モニカ篇です。
特別編なのでそこまで長くはならないと思います・・・
月・森・流・星-1 ましろいろの悪夢
「待って!!」
私は叫びながら手を伸ばす。
しかし、その手は届くことはない。
そして今日も私と同じ制服を着た人が黒い霧の中へと消えていく―――
「そんな・・・」
そんなことを呟くのも束の間、不気味な雰囲気を放っている黒い霧はゆっくりと周囲へと広がり始める。
「はぁ・・・はぁ・・・!!」
それを見た私は呑み込まれない様に必死に走って霧から逃げようとするが、私は逃げることが出来ず黒い霧に取り囲まれてしまう。
「いやぁ・・・」
私を取り囲んだ霧は次第に私の身体へと纏わりつき、それはどんどんと私の身体と心を蝕んでいく。
そして、黒い霧に完全に呑み込まれかけたその時、どこからか飛んできたに青い何かが私の目の前で弾ける―――
あまりの眩しさに目を瞑ってしまったが、次第に慣れてきた私はゆっくりと目の前へと視線を戻す。
そして―――
そこで私は目を覚ました。
私は視線を外へと向けるが、未だに朝日が登っていない。
ここ最近は同じ悪夢を見ては日の登る前に目を覚ましてしまう。
しかし、今日も学校があるので2度寝をする訳にもいかずに私は気だるい体を起して先ほどまでの夢について考えていた。
いつもの夢だったら
黒い霧に呑まれて人が目の前で消えていき、そして最後は自分もそれによって消えてしまう―――
でも、今日はいつもとは違っていた。
「最後のはなんだったんだろう・・・?」
そこで思い浮かんだのは最後の光景。
いつも夢の最後では私は消えてしまうのに、今日は消える前に何かが私の前に来た。
何かは分からなかったけど、それは青く輝いていて・・・。
「すっごい綺麗だったな・・・」
思わず口に出てしまった。
あれが何かは分からないけど・・・。
でも、悪いものではない気がする・・・。
そんなことを考えていたら、いつの間には空には朝日が昇っていた。
私はゆっくりとベッドから出ると身支度を整えて、学校へと向かう。
朝日が昇り始めたこの時間の街は私の足音しかなく、まるで世界に私だけしかいないかのような錯覚を覚える。
そんな感傷に浸っていた私はゆっくりと学校へと向かっていく中、前を見ていなかったので誰かと曲がり角でぶつかってしまった。
「キャ!!」
小さい悲鳴と共に私の身体は後ろへと倒れていく、そして襲ってくるであろう衝撃に備えて私は目を閉じてしまった。
しかし、一向に地面にぶつかった時の衝撃は襲ってこない。
不思議に思った私は目を開けると、知らない男の人に抱えられていた。
それを理解した私は慌ててしまった。
「すみません!!ちゃんと前を見てなかったから・・・」
「ううん。こっちもちゃんと前を見てなかったから・・・。えっと・・・立てる?」
「はい・・・」
私はその人の腕から離れると、抱えてくれた人を見る。
この辺では見たことのない制服で、すらっとしててしっかりとした体はどこかの物語の登場人物の様な印象を受ける。
「ぼーっとしてるけど大丈夫?どこかぶつけちゃったかな?」
「えっ・・・はい・・・。大丈夫です」
その人が心配そうにこちらを見てくるが、私は寝不足気味の身体でなんとか誤魔化してその場を乗り切った。
どうしようかと思っていたら、相手の方から話を切り出してきた。
「知ってたらでいいんだけど・・・。”やまぶきベーカリー”って場所を教えてくれないかな・・・?」
「えっ?知ってますけどどうして・・・?」
「俺の友達が教えてくれたから今日の帰りに寄ろうと思ってね」
「そうだったんですね・・・。それなら・・・」
私は緊張してしまっておどおどしながらも場所を教えると、その人はにこやかに笑ってくれた。
「ありがとう。それじゃ学校まで気を付けてね」
「はい。ありがとうございます・・・」
私の言葉を聞いたその人は教えた通りの道を行って姿が見えなくなっていく。
その背中を見送った私の耳に聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「おーっす!!シロー!!」
「透子ちゃん。おはよう・・・」
私の挨拶を聞いた透子ちゃんは含みのある笑みを私へと向けてくる。
「それにしてもシロやるなー」
「・・・何言ってるの?」
透子ちゃんの言葉の意味が分からずに聞き返した私に透子ちゃんはニヤニヤした笑みに変わっていく。
「まさか朝からあんなナンパを受けるなんてね~」
「違うよ!!」
透子ちゃんはさっきのを見てたらしく、それをネタに揶揄ってくる。
必死に否定してると、全部知ってるような口調へと変わって話しかけてくる。
「大丈夫!!全部見てたから!!」
「なら辞めてよ~!!」
「ごめんごめん。でも、最近は変な噂ばっかりだからシロも気をつけなよ~」
「それって・・・」
透子ちゃんが言ってるのは最近街で噂になってる怪物のこと。
私達の学校ではななみちゃんが見たって言ってたけど、その時に話を聞いていたるいさんにバッサリと否定されてて可哀そうだったのを覚えている。
「まぁ、そんなポンポンと出るわけないし!!それにななみも1回だけしか見てないし!!」
「そうだね・・・」
透子ちゃんの言葉に同意するが、私の頭の中は昨日までの悪夢が思い浮かんだが、それを表に出さないようにして私達は学校までの道を話しながら学校へ向かう。
学校に着くと透子ちゃんは荷物を置いてどこかへ行ってしまったので、私は自分の席に座って上の空で外を眺めながら今朝からの事を思い出していた。
理由は分からないけど、今まで見ていた悪夢の内容が変わった。
それにさっき会ったあの人はまた会いそうな気がする―――
そんなことを考えていたら、いつの間にか朝のHRの開始時間になり、少しだけ遅れて先生が教室へと入って来て連絡事項を伝える。
しかし、今の私の頭は先生の話が入ってこなかった。
でも次の瞬間、全てが吹き飛んでしまった。
「っ!?」
先生が合図すると再び教室のドアが開かれる。
そこにいたのは朝に会った男の人がいて、私は驚きのあまりに身体を震わせる。
私の事は気が付いていないのかその人はゆっくりと教室の前へと移動してくる。
そしてその人はゆっくりと口を開いた。
「朔田流星です・・・」
「えっ・・・?」
しかし、その人は朝とは別人のような弱弱しい雰囲気を出していたことに私は驚きを隠せなかった。
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