遅くなりました。
そして次も遅くなりそうです・・・
明日香からの電話を受けたその日の放課後。
ポピパ達5人は蔵に集まると話を聞いていた有咲がその場にいなかった2人に電話の内容を伝えた途端と室内は一気に静まり返っていた。
「・・・」
「それで・・・どうする・・・?」
「どうするって・・・?沙綾、どういうこと?」
「香澄のこと・・・」
「まさか沙綾!!香澄を明日香ちゃんに売るつもりか!?」
「私だってそうしたくないよ!!でも!!そうしないとあことロックが!!」
「んなもん私だってそうしたくないに決まってるだろ!!だからこうやって集まってだな・・・」
「有咲はあこ達がどうなってもいいの!?」
「そんなことは言ってねぇだろ!!」
「ちょっと2人とも・・・?」
「沙綾ちゃん!!有咲ちゃん!!おちついてよ~!!」
集まった5人はどうするかを話合うが沙綾と有咲が言い争いを始めてしまい、それをたえとりみの2人がそれを止めるも蔵内の空気がどんどん悪くなっていく中で少しだけ冷静になった有咲が意見を述べていく。
「ロックとあこちゃんが攫われてる時点で、私達だけの問題じゃない。それに如月が明日香ちゃんと戦うのも分かってるだろ?」
「確かに弦太朗くんはそうすると思うけど・・・」
「そうだよ!!弦太朗が明日香ちゃんを止めてくれればいんだよ・・・!!」
「けど私達の問題をあいつにだけ背負わせる訳にもいかねぇから、私達は自分たちの意見を纏めておかないといけないんだよ・・・」
「自分たちの意見って有咲?どういうこと?」
「分かりやすく言うなら”あこちゃん達を見捨てる”か”香澄を見捨てる”どうかってところだな・・・」
「そんなの・・・決められないよ」
「おたえの言う通り、でもさっきも言ったけどあこちゃんとロックが絡んでる時点でもう私達だけじゃなくてRoseliaとRASの問題でもあるんだよ」
「それはそうかもしれないけど・・・」
「もしかしたらそこの2バンドが「2人のために香澄を出せ」って言ってくるかもしれない。だからもしそうなった時に私達はどうするか考えないとダメなんだよ」
確かに時間が来る前に弦太朗が明日香を倒して止めるのが一番良いとは思っている。
思ってはいるが、弦太朗が時間までに明日香を倒せなかった最悪の場合にどうするのかを決めておくべきと言うことも理解は出来るが内心全く納得が出来なかった。
全員が何も言えない空気の中、とある人物の言葉が響く。
「香澄ちゃんはどうしたいの・・・?」
「・・・!?」
「りみ・・・?」
「いくら考えても私達には決められないなら香澄ちゃんが決めるのがいいんじゃないかな・・・?」
「おい!!りみ何言って!!」
「香澄ちゃんが決めたことなら私は納得できるから・・・」
「私もかな・・・」
「おたえまで!!」
余りにも重要すぎる選択をりみに迫られて香澄は狼狽えてしまい、そんな様子を見て有咲達は言葉を荒げてしまう。
「ぅ・・・ぁぁ・・・」
「おい!!香澄!!どこ行くんだよ!!」
そんな光景に香澄は耐えられなくなってしまい、香澄は蔵を飛び出してしまい入れ替わるように弦太朗が蔵へと入ってくる。
「なぁ?香澄が飛び出して行ったけどどうしたんだ?」
「それが電話の事で・・・」
後から来た弦太朗へりみがこうなってしまった経緯を話すと弦太朗は何となくで状況を理解すると彼女達に背を向けて蔵の外へと歩き出す。
「・・・とりあえず香澄のこと探してくる。今から行けば間に合うだろ?」
「弦太朗!!待って!!弦太朗が行ってもどうしようもないよ!!」
「沙綾・・・?どうして先輩じゃダメなの?」
「・・・だって弦太朗は家族がいなくなっちゃう怖さは分かんないよ!!」
「・・・」
「おい!!待てって!!」
しかし、蔵を出ようとした所を沙綾が静止するが、その際に言った言葉を聞いて弦太朗は沙綾達の方へと振り返ることはなくそのまま蔵を飛び出して香澄の後を追った。
その背中を見送った彼女達、その中で1人は普段では見せないような明確な怒りを浮かべていた。
「沙綾ちゃん・・・」
「りみりん・・・?どうしたの・・・?」
「弦太朗くんに言ったさっきの言葉・・・本当にそう思って言ったの?」
「りみ・・・?一体どうしたの・・・?」
「どうなの・・・!!」
「っ!?」
「りみ、いつもと違う・・・」
「待て待て!!りみが何で怒ってるのか分かんねぇよ!!ちゃんと教えてくれよ?」
普段は見せないりみの表情に沙綾は怯んでしまい言葉が出せなかった。
そんな沙綾を見て有咲はりみにどうして怒りだしたのか理由を尋ねるとりみは静かに語りだし、そして全てを語った後、話を聞いた3人は言葉を失ってしまう。
そんな中、沙綾は自身の言葉を後悔して激しく震えだしてしまう。
「私・・・最低だ・・・」
「「「・・・」」」
そんな呟きが響くが誰もその呟きに誰も答えることが出来なかった。
その一方で香澄を探して弦太朗は街を走っていた。
「どこ行っちまったんだ・・・?とりあえず少しだけ休むか・・・って」
そう言って立ち寄った公園。
そこに設置されたベンチに1人、香澄は座って俯いていたのを見つけた弦太朗はゆっくりと歩いて彼女の前へと向かった。
「香澄、なにやってんだ?」
「・・・!?・・・ぁ・・・」
弦太朗の言葉を聞いた香澄は声を出そうとするが声が出せず、スマホを取り出すとそのまま指を走らせる。
『電話の事で喧嘩になっちゃって・・・』
「それで逃げてきたって訳か?」
『うん。そう言えば有咲達は?』
「分かんねぇな。みんなをおいて蔵から出て行っちまったからな・・・」
『ねぇ?ゲンちゃん先輩は、家族とか大切な人が居なくなっちゃったことってあるの?』
「それ蔵から出る時に沙綾も同じようなこと言ってたけど、実は小学生の時に交通事故で親が2人とも死んじまってな・・・」
「・・・!?」
弦太朗の言葉に衝撃を受けた香澄は驚きに表情を浮かべると、指先が震えながらスマホに指を走らせる。
『それってみんなは知ってるの?』
「知ってんのはりみと蘭にレイ、それと・・・りみの姉貴のゆりだけだな」
『・・・さみしくないの?』
「あんま覚えてねぇってのもあるけど、爺ちゃんとかダチがいるからな」
『私はあっちゃんが居なくなっちゃいそうで怖いよ。それにあことロックの事もどうしたらいいんだろ・・・』
その文字を見た弦太朗はおもむろに香澄の頭に手を置くとその髪をわしゃわしゃと撫で始める。
「なに考えてんだ?」
『あこ達のために私が行ったほうがいいのかな?友希那さんとかレイヤさん達がそう言うかもしれないし・・・』
「何言ってんだ?あいつらがそんなこと言う訳ねぇだろ?」
『だったらどうするの・・・?』
「あこもロックも明日香もみんな助けるに決まってんだろ?」
弦太朗の言葉を聞いて香澄の指が止まる。
そんな香澄を見て弦太朗は普段通りの様子で彼女に問いかける。
「香澄はどうしたいんだ?」
『あっちゃんとまた一緒に居たいし、ロックもあことライブもしたい・・・!!』
「それなら難しく考えねぇで明日香に自分の想いをぶつければいいんだよ!!」
『でも、どうしたらいいんのか分かんないよ』
「ピンチの時に助け合うのがダチってもんだ。明日までは時間があんだからそれまでに考えりゃいいんだよ!!」
難しく考えていたところに単純すぎる弦太朗の言葉を聞いた香澄はスマホへ指を走らせて画面を見せる。
『だったらゲンちゃん先輩!!明日一緒にあっちゃんのところに行って!!それでロックとあことあっちゃんを助けてよ!!』
「おう!!みんなで3人とも助けようぜ!!」
その言葉と共に弦太朗は手を差し出すと香澄はそれを見て差し出された手を握り、友情のシルシを行うと2人は顔を見合って笑いだす。
そして弦太朗は再び香澄の手を取ってベンチから立ち上がらせる。
「だったら明日に備えて、しっかり休まねぇとな!!」
『それだったら今日もこころんの家にお泊りすることになってるから!!ゲンちゃん先輩もだよ!!』
「まじか・・・あの贅沢過ぎんのには慣れねぇんだよな・・・」
そんな他愛ない話をしながら彼らは弦巻邸へと向かって歩き出し泊まることになるのだが、弦太朗は日付が変わるまで香澄以外のポピパのメンバーとは誰一人話すことはなかった。
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