蘭は3人がいつまでも席に座らないことを不審に思い声を掛けると、弦太朗達は巴達が座っているカウンター席の横に座るとすぐに3人は共通の話題である音楽について話が盛り上がっていく。
しかし、弦太朗はその話について行けずに視線を横にいる宇田川姉妹へと向ける。
そこには既に出てきていたラーメンを物凄い勢いで食べている巴とゆっくりと食べているあこという対照的な姉妹の姿。
そしてあっという間にラーメンを食べきった巴は早々に席を立つ。
「あこ、アタシ先帰るな。会計しておくからそのままバンド練習行ってこいよ・・・」
「あっ!!おねーちゃん!!待ってよ!!」
しかし、あこの言葉も聞かないで巴は一足先に店の外へと出て行ってしまう。
「巴の奴、あこのこと置いてっちまったな・・・」
「ひーちゃん達から聞いてたけど・・・。おねーちゃん、まだ蘭ちゃんと喧嘩してるんだ・・・。蘭ちゃん家に帰ってないって聞いたし・・・」
「蘭の事は任せとけって。そんなことよりラーメン伸びちまうぞ?」
「あっ!!」
弦太朗の言葉にあこは自分のラーメンをあこなりに急いで食べるが、その速さは巴に比べれば格段に遅い。
「あんな一生懸命に啜って食べてて・・・可愛いな・・・」
「ますき?お前あこ睨んで何言ってんだ?」
ラーメンを一生懸命に啜っている姿に睨みつけるような視線を送りながら呟くが弦太朗はその視線の意味が分からずに首を傾げるが、そんな中あこはラーメンを食べ終えるとバンド練習へ行くために店を後にする。
それと入れ替わるようにして弦太朗達の目の前にラーメンが出されて、一口した途端に先ほどまでのますきの事がどうでもよくなってしまい、弦太朗は目の前のラーメンを食べ始めた。
「いやぁ~美味かったな!!」
「あぁ!!それに味も悪く無かったな!!誘いに乗って良かったぜ!!」
「ふふっ・・・そうだね・・・」
「悪くないね・・・」
食事を終えた弦太朗達は満足気に店を後にする。
巴の顔を見た時とは違い、蘭の表情も明るいものに変わっていた。
それを見て蘭に声を掛けたのは弦太朗だった。
「うっし。とりあえずこのまま巴のとこ行くか」
「はぁ!?あんた何言ってんの?」
言葉に意味が分からなかった蘭だったがますき達も弦太朗の援護に入る。
「まぁ、いつまでも喧嘩してるわけにもいかねーだろ?それに気分がいい時に嫌なことさっさと済ませちまった方がいいぞ?」
「ますきの言ってる意味わかんないところはあるけど。早めに解決したほうがいいんじゃない・・・?」
「・・・・・・」
「心配すんな!!俺も一緒に謝って地面叩き割るくらい頭下げてやるからな!!」
「はぁ・・・」
その言葉を聞いた蘭は考えるような仕草を見せていたが、弦太朗の言葉を聞いて考えるのが馬鹿らしくなってしまいため息をつくと弦太朗のバイクへと歩いていく。
「おい!!蘭」
蘭はバイクと一緒に置いてあったヘルメットを2つ持つと1つを弦太朗へと押し付ける。
「行くよ・・・。一緒に謝ってくれるんでしょ・・・?」
「おう・・・!!」
「弦太朗は相変わらずだなぁ・・・」
「ホントおもしれーよな。あいつ」
蘭の行動に笑いながら見てたレイヤ達。
和やかな空気が流れていたが、それをぶち壊わす様に1本の電話が掛かる。
「わりぃ・・・もしもし・・・?」
『もしもし如月くん!?』
「つぐ!?どうしたんだ!!」
電話の相手はつぐみであったが、酷く慌てており異常事態が起こったことを物語っていた。
『うちのお店でひまりちゃんが怪物にさらわれたの!!』
その言葉に4人は驚きを隠せずにいた。
「なんだって!?皆はまだ店か?」
『うん・・・!!』
「すぐ行くから待ってろ !!」
弦太朗はそう言うと電話を切ると、ますき達へと向き直る。
「わりぃ!!行ってくる!!」
「いってらっしゃい」
「気を付けろよな」
「おう!!」
弦太朗はその言葉を聞くとバイクへ跨るとその後ろに蘭も乗ってくる。
「あたしも行くよ」
「・・・しっかり掴まっとけよ!!」
「うん・・・」
短い言葉のやり取りで2人はつぐみ達がいる羽沢珈琲店へと向かうのだった。
――――――
私はひまりちゃんとモカちゃんと3人でお店に集まっていた。
今度のライブについて机にそれぞれ違うセットリストが書かれていた3枚の紙を広げて話合っていた。
「とりあえず、この3つのどれかってことでいいかな?」
「うんっ!!どれもいい感じじゃない?」
「後は蘭とトモちん次第ってことだね~」
「みなさん!!お疲れ様です!!」
2人が欠けたバンドメンバーでセットリストと衣装の候補を決めた。
後は2人が戻って来た時に決めてもらえばいい・・・。
そう思った3人は机に項垂れると、不在のお母さんの代わりにバイトに入ってくれていたイヴちゃんがコーヒーを持ってきてくれた。
奥ではお父さんがニコニコしながらこっちを見ていた。
「でも、モカさん?なんで候補が3つもあるんですか・・・?」
「う~ん。なんとなくかな~」
そう、イヴちゃんが言ったように今の段階でセットリストの候補が"3つ”あるのだ。
最初は3人で巴ちゃんの意見を参考にした今までの私達とはちょっと違うイメージの案と、蘭ちゃんが言ってた今までの私達がやってたようなセットリストの2つだった。
そんな時にモカちゃんの思い付きで考えたその2つの折衷案みたいな第3のセットリストを作ったのだ。
「新しいことをしたいって思うトモちんの気持ちも、色んな事件があったから”いつも通り”を大切にする蘭の気持ちもどっちも大事だと思うからね~」
ってモカちゃんの言葉を聞いて、3人でこの案を作ったのだ。
それが今、ようやく形になったのだ。
後は蘭ちゃんと巴ちゃんと話して決めるだけと思ったら、重かった肩の荷が少しだけ軽くなったように感じた。
でも、この落ち着いた空気も一瞬で壊れた。
お父さんが店のドアを開けようとしたら、そのドアがお父さんを巻き込んで店内に向かって吹き飛ばされる。
「お父さん!!」
「嘘でしょっ!!」
「あこちんの次はモカちゃん達ですか~・・・」
そこには先日学校で出たペガサス座のゾディアーツがドアを蹴破った姿があった。
他のお客さんがいなかったし、ドアと一緒に吹き飛ばされたお父さんも気を失ってるだけみたいなのは不幸中の幸いだった。
私達をゆっくりと追い詰めるように迫ってくるゾディアーツ。
それを見た私は恐怖で身体が固まりそうになるが、なけなしの勇気を振り絞って逃げ出そうと身体を動かす。
「ブシドーー-!!」
そんな中で最初に動き出したのはイヴちゃんだった。
どこに隠してあったのか分からないけど、その手に持った木刀をゾディアーツの横から、渾身の力を籠めてその頭へと振り下ろす。
ゾディアーツはそれを無視したがそれは誤りだった。
イヴちゃんの木刀はそのままペガサスの頭部へ命中すると、その衝撃で頭が床に向けて堕ちる。
その渾身の一撃を受けたゾディアーツは床に倒れこそしなかったが、視線をイヴちゃんに向けるとそのまま襲い掛かる。
しかし、イブちゃんはその攻撃を狭い店内で躱し続け、当たりそうなものは木刀を使って受け流していた。
「皆さん!!早く!!」
イヴちゃんの叫びに私達はそのまま店の外へと走り出したが、ゾディアーツは近くにあった椅子を私達へ向けて投げつけると、それがひまりちゃんの足に直撃した。
「いたっ!!」
「ひまりちゃん!!」
「ヒマリさん!!」
「モカ!!・・・つぐをお願い!!」
「うん・・・!!」
椅子が直撃して転んでしまったひまりちゃんの言葉を受けてモカちゃんは私の腕を引いて店を飛び出した。
動けなくなったひまりちゃんとゾディアーツの間にイヴちゃんが割って入るが完全に押されていた。
後ろにいるひまりちゃんを庇って、動けないイヴちゃんをゾディアーツの拳が襲う。
なんとか躱しているが、次第に木刀で受ける回数が増えていくとその最中に木刀が折れた。
折れたことに一瞬だけ驚いて動きが止まってしまったイヴちゃんをゾディアーツの拳が襲う。
その一瞬で躱せない事を察したイヴちゃんが腕で自分を守ろうとするがあまりの衝撃に身体が吹き飛ばされて机に背中から落ちる。
そんなイヴちゃんには目もくれずに、床で動けなくなっているひまりちゃんを抱えあげる。
「いやっ!!離して!!」
「ひーちゃん!!」
「ひまりちゃん!!」
その光景に私達は声を挙げるもゾディアーツは意にも返さずにひまりちゃんを抱えてどこかに消える。
呆然となる私とモカちゃんだったが、イヴちゃんの方から呼吸音が聞こえると我に返って2人でイヴちゃんの元へ駆け寄る。
「お2人とも・・・大丈夫・・・ですか?」
「うん!!イヴちゃんの方は・・・?」
「私は大丈夫ですよ。ぶつけた勢いで息が止まってしまっただけですから・・・」
「よかった・・・」
「イヴちんは休んでて、つぐはげんたろーさんに連絡~」
「うんっ!!」
そうして私はモカちゃんに言われるままに震える手で如月くんへと電話を掛けた。
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