ふぃ~
ようやくここまで・・・
勘違いされてたかたもいましたが、令王那がポケットに入れていた丸いものは”パレオのヘアゴム”です
彼女はそれを誤って学校に持ってきてしまったんですね
決してスイッチではありません。
「はぁ・・・はぁ・・・。クッソ・・・ロック早えぇな・・・」
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・。パレオさん!!」
「・・・っ!!違います・・・!!離してください!!」
「ここまで来たんだから・・・話くらい聞いてやれよ」
「・・・でも、私はパレオではないですから」
弦太朗達の前に立つロックとますきだが、走るのと止めると同時に息が乱れ始める。
弦太朗の横に立つ彼女も今の姿を見られたことに同様していたが、ここで息を整えたロックに呼ばれて咄嗟に否定するとその場から逃げ出そうとするが、彼女の腕を咄嗟に掴んで静止させる。
腕を掴まれた彼女は逃げるのを諦めたがますき達から背を向けてしまう。
そんな状況の中で最初に声を挙げたのはますきだった。
「お前はパレオ・・・。いや、
「!?」
ますきから突然出てきた名前に驚きを呼ばれた本人は驚きと疑問の混ざった表情を浮かべていたが、それを見て名前を呼んだますきが理由を話し始めた。
「学校の奴らに聞いたんだ。パレオの写真見せたら多分そうだって・・・」
「鳰原・・・令王那・・・?」
「パレオの本名だ・・・!!それと弦太朗、これは私達の問題だから少し黙ってろ」
「でも・・・勝手にすいません・・・」
「いえ。・・・何か言ってましたか?」
「え?はい、可愛いって・・・みんな言ってましたよ・・・」
「うんうん・・・!!」
ここで少女が自身が令王那であると認めたが、令王那は学校の人間がパレオの写真を見たことについて聞かれたロックは聞いたままを答えると、その横ではますきがロックの言葉に同意するかのように力強くうなずいていた。
「そうですか・・・それならよかった。パレオは可愛いですから・・・私と違って・・・」
「はぁ?何言ってんだ?帰るぞ、パレオ」
「帰りません。パレオはもういません・・・」
令王那はますきの提案を真っ先に拒否した。
それを見てますきは思わず、自身の中で最悪の考えをそのまま口に出してしまった。
「お前・・・もしかしてRAS辞める気か・・・?」
「えっ・・・」
「何、訳わかんねぇこと言ってんだよ。お前がいねーと困るんだよ」
「パレオがいなくてもライブは出来ます・・・」
「ライブは出来るけど・・・・・・・・・可愛さが足んねぇだろ!!」
「は?」
「へ?」
「・・・」
パレオの言葉にますきは訳の分からない言葉が出てしまい、ロックとここまで殆ど黙っていた弦太朗からも声が漏れてしまう。
しかし、令王那はそれに反応しなかったのを見てますきは更に熱弁を始める。
「RASはチュチュの曲とレイの歌にお前らの可愛さが浮いてて・・・それが可愛いんだ!!」
「あの・・・ますきさん・・・それで・・・?」
「んっ・・・そうだな・・・。まぁ・・・その、とにかく可愛いんだよ!!それに私もかわいいもんが好きだからさ、お前がいなくなるとすげー寂しい」
「ですから、パレオはもう・・・」
「・・・おいロック。どうする?」
「どうするって・・・説得するって言ったじゃないですか・・・」
勢いに任せたますきの説得だったが令王那には全く届いておらず、それを見てたまらずロックへと助けを求めるように視線を送るが、ロックもどう説得していいかわからずにますきに説得を任せることしか出来なかった。
「お前が辞めたらみんな悲しむぞ。レイも心配してた。チュチュも待ってんぞ」
「・・・嘘は嫌いです。ちゆは待っていません」
「そんなことないです!!パレオさん、辞めないでください!!」
「それは無理です」
「なんでだよ!!」
全く説得を聞こうとしない令王那にたまらず声を挙げてしまうますきだったが、それを見た彼女はまるで他人事のように淡々とその理由を語り始めた。
「ちゆが一人ぼっちになっても、パレオが近くにいられたらそれでいいと思ってました」
その言葉と共に一瞬だけ令王那の言葉が停まり、彼女の頭の中では先日のパレオがチュチュから言われた言葉が頭を過る。
しかし、令王那はその言葉を飲み込んで再び語りだす。
「パレオは存在意義を失ってしまった・・・だから―――」
パレオはもうどこにもいない。
彼女がそう口にしようとしたその時―――――
「ちょっとまちゃあ!!」
「「「!?」」」
感情を爆発させたロックが吼える。
その様子に一同が驚きの表情を浮かべていたが彼女は止まらない。
「RASは5人でRASやんか!!レイヤさんとますきさんとチュチュさんと私とパレオさん!!1人でも欠けたらRASやあらへん!!」
「ロック・・・お前・・・」
「パレオさん・・・私達とのバンド楽しくないんか?」
「・・・っ!!・・・・・・それは・・・」
ますきは普段からは感じられないロックの様子に未だに驚きを隠せず、令王那もその言葉に一瞬だけ心が揺れる。
その心の揺れなどお構いなしにロックはそのまま畳み掛けていく。
「私はこの5人が最強やと思う。1人でもやっていける力を持った人たちやけど、5人が揃ったら、でら凄いバンドで―――!!全員が真剣やからえらい熱量でやれるんや!!それはでらすっごいことやし、幸せやって思う!!」
「・・・・・・」
「RASはそんなバンドなんやと思う・・・だからもっともっとって走っていける!!わやになってもみんながRASのこと、大事に思っとったら大丈夫や・・・!!これでお別れはイヤや・・・・・・」
「ロックさん・・・だったら・・・どうしたらいいんですかぁ・・・!!」
ロックの言葉を聞いた令王那だったが、その言葉に激しく心を揺さぶられてもはや今の自身が考えが全く纏まらずどうしたら良いのかが全く分からず、泣き出しながらその場に崩れ落ちるのを見たますきはロックの肩に手を置きながら、彼女も自身の思いを口にする。
「私もロックと一緒だ。ロック達とRASでバンドがしたいんだよ。パレオはどうなんだよ?」
「でも・・・だって・・・!!ちゆがぁ・・・。うわぁぁぁ・・・!!」
ますきの言葉を受けて令王那は人目を気にすることなく泣き声をあげる。
それを見たロックはおもむろに自身が付けていたシュシュを外して握りしめると令王那に向かって声を挙げた。
「でも、やない!!チュチュさんがなんて言っとったかなんて事はどうでもええ!言い訳もいらん、聞きたいのは1つだけや!!――――パレオさんはRASでバンドやりたくないんか?私はずっと夢見とったんや!!
仲間と一緒に夢中になれるバンドを!!それでやっと見つかったんや!!こんな素敵な居場所を!!
手が届くのに手を伸ばさなんだら死ぬほど後悔する―――
如月先輩にそう教わって!!それでやっと夢に手が届いたんや!!チュチュさんが!!・・・ううん。チュチュさんだけやない。レイヤさんが、ますきさんが・・・そしてパレオさんが私をただの朝日六花からRASのロックに変えてくれた・・・やから!!私はその夢をまだ終わらせたくない!!」
「でも、もう・・・パレオは・・・私は・・・どうしたら・・・?」
ロックの言葉に自分でもどうしたらいいのか完全に理解できなくなって、パレオとして令王那としてどうしたいのかが全く纏まらない。
そんな彼女を見てロックはますきに言われた通りに無言を貫いていた弦太朗を指差して言い放った。
「変身や!!」
「へっ・・・?」
「私はみんながいたから変われたんや・・・。やから!!パレオさんも・・・いや、令王那さんも!!」
「!?・・・でも、私は・・・」
初めてロックから本名を呼ばれて困惑する令王那。
説得まで後1歩と言うところにもかかわらず、令王那としての自身の無さによって最後の最後がうまくいかない。
それを見て無言だった弦太朗も我慢の限界を迎え、崩れ落ちているパレオに目線を近づけるようにその場に屈むと彼女に語りかける。
「俺のダチにパレオと似たような奴がいてな・・・。でもよ、チュチュの世話してたパレオも、今の令王那も俺からしたらどっちもパレオだし令王那だ!!」
「そうだ!!弦太朗の言う通りだ。前のお前も今のお前も私達からしたらどっちもパレオだ!!もっと自信持てよ!!」
「でも・・・」
自信なさそうに呟く令王那を見て弦太朗はそんな彼女に向けて手を差し出した。
「だったら、ダチになってくれ。今度はパレオとしてじゃなくて令王那としてな?」
「如月さん・・・・・・・・・はいっ・・・!!」
弦太朗の手を取った令王那。
それを見て弦太朗はいつものように友情のシルシをかわして2人は笑うと、遠くから2つの足音が響てくる。
「はぁはぁはぁ・・・・・・・っ!!パレオ~~~~!!」
「・・・っ!!」
足音と共に現われたのはチュチュとレイヤ。
2人は防波堤を走ってこちらに向かって来ていたが、令王那はチュチュの姿を見て逃げ出そうとしてしまうものの弦太朗がそれを腕と握って止める。
「ここまで来たんだから逃げんなって」
「でも・・・」
「大丈夫だ!!ロックも言ってたろ?変身だ!!今までの自分が嫌なら新しい自分に変わればいいんだ」
そう言って弦太朗は制服の裏に隠し持っているドライバーを見せてから、先ほど彼女が落としていたヘアゴムを彼女の手に握らせてから腕を離す。
それと同時にチュチュはその場に転ぶと令王那はそのままチュチュの元へと駆け出してチュチュの身体を起こす。
「パレオ・・・っ!!パレオ・・・っ!!パレオ・・・っ!!この前は言いすぎた・・・ごめんなさい・・・!!」
「うっ~~~~~~~~!!チュチュ様~~~~~~!!」
「パレオ!!苦しいっ!!」
「勝手に休んですみませんっ!!ご迷惑をおかけしてすいませんっ~~~!!」
「パレオ~~~っ!!」
「「うわぁ~~~~~~っ!!」」
「うぅ~~~~~!!良かったです~~~!!」
「あぁ・・・!!」
「あれ・・・・?ますきさんも泣いてます?」
「ばっ!!泣いてねぇ!!これは・・・海の風が目に染みるだけだ!!」
互いに泣きながらも互いに謝り続ける。
そんな光景を見てロック達も貰い泣きしている様子を見ていた弦太朗の横にチュチュともに走ってきたレイヤが静かに横に立って話しかけてきた。
「弦太朗、ありがとう」
「俺は何もしてねぇよ」
「ううん。多分だけど、弦太朗がいなかったらこんな結末になってなかったと思う」
「いや、これはレイ達の・・・まぁ、なんだ。丸く収まったならいいじゃねぇか」
「ふふっ・・・そうだね」
そういってレイヤは弦太朗に手を差し出すと弦太朗はそれを取る。
そしてレイヤから弦太朗に対して友情のシルシを行うと彼女はわずかに笑みを浮かべると、ここで何かを思い出し方のようにポケットからスマホを取り出した。
「どうしたんだ?」
「明日、チュチュの誕生日なんだ。マンションの方で誕生会の準備してるんだけど。折角なら日付変わる時刻は一緒にいようってますきがね・・・。電車もだけど、バイクも早めに出ないと日付変わっちゃうからね・・・・・・えっ?何これ・・・?」
「ん?どうしたんだ?」
ここでレイヤはスマホの画面を弦太朗へと向けると、そこにはとてつもない数の通知が表示されていた。
それに驚く弦太朗だったが、レイヤのスマホがたえからの着信を告げるとすかさずにレイヤは通話に出た。
「もしもし花ちゃん?どうし・・・」
『レイ!!無事!?』
「ちょっと花ちゃん?無事ってどういうこと?」
『あっと・・・えっと・・・その・・・!!』
『あ~おたえ!!ちょっと電話変われ!!もしもし?』
「その声・・・有咲ちゃん」
『あぁ・・・』
たえの電話から突然出てきた有咲にレイヤは状況が分からずに首を傾げるが、この後の有咲の言葉はレイヤに更なる混乱を招いた。
『突然なんだけど、そこに他のRASと如月いるか?』
「えっ・・・?他のメンバーも弦太朗も全員いるけど・・・」
「どうした?」
「えっと・・・有咲ちゃんが・・・」
そう言うと弦太朗はレイヤのスマホに耳を近づけるが、レイヤは気を利かせてスピーカーにすると有咲はそのまま話始めた。
『如月!!お前さっきから連絡してんのに・・・!!ってそれどころじゃねぇ!!』
「なんかあったのか!?」
「ん・・・?レイ・・・?」
「どうかしたんやろか・・・?」
スピーカーにしていたこともあってレイヤ達が話しているのが聞こえたロック達は未だに泣いている2人の邪魔をしない様に弦太朗達の元へと近づく。
しかし、電話の向こうから告げられたのは誰もが想像していない言葉だった。
『さっきチュチュのところのマンションでレイ達にすれ違った時に香澄と沙綾の奴が見たんだよ!!』
「見たって・・・?何をだ・・・?」
『スイッチだ!!』
「「なっ!?」」
「ん?」
「それって・・・前に言ってたやつか!?」
『とりあえず本当か分かんねぇけど昨日戦ったやつかもだから気をつけろ!!』
そう伝えると早々に有咲は電話を切ってしまうが、それを聞いた一同は流石にその言葉を信じられなかった。
しかし、そのまま放置するわけにもいかないと思った弦太朗はチュチュの元へと行こうとするがそれをレイヤが静止した。
「待って!!」
「なんでだ?」
「チュチュが襲ったなんて信じらんねぇんだよ。悪いけど一旦は私達に任せてくれ」
「・・・でも」
「お願い・・・!!」
「・・・分かった」
彼女達の意思に負けてしまい、弦太朗はこの場をレイヤとますきに任せてしまった。
それを見てロックは弦太朗へと近づくとこそこそと話し始める。
「スイッチって明日香ちゃんが持ってた・・・」
「あぁ、水瓶だったらホロスコープスの・・・明日香が使ってたのと似たような赤いスイッチだ」
そんな不安を他所にますきが申し訳なさそうに泣いていた2人に歩み寄っていくと、そのままチュチュ達へと話しかける。
「あ~~~。そう言えばよ。明日チュチュの誕生日だろ?折角だから日付変わる時にチュチュのマンションで祝おうぜ?」
「・・・忘れてたわ・・・」
「はっ!?そうでした!!今から準備を・・・」
「いいからすぐ行くぞ!!それとチュチュ、ポケットの中のもん見せてくれ」
「はぁ?・・・別に大したものは入ってないからいいけど・・・」
ますきの言葉にチュチュは不信感を覚えながらもポケットに手を突っ込んで中の物を取り出して見せた。
そこには有咲が言った通り、ポケットからはスイッチが出てきた。
スイッチについては話だけしか聞いていなかったがますき達。
「これか・・・」
「えっ?マッスーさん・・・?これって・・・確か・・・!?」
「なっ!?」
「えっ・・・?」
不思議そうに眺めているますき達を他所に弦太朗とロックはチュチュから出てきたスイッチに驚きを隠せなかった。
チュチュが出したスイッチ、それは間違いなくゾディアーツに変身するためのスイッチだったが、その色は夜空のような”黒色”だった――――
「これがなんなのよ・・・」
「なぁ、チュチュこれお前どこで・・・?」
「マスキング・・・これは・・・」
彼女がますきの問いに答えようとしたその時―――
突如としてますき達の周囲で小さな爆発が起こる。
「うわぁ!?」
「「キャ!?」」
それに驚き悲鳴を挙げる彼女達だったが、その爆発の後で夜の闇から複数の足音が夜の闇に紛れて防波堤の上を歩いてくる。
彼女達に近づいてくる人の気配に構える彼女達だったが夜の闇から女性が1人、ダスタードを引き連れて姿を現す。
その姿に全員がどこか既視感を覚えていたが、確実に1人だけその正体に気が付いて動揺を隠せずにいた。
「なんで・・・・・・
なんでMomがここにいるのよ!?」
そこに現れたのはここにいるはずのない人物―――
チュチュの母親である”珠手美羽 “が彼女達の前に飄々とした表情で現われた。
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