これ前半の奴やばくな~い?
千聖を先頭にして彩を引き摺った弦太朗とイヴがその背中を追う。
そんな一行の姿が学内の生徒達の視線を集めるがそれを気にすることもない彼女達は学校の前に止まってるタクシーを視界に捉えていた。
「なんだ・・・?あのタクシー?」
「私が呼んでおいたの。ほら弦太朗、彩ちゃんを座席にぶん投げなさい。イヴちゃんは私と後ろに乗るわよ」
「おう・・・」
「ブシドー!!」
千聖の威圧感のある笑顔に押されて弦太朗は言われるがままに彩をタクシーの後部座席へと座らせる。
その横にイヴが座るのを見た千聖は弦太朗のネクタイを掴むとそのまま顔を自身の元へと引き寄せた。
「ぐぇ!?」
潰れたカエルの鳴き声のような声を挙げる弦太朗は千聖を見るが思った以上に顔が近くにあったことに驚きを隠せず、恥ずかしいのか顔は少しだけ赤くなっていたが彼は思ったことをそのまま口にした。
「さっきからネクタイを締めたり、引っ張たりすんなって!!」
「弦太朗?さっき香澄ちゃんにネクタイを結んでもらってたけど・・・。一応は私のマネージャーなのだから他の女にデレデレしないで貰えるかしら」
「デレデレなんてしてねぇ!!」
「傍から見たらそう見えるのよ!!」
弦太朗の言葉に千聖も声を荒げると彼女達は周囲の生徒達の視線を集める。
それに気が付いた千聖はすぐに咳ばらいをして落ち着きを取り戻した。
「ともかく!!あなたは
妙に自分のであることを強く主張する千聖。
その言葉は周囲の生徒に聞こえたらしく、周囲が色めき立つのを見た千聖の口角がわずかに上げると現状をよく分からないといった様子で首を傾げていた弦太朗へと視線を送った。
「ん?よく分かんねぇけど気をつけるわ」
「えぇ、そうして頂戴。そしたらあなたもタクシーに・・・ってそうだ、バイクは大丈夫かしら?」
「行きは大丈夫だけど、帰りは麻弥が乗るからその前にはバイク呼べばいいだろ」
「バイクを呼ぶって普通に考えたら物凄いパワーワードよね・・・。とにかくあなたも乗りなさい。事務所のスタジオで練習よ」
「おう!!」
周囲の騒ぎを放置して2人もタクシーへと乗り込むとそのまま学校を後にして、一同はパスパレの事務所へと向かっていった。
―――――――――――
「・・・こんなもんすかね?」
ジブンは皆さんが来る前に機材チェックを行ってましたが、今日はちょっと・・・
いやか~な~り気が重いっす・・・
「はぁ・・・」
ため息と一緒に頭に過ったのは目の前で起こった事故―――いえ、自分たちを狙った事件。
自分たちが最初は事故だと思ってましたが、あの後に襲われたことで確信しました。
今までのは全てただの偶然の事故じゃなくて、その全てに犯人がいてアイドルを狙った事件だったんですね・・・
そして昨日はジブン達―――いえ、彩さんを狙ったけど日菜さんが助けて失敗したからその後すぐに直接自分たちを襲わせたけどイヴさんが返り討ちにした。
そのお陰でみんな大怪我はせずに済みましたが―――
「本当に昨日だけで終わりなんでしょうか・・・?」
「麻弥ちゃん?何独りでブツブツ言ってるの~?」
「って日菜さん!?」
「麻弥ちゃんやっほ~」
そこにいたのは病院にいるはずの日菜さん。
大怪我ではなかったものの、大事を取って数日入院するはずでしたが・・・
「病院はどうしたんですか!?」
「えぇ~だってつまんないんだもん。抜けてきちゃった!!」
「はぁ・・・」
「麻弥ちゃん?頭痛いの・・・?」
つまらないと言う理由だけで病院を抜け出してきた日菜さんにジブンは頭痛を覚えて頭を抑えてしまいましたが、その原因から心配されるのは少しイラっとしますね・・・
ですが、それ以上に心配なのはこの状況で千聖さん達が来るのが一番危ないですね。
何を言われるか分かったものではありません。
「あの?日菜さん。とりあえず今日はもう病院に戻りませんか?ジブンも一緒に行きますので・・・」
「えぇ~だって~。お姉ちゃんもいないし、やることないしつまんないよ~!!」
「ダメですよ!!こんなところ千聖さんに見られたら!!」
「あら?私がどうかしたのかしら?」
「千聖さん・・・!?」
しかし、ジブンの心配も無駄だったようで、スタジオの入り口には既に千聖さん達がやってきてしまっていました。
急に胃が痛くなるような感覚を覚えると、
「千聖ちゃんやっほー!!」
「ヒナさん!?」
「あなた病院にいるんじゃないの!?」
「つまんないから抜けてきちゃった!!」
「うぅ・・・」
あっけからんとした様子で答える日菜さんを見て、千聖さんは目に見えて怒ってますが日菜さんはそれを気にすることも無くケラケラと笑っている光景にジブンの胃はすぐに限界を迎えてしまい、その場でお腹を押さえ始めてしまった。
「おい麻弥大丈夫か?」
「あぁ如月さんですか・・・ちょっと胃が痛くなっただけなので大丈夫で・・・如月さんっすか?」
「麻弥?どう見たって俺だろ?何言ってんだ・・・?」
ジブンが視線をあげたその先には如月さん・・・?でいいんですかね?
千聖さんが自分のマネージャーと言う名目でボディガードをしてもらうのは聞いていました。
首から上は如月さんでも服がいつもの学ランと違うので思わず聞いてしまいましたが、やっぱり本人で余りの変化に言葉が出ませんでした。
「あ~ゲンちゃんがスーツ着てる。変なの~!!」
「似合ってねぇか?」
「う~ん。それはそれでるんっ♪ってするからいいんじゃない?」
「相変らずよく分かんねぇ・・・」
「そういえば何でゲンちゃんはここにいるの?」
「今度のライブまでの臨時マネージャーってやつだな!!」
「そういえば、病院にいたから日菜ちゃんには連絡してなかったわね・・・」
「ふ~ん。ところで彩ちゃんは?」
「それだったら、イヴが・・・」
「お待たせしました!!」
興味が無くなったのか日菜さんは如月さんから彩さんへと興味の対象が変わったみたいで、彩さんの事を聞き始めたのと同時にイヴさんがスタジオへとやってきましたが、その手には彩さんの腕を持って引き摺ってやって来たみたいでした。
「あの・・・彩さんは・・・」
「マヤさん!!アヤさんはチサトさんに負けたんです!!」
「はぁ・・・?なるほど」
彩さんの事ですから如月さんがパスパレのマネージャーになるって周りに自慢したけど、実際は千聖さんのマネージャーということを思い出して恥ずかしさで気を失ったといったところでしょうか?
それにしても練習のために集まってましたが日菜さんのせいで脱線してしまいましたね・・・
ジブンがそれを指摘しようとするとお腹が痛くなってきてしまって・・・
いったいどうすれば・・・
「皆さん!!練習しましょう!!」
その言葉を聞いたジブンは感動の余りに泣きそうになってしまいました!!
千聖さんもイヴさんの言葉で我に返って表情を作ってますね・
「そうね。ライブは今週末で時間も無いから最後に追い込まないといけないわね」
「るんっ♪ってきた~!!」
「日菜は怪我してたんだろ?今日はやめとけって・・・」
「えぇ~!!」
「日菜ちゃん・・・?」
日菜さんは練習するつもりみたいでしたが、千聖さんの怒りながらの笑顔を見てつまらなそうな表情を浮かべて仕方なく了承してくれました。
でも、それと同時に日菜さんが何かを思いついたかのような笑いを浮かべるのを見て嫌な予感がしましたが勿論的中しました。
「・・・そうだ!!ゲンちゃん!!こっち来て!!」
「なんだ?」
「ちょっとそこに屈んで?」
「・・・?こうか?」
「とぉ!!」
「うわぁ!?」
日菜さんの言葉に素直に従って如月さんが屈んだ途端、日菜さんはその背中目掛けて飛び乗ってしまいました。
・・・ここまで動けるなら練習してもいいのでは?とも思いますが、さっきダメと言われてすぐには言いにくいっすね。
「じゃあ、ゲンちゃん!!このまま事務所見て回ろ!!」
「降りろって!!」
「えぇ~だって怪我人だよ~」
「怪我人はこんな飛べるか!!」
「弦太朗、とりあえず日菜ちゃんの言う通りにしてあげなさい」
「・・・千聖が言うなら仕方ねぇか・・・。ほら行くぞ・・・」
「はーい!!」
そう言って如月さんは日菜さんを背負ったままスタジオを去っていき、練習を始めようとしました。
でも、彩さんが未だに起きません。
「彩ちゃん!!練習よ!!起きなさい!!」
「あいたっ!?」
千聖さんは声を挙げながらいつの間にか手に持った緑色のスリッパで彩さんの頭を叩くと痛みと共に彩さんが起きて練習の準備を始めるのを見て、ジブンもカバンから胃薬と一緒にスティックを取り出しました。
それにしても・・・千聖さんの持っているスリッパに書かれている”毛深い”という言葉にはどういった意味があるんでしょうか・・・
誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。
"毛深い"とは中の人ネタです。
決して悪口ではありませんので気になる方は自己責任でお調べください。