バンドリ! コズミックパーティー(仮   作:ツナ缶マン

30 / 353
投稿です。

本章は
コメディ担当Afterglow
シリアス担当ハロハピでお送りしております。



大・熊・騒・動-10 決意と笑顔と思い出と

こころの屋敷に泊まることになった弦太朗。

自宅の布団とは違う最高級品の寝具によって就寝した彼は・・・。

 

「グゴゴォ・・・zzz」

 

今だに夢の世界へに旅立っていた。

そんな彼が寝ている中、部屋へと忍び寄る影が1つ―――

 

 

 

 

 

 

 

「弦太朗くんの泊まった部屋が隣なんて本当にラッキーだよ」

 

ひまりである。

沙綾とつぐみといった協力なライバルがいないこの瞬間を最大限利用すべく彼女は行動していた。

 

「まずは寝ぼけてるふりして、部屋に入ってそのままベットに潜り込んで・・・。えへへ・・・。よし!!」

 

彼女は部屋の前に自身が寝間着として着ているバスローブを直して部屋へと入っていく。

 

「おはよー。弦太朗く・・・ん?」

 

部屋に入ったひまりはベットへと潜り込む。しかし――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん・・・。ひまり・・・?こんな朝からどうしたんだ・・・?」

 

彼女が潜り込んだベットにいたのは弦太朗・・・ではなく寝起きの巴の姿であった。

 

「巴!?なんで弦太朗くんの部屋にいるの??」

 

「弦太朗・・・?あいつの部屋はひまりの横だろ・・・?」

 

「・・・あぁ!!」

 

ひまりの泊まった部屋――

彼女の泊まった部屋は弦太朗と巴の部屋に挟まており、ひまりは同じ隣の部屋でも誤って巴の部屋に入ってしまったのだ。

 

「まさかひまり・・・。お前そういう趣味だったのか?」

 

「違うよ~!!」

 

「ははっ。それにしても・・・。ひまり、流石にそれはやりすぎだと思うぞ・・・」

 

「・・・っ!!ほわぁあああああああ!!」

 

「うるせええええええええええええええええええ!!」

 

ひまりは巴に指摘され、自身の姿を見て恥ずかしさのあまり悲鳴を挙げる。

その悲鳴は屋敷中へと広がり、それを近くで聞いていた巴も大声で文句を言う始末だ。

 

今のひまり寝間着として着ていたバスローブの胸元を大胆に開け、同性から見ても目のやり場に困るような状態であったため悲鳴を挙げてしまうのも無理はない。

巴も寝起きではあるが寝間着としてジャージを着ていたため服装に問題はない。

 

しかし、ひまりの不幸はそれだけで終わらない。

ひまりの悲鳴を聞きつけた黒服、そして悲鳴によって起きた弦太朗が巴の部屋へとなだれ込んでくる。

 

「上原様!!どうさr・・・」

 

「巴!!ひま・・・り?」

 

「えっ!?」

 

部屋に飛び込んできた室内の光景を見て黒服は言葉を失い、弦太朗は固まる。

ベットの中で寝間着姿の女子が2人。そのうち片方はその服が大胆に乱れている。

見られたひまりも状況が呑み込めずに固まる。

 

「あっ・・・失礼いたしました」

 

そうして黒服が何事もなかったのように対応し、いまだに固まっている弦太朗を部屋から引きずり出す。

黒服たちが立ち去ってからしばらく立って、再起動したひまりは―――

 

「いやぁあああああああああああああ!!」

 

ひまりの叫びが再び屋敷中へと響くが今回は誰も部屋に入ってくることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝の珍事の後、屋敷に泊まっていた弦太朗達は用意されている朝食を前に興奮気味だ。

 

「うぉおおおお!!すっげぇ!!」

 

「こころちゃんの家ってすごいねぇ・・・」

 

「やっぱり最初はそうだよね。私も何回かあるけどやっぱり慣れないよ」

 

「如月の言う通り。これはテンション上がるな!!ひまり?」

 

「・・・」

 

巴の問いかけに対してひまりは朝の騒動の件で目の前の食事どころでは無かった。

 

「ひまりちゃん・・・?どうしたの?」

 

「りみ!!聞かないで!!」

 

「あーひまり。朝の事は気にするなよ?ちゃんとつぐ達には伝えておいたから」

 

「ちょっと!!巴!?」

 

「あの・・・黒服さん?何かあったんですか?」

 

「えぇ。実は今朝・・・」

 

「わー!!わー!!花音さんも黒服さんもやめてくださいよー!?まずはご飯食べましょ!!」

 

朝の出来事を花音に伝えようとする黒服たちをひまりは声を上げて妨害し、

話題を目の前の朝食へと変えようとする。

 

「確かにそれもそうだな!!」

 

「巴!!今日はやけ食いだよ!!」

 

「アタシは被害者だからな」

 

「みんな待ってよー!!」

 

 

 

 

 

 

彼女たちは目の前に用意されていた朝食を楽しむが突如としてその時間は終わりを告げた。

 

「失礼します!!こころ様と数名の被害者が突然姿を消しました!!」

 

「どういうことですか!?」

 

「爪で引っ掻かれた被害者が突然暴れだし、静止も振り切って逃走し現在追跡中です」

 

慌てた様子の黒服が朝食の場へと駆け込み状況を説明する。

それに合われるかのように花音の携帯から通知音が響く。

 

「花音さん?携帯鳴ってません?」

 

「ホントだ。こんな朝から誰だろう・・・って薫さんから・・・!!」

 

花音の携帯には1件のチャット通知、送り先は先日攫われた薫から―――

その発言によって弦太朗以外の食事の手が止まり、視線は彼女へと集中する。

 

「花音さん!!なんて書いてあるんですか!?」

 

「えぇっとね。"12時に残りのメンバーでここに来い。”って書いてあるよ。それと一緒に地図も・・・ここって結婚式場・・・だよね・・・?」

 

「じゃあ、そこに薫先輩がいるってことなんやね!!」

 

「前に瀬田先輩と沙綾が撮影してたところか!!じゃあ早速乗り込んで・・・!!」

 

「明らかに誘拐犯の罠です。それに宇田川様の怪我では危険すぎます」

 

薫からのチャットに盛り上がる彼女たちを黒服が静止する。

 

先日の戦闘での巴の怪我は腕だけではなく、客席に飛ばされた際に全身を打撲しており、とても戦闘できるような状態ではない。

 

「こんなもん。気合で・・・、いってぇー!!」

 

「巴ちゃん!?それじゃあ無理だよ!!」

 

「・・・私だけで行くよ。美咲ちゃんを連れていけないよ」

 

「花音さん!?危ないですよ!!私も行きますよ」

 

「ダメだよ。これはハロハピの問題だから・・・」

 

 

 

薫とゾディアーツの待ってるであろう場所へ誰が行くかで騒ぐ中、ここで弦太朗が食事の手を止める。

 

「俺と花音だけで行く。ダチの薫を助ける。ゾディアーツは任せろ」

 

「如月くん・・・。どうしたの・・・?」

 

「それにみんなには美咲と街の人を頼む。美咲は昨日のこともあるからな」

 

弦太朗の発言と見たこともない真剣な雰囲気を見た花音は困惑していた。

花音を他所に仮面ライダーについて知っている他のメンバーは弦太朗の案に賛同する。

 

「弦太朗くん!!花音先輩と薫先輩たちのこと。よろしくね」

 

「美咲ちゃんの方は私に任せて!!」

 

「すまねぇ。如月。頼むぜ!!」

 

「おう!!」

 

「ふえぇ・・・」

 

「では、我々は可能な範囲で周辺を封鎖を・・・」

 

こうして各自の役割分担を終えて彼らは今後のために食事へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

――――――

 

昨日の羽沢さん達との会話の最中に、逃げ出してしまったあたしは部屋の鍵をかけて閉じこもっていた。

たまに親が部屋をノックしてくるけど、全て無視して部屋の隅で蹲っている。

 

 

あたしのせいでみんながあんな目に・・・。

 

あの時のあたしは人に迷惑しかかけていなかった。

 

 

知らなかったとはいえ、商店街では戦おうとした弦太朗さんの腕を掴んで商店街から逃げ出した。

逃げ出した先にはこころがいて、その結果こころは瀕死になった。

こころを助けようと飛び出した黒服さんの多くがゾディアーツという怪物によって倒された。

あたしは怒りに任せて飛び出して、着ていたミッシェルがボロボロになってあたしを守ってくれた。

 

あの時、如月先輩の邪魔をしなければ―――

もしもあたしが公園以外の場所へ逃げていれば―――

黒服さんかあたしがこころの事を止められていたら―――

 

そんな”もしも”のことを考えるとあたしは罪悪感で押しつぶされそうになる。

 

 

ぐちゃぐちゃの頭で色々と考えていたらそのまま朝になっていた。

 

そんなあたしの目に移ったのは床に落ちている写真立て。

あたしはその写真立てを拾い上げると写真は”美咲”として写っているハロハピの集合写真。

その写真見たあたしは顔を歪めた。

 

「・・・っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに写っていたのはいつもと変わらない笑顔のこころ、その姿に釣られるようにあたしを含めた他のみんなも笑顔だ。

 

でも、そのこころの笑顔は昨日のあたしのせいで・・・。

 

 

「あぁああああああああああああああ!!」

 

それを見ることに耐えきれなくなったあたしはそれを思いっきり投げつける。

投げたそれが部屋のドア当たる音と投げたそれが壊れる音が部屋に響く。

 

その後にドアの向こうから泣き声が聞こえてきた。

あたしはその声を耳障りに感じてドアを思いっきり開けると同時に「煩い!!」と怒鳴りつける。

 

 

 

 

でも、あたしはドアを開けた光景を見て激しく後悔した。

ドアの先にいたのは妹がミッシェルの羊毛フェルトを手にして泣いている。

目の前の光景に耐えられなくなったあたしは逃げるように家から走って逃げ出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付いたらあたしは病院にいた。

 

ここはハロハピを結成直後の時に、こころ達と色んな子供たちを笑顔にした場所だ。

でも、ミッシェルじゃない今のあたしは笑顔にはなれないし、自分の妹の笑顔すら壊して泣かせた。

 

 

そんなことを思っていたら子供があたしの目の前で泣いていた。

それを見たあたしの身体は勝手に動いていた。

 

子供の待合スペースに転がっていたゴムボールを何個か持って、その場でジャグリングをした。

 

そのジャグリングは”みんなを笑顔にするため”と言って、ミッシェルとしてこころと練習した物だ。

 

 

 

 

 

 

 

あたしは何やってるんだろう・・・。

 

やめようとする自分の意志を無視し身体は動くのをやめない。

 

どのくらいの時間続けたが分からないが身体はジャグリングを止めた。

そして自分の意志で身体が動くようになり、あたしは周りを見渡す。

 

そこにあったのは先ほどまで泣いていた子供を中心に看護師や他の患者の人たちの笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・・・じゃあ、もし、全員忘れたら?』

 

『決まってるわっ。その時はあたし達以外の誰かが、思い出させてくれるわよ!』

 

笑顔を見たあたしは昔の事を思い出して、泣きながらも笑っていた。

 

 

 

 

そんな中あたしの携帯が震え、チャットの通知を伝える。

相手は上原さん。

 

内容は『薫さんがゾディアーツに攫われて結婚式場いること。』、『指定された時間に花音さんと如月先輩が2人で助けに行くこと。』が書かれていた。

 

 

 

 

 

あたしは病院を出ようとすると、泣いていた子供が声をかけてくる。

その子供の目線に合わせてあたしは子供に答える。

 

「お姉ちゃん行っちゃうの?」

 

「うん。今あたしの大切なお友達が困ってるから助けに行くんだよ」

 

「どうして助けに行くの?」

 

「あたしの大切なお友達が言ってたんだ。『世界はみんながヒーローなんだから。』って」

 

「そっか。頑張ってね!!」

 

「ありがとね」

 

指定された時間は12時。今から走っても時間に間に合うは分からないけどあたしは・・・!!

手を振る子供に見送られてあたしは病院から出ると式場へ向けて走り出した。

 




誤字があったら報告お願いします。
感想評価は気分次第でお願いします。

ハロハピ篇というよりもこれ美咲篇やなって・・・


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。