東方冒涜伝   作:空ネロ

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第五十四話 悪戯心

……俺はどうやら捕まったらしい

記憶がはっきりとはしていないが、

あの様子だと俺を捕らえたんだろうな

ならここは、牢屋の中に当たるのか…

気を失ったおかげで神力と妖力は回復した様だ

おかげで胸の傷も癒えている…

事を荒立てるつもりもないが、問答無用にも程がある

見つけたら少しお説教といきたいところだな

それよりも、腕と足が縄で縛られていて自由に動かせない

昔の経験で手鎖なら外せるんだが…

縄か、切れば抜けれそうだな…外すまでも無い

 

「おい!そこの人間!自分が何をしたかわかってるのか」

 

天狗の見張りらしき奴が俺に向かって叫んだ

目覚めの一言にしては煩いな…

柵をぶち壊して寝起きの俺を

怒らせた罰でも償ってもらうか…

いや、それだと面白くないか…やめておくか

 

楽矢「少し声の大きさを小さくしてくれ…

寝起きはあまり気が乗らないんだ」

 

「貴様…ふざけやがって…」

 

楽矢「ふざけてんのはお前らの方だろうが…

家に帰れない奴を家に送り届けただけで

人攫いだの…天狗か…まぁ、悪人よばわりされてる

俺の気持ちにもなってみろ」

 

「人間風情がごちゃごちゃと…まぁ良い、

貴様がどうなるかは知った事では無い」

 

その人を見下す態度、どうにかならないものか

お陰で隠してる神力がつい暴発してしまいそうだ

まぁ、こんな下っ端一人の命に興味は無いがな

やるなら親玉を沈めるだろうし…

 

楽矢「ところで、文は?」

 

「……今は部屋でゆっくりと眠っている」

 

何という運のなさだ…あいつさえ起きてくれれば

俺の罪は晴らせるというのに…

はぁ…あいつが起きるまでこの鳥の

話し相手になるなんてごめんだ

そろそろ抜け出すとしようか

俺は手からクロを放出して奴の足元に配置した

ポチは俺の縄を切る事に回した

俺を止めるのならこいつ等をまず倒さないとな…

甘かったな…馬鹿な鳥が群れをなしても

馬鹿なままだという事が今回でよく分かった

 

楽矢「そうか、なら伝えといてくれ

道案内が助かったと」

 

ポチが俺の縄を切ると同時に

クロが見張りの首を勢い良く締めた

今回は殺さない程度だ、気を失ってくれれば吉

死んだならこの天狗の運は凶運だったって事だ

見張りは1分も経たない内に床へと倒れた

ポチが残った足の縄を切り、俺は晴れて自由の身だ

俺はどうやら洞窟の中に居たらしい…

耳を澄ませると空洞音が洞窟内に木霊した

脱出に焦っていたおかげで全く気づかなかったな

………空間で移動すれば良かったな

俺らしくもないミスだな、終わったことだ、仕方が無い

 

 

 

 

 

洞窟から出ると外の太陽の光が眩しく感じた

洞窟の中が暗かったせいで目が痛い

さてと、とっとと天狗とおさらばして鬼に会いに行くか

俺は天狗の里から空間移動で里から出た

縄のおかげで手首に縄の痕が残っている

傷や外傷は再生するのだが、こういう痕が消えるまでは

普通の人間の痕が消えるまでの時間と同じだ

文には悪いが…いや、どうせまた会うことになるさ

 

俺は長い山道をまた歩き始めたのだが

普通の人間ならこの光景を綺麗だとか思うんだろうが

今の俺の心にそこまでの余裕はなかった

久しぶりに見た生物が天狗だったせいだろうな

 

「ねぇ、人間さん…この山って良いところだよね」

 

まずい、追い付かれたか…

後ろから若い女の声が聞こえた

…が、俺の反応よりも早くポチとクロが動いていた

本当、頼りになるな…

俺は一応、手に黒炎を宿らせながら後ろを向いた

 

楽矢「もう見つかったのか…」

 

だが、現実というものは俺の予想を大きく裏切った

後ろに居たのは天狗ではなく人間だった

 

楽矢「ポチ、クロ、戻れ…そいつは天狗じゃない」

 

間一髪だった、あと数秒指示が遅れていたら

間違いなくこの人間は八つ裂き、もしくは串刺しだった

ポチとクロは命令に従って俺の手の中へと戻った

 

「あ、危なかった…」

 

その人間は緊張した表情から安堵に表情が変わった

俺も関係のない奴を殺す羽目にならなくて良かった

 

楽矢「すまなかった、追手かと思ってつい…」

 

「いきなり声掛けた私が悪かったね、ごめん」

 

楽矢「こんな山奥に散歩か?ここら辺は危ないぞ?」

 

一応、詫び代わりの忠告はしておいた

もう一度言おう、忠告はした

俺はわざわざ止めるつもりまではない

それよりも、この時代に人間の髪が金髪とは…

いや、よくよく思えば本当に人間なのか?

 

「忠告ありがとう、でも貴方の方が危ないと思うな」

 

楽矢「一つ尋ねる、お前…人間なのか?」

 

初対面で聞くには十分なくらい失礼な一言だ

自分でも承知している、

だが答えによってとる行動も変わる

 

「随分唐突だね…えっと、人間じゃないね」

 

楽矢「なら妖怪の部類か…」

 

「妖怪でもないかな、うーん…分からないかな…?」

 

分からないかな、と言われてもな

妖怪でなければ人でもない…俺の周りに

そんな種族の知り合いが居たか…?

半妖…にしては妖力が殆ど無いに等しいだろう

幽霊…でもないな、しっかりと姿がある

 

楽矢「もしかして…だが神様とかか?」

 

「正解〜、よく分かったね!」

 

楽矢「にしては随分と神力が乏しい様に見えるが?」

 

「山の神様だからね、あんまり神力を出す様な

事が普段ないから出してないようにしてるんだ〜」

 

それにしても、神様か…

こっちの世界にきてからというものの

妖怪だとか神様だとか、向こうの世界じゃ

お目にかかるどころか、見れないからな…

まず、俺がその手の話を信じる様なタイプでもないしな

神様…諏訪子も確か神様だっけか…

色々あって別れの一言も告げてなかったな…

 

楽矢「そうか、山の神様に尋ねる、

鬼の巣窟は…鬼子母神は何処にいる?」

 

「山の神様じゃなくて穣子でいいよ、

後、その質問には答えられないかな…」

 

楽矢「理由を聞いてもいいか?」

 

穣子「あそこは妖怪ですら近付かない場所なのに

そんな危険な場所を人間に教えるわけにはね…」

 

まぁ、一理有るな…

逆の立場で考えると俺も同じ答えだろう

仕方が無い…自分で探す事にするか

 

楽矢「色々とすまなかったな…

名前、もう一度聞いておいていいか?」

 

穣子「秋穣子だよ、貴方の名前も聞いていい?」

楽矢「穂冒楽矢、半妖だ」

 

穣子「そっか〜なら楽矢、絶対に行っちゃ駄目だよ?」

 

穣子は少しにやけながら人差し指で

山の頂上を指した、言っている事とは逆だが…

多分、俺の妖力の量にでも気付いたのか

それとも、神様の単なるイタズラ心なのか

まぁ、どちらにしろ有難い

 

楽矢「あぁ、分かった…絶対に行かない」

 

そう言って、俺は穣子に別れを告げ、

穣子が指差した方向に足を進めた

なんというか、少し変わった神様だったな

あそこまで人に近い神様を見たのは始めてだ

俺の経験がおかしいのかは分からないが

基本は常人が見たら理性を失う見た目をした

神様が俺の経験のした神様だからなのか…

それにしても、慣れというものは怖いな

あんなどこからどう見ても化け物で禍々しい物を

自分の中での神様の部類に入っているとはな…

 

 

 




こんばんわ、空ネロです
実は昨日の夜中にはこの話は仕上がってたんですが
つい眠気で後書きのコメントが思いつかなかったため
一日遅れてしまいました。
かといって今日も特にネタがないんですがね…
まぁ、そんな投稿者です、はい

そう言えば、社会人の方々なら仕事が始まり、
学生の方々は学校が始まったと思われますが
皆様はいかがお過ごしでしょうか?
私は学期始めからかなり疲れて死にそうです…
肌は日焼けするわ、風邪を引くわで
もう散々な日々を送っております。

かかって分かったのですが、夏風邪というものは
想像以上にキツいもので驚いています
冬は暖かくすれば基本は大丈夫なんですが、
夏にかかってしまうと暖かくすれば暑い…
かといって冷房を付けたら寒いの微妙なラインが
本当に微妙過ぎた事が一番の驚きでした
皆様は是非、こんな悪い例にならないように…
皆様が何事もなく、残暑を乗り切れる事を願います

それでは、今回もご回覧ありがとうございました


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