真・恋姫†無双 裏√   作:桐生キラ

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新年会

「おはよー、明けましておめでとう」

目を覚まし、家の台所に行くと、そこには零士と月がご飯を作っている姿があった

「おはよう咲ちゃん、明けましておめでとう」

「明けましておめでとうございます咲夜さん」

机には様々な料理が並べてあった。元日の飯だろう。なんて言ったか、零士の国の料理で…

「………思い出した。オセチってやつか?」

「正解。よく覚えていたね」

「まぁな。私も手伝うよ」

そして私も調理に参加する。と言っても、当のオセチとやらは既に作り終えたらしく、現在作っているのは『晋』の品書きに載っている物ばかりだ

「いっぱい作りましたねー」

「だいたい百人前ってところかな」

「そう言えば、新年会は悠里の所でやるんだったな」

そう。今回はうちだけでなく、悠里の家族と悠里の親父の部下と過ごす予定なので、こんなにも大量の料理を作っているのだ

「おはよう。明けましておめでとー」

全て作り終えたところで、詠が少し寝ぼけながら現れた。後ろを見れば恋も一緒だ

「…いいにおい」

「おはよう詠ちゃんに恋ちゃん、明けましておめでとう。今から悠里ちゃんとこに行くから、準備しておいで」

「そうだったわね。じゃあ、また後で」

「…ご飯は?」

「いっぱい作ったよ。恋ちゃんの出番だ。向こうに着いたらいっぱい食べていいから、しっかり荷物運んでね」

「わかった」

 

そう言って、恋も詠も着替えに戻った

「ふふ、恋さんご機嫌ですね」

「キラキラしてたな」

 

 

 

†††††

 

 

しばらくして、私達は悠里の家に向かう。悠里の家は孤児院と護衛業を営んでおり、かなり大きめの家だ。ここ許昌では、知らぬ者はいないほどだろう

「明けましておめでとうございまーす!ささ、皆さん入って下さい!」

悠里の家の前に着くと、正門前には悠里が待っていた

「おう。明けましておめでとう。邪魔するぞ」

正門をくぐると、そこには複数の人間が待ち構えていた。そして一斉に頭を下げ…

「「「いらっしゃいませ!!『晋』の皆様方!!」」」

一斉に歓迎されてしまった。こいつらは悠里の親父の部下だ。一見チンピラに見えなくもないが、多くは退役軍人で、義に厚く、礼儀をわきまえている

「おとーさーん!!みんな来たよー」

「おう!よく来てくれたな!まぁ上がってってくれ」

この人が悠里の親父で大河さんだ。かなりガタイが良く、とても威圧感のある屈強な男だが、人格者でこの街の皆から慕われている。親父と呼ぶに相応しい人物だ

「おはようございます大河さん。明けましておめでとう御座います」

「おめでとう。悠里がいつも世話になってるな」

「いえいえ、悠里ちゃんにはいつも助けてもらってますよ」

この二人が並んで歩くと、職質されかねない雰囲気を醸し出してしまうな

「あの二人が並ぶと、ただのヤバい人達ですよね」

「ぷっ!こら悠里、それは思っても言っちゃいけないわよ。く、ふふ…」

そういう詠は、笑っちゃいけないと思うぞ

家の中に入ると、多くの子ども達と悠里の母親の椎名さんが出迎えてくれた

「あらあら、こんなにも料理を持ってきてくれるなんて。私、作りすぎちゃったかしら」

「大丈夫だと思いますよ。恋さんもいますし」

「あら、それもそうね」

椎名さんはクスクスと笑いながら、子ども達に囲まれている恋を眺めていた

「恋ねーちゃん遊ぼー!」

「恋お姉さん私もー!」

「ご飯、食べてから、ね?」

恋って子どもに好かれやすいんだな

大広間には私達『晋』の従業員、悠里の家族、大河さんの部下30人、子ども達10人が集結していた。皆がそれぞれ飲み物を手にし、大河さんの挨拶の言葉を待っていた

「おう。全員、飲みもんは行き渡ったな。なげぇ挨拶はなしだ。お前ら、今年もよろしく頼むぜ。乾杯!」

「「「カンパーイ!!」」」

そして皆が好きなように飲み、食べ始めた。私たちはそれぞれ別れて、色んな人と談笑しつつ楽しんでいた

†††††

 

 

 

悠里・月・恋サイド

ここ三人は主に子ども達の世話をしている。三人が三人共、子どもの扱いになれているのだろう。子どもたちはとても楽しそうにしていた

「おいしー!」

「ふふ、いっぱいありますから、ゆっくり食べてくださいね」

「もきゅもきゅ」

「恋おねーちゃん、ほっぺぱんぱーん!」

「あ、アホ毛がミョンミョン動いてる…か、可愛い…」

「いやー、癒されちゃうなぁ」

とても暖かく、純粋な空間だった

 

†††††

 

 

零士サイド

ここは零士と大河さんが皆を眺めつつ、ゆっくりと飲食を楽しんでいた。さらにそこに…

「すいません、遅れました」

「やぁすいませんね、大河さんに東さん。張済さんに饅頭運ぶの手伝ってもらってたんですよ」

途中から私が懇意にしている饅頭屋の店主とその奥さんの綾乃さん、そして張済さんと鄒氏さんがやってきた。女性二人はこちらに、男性2人は零士達と合流した

「やぁ店主に張済さん、明けましておめでとうございます」

「おめでとさん。さぁ、おめーさんらも座って飲んでくれ!」

「それでは、ご一緒させて頂きます」

「失礼しますね」

男四人が並んで座ると、それぞれ飲み始め、なにやら楽しそうに話し始めた。内容までは聞こえなかったが、恐らく店主の愚痴だろう

†††††

 

 

咲夜・詠サイド

「チッ!あの馬鹿亭主め。どうせ私の愚痴なんだろうね」

「あらあら、それは後でお仕置きになりますね」

こちらは私、詠、椎名さん、綾乃さん、鄒氏さんの五人で固まっていた。私と詠と鄒氏さんはそれぞれ二人の奥様方に気圧されていた

「あ、あの!旦那さんと上手くいくコツとかあるんですか?」

最近張済さんと結婚した鄒氏さんは興味津々で聞いていた。同様に詠もジッと綾乃さんと椎名さんを見ていた。興味、あるんだな

「はっはっは!夫なんて、尻に敷いてナンボよ!」

「そうですねぇ、あまり好き勝手にさせてはいけませんね」

「そ、そうなんですか?」

 

静と動の両極に位置する二人だが、思考は似通っているらしい

「と言っても、飴と鞭は使い分けないといけませんよ。鞭ばかりでは不満ばかりになってしまうので」

「そうさねぇ、鞭が7に対して、飴が3くらいが丁度いいんじゃないかい?」

「そんな割合でいいの?」

「えぇ。主導権をしっかり握らないと、男性はどんどん付け上がりますからね」

「おぉ!」

「飴と鞭を使い分ける…かぁ」

なんというか、私にはできる気がしないな。もう既に主導権を握られてしまっているし

「あんたら二人は、やっぱり東さん狙いかい?」

「「な!」」

私と詠は綾乃さんに指摘され、思わず動揺してしまった

 

「あらあら、お顔が真っ赤ですよ」

「東さんって、凄くモテるって聞きましたけど、本当なんですね」

椎名さんも鄒氏さんも楽しそうに私たちを見ていた。チッ!大人の女性相手だと、いつも後手に回っちまう…

 

「私には良さがわからないけれどねぇ。咲夜を始めとした『晋』の面々やウチの凪の心を射止めてるのよね」

「あぅ…」

「まぁ、悪くない男ですからな」

「はぁ~、東さんもなかなか罪な男だねぇ」

「あらあら、うちの悠里ちゃんもなのかしら」

どうだろう、悠里はよくわからないと言っていたが………って!

「華琳!秋蘭!凪!なんでお前らがここに!?」

 

さらっと自然にいたことで、思わず流してしまうところだったが、私は見逃さなかった。なんでこいつらが…

「新年の挨拶に決まってるじゃない。あなた達が店に居なかったから、ここに来たのよ。明けましておめでとう咲夜」

「明けましておめでとう。今年もよろしく頼むぞ咲夜」

「明けましておめでとうございます」

三人は礼儀正しく挨拶してきた。その姿を見て、騒いでいるのがバカらしくなってきた

 

「はぁ、明けましておめでとう。よくここだってわかったな」

私はため息交じりに華琳に聞いた。私ら、今日ここに行くなんて言った記憶ないんだがな

 

「まぁ、いずれにしろここには挨拶に来る予定だったからね。椎名さん、明けましておめでとうございます」

「あらあら、ご丁寧に、明けましておめでとうございます華琳ちゃん」

椎名さん?華琳ちゃん?

「え?椎名さんって何者なの?」

 

詠に同意だ。あの華琳を子ども扱いだと?

「ふふ、私と華琳ちゃんは親戚なんですよ。と言っても、私というより旦那の血縁ですけど」

大河さんの血縁?そう言えば、大河さんってなんて名前だ?

「大河さんの名前ってなんだっけ?」

 

今日は詠と思考が一緒だな

「曹仁ですよ」

へぇ、曹仁。初めて聞いたな

「そういうことよ。それより咲夜、あなた飲まないの?」

「ホントだ。せっかくなんだから飲みなさいよ」

まずい。私は酒飲むと…

「まさか咲夜、飲めないのか?」

あぁ?

「ハッ!ただ手元に無かっただけだよ!酒なんて水と変わらねぇだろ」

そういって私は酒の入った容器を掴み、一気に飲んでやった

「ゴクゴク…」

「お!咲夜ちゃん、いい飲みっぷりじゃないか!」

「あらあら、大変だわぁ」

「え?何が大変なの?」

「おかーさーん!そっちにご飯…って!咲夜姉さんまさかお酒飲んでるんですか!?」

「え?え?咲夜って酒ダメなの?」

「ダメですよ!姉さんに飲ますと…」

私は酒を飲みほし、悠里の腕をつかんだ

「ゆ~り~」

「ひぃ!」

「おら悠里!お前の部屋行くぞ!」

「い~や~!たーすーけーてー!」

†††††

 

 

 

数時間後

「ぅん…あれ、私、なんで寝てたんだ?ってあれ?」

目を覚まし辺りを見渡すと、どういう訳か皆がボロボロだった

「だ、誰だ…咲ちゃんに酒渡した人は…」

「す、すまん。まさかこうなるとは…」

「………」ぴくぴく

「もう絶対に、咲夜にお酒は勧めない…」

「あらあら、子ども達と月ちゃんと恋ちゃんは別室に移しておいて正解ね」

「………ま、まさか私…」

や、やっちまった!!私は酒を飲んでしまうと、かなり悪酔いするらしく、さらに記憶もないので何をしたのかもわからない。だが、この惨状を見る限り、何かとんでもないことをしたのだろう。悠里なんて、虚ろな目でピクピクしている

 

あぁ、新年はこんな感じで始まるんだな………

 

 

 

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