ここでタイトル回収?
竜虎相搏とはいうがここでは力量の差があり過ぎる模様
時はフォーゼ達の戦闘が始まる前まで遡る―――
「はぁ・・・疲れた・・・」
こころ達に振り回された美咲は先日からの疲労も相まって、ミッシェルに入ったまま彼女達から離れて廊下で1人休んでいた。
「昨日あんだけ働いてこれはきついなぁ・・・」
「あっ・・・美咲ちゃん・・・!!」
「こんな所でどうかされたんですか?」
「花音さんに二コリーナさん?いえ、ちょっと疲れたから休んでただけですよ?」
「そうだったんですね。確かに大変そうですね・・・」
思わず美咲から本音が零れたその時、廊下の向こうから顔のそっくりな2人が彼女へと話しかけてくると美咲は何事もなかったかのように振舞っていた。
「それよりも・・・2人ともこんな所で何してるんですか?」
「実はちょっと外から海が見たくなってしまって・・・」
「それで2人で見に行こうとしてたんだけど、美咲ちゃんもどうかな・・・?」
「いいんですか・・・?」
「はいっ!!」
「それなら・・・」
美咲は2人と共にデッキに出ると船首の方へと二コリーナを挟んで3人で外に広がる暗闇に包まれた海を眺めていた。
「日が落ちて暗くなってしまってましたね・・・」
「そうですけど、暗くてもこうやって波の音を聞いてると落ち着きますね・・・」
「美咲ちゃんはミッシェルに入ったままで落ち着くの・・・?」
「下手に頭だけ外して、こころ達が来た時に被り直すことを考えなきゃいけないよりはいいかな~って」
「そっか・・・」
美咲の感覚が理解できずに花音は苦笑いを浮かべていたが、そんなことを気にすることなく美咲はリラックスしていた。
「最近色々あったから抜ける時に力を抜いておかないと・・・」
「色々・・・そうだね・・・」
「それって昨日の・・・ですよね?」
「ああいう時の如月先輩は頼りになりますし、それに連れてきた友達も頼りになるって言ってましたから大丈夫ですよ。まぁ、昨日は他のところで問題があったから遅れてきましたけどね」
二コリーナの言葉に美咲は笑みを浮かべて答えていたが、ミッシェルの中で見えなかったはずなのに2人ともそれを感じ取ると二コリーナの口からあらぬこと事が飛び出してきた。
「もしかして・・・美咲さんは如月さんの事を・・・その・・・お慕いしているんでしょうか?」
「ふえぇ~!?」
「いやいや、あり得ないですって」
「でも、如月くんって意外と女の子から人気なんだよね」
「誰とでも仲良くなろうとする性格ですからね。まぁ・・・学校に女子しかいなくて男子と関りがないってのもありますけどね」
「ふふっ・・・そうなんですね」
「あの・・・絶対に勘違いして・・・じゃないですね。2人して揶揄ってます?」
「ふふっ・・・そんなことは無いですよ?でも、そういうのは学生の憧れだと本に書いてありましたからそうなのかと思ったんですよ?」
美咲は二コリーナの表情を見て、完全に揶揄っているのを察して指摘するが、彼女はその追及をさらっと受け流す。
そんな2人を見て今度は花音が笑いながら二コリーナに伝えていた。
「お話の中だとよくあるかもしれないけど、わたし達は如月くんとは友達だよ?」
「まぁ、友達・・・でいいんですかね?普段はこころ達と一緒になって振り回されますけど・・・」
「ふふっ・・・そうなんですね」
「でも、その時のこころちゃん達は楽しそうにしてるし。美咲ちゃんも楽しいと思ってるよね?」
「・・・まぁ、退屈はしてないですね」
「「素直じゃないなぁ(ですね)美咲ちゃん(さん)・・・」」
「だから・・・そうやって面白いことするのやめてくださいよ・・・」
普段はこんなことを言わない花音ですら二コリーナと一緒だからか、美咲をからかう様な事を言ってくる。
そんな彼女達に美咲は困ったような表情をミッシェルの中で浮かべるがそれを誰にも見せず、彼女は2人に顔を向けた。
「まぁ・・・最近は昨日みたいな大変な事とかも色々ありますけど・・・花音さんやこころ達が笑って過ごる様になればいいかなぁ・・・って・・・」
「「ふふっ・・・」」
こころ達がおらず普段以上に静かだが、それ以上に楽し気な空気が彼女達を包んでいたが―――
「3人とも!!危ない!!」
「ん・・まr・・・」
突如としてデッキにはまりなの声が響く。
美咲はそれに答えようと振り返ろうとするが、彼女の目に写ったのは、先日襲ってきたタウラスが美咲へ向けて杖を振り抜いている姿が映り―――
「がはっ!?」
「「美咲ちゃん(さん)!?」」
タウラスの杖は美咲―――ミッシェルの頭部を的確に捉える。
叩きつけられた美咲の身体は軽々と吹き飛ばされ、デッキの手すりへと激突すると、手すりに身体を預けて動きを止めるが、タウラスは動けなくなっていたミッシェルへと一気に詰め寄るとミッシェルの腹部を足で抑え込み、手すりに磔にすると再び杖を振り下ろしていた。
「このっ!!このっ!!」
「うっ・・・!!がぁ・・・!?」
「頭が・・・痛い・・・!!お前のせいで・・・!!」
「あぁ・・・うあぁ・・・!!」
タウラスは先日折られた角を抑えながら何度も杖を頭部へと振るう。
その度にミッシェルの頭部は嫌な音を立てながら左右に揺れ、ミッシェルの中にいる美咲からは苦悶の声が漏れる。
その凄惨な光景を前に誰もが恐怖で動けずにいたその時、今までとは違う音と共にミッシェルの顔の一部が抉り取られ、その箇所からは左半分だけではあるが美咲が顔をのぞかせていた。
「美咲ちゃ・・・!?」
「はぁ・・・・・・はぁ・・・」
「嘘・・・!?」
「お前のせいで・・・!!」
しかし、そこから見えたのは頭から血を流し、虚ろな目で今にも意識が途絶えてしまいそうな美咲の顔。
身体が上手く動かなくなってしまっていた彼女達の前でタウラスは美咲の息の根を止めようと再び杖を振り上げていた。
「美子ちゃん!!止めて!!」
「まりな・・・さ・・・・・・」
「邪魔しないで・・・!!」
「きゃあ!!」
操られてたとはいえ人を傷つけた罪悪感か、ただの大人としての意地か、友人を止めようとした思いなのかは分からないが、皆が恐怖で動けなくなっていた中でまりなはタウラスを止めようと振り上げられた杖にしがみ付く。
その行動にタウラスはミッシェルの腹から足を退かしてから腕を振るうと、腕にしがみついていたまりなは容易く振りほどかれてしまい、そのままデッキの上を転がっていく。
美咲がデッキを転がるまりなの姿を捉えると薄れていた意識が一気に現実へと引き戻される。
「・・・ぅあぁあああああああああああ!!」
「!?」
「うわぁ!?」
「返せ・・・!!」
美咲はがむしゃらにタウラスの腹へと体当りを決めると、運のいいことにまりなを振り払った直後で姿勢が崩れていたタウラスは美咲と共にデッキへと倒れると手に持っていた杖を手から落とすとそれはロックを足元へと転がっていくと、タウラスはロックから杖を取り返そうと彼女に歩み寄ろうとしたが突如としてタウラスは動きを止めると自身の左足へと視線を向けた。
「行かせ・・・ない・・・!!」
「この・・・!!離せ・・・!!」
「がっ・・・!!」
「ぐっ・・・!!」
そこには既に満身創痍の状態の美咲がタウラスの足にしがみついていた。
しがみ付かれたタウラスは空いている右足でミッシェルの後頭部を踏みつけると美咲からは苦悶の声が漏れるが彼女はタウラスから手を離さない。
そのタイミングでタウラスは再び頭の痛みに耐えられず自身の頭を抑え始めていた。
「美咲ちゃん!!」
「ぐっ・・・!!逃げ・・・!!はや・・・く・・・」
「・・・うん!!二コリーナさん!!」
「花音さん!?」
「六花ちゃん・・・!!」
「まりなさん!?大丈夫ですか!?」
「うん・・・美子ちゃんはそれ使って人を操っちゃうの!!」
「六花!!」
「「捨てちゃえ!!」」
「まりなさん!?明日香ちゃん!?・・・はい!!」
美咲が時間を稼いでいる間に花音と二コリーナはロック達の元へと駆け出すと、まりなと明日香は海を指差しながら声を挙げるとそれを聞いたロックはタウラスの杖を拾い上げてそのまま大海原へと放り投げた。
これでタウラスが人を操ることはないと安堵した彼女達だったが―――
「あぁああああ!!」
それとは対照的にタウラスが激昂し、その場にいた美咲へと掴みかかると頭部を力いっぱい殴りつけるた後にデッキの床に叩きつけると、一部が抉れたミッシェルの頭部は美咲の頭から外れ、美咲はデッキの上で動きを止める。
しかし、タウラスはそんな美咲をキグルミの胴体から引きずり出してから再びデッキに叩きつけてから光弾で追撃をかけると爆発と同時に火が挙がる。
「ミッシェルが燃えてる・・・」
「嘘・・・!!美咲さん・・・そんな・・・」
「・・・!!美咲先輩!!」
「美咲ちゃん!!」
追撃をかけたはいいが、タウラスの放った光弾はミッシェルに直撃してそのキグルミが燃やしていた。
それに気を取られて最初は気が付かなかったが、美咲自身はその爆風によってタウラスとロック達の間の床に転がっていたが、花音の声に答えたのか美咲はフラフラとしながらも立ち上がってた。
「ってそうだ!!如月くんを呼ばないと・・・!!」
「あの子はいま別のと戦ってるから来ないよ・・・」
「嘘・・・!?」
今までの出来事で完全に弦太朗を呼ぶという事が頭から抜けていた彼女達だったが、タウラスから告げられた言葉によって皆の顔が恐怖に染まる。
その状況の中でタウラスは美咲にとどめを刺そうと足に力を込め始めていた。
「あの時みたいに押し潰してあげる・・・!!」
「「美咲!!」」
「みーくん!!」
タウラスが美咲を押し倒そうと駆け出したのと同時に、この場に遅れてやってきたこころ達の声がデッキの上に響くのだった。
誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。