・ドラゴン先輩のお話を書いている途中でしたが、色々とお知らせしたいことがありましたので、一度普通の掲示板回を挟ませていただきます。ドラゴン先輩のお話はまた後で更新させていただきます。その際には順番に見やすいよう話順は変えさせていただきますので、あらかじめご了承ください。
・前に言っていた、カクヨムでの淫魔ちゃんねるの連載ですが、書いていてちょっと思っていた感じのものにならなかったので更新を停止させていただいております。楽しみにして下さっていた方々、そして応援してくださった方々には本当に申し訳ないです。
ただ、小説という形式で淫魔ちゃんねるを書く事自体にはまだ興味があるので、いつかリベンジしてみたいなと思う次第でございます。
・そして、それはそれとして、ハーメルン版の淫魔ちゃんねるを、せっかくなのでカクヨムに移植したいと思います。(URL→https://kakuyomu.jp/works/822139844738400507)こちらはハーメルン版と特に違いはなく、ところどころ危険な描写を検閲するくらいだと思いますが、もし良ければ評価やフォローなど頂けると幸いです。
・最近鮭のルイベ漬けを食べる機会があったのですが、あんな美味いものはこの世に二つと無いので、皆も食べた方がいいです。
お知らせは以上になります!本編をどうぞ!
魔獣族ちゃんねる
1:名無しの魔獣族
どうやら母親が急に体調を崩し、一度病院に行かなければならないそうで、ほんの一時間ばかりだからと置いて行った
俺の尻尾が動くのが面白いのか、あまりにも赤子が懐くので俺が選ばれたのだろう
託児所も空きがなかったそうで仕方ないのだが、しかし、どうしたものか……
2:名無しの魔獣族
自慢か?
3:名無しの魔獣族
それとも子供どころか成体の人間にすら逃げられる私への嫌味か?
4:名無しの魔獣族
いやいや、そうではない 俺は子供が少し苦手なのでな……
5:名無しの魔獣族
子供が苦手?
6:名無しの魔獣族
あんなに愛くるしい生き物が苦手、だと?
7:名無しの魔獣族
趣味や嗜好は人それぞれだとは思うが……しかし、到底信じられんな……
8:名無しの魔獣族
あんなもの、魔族ならば全員が悩殺されると思っていたが……
9:名無しの魔獣族
あのちびっこい体躯に、甲高くて舌っ足らずな声、ただでさえ無邪気で無警戒な人間から更に危機感を引いたような性格 何もかもが私を惹きつけてやまない
10:名無しの魔獣族
うむ かく言う私も、この前つい人間の子供が可愛すぎてお小遣いをあげようとしたら不審者だと間違われ、警察のお世話になってしまったぐらいだからな
11:名無しの魔獣族
あるある、という奴だ
12:名無しの魔獣族
盛り上がっているところ悪いが、ちょっと俺の愚痴も聞いてはくれないだろうか
13:名無しの魔獣族
む
14:名無しの魔獣族
そうか、話を流してすまなかったな
15:名無しの魔獣族
しかし……もしかして、今から人間の子供を悪く言ったりするのか?
16:名無しの魔獣族
だとすると私はこの端末を叩き割らなければいけなくなるのだが……
17:名無しの魔獣族
ああ、いや それは大丈夫だ
18:名無しの魔獣族
そうなのか?
19:名無しの魔獣族
ああ 俺自身も、子供を可愛いと思っていない訳ではないのでな
20:名無しの魔獣族
ふむ……?
21:名無しの魔獣族
だとすれば、愚痴とは何のことだ?
22:名無しの魔獣族
そうだな、何から話そうか
23:名無しの魔獣族
では少し、魔界に居る奴らに聞こうか
24:名無しの魔獣族
二足歩行ができるようになったばかりの人間の子供が居たとして、それはどのくらいの大きさだと思う?
25:名無しの魔獣族
なんだ、藪から棒に
26:名無しの魔獣族
随分と妙なことを聞くな
27:名無しの魔獣族
そもそも前提がよく分からん 人間は生まれた瞬間は二足歩行ができないのか?
28:名無しの魔獣族
……そういえば何かの本で読んだな 人間は生まれてからしばらくの間は、手も使って四つん這いで移動するらしい
29:名無しの魔獣族
なんとか弱い……
30:名無しの魔獣族
あんなに小さな身体すら支えられないほど脚が虚弱な状態で生まれてくるのか……
31:名無しの魔獣族
さぞかしぷにぷにしているのだろうな……
32:名無しの魔獣族
さぞかしぷにぷにしているぞ
33:名無しの魔獣族
ありがたいことだ
34:名無しの魔獣族
めでたいな
35:名無しの魔獣族
大変うれしい
36:名無しの魔獣族
しかも、さぞかし小さいのだろうな……
37:名無しの魔獣族
しかも、さぞかし小さいぞ
38:名無しの魔獣族
これもまたありがたい
39:名無しの魔獣族
五臓六腑に染み渡る愛らしさだ
40:名無しの魔獣族
想像するだけで心なしか母乳が染みてしまう
41:名無しの魔獣族
……それはそうなのだが、これが中々手放しには喜べなくてな
42:名無しの魔獣族
ほう?
43:名無しの魔獣族
人間が小さくて困ることがあるのか?
44:名無しの魔獣族
こんなにも喜ばしいことなのにか
45:名無しの魔獣族
そうだ
幼い人間というのは、それはもう、さぞかし小さいのだ
46:名無しの魔獣族
それはもう聞いたぞ 大きさはまあ、我の……へその辺りまでぐらいの大きさだろう
47:名無しの魔獣族
いいや、そんなものではない
48:名無しの魔獣族
もっとか?
49:名無しの魔獣族
じゃあ股ぐらいか
50:名無しの魔獣族
いいや、もっとだ
51:名無しの魔獣族
もっとか!?
52:名無しの魔獣族
聞いて驚け
生まれたての人間というのはな、立ったとしても俺の膝までしかない
53:名無しの魔獣族
膝……こんなにか!?
54:名無しの魔獣族
実際はもっと小さいこともあるぞ
なにせ奴らは生まれた時は四つん這いだからな
55:名無しの魔獣族
あ……あ……
56:名無しの魔獣族
そんなもの……どうやって生きていくのだ!?
57:名無しの魔獣族
母が抱いてやり、色々と世話を焼くんだろう
知っているか 奴ら赤ん坊は乳を飲んだ後にはげっぷをさせないと、乳を吐いてしまうらしいぞ
58:名無しの魔獣族
う、嘘だ
59:名無しの魔獣族
生き物として破綻しているだろう
60:名無しの魔獣族
だって お外に出たらそんなもの 無事では済まないぞ
61:名無しの魔獣族
この穏やかな気候の人間界ですら生きていけなさそうだというのに、魔界になんか来てしまったら、もう
62:名無しの魔獣族
で、そんな人間が、だ
63:名無しの魔獣族
う、うむ
64:名無しの魔獣族
にこにこ笑いながら、自分の身体をよじ登ってきたら、どうする
65:名無しの魔獣族
ど、どうすると言われても
66:名無しの魔獣族
おろおろしてしまう
67:名無しの魔獣族
おろおろしてはいけないぞ よじ登ってきた人間が振り落とされてしまうだろう
68:名無しの魔獣族
そ、そうか なら棒立ちがいいのか?
69:名無しの魔獣族
しかし我らの身体は大きいぞ そんなにちまこい人間が登り切れるはずがないだろう
毛皮を掴み損ねて、ころんと身体から落ちたらどうするのだ
70:名無しの魔獣族
ど、どうすればよいのだ!?
71:名無しの魔獣族
そ、そうだ 震脚で地面を少し陥没させてやれば、落ちるまで時間が稼げるだろうか
72:名無しの魔獣族
落ち着け 地面に落ちる前にキャッチしてやればいいではないか
73:名無しの魔獣族
あ、そ、そうだな 気が動転していた
74:名無しの魔獣族
すごいな 想像だけで百年分は冷や汗をかいた
75:名無しの魔獣族
普段なら心臓に向けて剛槍のような貫手を食らっても恐怖など抱かないのに……
76:名無しの魔獣族
で、だ
人間はぷにぷにしているという話に戻るのだが
77:名無しの魔獣族
戻るのか 戻らないでくれないか
78:名無しの魔獣族
もう心臓がもたない やめてくれ
79:名無しの魔獣族
ここでお前が人間を受け止める時、力を変に込めてしまうと、人間はぽきりと折れてしまうぞ
80:名無しの魔獣族
ひえ
81:名無しの魔獣族
駄目だろう、そんな、そんな生き物なんて……
82:名無しの魔獣族
触れば分かるが、若木の細枝よりも赤ん坊の腕は柔らかいぞ
83:名無しの魔獣族
もう箱に閉じ込めておいてはいけないのか
84:名無しの魔獣族
そうだ そんな虚弱生物は毛皮の中にしまっておけ
85:名無しの魔獣族
そうなのだが、この赤ん坊というのが本当に厄介でな
その恐怖心を失ったような警戒心の無さで、勝手に辺りをうろつこうとするのだよ
86:名無しの魔獣族
もうやめてくれ
87:名無しの魔獣族
その赤ん坊の母親も大変そうだったぞ
人間は弱い生き物だが、あんなに輪をかけて虚弱な生き物をちゃんと大人になるまで育てるのだから、その繊細さは目を見張るものがあるな
88:名無しの魔獣族
それは大変だろう そんな大役が私に務まるかどうか……
89:名無しの魔獣族
母は強し、だな……
90:名無しの魔獣族
そうだ 人間というものは大変ぷにぷにもちもちして弱く小さい、おまんじゅうのような生物であるが、その分庇護する立場になれば片時も眼を離さず細やかに見守る強かさも持っている
91:名無しの魔獣族
ううむ……
92:名無しの魔獣族
が、俺は魔獣であるため、その辺が全く分からん
93:名無しの魔獣族
まあ魔獣など放っておけば育つからな
94:名無しの魔獣族
母からの育児と言えば、千尋の谷底にスクリューパイルドライバーをかけられたことくらいしか思い浮かばん
95:名無しの魔獣族
……どうすればいい
96:名無しの魔獣族
ううむ……
97:名無しの魔獣族
ずっと抱っこしているのも怖いしな……
98:名無しの魔獣族
そうだな……
ここは一つ、武道の心を思い出してみたらどうだ?
99:名無しの魔獣族
思い出してどうする こんな赤子、震脚の一つで天の彼方まで飛んで行ってしまうぞ
100:名無しの魔獣族
いや、武術そのものではない 武術に挑むための心得だ
我々はいつも腕を磨く時は、鳥だろうと大木だろうと大岩だろうと、自分より優れたものを持つ森羅万象を師として仰いだではないか
101:名無しの魔獣族
ふむ、確かにそうだな……
なるほど、俺も人間界で過ごすうちに、魔獣として培った心を忘れていたのかもしれん
102:名無しの魔獣族
生きること、知らぬことこそ修練、か……
103:名無しの魔獣族
知を磨くことも、風靡を楽しむことも、美食に舌鼓を打ち春眠に耽ることすらも、全ては己を高める財にできるのだ
104:名無しの魔獣族
なるほど……
相分かった、であれば俺はこの赤子を師と見ればよいのだな
105:名無しの魔獣族
そういう事だ
だが道は険しいぞ がんばれよ
106:名無しの魔獣族
確かにこれは、下手に身を傷めつけるだけの耐久訓練よりも厳しいな……
だが、ありがとう 強者であるという驕りを捨て、これからはこの赤子の見守りに励むぞ
107:名無しの魔獣族
見方を変えれば赤子というのも、その柔らかく筋肉も育たない身体で、何物にも恐れず生きているものだ
最も空の心を体現した存在と言えるだろう 師として仰ぐにはよいのかもしれん
108:名無しの魔獣族
そうだな では俺は師匠の動きを盗み、その心を会得して……
あっ どこへ行く師匠 そっちは台所だから危ないぞ
109:名無しの魔獣族
わあっ!!!
び、びっくりした 赤子も何かに掴まれば立てるのか
110:名無しの魔獣族
って待て 転ぶと頭を打って危ないぞ!!!
111:名無しの魔獣族
何だか大変そうだ
112:名無しの魔獣族
苦戦が文字からも伝わるな……
113:名無しの魔獣族
ああ よかった キャッチが間に合ったか……
114:名無しの魔獣族
え あ なんで泣くんだ どこもぶつけてないだろう……?
115:名無しの魔獣族
焦るなよ 赤子はこれ以上なく正直だ
きっと何か気に入らんことがあったのだろう だが視野を広く持った方がいい
116:名無しの魔獣族
そ、そうか……
確かに、転んだから泣いたとは限らんな なるほど、まっさらな心に長命種の理屈は通じぬか……
117:名無しの魔獣族
では何が……
あ、ああっ!!!
118:名無しの魔獣族
どうした 大きい声を出すと赤子が怖がるぞ
119:名無しの魔獣族
いや、だって……おむつが!!!
120:名無しの魔獣族
おむつ……あ、ああ……
121:名無しの魔獣族
掴まり立ちした拍子におしっこが出てしまって、それが不快で泣いたのか……
それは分かったが、これはどうするんだ おむつを替えるなど俺にできるのか
122:名無しの魔獣族
お、落ち着け とにかく赤子を傷つけないことを最優先にしなければ
123:名無しの魔獣族
それはそうだ、それはそうなんだが……
ええと、これは、どうやって外す……?
124:名無しの魔獣族
あっあっ 泣かないでくれ……すまん俺が不器用なばかりに……
125:名無しの魔獣族
うーむ、これは中々厳しい人を師にしてしまったようだな……
126:名無しの魔獣族
魔獣族もヒト相手には牙を抜かれて勝てんとはよく言うが、赤子というのはますます勝てん……
127:名無しの魔獣族
わ~~~~~ 人間、早く帰って来てくれ~~~~~
128:名無しの魔獣族
子供は強いな……
129:名無しの魔獣族
うむ、きっと我らは永遠に人の子には勝てんのだろう……
魔獣族……ほっとけば育つの代表格な種族。頑丈・強力・どこでも寝れると三拍子揃っているので、子育てという概念があまりない。
人間……ほっとくと死ぬの代表格。弱い・小さい・一人で生きられないと三拍子揃っているので、魔族は人間の子供には必要以上に怯えるし、ずっとおろおろしながら世話を焼こうとするので、人間から呆れられることも多い。