夜、沢山の人が行き来する交差点前
仕事を終えた社会人達は次々と通りすぎていく中
「はぁ、くったびれた~!」
1人の青年がそう言って背伸びをした
「明日と明後日は休みだし、やっと借りてた仮面ライダークウガのDVDが全部見れるな!」
青年の名は■■■■
警備員の仕事をしている何の変哲もない男である
青年は子供の頃から大好きな仮面ライダークウガのDVDを見ることを楽しみに帰り道を歩いている
青年は五代雄介と言う人間に憧れていた
誰かを守りたいと、笑顔でいて欲しいと願い
誰よりも戦いが嫌で、だれよりも戦い
泣きながら拳を握って戦ったあの人に
だが、今となってはそれは子供の時のお話
彼は歳を重ねていく度に彼のようになるのは不可能だと知ってしまった
現実を知り、自分が彼のようになれる職を選び警備員となった
そんな時だ、目の前の信号が変わり、勢い良く一歩を踏み出して
次の瞬間、僕の目の前は真っ暗になった
真っ暗な空間
立っているのか、座っているのか、そもそも地に足が付いているのか全くわからない
立っている感覚はないし何か触れていると言う感じでもない
─何を望みますか?─
聞こえてきた声は酷く機械的で事務的だった
俺の望み………
頭に思い浮かぶのは、人々の笑顔を守りたいと願った立った一人の優しい戦士
子供の頃に憧れ、いまでも尊敬できる人
俺が諦めてしまった人
「俺は、成りたい。クウガみたいに、五代 雄介みたいに成りたい!!」
─了承、改良、よき来世を─
次の瞬間、また、俺の目の前は真っ暗となった
目が覚めると、目の前には綺麗な青空が広がっていた
「あれ、俺は…………」
そう呟きながら体を起こし、目の前に広がっていた光景にさらに目を見開く
目の前には荒れ果て、所々壊れた遊具が置かれていた
自分が座っているのは壊れていないが少しボロボロのベンチ
ふと自分の姿を見ると、先程まで来ていたスーツではなく真っ黒な長袖のジャージを着て真っ黒なズボンを履いていた
おかしい、そういえば何で俺こんなところに
そう思いながら近くにトイレのある小屋を見つけ立ち上がる
何でかわからないけど、寝てたっぽいから顔を洗って意識を覚醒させよう
そう思いながら小屋に入り、洗面台で顔を洗う
冷たい水の感触が、少しボーッとしていた意識を引き締める
「ふぅ」
そう呟きながら顔をあげ、ふと目の前の鏡を見る
鏡には、少し長い髪に優しい顔
仮面ライダークウガの変身者である五代 雄介が最終回の雪山でしていた格好と同じ姿が映っていた
「……え」
良く見れば、鏡に移った五代雄介の顔は濡れており、自信の動かした姿がそのまま鏡に映った五代雄介も同じように動いていた
「もしかして、俺なのか!?」
思わず驚愕する、なんで俺が………五代雄介さんに……
そう思った時に頭に浮かんだのは真っ黒な空間で言われた『何を望みますか?』と言う言葉にたいして
クウガ、五代雄介みたいに成りたいと望んだ事が浮かび上がる
それと同時に脳内で当てはまる単語
異世界転生
「もし、本当に五代雄介になったのなら」
そう思いながら自信の腰に両手を翳す、すると俺の腰には銀色のベルト
中央には霊石・アマダムが埋め込まれた仮面ライダークウガに変身するためのベルトである“アークル”が現れていた
「取り敢えず、皹は入ってきてない」
アマダム、ベルトが壊されたら俺も死んでしまう
その事に安堵し、ベルトをしまう
なんとなく消えろとイメージしてみたらアークルは体内?へと戻っていった
なんだか良くわからないけど、五代雄介になったからにはそれに恥じないよう頑張らなきゃな
「よし!」
ふと先程のベンチへと戻ると恐らくは自分の物と思われるリュックサックが置いたあった
中身には財布、そして上着や下着などの衣類
そして身分証明書が入っていた
取り敢えず、パンツはある
よし!これでかつる!
ちょっとのお金と明日のパンツがあれば生きられるらしいし
「取り敢えず、近くの建物を探すか!」
そう言って、公園から見知らぬ場所へと一歩を踏み出した
あの公園を出てから暫く歩いていると大きな建物があり、そこから少し先には町のような物が見えた
やっと人かいそうな建物が見付かったぁ
その建物はすごく大きい建物だった
寮のように見える建物に学校にも見える建物がその建物の敷地内に見える
「凄いなぁ、何の建物なんだろ?新しい高校とか?」
そう思いながら建物へ向けて歩く、取り敢えずあの町で宿と仕事を探さないと
建物が近付き、建物の入り口の門らしき所には『
それと隣の掲示板?的な所にアルバイトと書かれた紙が見えた
えっと『港坂鎮守府、清掃員アルバイト募集』
男限定、変な条件だな
可能なら今すぐにでも申し込みたいけど、問題は宿だよなぁ
そう思いながら鎮守府と思われる目の前の建物を眺める
それにしても、この体に成る前の俺ってどうなったんだろ?
普通に考えたら死んでるか消滅してるか、だよな
「ここに、何か用があるのかい」
背後から聞こえてきた声に振り向くと、綺麗な銀髪に水色の瞳
そしてセーラー服を着て帽子を被った小学生ぐらいの少女が大きめのリュックサックを背負い佇んでいた
この子、どっかで…………
『
『いやぁ、俺は特撮で十分だよ。それにあまり擬人化?て興味ないんだよ』
『そんなこと言うなって!例えば、この子とかどうだ?こいつはな、駆逐艦の──』
響だっけか?
「えっと、これ!このアルバイト何処に話せば出来るかなって!俺、携帯持ってないし」
「………………そうか。なら付いてくると良いよ!」
「ありがとうございます!本当に感謝です!!」
そう言うとピクリと肩を震わせた後に歩きだす少女に思わず何か嫌な事を言ったのか考えながら付いていく
「ここは軍事施設だけど、何をしに来たんだい?」
ぐ、軍事施設だったんだここ………
「さっきの張り紙にあったアルバイト、ですけど」
もしかして、疑われてる?本気でアルバイトナンだよなぁ
仕事ないし
鎮守府と言われた施設に入り少し歩くと眼鏡を掛けセーラー服を来た少女が向こうから歩いてきた
「貴方達は?」
「響だよ、今日からこの鎮守府に配属されるから司令官に挨拶をしたいんだけど」
「なるほど、では私がご案内します。それで、そちらの男性は?」
「俺!表のアルバイトの張り紙を見て!」
「全く、軍事施設にアルバイトなんて──」
「あぁ、そう言えば提督が昨日に募集しましたね」
「昨日!?」
そう言って口を開けて驚く響
「それでは面接を行いますので、私に付いてきてください。響も付いてきてください」
「はい!」
そう言って眼鏡を掛けた少女を追って歩く
よし、面接頑張るぞ!
あの後、俺は談話室に通され響達は別のところへ向かっていった
ここ、本当に軍事施設なのか?
どっちかって言うとさっきの子の格好と言い、学校のみたいだ
それにしても、まさか友人の言っていた艦隊コレクションの世界に生まれ変わるなんてなぁ
こうなるならアイツの話もっとちゃんと聞いとくべきだったかな
そう思いながら面接で聞かれる内容を考える
名前は五代 雄介。
冒険家をしていて、アルバイトの張り紙を見て来た
特技は2000の技を持っていること
そう考えながら椅子に座り、暫くするとノックと共に三十代前半くらいの真っ白な軍服を着た男性と先ほどの眼鏡を掛けた少女が入ってくる
「待たせてすまないね」
「いえ、大丈夫です!」
そう言って向かいの席に二人が座る
「私はこの鎮守府の提督を任されている
「軽巡、大淀です」
そう言って座ったままお辞儀をする二人に慌てて自分も頭を下げる
「まず、名前を教えてくれるかな?」
「はい!俺、五代 雄介って言います!」
そう言って笑う、確か面接の時は笑顔が大事だって聞いたし
「……アハハ、まさか本当にそんな名前の子に会えるなんて思っても見なかったよ」
そう言って笑う竜崎さんに思わず呆然としてしまう
「提督?」
「なんでもない、さて質問なんだが何故このアルバイトに?」
「はい!外のアルバイトの広告の紙を見てやってみたいと思ったんです!」
「そうかそうか、履歴書は用意しているか?」
「え、あ……表の広告を見て!すぐに来たので、すいません。」
「ハッハッハ!なら後日に提出してくれれば良いよ。」
「本当ですか!ありがとうございます!本当に感謝です!!!!」
この後、色々と話して今日は近くの町のホテルに止まることにした
どうにか働けると良いんだけど…………
あれ、これクウガの力いらなくね?
side out
提督side
次の日、彼が履歴書を持って鎮守府に訪れた
「五代 雄介、24歳で無職。大卒で個性は2000の技を持つ男………あからさまに怪しいですね」
「あぁ。まさか昔のドラマの作品の名前を使うなんてな、まぁ恐らくは偽物だろうな。」
「恐らくは何処かスパイか、とんでもないバカのどちらかですね」
何処かのスパイとかなら楽なんだが………
そう思いつつ、もう一度彼の履歴書に目を通す
これを見る限り、そうとは思えない
暫く、雇って様子を見るのが良いか
「よし、彼を採用しよう」
「本気ですか?」
「面接で軍の機密を聞き出してくるような奴らよりはマシだろう。もしボロを出した時のために監視を付けておくか」
最初見たときこそ、目を疑った
まるでテレビからそのまま出てきたんじゃないかと思ったほど
彼は似ていた、あのヒーローに
クウガ、
side out
響side
初めてその後ろ姿を見たとき、私はまるで夢だと思った
それと同時にありえないと言う気持ちが多かった
まるでテレビの世界からそのまま飛び出して来たような姿であの人はいた
名前こそ聞いていなかったが分かる
だからこそ、なんで
前に教え込まれたスパイや報道陣とも違う
まさかアルバイトだなんて言うとは思っていなかった
軍用施設にアルバイト、ありえない
ありえないはずだった、でもこの鎮守府の司令官が募集していたらしく
思わず口を開けて驚いてしまった
数口程度、彼と話したが声も姿もすべてテレビと同じだった
ありえない出会い
まぁ、もし彼がアルバイトに採用されたらさりげなく色々と聞いてみるのが良いかもしれない
誰かの涙の為に、戦えて
優しくて、誰より苦しみながらも戦い泣いた
そんな仮面ライダークウガは、私にとって尊敬する人物なのだから
あのような形だけの偽物は、許さない
side out
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