東方冒涜伝   作:空ネロ

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第六十三話 再開

楽矢「おじゃまします…と」

 

紫「あら?見た目に反して案外律儀なのね」

 

家の中はよくある和式、とでも言えばいいのだろう

廊下と部屋が幾つか見える。

まぁ、下手に部屋の中がピンク一色ではない様だ

それよりも俺は今までどんな風に見えてたんだか…

 

「紫様、お帰りなさいませ」

 

奥から出迎えてくれたのは

和気藹々とした空気とはかけ離れた

妖力を感じさせる妖狐だった。

 

紫「ただいま、藍」

 

藍「その方が紫様の仰っていた…」

 

紫「ええ、私の最初の式神よ!」

 

楽矢「嘘を言うな、嘘を…」

 

紫は誇らしげでやりきったような表情を浮かべた

この妖怪、さらっととんでもない事を言いやがる…

下手な油断は命取りだな

 

楽矢「穂冒楽矢だ、旅人をしている」

 

藍「私は八雲藍だ、紫様の式神をやっている」

 

しつこい様だが俺はあくまで人間だ

ただ死なない、空間を操る、邪神を手懐ける…

まぁそれはいいとして、何と無く勘付いていたが、

紫の式神ともなれば格が違うな

それも尾が九本生えた狐ときたか…

…流石に九尾ともなると妖力がそこらの妖怪とは

違って比べ物にならない程の大きさだ

できれば手合わせは避けたいところだ

 

藍「色々と話は聞いてるぞ、

紫様の新しい式神だそうだな」

 

紫「あ…藍、その事なんだけど…」

 

楽矢「決まってもない話を人に話すのは

どうかと思うが?あと俺は式神にはならんぞ」

 

…この妖怪様はまだ決まってもない

未確定な話を人に話すのが得意らしいな

 

紫「そ、その話は後よ…藍、ご飯の方は?」

 

藍「あと少しですので、少しお待ちを」

 

そう言うと九尾、もとい藍は奥へと戻ってしまった

藍には個人的に聞きたい事もあるが

まぁ、食事が終わってからでも遅くはないだろう

 

紫「悪い話じゃないわよ?」

 

楽矢「しつこいのは嫌いだな」

 

紫「…分かったわよ…」

 

紫は思い通りにいかない事に拗ねて

奥の部屋へと早足で進んでしまった

…客人を放って一人奥に戻るのはどうかと思うが…

 

 

 

 

 

 

 

 

楽矢「ご馳走様でした」

 

腹八分目…とでも言ったところだろう

言い方が悪くなるが妖怪が作ったとは

思えない程に美味だった…

空腹は最高の調味料というやつか

 

紫「さてと…色々と聞かせてもらいましょうか…」

 

楽矢「言えない事は答えないぞ」

 

藍「私の個人的な質問なんだが、構わないか?」

 

楽矢「どうした?」

 

藍「紫様の式神になる依頼を断った理由は?」

 

紫「それは私も気になるわね…」

 

藍は鋭い眼差しで俺を睨みつけた…

流石は九尾なだけはある、並の人間なら失神だろう

…これはどうやら、場を和ます冗談を

言う必要はなさそうだな…

 

 

 

 

楽矢「面倒だから、とでも言えば伝わるか?」

 

藍「…詳しい理由を聞かせてもらえるか?」

 

面倒以外の理由が無い、なんて言っても

会話にならないのは承知だ

かといって、他の理由を探そうにも特に無い…

さて、どうするものか…

 

楽矢「そうだな…取り敢えずその迫力のある

目で俺を睨まないでくれ…」

 

藍「おっと…すまない」

 

楽矢「そうだな…自由に動く事が出来ない、

まさに飼い犬状態にされるのが嫌いだからだ」

 

楽矢「だから、断った…こんなもんでいいか?」

 

藍「だ、だが…「質問には答えたぞ」

 

俺の苛立ちを感じ取ったのだろう

ポチとクロが今にも襲いかかりそうだ…

一度戦闘体制に入ると鎮めるまでに

時間がかかる、主の命令を聞かないペットだな

 

楽矢「この質問については答えたぞ、

何を言われても式神にはならんぞ」

 

紫「どうしても…かしら?」

 

楽矢「どうしても、だ」

 

俺の苛立ちを感じ取ったのだろう、

藍は鋭い目つきから最初の穏やかな目つきに戻った…

紫は最後の望みが打ち砕かれたような表情をしている、

思い通りにならない事なんてよくある事だ…

 

楽矢「俺を引き入れるのに力を注ぐよりも

そこの九尾を有効活用した方が良いと思うぞ」

 

紫「そうね…」

 

楽矢「まぁ、力くらいなら貸してやるがな」

 

紫は落ち込んだ様子から一瞬で立ち直った…

俺が無表情すぎるのか?それとも人間って

こんなに簡単な物なのか…

 

紫「感謝するわ」

 

楽矢「さて、質問が無いなら

こっちから質問させてもらうが…」

 

紫「藍、席を外してもらっていいかしら?」

 

藍「分かりました」

 

藍が部屋から出て行くと紫は

先程までの緩んだ表情から一転した

真面目な顔つきに変わった

 

紫「さて…本題の前に凶香は何処に行ったのかしら?」

 

やはり来たか……いや、これまで聞かれなかったのが

寧ろおかしかったのだろう…

 

楽矢「……」

 

紫「残念ながらこれに関しては答えない

という選択は無いわ」

 

楽矢「…死んだ、いや…

成仏したと言った方が聞こえがいいか?」

 

紫は表情の一つ変えずに黙り込んだ

…一番触れてほしくない話題だ

俺は未だに認めたくも無いし思い出したくもない…

未だに心の何処かではあいつが消えていない、

と信じ込んでいる馬鹿な自分がいる程だ

 

紫「そう……本題に入りましょうか」

 

どうやら此方の表情を読んで察したのだろう…

聞かれても自分のせいで消えた、なんて

言えるはずも無いんだがな…

 

紫「楽矢、今回あなたには幻想郷に大きな結界を

張るのを手伝ってほしいのよ」

 

やはり見返りもなしに住む場所が

貰える筈も無いか…

結界…また面倒な物を思いつくもんだ

昔やり合った陰陽師を思い出すな…

 

楽矢「それは構わないが、お前と俺とじゃ

力不足じゃないか?」

 

晴明と話している時に聞いた話だが、

結界を張るには大量の霊力が必要らしい…

妖力、神力での代用は出来ず偏り過ぎると

バランスが崩れ、結界として成り立たなくなる

霊力、妖力の二つが均等に

注ぎ込まれて始めて強力な結界が出来るそうだ

 

楽矢「残念な事に俺は馬鹿でかい結界を張れる程の

霊力は持ち合わせてはいないぞ」

 

紫「霊力は安心して頂戴、私の知り合いが居るわ」

 

楽矢「なら俺に何をしろと…」

 

紫「私も私の知り合いも生憎、

神力は持っていないの…」

 

…そういう事か、余計に面倒だ…

俺の体には邪神が宿っているせいか

神力が大量に流れている、

普通は諏訪子だとかの一般的に神様って

呼ばれる類の奴等が持っているらしいんだがな…

 

楽矢「簡単に言ってくれるな…」

 

神力は使用すると身体へかかる負担が

妖力とは比にならない程疲れる…

しかも、俺は元々神力を持っていたわけではない…

要するに神類にかかる負担の数十倍以上の

疲労と負担が俺にかかるわけだ…

 

楽矢「はぁ…分かった」

 

毎回の様に面倒事に巻き込まれるな

久しぶりの大仕事だな…

 

紫「三人で揃えなかったのは残念だけれど…」

 

紫はそういいながら薄気味悪い空間の中から

一枚の皿と大量の酒を取り出した。

俺もそれに合わせて二枚の皿を取り出した

 

紫「ここにこうして集えた奇跡に感謝して…」

 

紫・楽矢「乾杯」

 

俺と紫はそれぞれの酒を注ぎ、飲み干した

凶香の皿に注いだ酒には

夜明けまで語り合う二人の姿が映り

時々、凶香の笑う声が聞こえた気がした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




また、一ヶ月が流れていました…
夜分遅くにこんばんは、空ネロです。

一ヶ月も更新しなかった言い訳をするのであれば
いつも通りの私生活が忙しかったからです。
最早テンプレと化したこの言い訳から始まりましたが
最近、前書きが無くなり…後書きだけに
なったせいで怠け癖が発動していました
本文の方は文字数と内容を心がけてしまうと
どうしても更新が遅れてしまいます。
さて、春に変わりつつあるこの季節ですが、
いかがお過ごしでしょうか?

私は相変わらず毎日を現実から逃げる日々から
抜け出す事が出来ず、布団が恋人の状態です。
次回更新する時はもう少し早い時間帯の
更新を心がけます。

それでは皆様、ご閲覧ありがとうございました
次回も不定期ですがよければ見て行って下さると
とても嬉しいです。
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