今回は先に忠告させて頂きます
前回の様な甘い空間が苦手な方はこの先へ進むのを
ご推奨しません
それと、少し長くなっております
それをふまえた上でご回覧頂けると有難いです
長くなりましたが、
それでは本編へどうぞ
屋根の隙間から入り込む朝陽が俺の顔に照りつける…
随分と寝覚めの悪い朝だ、季節は知らないが
冬ではないのは確かだな…
あれ、なんで俺の隣に凶香が寝て…そうだった
昨日の夜こいつに色々言われて添い寝したんだった…
まぁ、若い男女二人が添い寝していたのは事実だが
断じてこいつとそんな事実はない
それどころか…俺はこいつを強く…思い出しただけで
自分に腹が立ってきた…目覚めは最悪だ…
流石に酒を飲んでも酔って自分を忘れるほどは飲めない…
取り敢えずこいつを起こすとするか
楽矢「起きろ、朝だ」
反応はない、ただのしかばねの…じゃなくて
良く食べるよく眠るって成長期かよ…
楽矢「起きろ」
俺は凶香の額を軽く叩いた
この調子で言葉だけで起こしても
絶対に起きないだろう、多少手を出さない限りな
凶香「痛っ!起こすのに暴力って…」
楽矢「言葉だけで起きないお前が悪い」
凶香「だからって…まぁ今日のところは許してやろう!」
なんでこいつ上から目線なんだよ
どうやら頭はまだ覚めていないらしいな
もう一発叩いてやろうか…
昨日の事は…触れないでくれているのか…
ふと目を横にやると凶香の枕元に墨の付いた筆が
転がっていた、こいつって筆なんか持ってたか…?
楽矢「あれ、筆と墨使ったのか?」
凶香「ん?あぁ、昨日持ち物を整理しててね」
そう言うと凶香は筆を着物に直した
案外、女っぽいところもあるんだな
性別上は女な訳なんだがな…
凶香「何か今凄く失礼なこと考えてない?」
楽矢「いや?特に何も」
随分と勘の良いお嬢さんだこと
バレると色々と面倒くさいので俺は適当にごまかした
そう言えば昨日の夜、寝る前にこんな質問をされた
寝る前に会話…いや、あんな事があったんだ
本人が忘れるわけにはいかない…
凶香「ねぇ、楽矢、まだ…起きてる?」
楽矢「起きてるぞ、どうした?」
凶香は暫く返事がなくあたりがまた静かになった
質問吹っかけといて黙るなよ…と一言入れたいとこだが
こいつなりに何かあるんだろう…
楽矢「どうした?何か用か?」
俺の言葉の後に続いて凶香も沈黙を破り話し始めた
俺から喋り出したのはせめてもの手助けだ
普通こんなの放っておいて寝るんだが…
今日は話を聞けとでもいう様にうまく寝付けなかった
凶香「あのさ、私が死んだ後にさ…」
楽矢「もう死んでるだろ、それでどうした?」
随分と暗い話の始め方だ
正直俺が言えた事でもないがこういった
話の切り出しが暗いとこっちまで影響されて暗くなる
凶香「私って何が残せるのかな?」
楽矢「はぁ?」
何を残せるって言われてもな…
こいつの事自体この前知ったところだ
簡単に言えばお互いに対する知識量は
少しだけ仲のいい友達程度でしかない
そんな状態で俺に何を残せるか?と問いても
特に何もいい答えが思いつかないものだ
楽矢「……記憶とか思い出とか?」
凶香「それも嬉しいんだけど…
具体的に言うと楽矢の役に立つものがいいの!」
女ってのは直ぐに声のトーンが強くなる…
生前こんな女居たら適当にあしらっておさらばだ
だが、役に立つもの…と言われても
今の状況で満足してる俺からすると特に何もない
楽矢「そうだな…じゃあそれを考えるのが
お前のこの世界で過ごす間最後の問題だ」
凶香「何それ…でも、楽矢らしい答えだね」
楽矢「俺らしいのか?それって…」
自分から見た自分と他人から見た自分は
よく言う通り違うものなのか?そこまで
ベタな王道漫画みたいなセリフばっか吐いてるのが
俺らしいのか?他人目線だとよくわからんな…
凶香「お気楽で賢くて、時々なに考えてるか
わかんないけど…私はそんな楽矢が好き…かな?」
おいおい、罵倒混ざってるぞそれ
それに付け加えて好き…か、口づけ交わした時点で
勘付いていたが…やはりこうなるのか
楽矢「そうか…」
俺はそうとしか答えられない…いや、答える資格がない
今更、何十人も地獄に突き落としてきた俺が
普通の人間の生活が送れるはずがないだろう…
だが、俺はこいつをどう思っているんだ?
家族?妹?相棒?…考えれば考えるほど俺の頭を
蝕むかのように謎が深まっていくばかりだ
俺はどうしたいんだよ、分からない…
自分ですら分からないんだよ…
凶香「ねぇ、楽矢?冷や汗かいてるけど…「やめろよ!」
やってしまった…
俺の右手は気付いた頃にはもう遅かった
凶香の右頬を強く叩いてしまった
何故手を出してしまったんだ俺は…
楽矢「す、すまない」
凶香「私いらない事言っちゃってたみたい…
ごめんね?もう寝るね…お休み!」
凶香の声が震えていた…明るく振舞おうとしても
自分の着物に顔をうずめ啜り泣く声が聞こえた
俺と凶香がその晩それ以上の会話する事はなかった
何故俺は手を出してしまったんだ…
何かおかしい…俺は一体どうしてしまったんだ?
考えれば考えるほど闇に吸い込まれていくようで
普段は慣れた闇がとても恐ろしく感じた
と、まぁなんとも言えないというか、
明らかに俺が悪いんだが…
夜にそんな事があったせいかこいつの顔を
面と向かって見れない状況なんだ
いつまでもこの空気を引きずるわけにもいかないな…
楽矢「凶香、昨日は殴ってすまなかった!」
俺は生前決して行うことなかったであろう事…
謝罪だ、俺は何処までこいつに振り回されるんだろうか
自分が何考えてるかが分からない
今ここに存在する穂冒楽矢は本当に俺なんだろうか…
そんな普段なら分かるくだらないことすら分からない
凶香「楽矢が謝る事ないよ?私がいらない事言って
困っちゃってそれで、怒ったんでしょ?」
凶香「私ってわがままばかり言うからさ…
だから、本当に謝らなくていいよ」
こいつは何処まで一人で抱え込むつもりなんだ…
謝るな?その言葉で晴れるほど軽い心は持ってない
この日が来てしまった…俺はもう間違えも後戻りもしない
楽矢「凶香…お前は俺と真反対なんだよ…
お前の昨日言った言葉の意味くらい俺にも分かる」
楽矢「だからこそ…俺にどうしろと?
お前が消える前に何かしてやりたいさ!
だがな、人の愛情ってのは相手が死のうと
永遠に残るんだよ…いつも俺は残されるんだ…」
楽矢「いつだって!俺の目の前で友人、家族、
愛した人間ですら死んでいくんだよ!」
楽矢「いつも気付けば取り残されている、
死んだ仲間の数人は自分で殺した様なもんだ…」
楽矢「それでもお前はまだ俺について来ると答えるか?」
言ってしまったな…後戻りは出来ない
こいつに嫌われようと俺の目の前から去ろうと
俺は引き止める事はもう出来ない…
凶香「………」
凶香はもう何も言おうとはしなかった
見下すわけでもなくずっと下を向いていた
やはりこうなるのか…一人に戻る決心なら出来ている
楽矢「どうした!行くならさっさと行けよ!」
いつかこうなる事は分かっていた
分かっていたからこそ、この道を選んだ
このままだったら絶対にこいつは俺に対しての未練を
残して消えていくだろう…だからあえて選んだんだ
これが俺の捻じ曲がった正義なんだ
凶香「楽矢なんかより私の方が汚れてるよ?」
凶香「私は楽矢と違って、自分のこの手で
大切なものと別れる道を選んだんだよ?」
凶香「楽矢なんかよりずっと汚れた手なんだ…
だから綺麗なものをみると羨ましくなるんだ」
凶香「その私が羨ましがった綺麗なものを
自ら壊していかないでよ…お願いだから
私の前では綺麗な手の届かない人間になってよ…」
凶香「私は楽矢からものなんて何もいらない…
だから私の愛した唯一の人間でいてよ!!」
楽矢「………」
凶香「これが私の頼みごとです、これ以外はいりません!
どうか、私を消えるまでの間だけ楽矢の傍に
居る事を許して下さい…お願いします!」
凶香は涙を流しながら…床に額をこすりつけた…
俺は今嬉しいのか?悲しいのか?
いや、そんな事はもうどうでもいい
楽矢「本当に良いんだな?俺と一緒で…」
凶香「お願いします!」
俺はこいつが居る間だけでも
捻じ曲がった正義でも…こいつの光になろうと思った
いや、残った時間を全てこいつに捧げる事にした
楽矢「お前はとんでもない奴だよ…」
楽矢「嫌われて未練の残らない様にしようと思ったが
負けたよ…正義の味方、穂冒凶香さん」
凶香「ありがとう…本当にありがとう…」
楽矢「涙拭けよ、俺だって恋人をいつまでも
泣かすわけにはいかないからな」
これが…俺の正義が導き出した答えなんだろう?
なら答えは決まっている、俺はその正義を貫き通す
例え時間がなくても…俺が辛くなる結果だとしても
今回も最後までお疲れ様でした
今回の後書きは更新の遅れた理由です
はっきり一言で言ってしまうとアニメを見ていました
普段はアニメはあまり見ないのですが
私は一つの物事にハマってしまうとそれにしか
興味がなくなる、というなんともまぁ面倒な趣味の
ハマり方をするタイプでして、
自分の好きなアニメを盾にするのもあれなんですが、
大変面白かった為つい一気に見てしまいました
それで、3日目の夜に思い出し
2日かけて書いた、というわけです
自分勝手な理由です…待たせたのであれば
非常に申し訳ありませんでした
それでは、今回もご回覧有難うございました
p.s. 取り敢えずココは可愛かったです
武器商人があんなのばかりならなぁ…