とりあえず長くなったの分割しただけなんて言えん・・・
「蘭ちゃん!?そんなもの持ってどうしたの!?」
「これイヴのですよ。これ使ってあいつの事を襲ったんですよ。って鞘はイヴが持って行っちゃったしどうしよ・・・」
蘭は千聖に状況を説明すると、鞘のない抜き身の刀の扱いに困っていた。
しかし、千聖はその説明に納得できるわけもなく、この中で1番交流のあるつぐみへと確認を取る。
「イヴちゃんが!?本当なのつぐみちゃん!?」
「はい。これで如月くんを叩き切ろうとしてましたよ」
「でも、げんたろーさんが白刃取りをしてましたよ」
「そうだったの・・・。でもそのイヴちゃんはどこに・・・?」
「それは・・・」
「えぇっとですね・・・」
イヴのいない理由の説明に詰まるAfterglowの面々。
流石に「たえのスカートめくりによって帰っていきました」と説明しても目の前の彼女は信じないだろう。
そう思っていない香澄は―――
「千聖先輩!!イヴちゃんはおたえがげんちゃん先輩の目の前でスカートめくりしたら、帰っちゃいました!!」
「おい香澄!!」
「香澄ちゃん!?」
「なんですって!?」
「はい!!私がやりました!!」
「おたえってば・・・。でもおたえがそうしなかったら弦太朗はバッサリ切られてたわけです
から不可抗力ですよ」
千聖は香澄の説明に怒りで身体を振るわせて疲労困憊の様子で椅子に座り込む弦太朗へと詰め寄る。
「あなたねぇ!!アイドルであるイヴちゃんの・・・、いえ、女の子の下着を見たの!?」
「見てねぇぞ。そもそも刀を受け止めるのに手いっぱいで他に気を回す余裕がなかったしな」
「そもそも、イヴちゃんが持ってきた刀が真剣なわけが・・・!!」
「いえいえ~。千聖さん。イヴちんが持ってきたのは間違いなく真剣ですよ~。その証拠に週刊誌がバッサリと・・・」
モカが蘭の足元に転がる週刊誌を指しながら千聖へと説明する。
千聖もその週刊誌へと視線が向くが、モカの言葉が信用できない。
「蘭ちゃん。その刀見せてもらえるかしら?」
「・・・重いので気を付けてくださいね」
蘭は千聖へと刀を渡す。
千聖は受け取った刀を確認するが、彼女には重いだけでそれが真剣であることが分からなかったが一通り確認して、刀を蘭に返す。
「蘭ちゃん。確認したけどよく分からなかったわ。試しに何か切ってくれるかしら?」
「・・・普通、本物か分かんないからって試し切りなんて頼まないだろ?」
「巴。千聖さんがこっち見てるから!!」
千聖の視線にビビるひまりを他所に、蘭ははっきりと言葉にする。
「ここにいる人の前で試しましたし、千聖さんが試すにしても危ないですよ?」
「危ないのは分かっているけど、それがイヴちゃんの持ってきたものなんて信じられないの」
「・・・なら脇差で良いですか?こっちも真剣ですし。太刀よりは軽いのでまだ扱いやすいので・・・」
「えぇ、それで構わないわ。ならそこにいる如月くんの頭のコッペパンでも切ってみましょうか?」
「ちょっと・・・!!」
「白鷺さん!!あんた・・・!!」
「コッペパンじゃねぇ!!リーゼントは俺の勲章だ!!」
「・・・冗談よ。私だってつぐみちゃんのお店を血で汚したくはないもの」
「店じゃなきゃいいのかよ・・・」
「有咲ちゃん?何か言ったかしら?」
「いえ・・・」
有咲の言葉も千聖の笑顔の圧力の前に屈した。
「なら、千聖先輩。さーやのお店のフランスパンで試すのはどうですか!!長くて切りやすそうですし!!」
「切った後はモカちゃんがおいしくいただきます~」
「そういう事なら・・・。蘭、これフランスパンね!!」
「沙綾ちゃん?それどこからだしたのかしら?」
千聖は疑問に思うがすぐに蘭の手元へと視線を移す。
「とりあえずやってみますね」
そういうと蘭は手元に持った脇差でフランスパンを切断して千聖に渡そうとする。
「蘭ちゃん。渡さなくてもいいわ。目の前でそんなに綺麗に切られて偽物なんて言えないもの」
「そうですか。モカ」
「はーい。いただきまーす」
そして、モカはパンを受け取ると勢いよく食べ始める。
その光景を見た千聖は弦太朗へと近づき話し始める。
「如月くん。さっきはごめんなさい。学校の人から聞いたわよ。『この学校全員と友達になる。』って。それなら私とも友達になってくれるかしら?」
そういうと千聖は弦太朗へと手を伸ばす。
しかし、弦太朗がその手を取ることはなかった。
「悪いけど、今の千聖とはダチにはなれねぇ」
「「「はぁ!?」」」
「「何ぃ!!」」
「・・・。なぜかしら?」
千聖以外の全員は弦太朗の言葉に驚きを隠せない。
友達作りが第一の弦太朗がアイドルで女優の千聖と友達になるのを拒否したのだ。
その驚きはパンを優先するモカですら食事の手を止めるほどだ。
千聖は予想外の言葉を聞いても笑顔を崩さずに、弦太朗へと理由を聞く。
「お前、愛想はいいけど1回も笑ってねぇよな」
「何言ってるのかしら?」
「げんちゃん先輩?今だって千聖先輩笑ってるよ?」
「そうだよ弦太朗くん!!千聖さんすっごい優しそうな笑顔してるよ!?」
「香澄、ひまり。今の千聖は笑ってねぇよ」
「どういうことかちゃんと言ってくれるかしら?」
弦太朗の言葉が理解できない全員を代表するかのように千聖が詳しい説明を求める。
「お前、俺に対して本気でぶつかってねぇ」
「・・・は?」
「香澄達も蘭達も、それに薫達も、本当の顔を見せあって、たまに本気でぶつかりあってダチになったんだ」
「「「・・・」」」
香澄達は弦太朗の言う"本気"に覚えがあった。
本心で接してきた、全力で言葉をぶつけ合った、全力で戦った。
それは彼女たちと弦太朗の間だけではなく、今一緒にいるバンドのメンバーとの関係にも当てはまっていた。
彼女たちがそう思う中弦太朗は話を続ける。
「でも、お前は愛想よくしてるだけで心から笑ってねぇ。それに本当のお前を少しも見せてもねぇ」
「もういいわよ・・・。邪魔したわね」
そう言うと千聖は笑顔を張り付けたまま弦太朗を一瞥してそのまま店を後にする。
「それにしても、大阪の時から見ても弦太朗くんが友達になるのを嫌がったのを初めて見たよ・・・」
「でも、あたしはあいつのいう”本気”ってのが分かる気がする・・・」
「モカちゃんも分かる気がするな~」
「そうだね!!」
イヴの刀は店の倉庫に厳重に保管した彼女たちは再び店内が騒がしくするのであった。
――――――
あのゴシップ週刊誌は記事の嘘が多いことで有名だった。
しかし、アイドルで女優の私があの雑誌の記事に書かれてしまったという事実は変わらない。
彼を利用して私のイメージ回復を図ろうと、彼に接触したが見事に失敗し、挙句の果てに私は彼の言葉を聞いて苛立ったまま店を出てきてしまった。
「気に入らないわね・・・」
頭に残るのは彼が放った言葉。
『お前は愛想よくしてるだけで心から笑ってねぇ。』
彼のあの言葉は私のことを的確にとらえている。そう思えてしまった。
確かに私は本心で笑う事は殆どない。
それは私が女優として生きる上で絶対に必要なことであったから―――
バンドの結成時のあの事件が起きた後、真っ先にバンドを抜けて逃げようとした。
その後に彩ちゃん達の姿を見てバンドを続けたけど、あの時は本心で動いていた。
けれどその後は―――?
彩ちゃん達や薫、花音と接するときだってどこか今までのイメージを守るために振舞っていたと思う。
今の私が本気でぶつかり合えてる人って誰?
自問自答するも私にも答えが分からない―――
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