東方冒涜伝   作:空ネロ

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第五十五話 開花

確か俺は穣子の指示した方向に向かっていた!

筈なんだが…気のせいだろうか、

明らかに見覚えのある里が見える

俺が単に方向音痴なのか…それとも山の神様の悪戯なのか

どちらにしろ、今の状況は最悪だ

天狗の見張り眠らせて逃げただけあるな

 

「探せ!何としてでも見つけ出せ」

 

空には、偵察だろうか…数えただけでも10匹はいる

最悪、全員あの見張りみたいなのにするのもありか…?

凶香が居たら出来なかった強行突破だが…

いや、それはそれで最悪だな

取り敢えず、暫く隠れておくとするか

 

 

 

 

 

かなりの時間が経っただろう…

明るかった昼の太陽が沈みかけている

何時間探してたんだよ…諦めるまでが長すぎる

さっきまで天狗の報告やら指令やらが

煩く飛び交っていた空が今では虫の鳴き声が

聞こえる程に静かになった

一日無駄にしたな…大体の予想だが

紫との杯を交わすまでもうそんなに時間が無いだろう…

一日を大切にしていきたいものだな

 

「あ!やっと見つけました!」

 

聞き覚えのある声が俺の後ろから聞こえた

ずっと同じ体制だったせいだろう…上手く立てない

最近、悪運が絶え間無く続いている気がするな…

 

文「何だか凄い事になってましたよ?」

 

後ろを振り向くと事件の元凶こと

被害者扱いの文が立っていた

身の潔白くらい証明してほしいもんだ

 

楽矢「らしいな…半分はお前のせいだと思うが?」

 

文「誘拐犯だとか言われてますからねぇ…

本当、御愁傷様です」

 

文は他人事の様に俺に笑った

…ここまで女の顔を殴り飛ばしたいと思ったことはない

まぁ…殴り飛ばさないんだがな…

 

楽矢「お陰でこの草の茂みで

一日を過ごす羽目になったんだが?」

 

文「まぁ、その一日を取り戻せる様に

お詫びとして道案内くらいならしますよ?」

 

楽矢「まぁ…それなら助かる

………今度は寝ないでくれよ?」

 

文「大丈夫です、しっかりと寝てきましたから!」

 

遠足前の子どもか、と一言入れたいところだが

また長くなりそうだ、同じ様な経験をしているから分かる

女ってのは子ども扱いされるとどうやら怒るらしい

なんともまぁ、分かりにくい生物だこと

 

楽矢「それなら良かった、なら早速だが頼む」

 

文「それでは私に着いてきてください!」

 

文が勢いよく空へと飛び上がった

俺の都合は無視かよ…呑気というか、

自己中心的というか…とにかく、俺自身の女性に

対する数少ない得意なタイプに入らないのは確かだ

苦手とまでは言わないが…相手のペースで

話を持っていかれることが得意ではない

 

楽矢「俺は飛べないんだが?」

 

実際的に空を飛ぼうと思えば飛べない事もない

人間と妖怪のSAN値を犠牲にヨグ=ソトースだの

邪神に乗って動けば実質飛んでるようなもんだ

まぁ、それは奥の手だ…

正直に言うと乗り心地があまり良さそうに思えないしな

 

文「困りましたねぇ…飛び方を教えましょうか?」

 

楽矢「羽が無くても飛べる方法が有るなら頼む」

 

文「うーん…羽が無い方法は知りません」

 

だと思った、一応で聞いてみたが

やはり羽が大事なのか…

俺は人間だ、天狗ではない…

素直に諦めるとするか

はぁ…もういい、空間を使うとするか

 

楽矢「文、鬼のいる場所を頭の中に思い浮かべてくれ」

 

文「え?何ですか?いきなり…」

 

楽矢「後で説明するから、言われた通りにしてくれ」

 

説明するから…機会があればの話だ

わざわざそんな面倒な事する筈が無いだろう

そもそも、説明しても理解出来ないだろう…鳥頭だし

 

文「えっと、言われた通り想像しました」

 

文は目を閉じたままこちらを向いた

さてと、出来るかは分からんが試す価値はある

俺は文の頭に手を置いて微量の妖力を文から吸い取った

今吸い取ったのは簡単に言ったら

記憶のコピーみたいなものだ、他人の脳内にある

イメージ、記憶を短い時間で妖力に置き換え

それを吸収する事により俺にも場所が分かり飛べる

……筈だ、偶々思いつきでやってるだけだ

失敗すればあぁ、残念…成功すればあぁ、便利

程度のものでしかない

 

文「急に撫でないで下さいよ…」

 

目を閉じたまま文の顔が紅潮している

……撫でた覚えないんだが?

まぁ、面倒だ…撫でた事にしておこう、そうしよう

 

楽矢「つい、昔の相棒を思い出してな…」

 

文「そうだったんですか…ふと思ったんですが

楽矢さんって若く見えますけど本当の歳は…」

 

見た目は大体20代の青年くらいに見える様にしている…

というか不老不死だから老いる事がまずない

多分死んだ時の年齢からこっちで過ごした

年数も数えると…多分、1億は軽く超えるだろう

ま、数えてもいないから覚えてないんだがな

 

楽矢「大体…鬼子母神が生まれる前くらいから

今までの年数を足した数だ」

 

文は目を丸くさせたまま少しの間放心状態となった

ま、普通はそうなって当たり前なんだろうな

そう考えると俺は年だけを見ると

爺さんを通り越して神以上の何かと同類なのか

……邪神と同類、あまり考えたくはないな

 

文「もう楽矢さんったら嘘がお上手ですね」

 

楽矢「嘘ならもっと年数は少なくするが?」

 

文「って事は…楽矢さんって神様とか何ですか…?」

 

文は此方にも伝わる程の声で恐る恐る俺に尋ねた

残念だが、神じゃないんだよな…

なりたくも無いがな…あんな仕事に縛られる

一生なんて何があろうと送りたくないものだ

 

楽矢「いや…まぁ、もう半妖にしといてくれ」

 

文「年上だったんですね…しかも大先輩…」

 

楽矢「面倒だから他の天狗には黙っといてくれ」

 

文「わ、分かりました」

 

鬼子母神と張り合える程の人間、なんて

誰が信じるんだ、例え信じられても

物好きな戦闘狂が挑戦状だの闘えだの、

いずれにしろ自由じゃなくなってしまう

折角、向こうの世界を抜けてまで自由になったんだ

こんなところで縛られる訳にはいかない

 

楽矢「それよりも…よし、終わったぞ」

 

文「?何がですか?」

 

やっと空間に行き先の鬼の里が反応した

成功…だな、何でも試して見るもんだな

 

楽矢「どうする?一緒に行くか?」

 

文「一人で行けるなら一人でお願いします…

やはり種族が違うので少し…」

 

楽矢「そうか、道案内有難うな」

 

文「いえ、お話できて楽しかったです!」

 

俺は今度は正真正銘に文の頭を撫でた

文に軽く手を振ると天狗の里へと帰って行った

変わった天狗だったな…

次は鬼か…また楽ではなさそうな行き先だな

俺はそんな事を思いながら作った空間へと入って行った

 

 

 




皆様、夜分遅くにこんばんわ、空ネロです
今回投稿が遅れた理由はまぁ、忙しかったのが主でしたが
また、謎の頭痛に悩まされたりなどと
夏にはしゃぎ回った代償が遅れてやってきたのもあります
最近の後書きが病気についてばかりになっていますね…
まぁ、今後明るい話題を出せる様に心掛けます


それよりも、一番初期から見て頂いている方がいるなら
お気付きでしょうが、この作品…
タグにあるクトゥルフ神話要素が今現在かなり
薄いものとなっております
クトゥルフ神話を楽しみにして見にきている人には
ご期待に応えられない結果となってしまっています
序盤に使いやすい邪神ばかりを登場させた自分を
ただひたすら恨みます
タグを回収できるような邪神が今後、
徐々に滲み出てくると思いますので
それまで我慢して頂けたら有難いです

それでは今回もご回覧ありがとうございました。
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