東方冒涜伝   作:空ネロ

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第六十一話 未練

遠くから大量の足音が聞こえる

こう、あまりにも静かだと自然と聞こえるものだ

後少しでご対面ってわけか…

別に虐殺だの殺害が好きなわけではない、

かといって、嫌いとも言い切れない自分が怖い

話し合って止まってくれる相手でもないしな

まぁ、巻き込まれてしまったからには働くだけだ

 

楽矢「ポチ、クロ、指示するまでは絶対に動くな」

 

命令に逆らう様な手癖の悪いペットでもないが

まぁ、人懐こいと宣伝されている猛獣にも

首輪が付いているのと同じだ

完全に命令通りという事とは限らない

まぁ、頼りない保険程度の解釈で構わないだろう…

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、人間の匂いが随分薄くないか?」

 

「そんなことあるか!ここは村だ… 」

 

話し声が聞こえる程度の距離まで近くなったか

何故、俺が気付かれていないか…

その理由は簡単だ、この妖怪共は

夜の闇の中で人の匂いを辿って村まで来ている、

要するに目ではなく鼻の利いた妖怪というわけだ

 

「人間どころか村すら見えないぞ!」

 

そんな妖怪に対して俺は空間能力を駆使して

人の匂いが漏れない様に無臭の空間を作り出し

村を覆う、といった前代未聞の策に出た

目で見ていない、匂いが分からない…と、探す手段が

殆どと言っても過言ではない程に無い訳だ

 

 

「本当にこの道で正しいのか?」

 

「道を間違えてるんじゃないか?」

 

「暗くて何も見えないんじゃ確かめる事すらも

ままならないぞ!どうする気なんだ!」

 

後ろから次々と道案内役の妖怪

に対しての批判が殺到している…

作戦は成功だ、目の利く妖怪用に

無臭、という空間に追加して周りの森と

同化していて村が見えないというおまけ付きだ

 

「おい、道を引き返そう!」

 

「いや、確かにこの辺りに…」

 

千だの万単位の妖怪が騒ぎ立てると

こんなにも煩くなるのか

よく見ると種族は全匹同じ、ではなく

色々な種類の妖怪が参加しているようだ…

さて、このまま帰ってもらうのも一つの手なんだがな…

…そろそろ空間で隠すのも限界だな

大体残り10分程度か…充分な残り時間だ

さて、どうする?報酬のある仕事なら全滅だが

ボランティアでこの数を片付けるには

少々、いや、かなりの大損だ…

というか見ず知らずのガキの村を救う理由があるのか?

………慧音とか言ったか、凶香と身長が同じくらいか…

ふと、俺の脳裏によぎるのは凶香の笑った顔だった

もっとしっかり頭を撫でておくべきだったな…

こうして未だに忘れられない女々しい自分が

情けなくて仕方が無い…

だからこそ俺らしくて誇らしくもあるんだがな

 

楽矢「そう急かすな…やる事はやるさ」

 

俺の中で自分の正義がやっと定まった様だ

自問自答の後に思いついた策はたった一つ…

さっきの回想と共に思い出した貰い物がある

出来れば文字通り最後の切り札にしておきたかったが

まぁいい、あの一流陰陽師様に賭けることにしよう

あの時使いそびれた分活躍してもらうことにしよう

俺は清明から貰った札に神力を込め

妖怪の群れへと向けて放り投げた

 

 

 

 

 

 

「何だ?この光は…」

 

「おい!お前ら!逃げ…」

 

放り投げた札は天に向かって舞い上がり

無数もの光の矢となって妖怪に降り注いだ

対妖怪にしては随分と威力が馬鹿でかいな…

間近で流星群でも見てるかのようだ、

妖怪の断末魔さえなければ綺麗なんだがな

 

 

 

 

 

辺り一体を見回すと妖怪の大名行列は

数分の間にして跡形すらも消えていた

まさに流星群そのままだな…

本当、とんでもない贈り物を貰ったものだな…

札は吹いた風に乗って何処かへ消えていった

現実の時間としては短いが俺からすると長い夜だったな

人として大切なものを失い続けて

……今本当の意味での人間という

なんともまぁ、奇妙な生物に近づいた気がする

真面な人生を送っていないと人間という

一つの言葉理解するのに億単位の年月が必要になるのか…

歩こうとすると足元がふらつき倒れてしまった

………少し身体に負担をかけすぎたか………

 

 

 

 

 

 

 

慧音「こんなところで寝てはいけませんよ?」

 

目を開くと真上に太陽が見えた

……またぶっ倒れたのか、制御の難しい能力だこと

 

楽矢「疲れが溜まっていてな…」

 

慧音「それで妖怪の群れの方は…?」

 

光になった!と言っても信じてはもらえないか

適当にあしらってまた別のところに行くとしよう

 

楽矢「あー、俺の勘違いだったみたいだ…

迷惑かけてすまなかったな」

 

これが最善の方法だろう、嘘みたいな話を

信じさせる真実より真実みたいな嘘を

信じさせる方がよっぽど簡単だ

 

慧音「そうですか…あの、えっと昨日は…」

 

慧音はおどおどとしながらこちらを確認している

そんなに別に怒ってはいないんだがな

あくまで俺の好きでやった事に過ぎない

 

楽矢「別に構わないさ、勘違いの一つくらい

生きてさえいれば誰にでもある事さ」

 

慧音「その、是非お礼をしたいのですが…」

 

また何か口ごもってしまったか

人と話すのに慣れていないのか、

それとも単に俺が怖いのか…

まぁ、どちらにせよ非は俺には無いがな

 

楽矢「礼は特にいらないな、食料にも

金にも困ってはいない」

 

食糧という言葉にわざわざペット二匹が

反応するせいで両腕の細胞再生がままならない…

本当、もう少し落ち着いてくれないか

 

慧音「そうですか…」

 

本当に馬鹿ペットが暴れ出しそうだ

出来れば少し村で一息つきたかったが

死者が続出しかねない…仕方ない、行くとしよう

 

楽矢「そろそろ出発させてもらってもいいか?」

 

慧音「あ…えーと、また!また会えますよね?」

 

楽矢「多分な、それじゃあまたな」

 

俺は慧音の頭を軽く撫でて別方向を向いて歩いた

慧音に関してはまた会えるだろう…

次に会った時にはもっと面倒になっていそうだがな…

考えただけでも鳥肌が走りそうだ

やはり人間は理解できても女は理解できないものだな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも皆さん、夜分遅くにこんばんわ、空ネロです



何と言いますか、そのお久しぶりです
この一ヶ月の間何をしてたんだ、というと
私生活が忙しかったのが二割で残りは
自分の書く展開に納得いかず
書き直し、書き直し、書き直しの連続だったのが八割です
かといっても今回の話を完全に満足できたか?
と言われると何も言えないのが本音ですが…


まぁ、そんなことより皆さんもう年末ですよ
一年があとたった二週間も無いかと思うと
私は少し物寂しくもあります
残る行事は年越しくらいですね…
年内に後数話は書くつもりではいるので
まだ年内最後の回ではありませんが、

今年一年で何話進んだのか気になったので
確かめてみると、28話………
一ヶ月に大体二話のペースですね…
いや、本当にもう自分の怠けっぷりが滲み出ますね
自分より後発の他の作者さんが100話近く
一年以内に更新しているのを見て
絶望感に浸る今日この頃です
やはり主人公は明るい方が人気が出るのでしょうか?
今更、どこぞやの某ガン○ムの某シン・アス○
のようには主人公を交代できませんがね…





今回もご閲覧ありがとうございました!
それでは年内に会う事ができたならまた合いましょう!
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