バンドリ! コズミックパーティー(仮   作:ツナ缶マン

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小ネタ投稿
合宿です。

今回は誰が人類やめてしまったんでしょうか・・・



特・別・訓・練-3 合宿に行こう!!~地獄のシェイプアップ・人類卒業篇~

「死ぬ~死んじゃうよ~モカ~!!」

 

「ふえぇ~!!日菜ちゃーん!!」

 

地獄の合宿が開始され、初参加の2人はキャラ崩壊しながらその場でオロオロしてから一緒に強制参加させられた2人へ視線を送るが―――

 

「「・・・・・・」」

 

彼女達の目は死んでおり、言葉に耳を貸すことはなかった。

 

「ほら、早く行きますよ~・・・」

 

「リサさんの飯が待ってるからな!!」

 

「ブシドー!!」

 

そんな彼女達を他所に美咲たちは”3人”でバスを押し始める。

 

「前見えないからちょっと怖いですね・・・」

 

「これならヒモで引っ張ったほうが楽だな・・・」

 

「まだ平地だからね。山はきつそうだなー」

 

「「「「・・・・」」」」

 

「お~い!!いくぞ~!!」

 

目の前で繰り広げられている光景にモカ達は言葉を失ってしまったが、巴の言葉に我を取り戻すも全く戦力になることは無くそのまま移動を続け、約半日を掛けてバスを押して合宿所まで到着した一同。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彩たちは着いて早々に地面に倒れ、巴達も疲労が隠せずにいた。

 

「それにしてもきつかったなー!!」

 

「まぁ・・・ほぼ最初から3人だけだったし・・・」

 

「そういえばリサさんはどうなっているんでしょう?ずっとバスの中ですけど・・・」

 

「途中すげー悲鳴聞こえたもんな・・・」

 

「噂をすれば出てきた・・・あれ・・・?」

 

美咲はバスの中から降りてきたリサと黒服を見るが様子がおかしい。

リサがバスから降りてきたがその足取りは非常に軽やかだったが、その後に続いて降りてきた黒服がカタカタと震えていた。

 

「みんな~。おつかれ~!!って彩たちは死にそうになってるね~☆」

 

「どうしたんですか・・・?リサ先輩。働きすぎておかしくなっちゃったんですか?」

 

「バスの大半が野菜でしたよ・・・?全然終わらなかったのでしょうか・・・?」

 

「でもそれならなんであんな楽しそうにしてるんだ?」

 

3人はリサの様子がおかしい事に疑問を感じていたが、その答えは震えていた黒服からスグに出た。

 

「いえ・・・。あの量を数時間で終わらせてたんですよ・・・。本来なら1日以上かかる量なのに・・・」

 

「流石に野菜だけだとしんどかったけど。意外といけるもんだねー☆」

 

「「「・・・・・・」」」

 

「それじゃ、アタシ厨房行ってくるから~」

 

あまりの衝撃に言葉を失ってしまった。

常人ではこなせない作業量をこの短時間でこなしてしまったリサも人間を卒業してしまったのだ・・・。

 

楽しそうに歩くリサの背中見送る巴達だったが、彼女達の合宿は本番は日付が変わった途端に始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このクズども!!トロトロ走るんじゃない!!・・・丸山ァ!!ジジイの***みたいにヒィヒィいいおって!!」

 

「ひぃ~!!」

 

朝のランニングに始まり―――

 

 

 

 

 

「そうじゃない!!稲妻を食らい、雷を握りつぶすようにうつべし」

 

「言ってること全然分かんないですけど・・・やってみます!!・・・ソイヤッ!!」

 

「トモちん・・・」

 

サンドバッグに拳を叩きこみ―――

 

 

 

 

 

「1!!2!!3!!・・・ってなんでテニスの素振りなの~!?しかもすっごい重いし!!」

 

「上原さん。これフレームに鉛が入ってるんだって」

 

「美咲ちゃんはなんでそれを普通に素振りできるの!?」

 

「慣れかな・・・それにラケットだったらまだましだよ?あっちのに比べたら・・・」

 

 

「ブシドー!!ブシドー!!ブシドー!!」

 

「イヴちゃんはなんでそんなおっきな刀を素振りできるの・・・?」

 

「刀の気持ちになるんですよ!!ヒナさん!!」

 

「あはははははは・・・・・・おねーちゃーん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして彼女達は日付が進むのに合わせて着々と自身に課せられたメニューを消化していった。

 

「・・・って美咲、イヴ。他のみんなは?」

 

「全員あそこで伸びてる・・・」

 

「でも、どうしましょうか?次まで時間ありますよ?」

 

「それならアタシはちょっと走ってくるか・・・」

 

「トモエさん!!そういえばこの辺りでクマが出たそうですよ?アヤさんが言ってました!!」

 

「クマ?それならそこにいるだろ?」

 

「いやいや、ミッシェルじゃなくて・・・」

 

「お~い!!みんな~!!」

 

3人の会話している最中にバイト中のリサが3人を見つけてニコニコ顔で駆け寄ってくる。

 

「リサさん!!バイトはどうですか?」

 

「うん!!すっごい楽しいよ?それにベース触る時間も取れてるし最高の仕事だよ~。みんなは楽器触ってるの?」

 

「あ~触っちゃうと時間忘れてやっちゃいそうで・・・」

 

「私もですね・・・」

 

「なるほどね~。そうだ!!今日の夕飯希望あるかな?最後だからみんなの希望聞いておこうと思ってね~☆クマって言ってたけどクマ肉食べたいの?」

 

「そう言えばアタシ、クマ肉って食べたコトないから食べてみたいかも・・・」

 

「巴?急にクマなんてどうして~?」

 

「えぇっとリサ先輩・・・この辺りでクマが出たらしくて・・・」

 

「ミッシェル以外にクマなんているの?・・・まぁ、とりあえず参考にしてみるね~。それじゃアタシ仕事戻るから」

 

「リサさんも仕事頑張ってください」

 

「そしたらアタシはやっぱり走ってくるよ。それじゃ後でな!!」

 

「って行ってしまいましたけど大丈夫でしょうか?」

 

「まぁ・・・こころのところだし、そんなとこの近くにはいるわけないでしょ?それにいたとしても簡単には会わないでしょ?」

 

リサが仕事に戻ると巴も身体を動かすべくランニングへと出てしまった。

その背中を美咲たちを嫌な予感を感じながら見送っていたが―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(出会ってしまった・・・)」

 

美咲たちの悪い予感は的中してしまった。

ランニング中の巴の前に現われたのは野生の熊は何を思ったのか後ろ足だけで立ち上がって見せて巴を威嚇する。

 

「デカ・・・くはないな。ミッシェルの方がデカい・・・・・・えっ?なんで木が?」

 

「~~~!!」

 

「うわぁ!?来た!?」

 

巴は無意識に熊を見て恐怖を感じて後ずさり、そして気が付くとその背中を木へとぶつけてしまう。

それに合わせて熊の前足が巴に振り降ろされるが、彼女は屈むと数本の髪の毛とと共に後ろにあった木がなぎ倒される。

 

巴はそのまま走って逃げるが、振り向くと物凄い勢いで距離が詰まっていた。

 

「逃げられない・・・!!やられる・・・!!」

 

熊との出会いに巴は死を覚悟した瞬間、走馬灯がよぎった。

 

そしてその中であこや蘭達の思い出が見えた途端、巴は我に返った。

 

「こんなところで死んでたまるか・・・あこが・・・蘭やつぐが帰りを待ってるんだー---!!」

 

 

 

 

 

 

 

叫びと同時に巴は足を止めて振り返り、突っ込んでくる熊を迎え撃つように巴は拳を熊の眉間へと叩きこむ。

巴の拳を食らった熊がよろけるのを巴は見逃さなかった。

 

 

「倒れろ!!倒れろ!!倒れろ!!倒れろ!!倒れろ!!倒れろ!!倒れろよぉー--!!」

 

巴は恐怖で泣き叫びながらも連続で熊へと拳を叩きこむ。

そして何発叩きこんだか分からないが突然巴の拳が熊から外れる。

 

拳を外したことに巴は危機感を覚えたが、熊は彼女の横へと倒れこむとそのまま巴は気が抜けてしまいその場にへたり込む。

 

「ははは・・・やった・・・!!とりあえず後は黒服さんに話して・・・」

 

巴は呟きながら立ち上がると近くに寄っていた小さな存在に気が付いた。

 

「小熊・・・?そっか・・・こいつ・・・」

 

それを見た巴は倒した熊が目の前にいる小熊の親であることを察するとそのままゆっくりと立ち上がる。

 

「達者でな・・・」

 

そう呟いて巴は熊たちに背を向けて走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「・・・・・・・」」」」

 

そして合宿のメニューを全て終えた彼女達。

巴達は食事を待ちながら会話を楽しむ一方で、モカ達は体力の限界を超えており、彼女達の会話も耳に入らずに机に突っ伏して動くことが出来ずにいた。

 

「トモエさん?本当に熊に襲われたんですか・・・?」

 

「あぁ!!彩さんの言う通り本当に熊がいて襲われたんだって!!」

 

「宇田川さん?普通、野生の熊に襲われたら生きて帰れないと思うけど・・・?」

 

「そうですよ!!トモエさん!!」

 

 

「はーい!!みんな~。今日の晩御飯だよ~!!って今日も相変わらずヒナたちは死にかけてるね~・・・」

 

巴は先ほどの熊の1件を話していたが、他の2人もあまりにも現実離れした出来事に巴の言葉を疑っていた中で、リサが晩飯を持って彼女達の前に現れた。

 

「待ってました!!」

 

「最後の晩餐ですね!!」

 

「なんか横見ると別の意味に聞こえる・・・」

 

元気溢れる巴達は横で死んでいるモカ達へ視線を送るが、食事を前にして少しだけ元気を取り戻してさながらゾンビのようにフラフラと身体を起こしていた。

 

 

「うえぇぇぇ・・・」

 

「だるいよぉ・・・」

 

「う~・・・ごはん~・・・」

 

「リサちー・・・今日のご飯なに~・・・?」

 

死にかけの日菜はリサへとメニューを聞くと、リサはニコニコしながらその質問に答える。

 

「今日は特別メニューで・・・巴のリクエストの品だよ~☆」

 

「リクエスト・・・?アタシそんなのした記憶ないですけど・・・?」

 

「えぇ~?さっきしてたじゃん。今日のメニューは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クマ肉を使ったクマ鍋だよ~」

 

「私!!クマは初めてです!!アヤさん!!」

 

「そうだね。クマ肉なんてこんなのあっちじゃ食べられないから」

 

「なんかるんっ♪ってきたかも・・・」

 

「美咲ちん。ミッシェルがクマ食べていいの・・・?」

 

「いやいや、流石にそれは・・・」

 

「凄いね!!巴!!・・・巴?」

 

「いや、なんでもないぞ・・・?」

 

リサの言葉に死にかけていたメンバーが物珍しいメニューに元気を取り戻したが、巴はメニューを聞いて少しだけ顔をしかめた。

 

「それじゃ食べよっか!!」

 

「「「「いただきまーす」」」」

 

リサの号令に全員が答えてから箸を鍋に伸ばし始める。

 

「う~。濃厚ですな~」

 

「匂いが気になるけど・・・案外癖になるかも・・・」

 

「まぁ・・・新鮮な肉だからね~」

 

リサの言葉に全員が箸を止めて、その視線が彼女へと集中する。

 

 

 

「新鮮・・・?まさかリサちーが取ってきたの!?」

 

「私が仕留めたわけじゃないよ?料理修行って言われて狩りに連れてかれてね・・・その時のだよ~。捌き方は教わりながらやったけど・・・。アハハ・・・」

 

リサはその事を思い出して疲れた表情を浮かべて乾いた笑い声を出すが、周囲からは賞賛の声が響く。

 

「すごいですよリサ先輩!!」

 

「私は捌いただけだしね~・・・。でも、運が良かったよ」

 

「運がよかった?どういうことですか?」

 

「狩りに連れてかれた後、なんでか分からないけど瀕死の熊が歩いててね・・・。一緒にいた黒服さんがズドン!!って・・・それでその後は皮とかの処理してもらってからは私がね~。だからちゃんと残さず食べてね」

 

「・・・・・・」

 

 

 

 

そのリサの言葉を聞いて巴は持っていた箸を落としてしまった。

それと同時に彼女から一気に汗が噴き出してくる。

 

「トモエさん?お箸落としましたよ?」

 

「あの・・・?リサさん?もしかしてその熊って眉間のところに怪我してませんでした?」

 

「うーん。私は直接は見てないんだけど・・・。眉間に何かがぶつかった跡があったって言ってたような・・・」

 

「もしかして・・・近くに小熊が居ませんでした?」

 

「小熊・・・?えぇっと・・・」

 

リサが何かを思い出すように唸っている。

その時間が長かったから巴は自身の考えすぎと思い込んでそのままクマ肉を口へと運ぶと同時、リサが思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうそういたよ!!」

 

「ブフォ!!」

 

「トモちん汚い~」

 

「まぁ、銃声で逃げちゃったんだけどね~」

 

その言葉を聞いた巴はすかさずリサの肩へと掴みかかる。

 

「折角見逃したのになんてことを・・・!!小熊はどうなるんですか!?」

 

「えぇ~!?どうしたの巴!?だってさっき食べてみたいって言ったから一生懸命に作ったのに!?」

 

「うぅ・・・!!」

 

「巴!?どうしたの!?」

 

その言葉を聞いて巴はリサから手を離す。

状況が分からない一同だったが、巴はクマ鍋に視線を移すと途端に泣き始める。

 

 

 

「チクショウ・・・こんな姿になっちまってよ・・・!!こんな姿になっちまうなら・・・・・アタシが止めをさしておけば良かったよ・・・!!」

 

「あの~これどういうこと・・・?」

 

「モカちゃんもよく分かってません~」

 

「リサさん実は・・・」

 

泣き始める巴を前に状況が分からないリサたちへ美咲が先ほど巴から聞いた話を伝える。

 

「嘘でしょ・・・!?」

 

「でも、トモちんがあんなに泣いてますよ・・・?」

 

「宇田川さん本当にクマを殴り倒したんだ・・・」

 

「ブ・・・ブシドー・・・」

 

巴の話を話半分に聞いていた美咲たちも目の前の泣いている巴の姿を見て先ほどの話が真実であることを察してしまった。

 

「くそっ・・・何がクマ鍋だよ・・・!!何がクマ肉食べてみたいだよ・・・!!」

 

「「「・・・」」」

 

目の前で巴が鼻水までたらしながら泣き顔を晒しているという考えられない光景に一同は言葉を失ってしまう。

 

そんな巴は鼻水と涙を拭いながら鍋へと箸を伸ばす。

しかし、彼女以外の箸が動いていないことに気が付いた巴は泣き顔をリサたちへと晒しながら訴えかける。

 

 

「どうした?皆・・・!!食べないのか?」

 

「「「えっ~っと・・・」」」

 

「その~・・・」

 

「「・・・」」

 

巴の表情を見て言葉に詰まる一同だったが、それを気にするのを辞めて巴は箸を動かし始める。

 

 

 

 

「アタシは食うぞ!!こうなったら最後の最後まで食ってやるのが最大の弔いだ・・・!!みんなも残さず食べろよ!!ちくしょう・・・ちくしょう・・・!!」

 

こうして巴は女の子が見せてはいけないような泣き顔のまま、鍋を食べ始めるが一同は苦笑いを浮かべ箸が止まってしまう。

 

「流石に・・・あそこまで泣かれると食べずらいんだけど、巴の言う通りちゃんと残さず食べないと・・・」

 

「ですね~・・・。リサさんも頑張って作ってくれたんですし・・・」

 

「あたし・・・この食事がどの合宿メニューよりもキツイんだけど・・・」

 

「ブシドー・・・」

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日、合宿を終えた一同は羽沢珈琲店へと送り届けられて店の片隅には疲労困憊の少女達が床に積み上げられていた。

 

「うぇぇ・・・・・・」

 

「死んじゃうよ・・・」

 

「おねーちゃん~アハハ・・・」

 

「パン~・・・」

 

 

 

 

 

「みんな独り言呟いてますけど・・・これなんですか・・・!?」

 

「つくしちゃん。合宿終わりならいつもの事だから・・・」

 

「でもイヴ先輩とかリサ先輩たちは平気そうですよ・・・?」

 

「まぁ・・・ってあれ?つくしちゃん?そのヘアゴム可愛いね!!」

 

「えっ・・・これは妹とお揃いのクマのヘアゴムで・・・」

 

「クマ・・・うゎぁああああああああ!!」

 

クマのヘアピンを見て店の外へと駆け出してしまった巴と入れ違うように友希那と紗夜が客として店のドアを開けその光景に驚いていた。

 

「友希那さん!!紗夜さん!!いらっしゃいませ!!」

 

「友希那!!紗夜!!いらっしゃーい」

 

「っ日菜!?ちょっとしっかりしなさい!!何があったの!?それに今井さんも1週間も学校休んで!?」

 

「日菜達もだけれど、さっきの宇田川さんはどういうことかしら?」

 

「実は・・・」

 

ここで美咲は巴が素手で熊を倒したことを一同に報告していた。

 

 

「ははは・・・クマを・・・素手で・・・?」

 

「冗談ですよね・・・?」

 

「これ、その時のクマ鍋の写真・・・」

 

「「「「・・・」」」」

 

信じられない話を聞いた紗夜達だったが美咲が見せたクマ鍋の写真を見て脳の容量が限界を迎えてしまった。

 

 

「あはは・・・」

 

「ははは・・・」

 

「ツクシさん?どうしたんですか?」

 

「おーい紗夜先輩?ってダメだこれ・・・」

 

「ミサキさん。私はツクシさんの代わりに働いてきます!!」

 

「少し友希那と話してからでいいならアタシも厨房手伝うよ~。

帰ってきて料理の腕試したいんだよね~☆つぐみは珈琲入れてくれる?流石に店の味はマネできないからね~☆」

 

「あたしは紗夜先輩達を寝かしたら、もう少しゆっくりしていきますね~・・・」

 

そう言って美咲は紗夜とつくしをモカたちの上に乱雑に積み上げるが、店にいる客も従業員もその事は誰も気にする様子はなかった。

 

「リサがバイト中の練習の動画を燐子達と見てたけど、あなただいぶ腕をあげたわね」

 

「楽器もそうだけど、料理の腕も上がったんだよ~」

 

「そう・・・」

 

「それと友希那!!バイト代で結構入るからこれからは練習時間増やせるよ!!」

 

「それならいいわ。そういえば紗夜はあれをバンドTシャツとして売ったらしいわ・・・」

 

「えっ!?それって今着てるあのダサ・・・・・・じゃなかった、趣味悪いのを!?」

 

「しかも、それなりに売れてるらしくて桐ケ谷さんが頭を抱えてたわね・・・。それに私もなんとかしてきたわよ・・・」

 

「えっ!?あの音楽以外何もできない友希那が!?」

 

「失礼ね・・・」

 

 

 

そういうと友希那は持っていたカバンの中を漁り、机の上に1つの札束を叩きつけた。

 

「友希那!?これどうしたの!?」

 

「白鷺さんから紹介でカメラの前でご飯食べてたら貰えたわ。あれは何だったのかしら・・・?でもこれでスタジオ代は当分心配しなくていいからいいじゃない」

 

「あはは・・・。アタシそろそろつぐみ達の手伝いしてくるね?」

 

そう言ってリサは現実逃避するためにつぐみの店の厨房へと姿を消す。

 

 

 

「リサの料理の腕が上がったって気になるわね・・・。羽沢さん。リサの事見ててもいいかしら・・・?」

 

「いいですけど・・・。ちょっとリサさんが言ってたこと気になりますし・・・」

 

そういって友希那達はリサが入っていった厨房の入り口から中を観察するとそこにはこの世の物とは思えない光景が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにあれ・・・」

 

「どういうことかしら・・・」

 

2人が見た厨房の中ではリサが包丁を振るっていた。

それだけだったら普通の光景だったが、問題は彼女の包丁の振るい方だった。

 

「私の目がおかしくなったのかしら?」

 

「いえ・・・多分おかしくなったのはリサ先輩です・・・」

 

彼女達が目にしたものはフルーツタルト用の果物たちが切り分けられている光景には何もおかしなところはなかった。

ただ1振りで全ての食材を切り分けたこと以外は―――

 

 

「・・・ん?つぐみに友希那?どうしたの?」

 

「リサ・・・あなた今、一振りで果物切ってなかった?」

 

「そんな師匠達みたいなことできるわけないじゃん!!ただ、早めに切っただけだよ?」

 

「私達には1回しか包丁を振ったようにしか見えなかったんですけど・・・」

 

「アタシなんてまだまだだよ!!魚の口に指入れても鮮度見分けるのも精度が甘いし、それに作った料理で人の服を弾き飛ばせないしね!!」

 

「「・・・・・・」」

 

 

あの3人だけでなく、リサもまた彼女達同様に人間を卒業してしまったという事実に耐え切れなくなり彼女達は厨房の入り口で石像のように固まってしまうのだった。

 

 

 




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