つまりそれをやられても口を出さないつぐ親って・・・
子供が天使なら親は仏かな?
「・・・っ!!」
「あっ!!おねーちゃん!!待って!!」
空気に耐えられなくなった巴は店を飛び出して蘭が走った方向と反対側へと走り出すと、その姉を追うあこ。
宇田川姉妹と蘭が去った店内の空気は暗く、重くなっていく。
そんな中で燐子は落ちた紙を拾い上げて自分の中で状況を整理する。
「これは・・・曲のリストでこっちは衣装の・・・。
そういえばあこちゃんが今度Afterglowがライブするって言ってたような・・・?
もしかして、セットリストと衣装で揉めて・・・」
「「「・・・・・・」」」
燐子が揉めてしまった原因を言われてしまった彼女たちは原因を言い当てられてしまい言葉に詰まる。
しかし、事の大きさを分かってない弦太朗は燐子に話掛ける。
「なぁ・・・。セットリストってなんだ?」
「今言ったセットリストって言うのはライブで演奏する曲の順番のことです。セトリって略すこともあって・・・」
「そういえば、この間の紗夜の時にライブの打ち合わせがどうとか言ってたな・・・」
「そうだったんですね・・・。それでどうしてこんなことに・・・?」
その空気の中、燐子は意を決してその理由を尋ねる。
「じつは~」
燐子の言葉にモカが先ほどまでの出来事を語り始める。
――――――
弦太朗達が店に訪れる少し前――――
いつも通り5人で集まっていた彼女達だったがつぐみのとある一言から話は始まった。
「ねぇみんな。そろそろ次のライブのセットリスト決めない?」
「つぐの言う通りだな。この前はリサ先輩達の事もあったからな・・・」
「じゃあ、最初は曲から決めよう?何か意見がある人いる?」
つぐみはそういうとどこからかノートを取り出すと各々が次のライブでやりたい曲を挙げていく中、蘭は意見を出さずに座っていた。
「ねぇ蘭!!蘭は何かやりたい曲とかないの?」
「ひまり・・・。別に私はみんなといつも通りの音楽が出来ればそれでいいから・・・」
「また~蘭はそうやって~。ちゃんと自分のこと言わないと~」
「だから・・・」
「それなら衣装どうするか決めない?そっち決めたら曲も絞れるんじゃないかな?」
「この前は盛り上がったけど、つぐちんだけ浮いてたもんね~」
「ちょっとモカちゃん!!」
「それだったら私は可愛いのがいいかな~」
「エモーいのがいいな~」
曲の案は出るも纏まらなかったため、つぐみはセットリストからライブ衣装について話を切り替えてそこから話を進めようとする。
つぐみの提案に各々は自分の着たい衣装の案を出す。
様々な意見が上がる中、巴は何かを思いついたかのように1つの提案をする。
「ならさ、今度のライブは前のつぐみたいな衣装で合わせるのはどうだ?」
「え!?あれを皆で・・・?」
「巴!!それ面白そう!!」
「大胆~。でもたまには思い切って変えてみるのもいいかも~」
皆が乗り気になっている中、ここまで自分の意見を言わなかった蘭が初めて意見を口にした。
「私は反対・・・」
決まりの流れに抗うように放った蘭の言葉に一同の視線は蘭へと集まっていく。
今回のライブでここまで案を出さなかった蘭が初めて出した意見だったため、彼女達の空気が重くなる。
そんな空気に不安を覚えるひまりは不安そうな蘭の意見を聞き出そうと彼女に質問する。
「なら、蘭はどういうのがいいの?」
「前のライブみたいに今まで通りでいいよ・・・」
「なぁ、蘭。なにかあったのか・・・?最近なんか変だぞ」
「はぁ?巴。それどういう事?」
「ちょっと2人とも!?」
「蘭もトモちんも落ち着いて~」
「そうだよ!!モカの言う通りだよ。」
巴の言葉を聞いた蘭は不機嫌な顔を隠そうともせずに巴を睨みつけるが、そんな態度を取られた巴も蘭に対しての苛立ちを顔に出す。
その様子につぐみ達は止めようとするがそれで止まる状態の2人ではなかった。
「蘭。自分の意見言わないのに人の意見を否定するのはどうなんだ?この前も今回のライブについて話した時も”いつも通り”としか言ってなかっただろ。もっとはっきり自分の意見は言ったらどうだ?」
「だから自分の意見は言ってるじゃん!!」
「”いつも通り”しか言ってないだろ!!もっと他にはないのかよ!!」
「だから・・・!!」
「もう!!2人とも落ち着いてよ!!」
「モカちゃん。2人を離したほうがいいかも・・・!!」
「ひーちゃんと2人でトモちんお願いー」
こうして2人の語感はどんどんと強くなっていく。
そんな中で他のメンバーはいったん落ち着かせるために2人を引き剥がすがその程度では彼女達が落ち着くことはなく、蘭の不機嫌な顔は巴ではなくひまり達にも向けられた。
「巴もだけどさ。あの件からみんなあいつに影響されすぎじゃない?」
「あいつ・・・って如月くんのこと?」
「助けてもらったんだから・・・少しくらいはあるけど・・・」
「それに今はあいつは関係ないだろ?」
蘭は最近現れた弦太朗にみんなが影響を受けていることを指摘され、ひまりとつぐみは顔を背けてしまう。
「確かに助けてもらったけどさ・・・。
あいつはバンドに全く関係ないじゃん。わざわざあいつのことをバンドにまで持ち込まないでよ」
蘭は冷たく言い放ったが、その光景に巴は怒りを隠さずに言い返す。
「確かに関係ないかもしれないけど、その言い方はないだろ!!」
「蘭!!巴の言う通りだよ!!」
「蘭~。その通りかもしれないけど・・・ちょっと言い方が悪いと思うな~」
「うん・・・」
「もういい・・・!!」
「ちょっと!!蘭!!待ってよ!!」
蘭以外のメンバーは巴の意見に賛同してしまったことに蘭は苛立ちは頂点に達してしまった。
ひまりの静止も無視して自身の荷物も持たないまま店を飛び出してしまった。
そして固まる彼女たちの元に弦太朗達が現れた。
――――――
「そこから先は見た通りですね~・・・」
「なるほど・・・。そうだったんですね・・・」
「つまり、蘭と巴を仲直りさせればいいってことだな!!」
「う~ん。いつも通りならそれは大丈夫だと思うんですけど~。次のライブまでに間に合うかな~って・・・」
モカの説明を聞いて納得する燐子を他所につぐみ達はライブの事を思い出して慌て出す。
「でも、どうしよ~!!これじゃライブなんて出来ないよ~!!」
「とりあえず2人をなんとかしないと・・・!!」
「まぁ・・・、いない蘭達はしょうがないから3人でライブの事は進めるしかないんじゃない~」
内心では蘭達の事が気になって仕方ないモカだが平常を保って話を進めていく。
しかし、無理していることを感づいたがあえて弦太朗はここではその事に触れることは無かった。
「困ったことがあれば手を貸すぜ!!」
「私も・・・あこちゃんの為だから・・・」
「そうですか~。それなら早速・・・」
弦太朗と燐子は言葉を聞いたモカは彼女達が座っていたテーブルへと視線を向ける。
「蘭とトモちんの荷物届けてもらっていいですか~?家の場所は教えるので~」
「おう・・・」
「なら巴さんのは私が持っておきますから・・・。美竹さんのギターとカバンをお願いします・・・」
「如月くん、燐子先輩もお願いします!!」
モカからの最初のお願いに弦太朗と肩透かしを食らいながらも、燐子共に蘭達の荷物を持って店を後にする。
そして蘭達の荷物を家に届けた後、2人は並んで帰路についていた。
「でも、ライブの準備って大変なんだな・・・」
「えぇ・・・でも、準備の時も楽しいんですよ・・・?」
「祭りの準備が楽しいっていう奴か・・・?」
「そうですね・・・。では私はここで大丈夫ですから・・・」
「おう。またな燐子!!」
「えぇ、さようなら・・・」
燐子を送り届けて1人で家まで向かう弦太朗。
しかし、その途中で彼は曲がり角から飛び出して来た人影とぶつかってしまったが、その相手の聞き覚えのある声に弦太朗はぶつかってきた相手へと視線を向ける。
「っ・・・!!」
「こんなとこで何やってんだ・・・?蘭?」
「別に・・・あんたには関係ない・・・」
ぶつかってきた相手は先ほど店を飛び出していた蘭。
そんな彼女は弦太朗達が持っていたはずの荷物が抱え込まれていた。
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