真・恋姫†無双 裏√   作:桐生キラ

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今回は短編です。それぞれの視点で描かれる『晋』の日常


恋姫短編集其一

 

 

 

 

 

魔術 詠視点

「ふんふふん♪」

僕は現在、厨房で東に料理を習っている。東は鼻歌を歌いながらも、とても鮮やかな手つきで包丁を扱っていた。だが、ちょくちょく調理器具をポンポン手から出すのはどうかと思う

「はぁ~。あんたのその、魔術だっけ?本当に便利そうよね」

「ん?そうだね。基本的に何でも出せるし。ちょっと耳痒いな、って思った時に耳かきがすぐ出せた時は、本当に便利だって思ったよ」

なによその理由。もっと他にもあるでしょうに……ん?なんでも出せる?なら…

「ねぇ、なんでも出せるなら、なんで料理は手作りなの?魔術ですぐじゃない」

「あー…」

東は微妙な顔をしていた。できないのかしら?

「出せない事はないけど…」

そう言って東は、お皿の上にハンバーグを出現させた

「できるじゃない。見た目も悪くないわ」

「食べてごらん」

「んん?まぁ、いただきます…ぱく」

僕は魔術製ハンバーグを口に含み、数度咀嚼する。なんだろうこれ?少なくとも、いつも東が作ってる味じゃない。形容し難い。食べられなくはないけど、美味しくはないわね

「んー…?」

「なんか、ごめんね。魔術で作れるのは構造だけで、味までは再現できないんだ」

魔術も万能って訳じゃないのね

†††††

 

魔術? 月視点

私は今、裏庭に来ています。落ち葉が多いので、お掃除をしたいのですが…

「ん?月ちゃんどうしたんだい?」

 

私がどうしようか悩んでいると、東さんがやってきました

「あ、東さん。掃除をと思い箒を探しているんですが、見当たらなくて…」

「はは、落ち葉すごいもんね。わざわざありがとう。僕も手伝うよ。箒も…ほら」

東さんは手から箒を二本出して、一本を私に渡してくれた

「魔術って便利ですよね」

 

私は素直にそう思いました。すると東さんは笑顔で…

「ふふ。案外やってみたら、出来たりしてね」

なんて言いました。その言葉に、少し期待してしまいます

 

「そうなんですか?」

「もちろん、才能もあるけどね。そうだねー。強く念じてみるんだ。落ち葉を一箇所に集めるのを意識してね」

「よ、よ~し…」

私は手に持った箒を振り回してみます。んー…落ち葉集まれ~

「へぅ~」

私が強く念じると、ひゅーんと風が吹き、落ち葉が一か所に集まっていきました

「………え?」

「わぁ!見てください!できましたよ~」

魔術?って案外できるものなんですね!

 

 

「…月が魔術使ってる…」←偶然通りかかった咲夜さん

 

魔法少女へぅへぅ☆月ちゃんの誕生だった

†††††

まいぶーむ 悠里視点

最近のあたしは、恋ちゃんにご飯をあげるのが大好きです!

「恋ちゃーん!これ!肉まん買ってきたよ!一緒に食べよ!」

「…あそこの肉まんは、歯ごたえが楽しい……もきゅもきゅ」

「あたしは恋ちゃんといると楽しいよー!」

「恋ちゃーん!桃貰ったんだー!」

「…桃は良い…甘くて、爽やか……はむはむ」

「この瞬間が一番甘ーい!!」

「…お腹、へった……」

「恋ちゃーん!これ、お客様のだけど食べ」

スパーンッ

 

「あう」

 

突如、後頭部にとんでもない衝撃が走る。振り向くと、そこには咲夜姉さんがいました

「悠里、減給。…恋、こっちにこい。シチューがあるぞ」←ハリセン装備

「…しちゅー…野菜の味、いっぱい、濃厚…食べる」

「あたしはそんな恋ちゃんと濃厚なチュ」

スパーンッ

†††††

 

不思議な外史世界 零士視点

この世界に来て結構経つけど、不思議な事が多々ある。例えば

「Hey Saku-chan, can you understand what I saying? (やぁ咲ちゃん、僕が何話してるかわかるかい?)」

「Huh? What are you talking about? Are you nuts? (は?何言ってんだお前。バカか?)」

このように英語で話すと、英語で返ってくる。そのわりには…

「とーぅ!!」

「ふふ。悠里ちゃんはいつもパワフルだね」

「ぱー…なんですか?」

「パワフル。力が漲ってるよねって事」

「おー!パワフルですよ!」

「…Haha, word powerful is very suit for you. (はは、パワフルって言葉は君にピッタリだ)」

「Yeah!! I'm always powerful!! Thank you for telling me uncle Azuma!! (はい!私はいつでもパワフルですよ!!教えてくれてありがとうございます、東おじさん!)」

ホント、どうなってるんだろうね。この世界は

†††††

伝説 咲夜視点

「おうこら!てめぇらが最近調子乗ってるっつー『晋』の奴らだな?悪いがお前らには俺たちの伝説の第一歩になってもらうぜ!」

「あぁ?」

外にはかなりの数のチンピラがいた。どうやらうちを倒して名を挙げに来たらしい。愚かな奴らだ

「む、今日は親子丼にするか」

「親子丼だね?」

店内は平常運転だ。見れば、秋蘭を含めた客たちも慣れたのか、こちらの様子をほとんど気にしていない

「お前ら、覚悟は出来てるのか?」

「ご飯の邪魔する奴は、許さない」

 

普段は恋のみで対処してもらっているのだが、今日は私も暇なので、恋と一緒に叩き潰すことにした

「ハ!こちとら料理人なんぞに負ける気なんざしねぇ!てめぇら、やっちまえ!」

数分後

「ぐぎゃー!」

「れーん、殺すなよー。血で汚したくない。せいぜい関節外すくらいにしとけー」

ボキッ

「わかった」

グキッ

「ぎゃー!もうやめてー!」

「覚悟、できてるんだろ?こうなる覚悟がよっ!」

バキッ

「うんぎゃー!」

 

きったねー悲鳴。聞くに堪えんな

「恋、ちょうどいい感じにボコボコにしたし、こいつら積み上げようぜ。なんて言ったっけ?零士がこの前教えてくれた…」

「…てとりす?」

「そーそれだ!」

さらに数分後

「飽きた。ご飯、食べる」

「そうするか」

 

一通りボコボコにし終えた私たちは、飽きたので店内に戻って飯にすることにした。

ふぅ、悪党を蹴散らした後のお茶は美味いな

「これは酷い」

「こういうのを、愉快なオブジェって言うんだろうなー」

『晋』にまた一つ、伝説が出来た瞬間だった(あまりに過激なため、描写できません)

†††††

家族 恋視点

「おはよう恋ちゃん。今日の朝ご飯は味噌汁と焼き魚、卵焼きにソーセージ、トンカツとステーキだよ」

「じゅるり」

 

零士のご飯は、いつもいっぱい。とても、美味しい

 

だから、好き

 

 

「おはようございます恋さん。あ、ご飯粒が…はい、取れました。えへへ、恋さんって子どもみたい」

あ、月の指、ご飯粒

「…ぱく」

「へぅ、恋さん!」

 

月は、温かい。おひさまみたい

 

だから、好き

 

「あ、恋じゃない。今日は確か悠里のとこの孤児院に行くのよね。気をつけて行くのよ」

「…ん」

「べ、別に心配してるわけじゃないんだからね!…あ、恋!ちょっと待って……はい。下着見えてたわよ。気をつけなさい」

 

詠は、いつもおこってる。けど、おこってない。とても、優しい

 

だから、好き

 

「いこ、セキト」

「わぅ」

「お!恋やないか!なんやお出かけか?」

「恋殿~。ねねもご一緒させて下さい!」

 

セキトは、恋と、いつも一緒

 

だから、好き

 

霞は、いつも楽しい。猫みたい

 

だから、好き

 

ねねは、ちっちゃくて、可愛い

 

だから、好き

 

「いらっしゃい恋ちゃん!あ、霞さんにねねちゃんも!どうぞ上がってください!」

「恋ねーちゃんだー!あそぼー!」

「恋おねーちゃん、わたしともー」

「ふふん!ならみんなで恋お姉さんと遊ぼう!」

悠里は、とても明るい。子ども、みんなに、好かれてる

 

だから、好き

「おかえり、恋。風呂沸いてるぞ。後は私たちだけだし、一緒に入ろう」

「…ん」

「頭洗ってやるよ。ほら、痒いとこはないか?」

「…ん、気持ちいい」

「そりゃよかった」

咲夜は、みんなに、気遣う。みんなを、守ってくれる。みんなの、お母さん

 

だから、好き

零士も、月も、詠も、セキトも、霞も、ねねも、悠里も、咲夜も

みんな、恋の家族

みんな、恋の大切な人たち

だから、大好き

 

 

 




ハートフル系の次はストーリー編。次回から袁紹編になります

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