遅くなってしまい申し訳ありません。
大筋は決めてたんですが、細かいとこで修正挟んでたら遅くなってしまいました。
PC投稿だとスマホ表示での行間が分かりにくいので指摘くださると助かります。
熱・唱・稲・妻-1 夕焼けとの邂逅
やまぶきベーカリー
商店街の一角にある上昇中のガールズバンド”Poppin’Party “の山吹沙綾の実家でもあるパン屋
パンの味は地域でも評判であり、沙綾も積極的に店を手伝っている姿も相まって、女子高生を中心に老若男女問わずに地元の住人から愛されている。
「ふんふ~ん、今日は何にしよーかな~」
土曜日の今日も店の常連客の一人”青葉モカ”がいつも通りパンを購入すべく店の扉を開ける。
そこに待っていたのは店の娘である沙綾の「いらっしゃいませー」の清涼感を感じさせる挨拶・・・
ではなく―――
「おぅ、らっしゃい!!」
リーゼントヘアーに店のエプロンを着けた男――
如月弦太朗の威勢のいい言葉が返ってきた―――
ことの始まりは少し前に遡る――――
――――――――――――――――――――――――――――
「お父さん、調子乗って無理するからだよ」
私はお父さんと一緒に店の倉庫へとパンの材料を運んでいた。
その際、お父さんがお母さんにいいところを見せるべく無理して腰を痛めてしまったのだ・・・。
幸い、朝の分のパンは既に焼いており、後は取り出して店に陳列すれば終わりの状態だったのは不幸中の幸いだった。
「お父さんを病院に連れて行くから、沙綾は店をお願いね。誰かにお手伝い頼むんだったらバイト代も出すから」
と言い残してお母さんはお父さんを病院まで連れて行った。
もう時刻は開店時間を過ぎており、私は予定がなさそうな知り合いに連絡を取るべくスマホを取り出すと、見慣れないバイクが店の前に止まった。バイクの運転手は店へと入ってきた。
「おっす!!沙綾!!」
「いらっしゃいませー!!って弦太朗かー。どうしたの?」
「前に約束した通り、パン買いに来たぜ!!」
先日起こった事件―――
怪物のこととか仮面ライダー?の事を聞いたけど、それ以上に弦太朗に興味がある。
昔に妹に読んであげた絵本に出てくる白馬に乗った王子様みたいにピンチに颯爽と駆けつけて助けてくれたことを思い出すとすごくドキドキする。
実際は白馬に乗ってなくて、ロケットを持って飛んできたんだけどね。
あの後、一緒にご飯を食べたりするようになって、その際に「私が店にいるときに店にパンを買いに来る」と約束して、今日パンを買いに来てくれたのだろう。
買いに来てくれてるところ申し訳ない気持ちもない訳ではないが、”二人っきり”という魅力的な状況の誘惑に負けた私は弦太朗に声をかけた。
「弦太朗・・・ちょっといいかな・・・?」
――――――――――――――――――――――――――――
「おやー新しいバイトさんですか~」
「今日だけどな」
「それにしてもコッペパンみたいなリーゼントですなぁ~」
「コッペパンじゃねぇ!!リーゼントは男の勲章だ!!」
「おぉーなかなか熱いですな~」
ヤンキーのような見た目の弦太朗に対して自然体で対応を続けるモカ。
そんな中店の奥から沙綾の声が響く。
「弦太朗~ちょっとこっち来てもらえる~?」
「今お客さん来てるから後でなー!!」
「ほほー!!これはこれは~」
「そうだったの?ってモカ、いらっしゃいってどうしたの?」
沙綾と弦太朗のやり取りを面白いものを見たかのようににやけ顔が止まらない。
そんなモカは笑みを浮かべながら2人へと問いかける。
「2人共お似合いで、まるで恋人同士みたいですなぁ~」
「ん?そうじゃねぇけど、沙綾は俺のダチだ!!」
「・・・ウン、ソウダネー。オトモダチダネー・・・はぁ・・・」
「!!むふふーこれは面白いことになってますなぁ~」
沙綾から弦太朗という男には恋愛的矢印は向いてるが弦太朗にはそれがないことをこのやり取りを見たモカは理解した。
「って、沙綾。この客は沙綾の知り合いか?」
「そうでーす。モカちゃんは青葉モカっていいま~す。この店の常連さんで~す」
「おぅ!!俺は如月弦太朗だ!!よろしくなモカ!!」
「そう言えばモカ。今日はライブじゃなかった?」
「なんだ?モカもバンドやってんのか?」
「そうでーす、”Afterglow”ってバンドでギターやってまーす。後、これお会計おねがいしま~す」
「おぅ、ちょっと待ってくれ」
弦太朗はモカが持ってきたトレーに大量に積まれたパンの会計を済ませる。
そしてモカは会計の際に勘定とは別の物を2つ取り出して、弦太朗達に渡す。
「モカ、これってライブのチケット?」
「そうだよ~。今日のライブのチケットだよ~。よかったら見に来て~。なんと今回の出番はトリなんだ~」
「おぅ。終わったら行くか。沙綾!!」
「うん!!ありがとうモカ」
「いえいえ。それではモカちゃんはこの辺で~」
「頑張れよー!!」
「ありがとうございましたーじゃあ、弦太朗ちょっとこっち来て」
「おぅ」
こうして、弦太朗のパン屋での仕事は沙綾の両親が帰ってくるまで続いた。
「あぁ!!お母さん。おかえりなさい」
「ただいまーってあらあなたはこの前の・・・もしかして沙綾の?」
「如月弦太朗っす、沙綾とは友達っす」
「そうなのね、今日はお店手伝ってくれたんでしょ?ありがとう、バイト代出すからちょっと待っててね」
「大丈夫っすよ、ダチが困ってたから手伝っただけっす」
「そう?ならまたいらっしゃい。沙綾、如月君。後はお母さんたちに任せて」
「うっす!!」
「うん、でも今から行っても間に合うかなぁ・・・」
沙綾が時間を確認したが、モカから受け取ったチケットに記載されていたライブ開始時間を過ぎていた。
今回のライブ会場”CiRCLE”は商店街から歩いて行ける距離にはあるが、少し時間がかかるため今から向かっても着いた頃にはライブは終わっている可能性が高い。
「すんません、沙綾借りていきます!!」
「ちょっと!!弦太朗!?」
「いってらっしゃーい」
にこやかな表情を浮かべる千紘に見送られた弦太朗は沙綾を店の外へ引っ張り出す。
そして店の前に止めてある自身のバイクへと向かい、ヘルメットを沙綾へと投げ渡す。
「歩いたら間に合わねぇかもしれねぇけど、こいつなら間に合うだろ」
「ちょっと、そのヘルメットはどこから出したの?」
「細かいことはいいから。乗れ!!場所はこの間香澄達に聞いたから知ってる!!」
「うん!!じゃあよろしく!!」
「おぅ、ちゃんと捕まってろ!!」
そうして2人を乗せたバイクはライブ会場へと走り出した。
――――――――――――――――――――――――
ライブハウス”CiRCLE”の控室でAfterglowのメンバーは自身の出番を待っていた。
「そう言えばモカちゃん。今日沙綾ちゃんのところ行ったの?」
「もちー。モカちゃんが行かないわけないよー」
「つぐ?どうしたの?」
「あのね。今朝からずっと変わったバイクが沙綾ちゃんのお店の前にあったの」
「あー。そんなのものもありましたなー」
「えぇ!!もしかして沙綾がバイクを!?」
「いやーそれはないだろー」
「ないでしょ」
「なんでよ~!!」
とぼけたことを言いだすひまりへのツッコミを聞きながら、モカはこの話題に対して面白半分で爆弾を開始する。
「そして沙綾と彼にライブのチケットを渡したのだ~」
「そうなんだ。って待ってモカちゃん。彼って何!?」
「ん~。つぐの言ってたバイクの持ち主~」
「でも、じゃあ何で朝からずっと止まってたんだ?」
「えぇー!!もしかして・・・沙綾の彼氏!?」
「な、なにー!?」
「ちょっと。モカちゃんそれ本当なの!?」
「う~ん。どうなんだろ~」
「ちょっと。モカ~!!どんな人だったの!?」
「ひーちゃん。落ち着いてー。そろそろ出番来るよー」
「気になるのもわかるけど・・・。
今日もいつも通りいくよ」
こうしてAfterglowのステージが始まる。
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