仮面ライダー リンカーシティ・ライダーズ   作:逸環

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VSレイダーズ

「さあ、ブッチ切るぜ!!」

 

台詞の直後、宣言通りにアメイジングヘラクレスレイダーへと、エンジンブレード片手に最速で迫るアクセルロスト。

アメイジングヘラクレスレイダーは、上段に振り被られたエンジンブレードを警戒し、腕をクロスさせてその頑丈な装甲を盾とする。

が、その判断は間違ってはいないが、誤りとなる。

 

一瞬にして、彼の視界からアクセルロストが消えた。

 

ワープ能力は持っていないアクセルロスト。

当たり前だが、本当に消えたわけではない。

エンジンブレードを振り被ったままに、突如スライディングをして視界から下に消えたのだ。

後はその勢いのまま足払いをかけ、まずはアメイジングヘラクレスレイダーのバランスを崩す。

 

が、

 

アメイジングヘラクレスレイダー、微動だにせず。

ヘラクレスオオカブトのライダモデルを使うアメイジングヘラクレスレイダーだが、その特性はパワーと頑強さ。

足を前後に広げ、腰を落とし、上半身はやや前傾に。

これだけで下半身を狙った、バランスを崩して倒すための攻撃は無効化できる。

で、あるならば。次の手は自ずと決まるというもの。

足元で倒れた姿勢になりすぐには動けない敵を、踏み潰す(スタンピング)

そのために足を上げ、

 

[エンジン!エレクトリック!]

「ぐあぁぁ!?」

 

突如全身に奔る稲妻に、全ての動きを止めさせられた。

見れば不安定な姿勢故か、斬るのではなく当てているだけの刀身から、電撃が発せられている。

どれほど屈強でも、どれほど頑丈でも関係のない攻撃が、この世界にはあると彼は考えておくべきだった。

頑丈なだけの装甲や肉体では、電撃は防げない。

 

「さぁて、トドメといくぜ」

 

電撃に怯んでいる隙に、立ち上がったアクセルロストがロストドライバーからアクセルメモリを引き抜き、マキシマムスロットへ装填する。

 

[アクセル!マキシマムドライブ!]

「アクセルグランツァー!」

「ぐぅ!負けるかヨォ!」

[アメイジング!ボライド!]

 

直撃を受ければ絶敗。

アメイジングヘラクレスレイダーが選んだ手は、回避でも防御でもなく、迎撃のための己の必殺技だった。

真紅のエネルギーが込められた回し蹴りと、黄緑色のエネルギーが込められたパンチが激突する。

拮抗は、一瞬。

 

エネルギー同士のぶつかり合いは爆発を生み、その威力を相殺させる。

絶敗の一撃を凌いだ事を安堵し、反撃に打って出ようとしたその時だった。

 

[エンジン!マキシマムドライブ!]

 

爆煙の向こうからガイアウィスパーと、自身を斬り裂くAの斬撃が放たれたのは。

 

「そ、そんな……バカなァァァ!!??」

 

甚大なダメージを受けた事で装甲が爆発し、変身が強制的に解除されてしまう。

ボロボロの姿で現れたのは、どこにでもいそうな青年だった。

それに近付いたアクセルロストが、レイドライザーとアメイジングヘラクレスプログライズキーを回収する。

 

「……お、俺が……こんなに早く……負ける……なんてナ……」

「だから言っただろ?ブッチ切るぜ!ってな?」

 

アクセルロストVSアメイジングヘラクレスレイダー、決着。

 

 

 

「様子見なんかしねえデショ!一気に決めるデショオ!!」

[バイティング!ボライド!]

 

仮面ライダー側から攻めたアクセルロストに対し、カリバーVSバイティングシャークレイダーでは、初撃はレイダー側からとなった。

それも、必殺技で一気に攻め立てるという、苛烈な方法。

腰に装着されたレイドライザーのスイッチを押すと、両腕に装着されたブレードからエネルギー刃がいくつも放たれ、まるでサメの背びれが海を泳ぐ様に地面を割りながら、カリバーへと突き進む。

 

「………………」

[月闇!居合!]

 

それに対しカリバーは、闇黒剣月闇を左腰の必冊ホルダーへ納刀。

居合の構えを取る。

勿論だが、ただ居合で受け止めるだけでは、押し寄せるエネルギー刃の数に押し負けるのは必定。

 

「……オオォォォォッ!!」

「はぁ!?バカデショこいつ!?」

 

だからこそ(・・・・・)、彼は前に出る。

変身によって強化された脚力は、剣道や剣術における摺り足でも爆発的な速度を生み出す。

エネルギー刃の全てが自分に集中しきる前に、まだ通る隙間の存在する内に前進し、怒涛の刃を越え、間合いを詰める。

『死中に活を求める』。

これが聖の祖父が運営する、剣術の道場での教えであり、彼の身に着けた剣の技。

 

「クッソ!なんで当たらねえんデショ!?」

 

バイティングシャークレイダーが必死になりエネルギー刃を飛ばすも、どれ一つとしてカリバーにはかすりもしない。

理由としては居合の構えになる事で自然と半身になり、的が小さくなっていることが大きい。

それ以上に最大の理由として、バイティングシャークレイダーがどこまでも素人でしかない。というのが最も大きい理由だが。

狙いは大雑把で、確実に当てるための工夫もなく、ただ乱れ打つ。

そんな技とも言えないものが、幼少期から剣に打ち込んできたカリバーに当たるはずがない。

だからこそ、この結果は決まっていた事だったのだろう。

全ての斬撃を避け切り、間合いを完全に詰めたカリバーは、ついにその剣を閃かせた。

 

[読後一閃!]

「ギ……ギャアァァァァァッッ!!!??」

 

バイティングシャークレイダーを襲う、ジャアクドラゴンの闇の力を纏った必殺の居合斬り。

右斜め下から斬り上げられた彼の装甲は、容易く腰から両断されて爆発する。

変身者だった男も息はあるが、倒れ伏して戦うどころではない。

見れば地面に落ちたプログライズキーとレイドライザーもまた、完全に切断されており2度と使えない有り様となっている。

 

「お……俺の力……が……」

 

未練がましく手を伸ばす男だが、その手が掴むものはプログライズキーの破片のみ。

 

「……そんな(あぶく)みたいな中身のない脆い力に、何の意味があったのか」

 

仮面ライダーも、レイダーも、変身によって手に入る力は所詮は力でしかない。

手に入れた力をどう扱い、活かす事ができるかは、あくまでも変身する者が培った努力や経験がものを言う。

 

仮面ライダーカリバーVSバイティングシャークレイダー、決着。

 

 

 

 

「さあて!俺のチームのメンバー痛めつけてくれた礼といこうか!!」

「ハッ!弱い奴が悪いんだよ!!」

 

黒影・真VSダイナマイティングライオンレイダーの戦いは、お互い同時に動き出しての開戦だった。

ダイナマイティングライオンレイダーは左腕に装備されているガトリングを乱射して牽制し、黒影・真は大きく迂回する様に走りながら十字槍(影松・真)の間合いへと距離を詰めていく。

しかし、弾幕を相手に槍では距離を詰め切れず、物陰に隠れて機を伺う事となってしまう。

 

「オラオラオラァァッ!!どうしたどうした!!」

「てんめぇ!ガトリングぶっ放してイキッてんじゃねえぞ!!」

「ハッ!テメエもここでブッ倒してやるよ!」

[ダイナマイティング!ボライド!]

 

ダイナマイティングライオンレイダーが腰のレイドライザーを操作すると、必殺技が発動する。

彼のそれは、巨大なガトリングガンを生み出しての掃射。

轟音を轟かせながら、黒影・真が隠れている場所を削り取っていく弾丸の雨。

気分良くそれを撃ち続けている彼は、まだ気付いていなかった。

自分が既に、狩りの獲物になっていることに。

 

[マツボックリ!スカッシュ!]

「何ッ!?」

 

突如、ダイナマイティングライオンレイダーの頭上から、黒影トルーパーによる襲撃が降り注ぐ。

その黒影トルーパーとは、先ほどダンデライナーで離脱したはずのメンバーだった。

本当は、逃げてなどいなかった。

この一瞬のために、逃げたふりをして待っていたのだ。

 

「オレのリーダーを!守るんだァァァッ!!」

「よく言ったアキラァッ!俺も行くぜ!」

[リキッド!マツボックリエナジースカッシュ!]

 

ダイナマイティングライオンレイダーが動揺した隙を突き、黒影・真がゲネシスドライバーのレバーを押し込み、必殺技を発動。

マツボックリエナジーロックシードから供給されるエネルギーを纏った影松・真を構え、全力で突撃をかける。

襲い来る弾丸は全て、その威力の前に弾かれていく。

 

「クソがぁ!やめろぉ!!止まれェェッ!!」

「止まるわけがねえだろうが!!」

 

上空からの攻撃に対処すれば、正面から来る突撃で撃破されてしまう。

正面からの攻撃を迎撃すれば、上空からの強襲に貫かれてしまう。

ガトリングだけではなく、鬣に装備されたダイナマイトを使用するのは?

いや、それは既に着火から投げて自分が被害を受けない段階を過ぎている。

回避するのはどうだ?

それも回避行動に移った段階で、黒影・真の突進が追撃となり、結局は叩きのめされる。

つまるところ、ダイナマイティングライオンレイダーは詰んでいたのだ。

 

「く、クソったれぇぇぇ!!!」

 

2振りの槍に貫かれ、ダイナマイティングライオンレイダーは爆ぜた。

残ったものは、変身が解除されてボロボロになった男が1人と、何とか無傷のプログライズキーとレイドライザー。

それも黒影・真が回収し、既に戦闘を終わらせていたアクセルロストへと投げ渡してしまう。

 

「よし、一丁上がりだな!」

 

仮面ライダー黒影・真&黒影トルーパーVSダイナマイティングライオンレイダー、決着。

 

 

 

戦闘が終わり、全員が変身を解除する。

すると黒影トルーパーだった若い女性が、そのまま衛に駆け寄り、

 

「リーダー!来てくれてありがとう!」

「ハハッ!気にすんなアキラ!」

 

抱き着いた。

彼女の名前は『舞浜 晶』。

全力で恋する乙女なのだが、その矢印が向かう先の男にはどうにも通じていない悲しみを抱えている。

でも気にせずにアタックを続けている。

恋する乙女は強いのだ。

 

「……晶ちゃん、確か18歳だよな?」

「そうだったはずですよ」

 

そんな恋する乙女を眺めながら、腕組みした疾風と聖が若干深刻そうにヒソヒソ話を始める。

勿論、それには大きな理由がある。

 

「衛の奴は32歳だよな?」

「この間そう言ってましたね」

「……犯ざ「彼からは手を出してないからセーフにしておきましょう」……そうだな!」

 

友人が未成年者に手を出して、怪人との戦いどころではなくなるのではないかという懸念という、大きな理由が。

などと倒した敵を前にぐだぐだ話していると、遠くからパトカーのサイレン音が聞こえて来る。

 

「あ、そろそろ帰るか」

「そうですね。警察に話すと長くなるし、仮面ライダーの事を話すのは難しいですし」

「お前に至っては、銃刀法違反だしな。……おーい、衛に晶ちゃん!警察来る前にカフェに戻るぞー!」

「おーう!分かった!晶、後ろに乗せてやるよ!」

「おう!ありがとうリーダー!」

 

こうして彼らは、それぞれがバイクに乗り現場を走り去って行った。

後に残されたのは、動く事もできない元レイダーたちのみ。

 

だけではなかった。

 

それらの動きを、遠いビルの屋上から観察している者がいた。

狙撃に長けた『スカウティングパンダレイダー』……ではない。

彼は既に倒され、屋上で倒れている。

彼を倒した存在こそが、観察者。

 

「やれやれ、みんなもまだまだ甘いね」

 

黒い人型の蝙蝠の様な姿をした、疑似ライダー『ナイトローグ』がそこに立っていた。

 

「派手に暴れる奴がいるなら、そいつらを囮に狙撃手がいるかもって考えないとね」

 

彼がやった事は単純だ。

仮面ライダーたちとレイダーたちの戦いに、狙撃で横槍を入れようとしていたスカウティングパンダレイダーを、不意打ちで後ろからトランスチームガンで撃ち抜いただけ。

レイダーが複数現れ暴れている。その事を聞いた時に考えたのは、安全圏で潜み、機を伺う者がいるのではないかということ。

カフェからライダーたちを見送った後、その事に気付いた彼はナイトローグに蒸血をし、翼を出現させて現地へ向かった。

上空から現場を見れば、すぐにほど近いビルの屋上にスカウティングパンダレイダーが仮面ライダーたちを狙撃しようとしているのが分かった。

となれば、後は簡単だった。

急降下し、仮面ライダーたちを狙うその背後へ音もなく着地。

がら空きのその背中に、引き金を引く。

 

[スチームブレイク!バット……!]

「なっ!?アアアァァァァッッ!?」

 

放たれた弾丸は無防備な背中を貫き、変身解除まで一撃で追い込んだ。

と、いうのがこの屋上での顛末。

仮面ライダーたちがバイクに乗り、帰っていくのを見届けたナイトローグは、トランスチームガンを構える。

 

「さて、私も早く戻って、彼らを迎えないとね」

 

トランスチームガンから出る霧が彼を包み、姿を隠す。

その霧が晴れると、そこからナイトローグは消えていた。

 

 

 

 

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