真・恋姫†無双 裏√   作:桐生キラ

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恋姫短編集其二

 

 

 

 

 

咲夜と華琳の出会い 華琳視点

最近の私の楽しみは、ここ『晋』で食事をすることだ。ただ、朝から晩まで仕事詰めなので、そう頻繁には行けないのが難点だ

 

「そう言えば、華琳様と咲夜はいつお知り合いになったのですか?」

私が牛肉のワイン煮というものを食べていると、同席していた秋蘭が尋ねてきた。秋蘭はシチューを食べている。とても美味しそうだ

 

「咲夜との出会いねぇ……確か三年前よ。秋蘭がここの政治の手伝いに来ていた頃、私も何度か赴いていたでしょ?その時に…」

三年前

「ふむ。都から近い割には、この辺は暗い雰囲気ね。いろいろ条件の良い場所なのに、それを最大限発揮出来ていないなんて…本当にここの職員は無能ね」

私は許昌の視察の為に、わざわざ裏通りの方まで見ていたのよ。その時に、運の悪い事に不躾な輩に絡まれてしまってね

「ヒュー!なにこの金髪美少女ちゃん!俺らに食われに来たのかなー?」

「お前、こんなチビにも欲情すんのかよ!」

「むしろお前は欲情しねぇのかよ?」

「はぁ…」

私が、男って低脳な腐ったゴミ屑、って思っていると、もの凄く不機嫌な顔でこっちにくる子がいたのよ。それが咲夜だったわ

「お!美少女一名追加ぶふぇ!」

咲夜は容赦なく顔面を殴って、さらに倒れたところにチンピラの顔面を踏み潰していたわ

「よこちゃん!?な、なんだてめぇ!?」

「あぁん?私は今日大変な一日でなぁ。すこぶる機嫌が悪いんだ。運が悪かったんだよ。お前らは」

そう吐き捨てて、咲夜は瞬く間にチンピラ共を蹴散らしていったわ。その戦い振りがなんというか、容赦ないのよね。敵の頭を掴んで壁に叩きつけて、崩れたところを今度は膝蹴りで敵の頭を壁に叩きつけて、さらに倒れたら頭を踏んづけて。これでもかというくらい、顔を集中的に攻撃してたわね。でも私は、そんな容赦のない戦い振りに惚れたのよ

「はぁ…お前も、この辺は治安悪いから、気をつけろよ」

「待ちなさい!貴女、名はなんという?」

「…司馬懿だ。じゃあな」

そう言って、咲夜は裏通りの奥へと行ってしまったわ。これが、咲夜との出会いよ

 

 

現在

「ふふ、昔から咲夜は過激でしたからね」

 

秋蘭は楽しそうに聞いていた。秋蘭がこういう表情を見せるのは珍しいわね

「そうね…ところで、何故貴女はあの時あんなにも機嫌が悪かったの?」

「おい。そんな自然に話しかけるな。今は一応営業中だぞ」

「いいじゃない。手は空いてるんでしょ?」

 

私は皿洗いしている咲夜に話しかけた。店内の客は少ない。なんの問題もないだろう

「はぁ…三年も前の事なんて、覚えてないな」

「あら、本当かしら?」

私がそう聞くと、咲夜は目線を落とし、皿洗いに集中し始めた。そんなに言えない事なのだろうか

 

「……(言えない。あの日は確か妙に忙しくて、さらに零士に楽しみにとって置いた饅頭を食われて機嫌が悪かった、なんて絶対に言えない)」

†††††

 

射撃訓練 月視点

今日は『晋』の地下室、特別訓練場と言う場所に来ています。中に入ると、凄く広い空間に、剣や弓、さらには見たこともないような武器らしきもので溢れていました

「今日は護身の一環として、射撃訓練をしてもらいます」

「射撃…ですか?」

 

零士さんの発言に、私は疑問をもちます。射撃と言えば、弓かな?

「うん。…よっと、これを使って、的を撃ち抜く訓練だよ」

東さんは魔術で、東さんがよく使う小さな武器を出しました

「あ、それって確か、月を助ける時に使ってたやつよね」

詠ちゃんが聞きました。そういえば、あの時にも使っていましたね

 

「よく覚えていたね。これは銃と言って、未来の世界で弓に代わる遠距離武器と考えていい。弓と違うのは、どんなに非力な人でも、技術さえあれば一定の威力で攻撃することが可能なんだ」

「どういう原理よそれ」

「細かい説明は後でするさ。咲ちゃん、悠里ちゃん、見本を見せてやってくれるかい?」

 

零士さんが言うと、咲夜さんと悠里さんが銃の手入れをし始めました

「言うほど、私は銃に慣れている訳じゃないんだがな」

「そうですねー。棒振り回してる方が、あたしにはあってますし」

お二人は銃を構え、目の前の的に狙いを定めました

「おっと、これをつけておいてね。凄い音だから」

東さんはみんなに耳当て?らしきものを手渡してくれました。すると、これを付けた途端、音が全く聞こえなくなりました。ですが、しばらくしてみなさんの声だけが聞こえてきました

「始めてくれ」

お二人は再び狙いをつけ、そして…

ダァン!ダァン!ダァン!

お二人が銃を放つと、凄い音と共に前方にある的に穴が開いていきました

「まぁ、こんなもんだな」

「おぉ?今日は絶好調だぞ!」

 

お二人は的に当てたことに満足している様子でした

 

「さぁ、次は君たちの番だ。これを持って…」

東さんは手取り足取り教えてくれました。初心者だからと、最初は低反動、的も遠くないところに設定してくれました。そしていざ撃ちますと…

パァン!パァン!

「わわっ、思ってたより反動が…」

「そ、そうね。でも…これくらいなら…」

銃の引金を引くと、凄い反動と一緒に、手の中で銃がはねました。でも…うん。難しくはない

 

一時間後

「ふぅ、大分慣れてきたわ」

「へぇ、やるじゃないか詠。しっかり当てているな」

「ふふん!涼州の騎馬民族は馬に乗って弓が引けなきゃいけないのよ?これくらい朝飯前だわ!」

「わぁ!月ちゃん凄い凄い!!」

「あぁ。まさかハンドガンで50mワンホールショットを決めるなんて…」

「えへへー、昔から弓でもそうですが、狙い撃つのが得意でしたので」

「…」

「月ェ…」

うん♪いい感じかもしれないです!

†††††

 

 

 

零士さんと凪さん 凪視点

 

 

今日は東さんと一緒に過ごしています。そんな私と東さんの会話は…

 

「ま、まさか、この僕がここまで追い込まれるなんて…」

「貴方の力はその程度ですか?違いますよね?貴方はまだ力を隠しています。見せてください!貴方の全力を!」

「クッ……なら、これでどうだ!」

「な!?これは…しかしまだ……ふぅ、危なかった。今のは悪くありませんでした。いいセンスです」

「ぼ、僕の負けだ…ふふ、ここまで完敗してしまうと、いっそ清々しいな」

「お前ら…なんの話をしているんだ?」

 

私と零士さんが特訓していると、咲夜さんが妙なものを見たといった目でやってきました

「やぁ、咲ちゃん。今日は定休日だし、凪ちゃんに協力してもらって、激辛料理の研究をしていたんだ。やっぱり、味見できない事が痛いんだよなぁ」

 

そう、今日は東さんと激辛料理を作っていました。なんでも、私の為に作ってくれているんだとか。とても、嬉しい…

「味は全て最高です。よく、辛くしてしまえばいいと考え、味の調整を怠るものがいますからね」

「お前、よく味見もしてないのに調整できたな」

 

咲夜さんが呆れつつ言いました。東さん曰く、ある程度の想像ができるから味の調整をできたんだとか

「こんにちはー!遊びに来ちゃいましたー!おぉ!凪さんこんにちは!なにしてるんですか?」

 

今度は悠里さんがやってきました。ここは本当に人を寄せ付けますね

「料理研究の試食に、凪ちゃんが協力してくれてるんだ」

「えー!あたしにも言ってくださいよー。お!これですね?いただきまーす!パクッ……」

 

悠里さんが勢いよく激辛料理を口にしました。ちなみにこの料理、カレーと呼ばれるもので、ご飯と一緒に食べるのですが、悠里さんはカレーの部分だけをすくって食べました

「あ」

「お、おい…」

「( ゚д゚)」

「私の手料理を食べた時の華琳様と同じ顔をしていますね」

 

悠里さんは口に含んだまま、固まってしまいました

「そういえば、華琳ちゃんは辛いものがダメだったねー」

「( ゚д゚)」

「呑気に話してる場合か!悠里固まっちまってるぞ!悠里!悠里ーー!!」

後に悠里さんは、川を半分くらい渡ったと呟いていました

†††††

 

 

咲夜と秋蘭の出会い 秋蘭視点

「そう言えば、秋蘭はこの店の最初の客だったのよね?」

 

私がシチューを食べていると、華琳様が尋ねてきました。華琳様が食べている牛肉のワイン煮がとても美味しそうだ

「はい。あれは私がこの街に初めて来た頃の話ですね。慣れない地での仕事に手間取り、夕食を逃してしまい…」

四年前

「むぅ、ずいぶんと遅くなってしまったな。ここの政があそこまでとは…」

それに腹が減ったな。夕食まで逃したのは痛い。まだやっている店があるといいが…

少し歩くと、灯りの付いている店を見つける。お食事処『晋』?なかなかの外装だな。よし、ここにするか

カランカラン

私が扉を開くと、感じのいい鈴がなり、女性店員が出迎えてくれた

「失礼。まだ営業しているか?」

「い、いらっしゃいませ。え、営業中です!」

ずいぶんと、あたふたしているな

「咲ちゃん、リラックスリラックス」

ん?りらっ…?まぁいい

「ここは飲食店でいいんだよな?品書きを見せてくれるか?」

「かしこまりました!零士!品書きだ!」

零士と呼ばれた男が品書きを手に、悠々と現れた。この者が、料理長か?

「咲ちゃんがこんなにキョどるのも、珍しい事だよね。はい、こちらがお品書きになります」

「どれ……ん?」

手渡された品書きを見るが、私は戸惑ってしまった。天丼?親子丼?見慣れない名前ばかりだ

「すまん。ここに書いてあるのは本当に料理なのか?」

「はい。私の故郷の料理となっております。差し障りなければ、私のオススメを提供しましょうか?」

 

店長らしき男が提案してきた。ふむ、少し怖くなってきたが、致し方ない

「そう…だな。頼むよ」

「畏まりました」

男はそのまま厨房へ入って行った。女性店員はそのまま私の隣で一息ついていた

「はぁ…申し訳ありません。ただ、味は保障しますので」

「そうか。ここは、最近始めたばかりなのか?」

「はい。本当に数日前の事です。そしてお客様が最初のお客様になります」

「なるほど。それであんなにも落ち着きがなかったのか」

「う、お忘れ下さい…」

「お待たせしました。こちら東さんの気まぐれ御膳になります」

女性店員と話していると、男が料理を持ってやって来た。思ったより早かったな。まだちゃんと見てないが、なかなか量がある。空きっ腹だったから助かるな。しかし気まぐれとはこれいかに

「ほぅ。これはなかなか、香りも良いな」

「ありがとうございます。こちらから、生姜焼き、ミニハンバーグ、唐揚げ、卵焼き、サラダ、お味噌汁、そして白米です」

「聞いたことのない料理ばかりだが、ふむ、悪くなさそうだ。では、いただきます…あむ…」

私はミニハンバーグと呼ばれた物を食す。口に含み、数度咀嚼すると、肉汁が溢れ、肉や野菜の甘みが広がっていく。それがこれにかかっていたタレと絶妙に合わさっていた。美味い!なんだこれは?こんなもの、今まで食った事がない

「あむ…はむ…」

私は他の料理も食していく。なるほど、これはまた白米と良く合うな。箸が止まらない。この吸い物もまた、不思議な味わいだが、とても心落ち着ける味だ

「ふぅ…ごちそうさまだ」

私はあっという間に完食してしまった。すると、女性店員がお茶持ってきてくれた

「ん?茶を頼んだ記憶はないのだが」

「あぁ、いいんですよ。それはオマケです。美味しそうに食べてくれた、せめてものお礼かな?」

「と、言うことです。ここのお茶も自家製です」

「そうか、いただくよ」

私はお茶を含んで行く。多少、脂っこかった料理を綺麗に洗い流すようにお茶が流れていく。なるほど、美味いな

「美味かったよ。いくらだ?」

「あ、お代は結構です」

 

私が財布を取り出そうとすると、男性店員がその手を止めた

「む、何故だ?」

「最初のお客様からは、お代をとるつもりはありませんので」

 

私の疑問に、女性店員の方が答えてくれた

「むぅ、それは悪い気が…」

「いいんですよ。その代わり、今後ともご贔屓に」

なるほどそういう事か。だが確かに、この店には今後も通っていきたいな

「ならせめて、私相手に敬語を使わないでくれるか?私は夏侯淵。これからは仲良くしていきたい」

この街には知り合いもいないしな。初日に良い出逢いをした気がする

「そうか、わかった。私は司馬懿だ。よろしくな、夏侯淵さん」

現在

「というのが、私と咲夜の出逢いです。もう四年の付き合いですね。あの日以来、許昌にいる間はほぼ毎日通っていました」

 

私は咲夜との出会いを懐かしみながら語った。もう、四年も前のことなのか

「ふーん。あら?でも最近まで真名は預けてなかったのよね?」

む…それは…

 

「それは…なぁ、咲夜」

「だから、自然に話しかけないでくれ…」

 

私は皿洗いしている咲夜に視線を流した。咲夜も苦笑いだ

「何故それだけの付き合いで、真名は預けられなかったの?」

「そりゃあ、私も秋蘭もなんとなく教える時期を逃してしまって、ズルズルな…」

「なんとなく、気恥ずかしくなってしまって…」

「そ、そう」

それでも、私と咲夜の間には、確かな絆がある。今後とも、よろしく頼むぞ、咲夜よ

 

 

 

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