投稿です。
ここからは・・・彩のステージだ()
後数話で終わるのかな・・・?
「う~ん・・・」
私は目覚ましが鳴る前に自分のベットで目を覚ますと、ボーっとしている頭の中には事務所での出来事を思い出すがそれを信じることが出来なかった私はそのまま頬を抓った。
「いひゃい・・・。やっぱり昨日のは・・・でも、なんであゆみさんが・・・」
昨日はショックに耐え切れなかった私は事務所から離れてからの記憶が全くない。
何気なくスマホを手に取ると普段起きる時間よりも早い時刻を示していて、麻弥ちゃんが事務所を離れてからの状況を物凄く長いメッセージの通知が表示されていた。
私はそれに目を通すが憧れだったあゆみさんが事件の犯人だったなんて今でも信じられない。
でも、昨日の記憶と麻弥ちゃんからのメッセージ、それにさっきの頬の痛みが夢だと思っていた昨日の事が現実だったと教えてくれた。
それを思えば思うほど胸はどんどん苦しくなって、心に影がさすような感覚と共に暗い気持ちになっていく。
こんな状況じゃ――――
「明日のライブ・・・歌えないよ・・・」
言葉に出すと私の気持ちは更に暗くなっていくが、そんな中で普段私が起きる時間に目覚ましが鳴るとそれを止める。
「学校行かないと・・・」
とても学校に行くような気分ではないが、学校に行かないと千聖ちゃんに怒られちゃう・・・
だるい体を動かして制服に着替えるけど、髪をセットする気力が起こらない。
「・・・いってきます」
私は朝ごはんも食べないで下を向いたまま家を出るが、それと同時に私は声をかけられた。
「よっ!!彩!!学校行こうぜ!!」
「えっ・・・?如月くん?」
そこには如月くんが家の前で待っていたことに驚きを隠せなかったけど、私の驚いてることなど気にする様子も見せないで私の手を引いて学校へ向けて歩き出した。
―――――――
弦太朗は彩の手を引いて学校へと向かっているが、朝も速いこともあって周囲には誰もいなかった。
「確か最初は迎えに行って一緒に学校に行って・・・次は・・・」
「如月くん?何か言った?」
「いや、何でもねぇぞ?」
「そっか・・・」
弦太朗が慣れないことをしているせいか自分の行動を確かめるようにブツブツと呟いてしまったのを彩に聞かれてしまったが彼がそれを誤魔化すと2人の間から会話がなくなってしまい無言になってしまったが、ここでどこからか腹の虫が泣く音が響いた。
「あっ・・・」
「ちょっと飯食ってこうぜ?」
「うん・・・でも、お店空いてるかな・・・?」
「沙綾のとこなら空いてるだろ?行こうぜ?」
「うん・・・」
そんな会話をしながら2人は商店街へと向かうと、弦太朗の言った通りやまぶきベーカリーは開店していたので2人一緒に入っていく。
「いらっしゃいま・・・せ・・・?」
「さまーせーる」
「よっ!!沙綾!!ってモカも何言ってんだ?」
「おはよー・・・」
「モカちゃんはパンを買いに来たんですよ~。朝ならこれなんてどうですか~?」
学校前にもかかわらず店にいたのは沙綾と買物客のモカだった。
朝から店の手伝いをしていることに感心していた弦太朗だったが、沙綾の方はそれどころではなく仲良く2人で店に来たことに戸惑いと嫉妬を隠せていなかった。
視線が刺さるのを感じてオロオロしていた彩だったが、弦太朗はどこ吹く風といった様子でモカおすすめのパンを言われるがままにレジに持って行っていた。
「サンキューモカ!!」
「ありがと・・・ね?」
「いえいえ~。パンは一日にしてならずですからね~」
「意味わかんねぇな・・・」
「あはは・・・」
「まぁまぁ~」
「それじゃ俺たち行くわ!!」
「いってらっしゃーい。ってさーや、ダメだよ~」
モカおすすめのパンを買ってそのまま店を出た2人の後ろを追いかけようとした沙綾だったが、モカが初動を潰して彼女の動きを封じていたが先の出た2人はそんなことに気が付くわけもない。
「とりあえず食べながらでいいか?」
「うん・・・」
弦太朗の提案を受けてとりあえず道の端へと移動すると2人は朝食代わりのパンを手に取るとそのまま歩きながら食べるが会話はない。
彩は弦太朗が朝からいた理由が気になっていたが、何故かと理由を聞くことはしなかった。
そんな状況で2人は学校までついてしまったが、周囲の生徒はまばらで校門で待ち構えいることが多い紗夜の姿すらなく2人で教室の前までやってきていた。
「それじゃ、また昼休みな!!」
「昼休み・・・?なんで?」
何故昼休みか分かっていない彩に弦太朗は理由を聞くと彼女の予想外の言葉が飛び出した。
「昼って言ったら飯だろ?」
「えっ?うん・・・」
「それじゃ!!俺ちょっとやることあっから!!後でな!!」
彩の言葉を聞いた弦太朗はそのまま教室に荷物を置くとどこかへ向かうが、彩は教室に取り残されていた。
「お昼・・・?」
彼女は呟くが答えてくれる弦太朗は教室に入っていってしまい、彼女は既に学校にやってきていたクラスメイトに囲まれてしまっていた。
「よぉ・・・」
「あら、早いじゃない」
彩と一旦別れた弦太朗は教室に入っていくとそこには何食わぬ顔をした千聖が自分の席で彼に向って手を振っていた。
そんな彼女の元へと弦太朗は歩み寄ると弦太朗は彼女に話しかける。
「てかよ・・・あれなんなんだよ?」
「あれ・・・?何の事かしら・・・」
「昨日の夜に連絡してきたじゃねぇか・・・」
今朝からの弦太朗は先日に千聖から連絡の通りに動いていたのだ。
朝の彩の迎えに行ったのもその1つで、彼は先ほどまでその行動を確かめるように呟いていたのを彩に聞かれていたのだ。
「あれね?・・・あれは女子が思う理想の学生カップルの行動よ?知り合いのみんなに相談して決めたのよ」
「それが朝のあれか?」
「えぇ・・・それにしても朝に手を繫いで一緒に学校に行って、2人っきりでお昼を食べる事にロマンを感じるなんて可愛らしいことを考えてるわよね・・・?」
「あれ誰が考えたんだ?」
「それは・・・女の子の秘密よ?」
誰の案だったのかを聞こうとするも、千聖は笑みを浮かべて一切答えようとしない。
それを察した弦太朗はモヤモヤしつつもそれを自身の中に抑え込むと千聖は話を続けていく。
「とりあえず、上手く行ってるみたいだから今日はこのままお願いね」
「でもよ・・・このままで明日までのいつも通りに戻るのか?」
「それはあなたと彩ちゃん次第じゃないかしら?それにこころちゃん達が何かするみたいだけれど・・・こういうとなんか心配ね・・・。何が飛び出してくるか分からないもの・・・」
「まぁ、美咲がなんとかするだろ?」
「美咲ちゃん・・・可哀そうね・・・」
そんな千聖の呟きと共に気が付けば朝の予鈴が2人の耳に入ってくると、授業の準備をして今日も授業と彩と2人での昼食と時間を過ごして放課後を迎えた弦太朗。
ここまで朝に千聖と話していたこころの行動がないことに気が付く、このまま何もないと高を括っていて何気なく彩のいる隣の教室へと入っていく。
「彩、いるか~?」
「あっ如月くん・・・どうしたの?」
「この後どっかいかねぇか?」
「でも・・・」
弦太朗は教室に入って早々に彩を誘うが、彼女は昨日の出来事と明日のライブの事で精神的に追い詰められているのが表情にはっきりと表れていた。
流石の弦太朗も彩がこの状態ではどうすることも出来ず、打開策を考えるがいい案が思い浮かばない。
完全に手詰まりになってしまったがそんな彼の元へと教室の外から救いの手が差し伸べられた。
「弦太朗!!彩!!待たせたわね!!」
「ちょっとこころ!!」
「こころ!?」
「美咲ちゃん・・・?どうしたの・・・?」
朝から全く音沙汰がなかったこころが突然現れたことに彩と弦太朗も驚きを隠せなかったが、その後ろからは美咲がこころを止めようと駆け寄ってくるが彼女は3人を気にすることなく話し始める。
「2人をハロハピのライブに招待するわ!!」
「ハロハピの・・・ライブ・・・?」
「えっ?なにそれ・・・私、聞いてないんだけど・・・」
「さっき思いついたのよ!!」
突然のこころの言葉に彩は兎も角、同じバンドの美咲まで困惑した様子を示すが当の本人は気にする様子もない。
「そうよ!!だってライブは楽しいもの!!楽しいことをしてればきっと笑顔になれるわ!!」
「ってもどこでやるんだ?」
「それは着いてからのお楽しみよ!!早く行きましょう!!みんなが待ってるわ!!」
「分かったからちょっと待てって!!」
「ダメよ!!時間がもったいないわ!!」
こころはそのまま弦太朗の腕を掴んで教室から引きずり出すとそのまま学校の外へと駆け出していく。
そんな光景を見せつけられた彩は未だに困惑した表情を浮かべていたが、そんな彼女の肩に美咲は手を置いて語りかけた。
「彩先輩、こころがああ言ったら聞きませんよ・・・。大丈夫ですよ。こころも彩さんには何もしない筈ですから・・・」
「えぇ・・・」
「花音さんに連れていかれるのと自分から行くのとどっちがいいですか・・・」
美咲の言葉を聞いても困惑した様子を浮かべていた彩だったが、美咲の諦めの表情を見て彼女も諦めた表情のままに先を言ったこころ達の後を追いかけていくのだった。
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