【本編完結】心臓継承ウマ娘   作:豚ゴリラ

28 / 82
26話

 両手いっぱいに抱えたカランコエ。

 美しく咲いた、真紅の花びら。

 

 願いをこめて、痛みを捧げて、未練を切って、夢で育つ。

 さあ、さあ、誇りましょう。 掲げましょう。

 麗しい献身の造花を。

 

 

 


 

 

 

 真白い壁をぼんやりと眺めながら、手元のコーヒーポットを傾ける。

 純銀の上品な輝きが蛍光灯に反射して、無味乾燥な壁に綺羅びやかな斑点の装飾を撒き散らした。

 現在の使用者であるファインドフィートの芦毛にも似た色彩だ。

 

 なんとなしに青い目をじっと細め、揺れ動くそれを視線で追いかけてみる。

 そうしていれば、僅かながらであれど待ち時間の退屈さを誤魔化せる気がしたからだ。

 

「……温度は80度あたりが良いのでしたか」

 

 その甲斐もあってかお湯の温度が適切になるのはあっという間の事だった。

 急かすように響いた電子音に従って、ポットのフタの隙間から差し込んでいた温度計を抜き取る。

 そしてそのままポットを傾ければ、注ぎ口を通るのは熱湯だった。

 

 着地地点はコーヒーカップ、正しくはその上に被せられたフィルターの中──つまり、焙煎済みのコーヒー豆。

 薄っすらと立ち昇る湯気が鼻先を掠めて換気扇の下に揺蕩う。

 挽きたての香ばしい豆の香りが余韻を残し、空気に溶けていった。

 

 まずは蒸らし、待つ。

 事前の準備を終えた事を確認出来たら複数回に分けてゆっくりゆっくり、ちょろちょろと湯の柱を立てる。

 

 何時にも増して雑多な資料で溢れかえったトレーナー室と、ファインドフィートの鼻ではむせ返りそうになる程に充満したインクの匂い。

 そこにコーヒーの香りを混ぜ込んだせいで不協和音の劇薬にも等しい何かを肺に取り入れた気分だ。

 

「トレーナー、生きていますか?」

 

「……あ~、起きてる」

 

「そうですか。

 ならもう少しだけ起きていて下さい」

 

 それでも、と臭気由来の不快感を譲れない義務感でねじ伏せコーヒーを淹れる。

 材料となったのは比較的高級な豆。

 この部屋の主である葛城トレーナーの為の物だった。

 ──ただし、"近場で手に入るグレードでは"という注釈もつくのだが。

 

「……トレーナー、そろそろ休んでください。

 コーヒーとお茶菓子が用意できました」

 

「ん……ああ、すまない。

 ありがとう」

 

 声を受けて遅鈍な動きで立ち上がったのは痩せぎすの男。

 いつもよりも尚深く刻まれた隈を骨ばった指先で擦り、強張った表情筋を揉みほぐした。

 過労故にふらつきながら歩む様子を担当ウマ娘に見守られつつ、応接用にも使われる筈だったソファーに腰を落ち着ける。

 

 そこに先程までうず高く積まれていた筈の紙束は無い。

 最低限のスペースは確保するためにファインドフィートの手で適当に避けられていたのだ。

 徹夜明けの鈍った思考回路でそんな結論に思い至り、黒ずんだ瞳でテーブルの上を見つめる。 その焦点は左右でズレていた。

 

「……まったく、無理しすぎなんですよ」

 

 呆れた声音で己のトレーナーを()めつけるのも仕方がない。

 ポットをコースターの上に安置し、そっと溜息を零した。

 コーヒー入りのマグカップと白いクリームが彩るカップケーキをお盆に載せて──いい加減に実力行使に出たほうが良いのではないかと、些か物騒な思慮を馳せる。

 

 何せ己というウマ娘の完成にはトレーナーという存在が必要不可欠。

 "こんな道半ばで倒れられては困ってしまうのだから"と単純な憂慮の情を単調な理由付けで彩る。

 そんな彼女の様子を見守るのは、カップの内で揺れる黒い水面(みなも)のみだった。

 

「どうぞ」

 

 コトリ、と軽い音と共にコーヒーとケーキを葛城トレーナーの前に配膳し、それに対する反応に気を向ける間もなくソファーに腰を下ろした。

 そしてスカートの皺を整えつつ、淡く嘆息。

 ひと仕事を完遂した達成感に浸る。

 

 もはやコーヒーを淹れるのも手慣れたものだ。

 以前(少年時代)であれば関わり合いもない作業ではあったものの、彼女にとって好ましいとさえ感じられる──楽しいひと手間だった。

 誰かの休息をこの様に用意出来るのなら、それ程に素晴らしいことはないのだから。

 

「……いい香りだ。

 やはり追い込みの時はカフェインに限る」

 

「今日はこれで最後ですよ。

 もう少ししたら眠ってもらいますから」

 

「いいや、明後日には菊花賞が始まるんだ。

 そんな肝心な時こそ多少の無茶を──」

 

「寝てください。

 こんなところで倒れられても困るんですよ、トレーナー」

 

 そもそも、今から対策してどうにかなる事は然程多くない。

 話し合うべきは既に語り尽くし終え、鍛えるべき要素は限界に至るまで調練した後。

 それは純粋なパワーの強化であったり、走行フォームの研究であったり、あらゆるテクニックの学習も含める。

 幸いなことに、レースの()()()に調整されたファインドフィートの頭脳であれば如何な難易度の技法でれどいとも容易く吸収出来てしまえた。

 乾いた砂漠に水を与える……と表現するには、些か(ジン)為的に過ぎたのだが。

 

 ともあれ今からの時間は休息に使用してしまえば良いのではないか──というのが、彼女の意見である。

 

「……分かった、分かった。

 それじゃあ今日はこれで終わりにしよう」

 

「分かれば良いんです。

 休めるうちに休んでください」

 

 葛城トレーナーは肩を竦める事を返事の代わりに見せ、用意されたカップに口を付ける。

 以前の少女であれば考えられない気遣いを思えば仄かな成長を感じられる味わいだった。

 

 一口、二口。

 丁寧に舌に染み込ませる。

 

「……ああ、そうだ」

 

 ふと何気なく軽い調子で、対面のファインドフィートへと黒ずんだ瞳を差し向ける。

 "明後日の菊花賞に向けた指示だけ告げて解散にしよう"と、カップをソーサーの上に安置した。 取手の銀細工が聞き手に回り、蛍光灯の光を無為に反射する。

 

「ファインドフィート、明日以降の事だ。

 念の為に何度も言うが──」

 

「分かっています。

 不調を察したら直ぐに言う。

 今日と明日は軽いジョギングのみ。

 あとは──」

 

 乾いた唇にちろりと舌を滑らせる。

 ソファーに垂らした尻尾の毛先に指をあてがい、手慰みに撫で付けて──どこか、硬い声音で喉を潤して。

 そこに滲む色は無い。

 故に誰にも見えないだけの、無色透明な哀傷を胸の奥に澱ませた。

 

「走り方が合わなければ、普段通りのレースをする……そうでしょう? 

 ……けれど、大丈夫です」

 

 

「わたしは『ファインドフィート』ですから」

 

 

 

 ◆

 

 

 

 そうして、ついに辿り着いた菊花賞。

 夢の階を昇る途上。 栄冠の区切りに相応しい花冠の象徴。

 

 十月の気温は涼しくもあるが、その代わりと云わんばかりに降り注ぐ陽光が冷気も纏めて加熱する。

 艶やかな芝も、雑踏の主たる観客も、主演たる少女達も──ファインドフィートも。

 

 故に、今日も晴れ。

 晴れ、晴れ、晴れ。

 何時だって、ファインドフィートが走る舞台は晴れの大空だ。

 

 まるで何者かの意図を感じずにはいられない程に、天候に恵まれてばかり。

 雲ひとつ無い青空だけがファインドフィートを抱擁する。

 

 ざわつく声も何処か遠くで響いているようで、現実感を薄れさせる差水に等しい。

 地に足をつけているはずなのにふわふわと落ち着かない心のまま、小さく耳を揺らした。

 今日のために入念な手入れを重ねた両耳の赤と青の飾りが、ほんの少しだけ寂しげに鳴いていた。

 

「──眩しい。

 本当、本当に……痛いくらい」

 

 胸を抑えて、ぽつりと呟く。

 声と云うには薄い、霞よりも尚軽い音だった。

 そんな小言は観客の声に呑まれ、当然のように揉まれて砕け散る。

 

「……無敗三冠。

 わたしは今日、これに至る。

 いいえ、至らなければならない」

 

 それは求められたからだ。

『姉』に、『姉』が縋った誰かに、『姉』を見つけるはずだった未来の人々に。

『ファインドフィート』はそのために生きている。 そのために死に損なった。

 

 そう、己を糺して規定を押し付ける。

 押し付けなければ頭の中身がぐちゃぐちゃにかき乱されて、どうにも出来なかった。

 

 芯がなければ自身を見失う。

 支えがなければ立ち上がれない。

 正しいことを示されなければ、正しく在れない。

 

 そんな自己の愚かさを欺瞞の蓋で閉じ、独りゲートに足を向けた。

 ぱっくりと口を開いたままの鋼鉄の檻は、そんな彼女であろうと淡々と受け入れてくれる。

 それを優しいと感じるべきか、恐ろしいと震えるべきなのか。

 

 ──身震いをする彼女は、それを"単なる武者震い"と強がって、芝を踏み締めた。

 それが正しいのか否かは結果が決める。

 ファインドフィートの行いが、ファインドフィートの中身を定めるのだ。

 

『さぁ、ついに始まります。

 クラシックロードの終着点、京都の舞台にて始まる菊花賞。

 菊の花冠を戴くのは誰か? 遥かな歴史に名を残すのはどの娘か?』

 

 ──機械の力によって反響する声が無為な懊悩を切り裂く。

 それに逆らわず、ゆるゆると意識を傾け蓋をする。

 耳に詰まったフィルターごと頭を揺らし、目を見開いて。

 

 レース直前に思考リソースを割くべきは下らない怯懦なんぞでは無く、レースの勝敗に強く影響を及ぼす初手の初手たる位置取りだ。

 今回のファインドフィートが割り当てられたゲート番号は一枠一番。 最内の選出。

 一般的に有利とされる番号でもある。

 

 ……ついでに言えば、一枠一番で一着を取れたなら三つの一が揃う。

 "実に縁起が良いじゃないですか"と枯れた喉を縮めて、か細く囀った。

 

『一番人気はファインドフィート! 

 無敗三冠に王手をかける!』

 

 何にせよレースはもう直に始まる。

 合図に備えて爪先で芝を蹴り、ゆるゆると構えを取る。

 右手を前に、左手を後ろに。

 両脚を正しく配置して、体幹を司る筋肉を正しく引き絞る。

 

 そして脳裏でレース運びをシミュレート。

 ゲートが開く寸前に重心を移動しなければ、両脚の関節から過分な力は抜いておけ、背筋から意識を外すな、初動で成功したならまずはそのまま直進、失敗したなら心臓の稼働率を上げてしまえと、過去の蓄積から必要な知識を引き摺り出し──。

 

 ──しかし、次の瞬間にはそれらを破棄する。

 レース中に一々意識しながら走れるようなものではなく──そもそも、ファインドフィートは考えながら身体を動かすタイプではない。

 外面からは理論派に見える為に誤解されがちではあるが、その実感覚派そのものである。

 

 つまり信じるべきは、彼女が積み上げてきたトレーニングのみだ。

 丹念に、入念に染み込ませてきた"走る"という行為。

 思考を挟まずとも最適な疾走を再現出来るように努力を重ねてきたのだから、ファインドフィートはそれを疑ってはならない。

 それはファインドフィート自身への裏切りであり、トレーナーへの不義理でもある。

 

「わたしが速い、わたしが勝つ……わたしだけが、勝つ」

 

 鬱屈と湿った恐怖を吐息に混ぜ、代わりに強固な自負(仮面)で己を飾った。

 いっそ、滑稽な迄に。

 

「さあ、さあ……行きましょう。

 姉さん、わたしがあなたの代わりに走りますから」

 

 電子時計が時を刻む。 一秒一秒、無機質に。

 競走の始まりが近付く。

 少しづつ、けれど着実に。

 

 ひとつ、ふたつ、みっつと数え、ついにゲートが開く寸前──心臓に茨が、絡みついた。

 

何よりも速く(コンセントレーション)

 

 開扉。視界が拓ける。

 開幕。瞬時に鉄の柵から這い出す。

 

 誰よりも早くに駆け出し、深い疵を芝に刻む。

 吐き気を催す程に幾度となく繰り返した基礎をそのままなぞり、美麗とまで形容できるスタートダッシュ。

 回転を早め、巡行速度まで瞬時に到達。

 

 速度を維持し、そのまま──()()を奪う。

 

 後ろに続く一七名を引き連れて、いの一番に風を切った。

 先頭争いさえも起こさず、問答無用でハナを抑える。

 

 ──即ち、お手本通りの"逃げ"だった。

 

『──まさかまさか、ファインドフィートがハナを切る! 

 逃げの足取りです!』

 

 驚愕を多分に含んだ実況が轟くのも不思議ではない。

 ウマ娘の体系化された走法のひとつであり、これまでのファインドフィートが選ばなかった走りだった。

 彼女が以前までのレースで見せたのは"差し"か"先行"のみである。

 

 故にこその意外性。

 故にこそ──有効な一手となる。

 

『ファインドフィート氏は典型的な差し気質かと思われていたのですが、まさかここで逃げに切り替えるとは……。

 この作戦が吉と出るのか凶と出るのか、目が離せませんね』

 

 レースとは、"レース中"の全てで結果が決まる訳ではない。日頃のトレーニングの時点から勝負は始まっている。

 スキルの蓄積、フォーム改善、適正の分析による装具品の調整、適切な戦略選び。

 そして対戦相手の情報収集と、データを元にした対策。

 

 ファインドフィートの急な戦略変更は、間違いなく意表を突く。

 

 ……そうはいえども、揃いも揃って強者(ツワモノ)しか居ないのがGⅠ(重賞)だ。

 齎された動揺は一瞬の内に沈静化し、"それならばそれで"と適時戦略を組み立て直す。

 優れた頭脳を持つ者はこれまでに培った蓄積を元に。

 頭脳頼りではない者はこれまでを幾度となく救った直感を(よすが)に。

 

「……ッ」

 

 そんな少女等を一瞬だけ尻目に映して──迫る気迫から目を逸らし、ただ前を見つめる。

 先頭を走り、空気抵抗を研鑽した筋力で強引に引き千切った。

 

 スタート直後から直ぐ眼前にまで迫った坂を駆け上がり、急速に稼働率を高める心臓を必死に宥める。

 傾斜する上体を坂と平行に。

 

 菊花賞は3000メートル、名高き"淀の坂"を含む外回りの長丁場。

 スタート直後のコーナーと一周回った後の最終コーナーに、それぞれが勾配4メートルと少しの関門として立ちはだかる。

 が、ファインドフィートはこんな所で無為に消耗して早々に垂れる訳にはいかないのだ。

 

『最初のコーナー、先頭にファインドフィート。

 五バ身後方にリボンテープ、右後ろにフリンドオレンジ──』

 

 けれども如何に気を張ろうと目減りを早める体力残量。

 その奮闘を少しでも長く維持する為に、息を整えながらのカーブ(コーナー回復)

 遠心力に引き摺られそうになる身体を円の内側に寄せ、適切な脱力を織り交ぜた。

 

 ──そして、カーブが終わればまた加速。

 青い靴を土で汚し、深く深くに沈ませた。

 

 飛び散る芝は青い長布が跳ね除ける。

 輝く陽光はファインドフィートの視界を奪わず、活力を齎す。

 彼女は、悲痛に耐えるだけで良い。

 

「は、は……ッ」

 

 ──ただ、走り続ければ良い。

 常に高速で、絶えずに。

 この一文がある種の最速走法なのだから。

 

 もちろん、こんなものは子供が考えたかのような机上の理論でしかない。

 生命の摂理を一切考慮せずに築いただけの滅茶苦茶な論法だ。

 

 しかし、けれども。

 非常に幸運(残念)な事に、ファインドフィートには可能な手段でもあった。

 

 "再点火"

 

 痛みが、痛みが、痛みが、痛みが、痛みが、痛みが。

 髄膜さえも焦がす痛みが、心腑を撫でる痛みが彼女を襲う。 彼女を奪う。

 

 その癖、それらを等価交換とでも云うつもりか。

 身に余るほどの"力"が少女の小さな体躯の裡を巡り、迸り──全てを推進力とし還元するのだ。

 

 坂を(くだ)る重力さえも味方につけて速力へ。

 後方とのバ身差は縮まらず、むしろ徐々に広がってさえいた。

 

『コーナーを越え観客スタンドの正面へ。

 この直線を抜ければ二度目の上り坂です! 

 名高き淀の坂へと一番槍を突き立てるのはどの娘になるのか!』

 

『今回はかなり縦長の展開ですね。

 ペース配分が些か心配です』

 

 蹄鉄の音は後方から響くのみ。

 直ぐ後方、などとは言えない程度の距離がある。

 耳だけを少し動かし探ってみるも、息遣いは何も聴こえてこない。

 

 まだまだ中盤戦だからか。 あるいはどうせ持たないとでも考えているのか。

 真っ当な思考で作戦を組み立て直すのであれば、ファインドフィートのスタミナに限界が訪れる事を待つべきだろう。

 極々自然。 王道そのもの。

 まさに教本通りという他無い正しい考察だ。

 

『ファインドフィートが向う正面へ! 二番手にキンイロリョテイ追い縋る! 

 バ身差は二! しかしまだまだスタミナの底は見えません!』

 

 "再点火"

 

 "再点火"

 

 けれど、ファインドフィートはその通理を叩き潰して前へ征く。

 二度目の坂を登り、弾む身体を気力で抑えつけて跳ね上がる。

 

 前へ、前へ、白い尾を引く彗星のように。

 踏み締めた芝はいとも容易く土までを抉り、弾け、吹き飛ばす。

 

「おい、オマエ正気かよ……ッ!」

 

「どう、でしょうね」

 

 すぐ後ろに着いた黒い少女に返事を飛ばす。

 もちろん、振り返りはしない。

 

 その言葉は風を切る音に紛れ、痕跡を残すこともなく砕け散る。

 けれども、確かにキンイロリョテイの耳朶を叩いていた。

 幽かな後悔が含んだ弱音が、きっと。

 

「あんまりにも痛いから、正気じゃあないかもしれません……ッ」

 

 そして、その苦痛こそがファインドフィートを押し出すのだ。

 何処までも、何よりも速く、栄光へと飛翔させて──心臓の唄を高らかに轟かせる。

 

 "再点火"

 

「それでも、苦しくても……前に、進まなければッ!」

 

 いつだって知っていた。

 "これ"がファインドフィートの選ぶべき最適解なのだと。

 

 "何も感じていない"などと旁若無人に語り取り繕った所で、結局無為で無駄な所業。

 "迂遠な言い訳"を述べてばかりの己が星になりたいのなら、あらゆる一切を見下ろしたいと願うのなら、全てを捧げなければならない。

 

 その果てに空高くを翔んで──いっそ彗星になってしまえば良い。

 夢を叶えて、誰にも見えないほどの高みに至って、その果てにこんな顔(本当の自分)をさらけ出さずに済むのならば。

 

 きっとそれ程に喜ばしい(かなしい)話はないのだからと。

 矛盾まみれの二律背反を掲げ、叫んだ。

 

 "再点火"

 

 続く下り坂を減速なしに駆け下りる。

 姿勢は低く、尻尾は高く、手の振りはリズムに合わせて軽やかに。

 いの一番に最終直線に蹄鉄の跡を刻み込んだ。

 

 "再点火"

 

 "再点火"

 

 "再点火"

 

 更なる加速を身体に強いる。

 牙を剥き、獰猛な熱だけを曝け出して。

 ──唯一抜きん出て、並ぶ者の尽くを無に貶めて飛翔(失墜)するために。

 

 最終直線だろうと関係なしに脚を回し、最高速度のままにゴールの一線を目指し──越えた。

 

『一着はファインドフィート! 大差をつけてファインドフィートです! 

 秋の菊花を摘んだのは芦毛の乙女! 無敗三冠ウマ娘の誕生です!』

 

 

 

 一瞬訪れる静寂。 数拍遅れる理解。

 反応は劇的だった。

 

 弾ける紙吹雪が、飛び交う祝福が雨あられと降り注ぐ。

 さざ波なんぞではない圧倒的な熱波が圧を伴い拡がっていく。

 

 狭域から広域へ。

 微熱から白熱へ──。

 

「お、ぉお」

 

「おお、おおおぉ!!」

 

「無敗三冠! 無敗三冠だ!」

 

「おめでとう! おめでとう!」

 

 無敗三冠とはそれ程までの偉業だった。

 この世界において、それ程までの熱狂を誘う栄光だった。

 

「ああ」

 

 震えを抑えきれずにはいられない。

 四肢の先端、指先や爪先から迸る痺れがこそばゆい。

 無常の達成感が、ファインドフィートを不思議な夢見心地に突き落とす。

 

「やっと、やっと……ここ、まで」

 

 けれど、現実だ。

 違えのない真実だ。

 胸の奥からじんわりと広がる熱が彼女の正気を保証するのだから、間違いない。

 

 そんな勢いのまま、観客達による祝福への返礼を届けようとして──。

 

 ──しかしそれは、芝を穢す赤が流れる事で完結した。

 手を振り上げようとしたままの姿勢で固まり、ぼうっと足元を見下ろす。

 ぽたり、ぽたりと伝う赤が幾重にも滴り落ちていた。

 

「……あ、れ?」

 

 ぽたり、ぽたり。

 鼻先を起点に流れ、伝う赤い水。

 

 それを手の甲で拭う。

 しかし次から次に溢れる血は止まらず、ファインドフィートの装束さえも穢していった。

 拭う。止まらない。抑える。溢れる。

 

「戻ら、ないと」

 

 観客席から飛び出して駆け寄ろうとする顔見知りを手で制し、大事はないと取り繕って。

 ざわめく観衆には手をふることで無事をアピールし、ほんの些細な問題でしか無いと装う。

 

 そして周囲の目から逃げ出すように地下バ道へ引っ込んでいく。

 ……幾人かは、気付いたのかもしれないが。

 

「ッ」

 

 しかし、薄暗い地下に逃げても血が止まらない。

 手の下から溢れる血液は留まる事を放棄していた。

 

 どくどく、どくどくと──破れた血管から流れ出す。

 それは鼻孔からのみならず、瞳からも。

 

「脚が、動かない?」

 

 頬を伝うのは血涙だった。

 心臓は荒れ狂ったまま停止せず、延々と鼓動を繰り返す。

 

 ひゅうひゅうと呼吸を深めて回復を図ろうにも──それは、すぐ眼前に迫っていた壁に阻まれる。

 何故こんなものが、と思考に一瞬の空白が訪れる。

 首を回して周囲を確認しようにも、不思議とこれっぽっちも動きはしなかった。

 

「あ」

 

 それが壁ではなく床であると把握したのは幾秒かを数えた後のこと。

 冷たく、埃臭いそれから立ち上がらなければと、手を突き立てる。

 

 ──否、突き立てようとした。

 

 しかし動かない。

 指先は凍てつき、軋みさえ上げず、糸の切れた人形の如くに佇むばかり。

 腕も、脚も、首も、胴体も。

 藻掻くことさえ出来ぬまま倒れ伏す。

 

「──ぅ」

 

 這い寄る眠気に抗うことさえ、不可能だった。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 それから、幾らほどの時が過ぎたのか。

()()()()()()()『彼女』には理解できない。

 指針はなく、基準もなく、鼓動もなく、自己もない。

 純白に染まった視界に像を見い出せず、回らぬ思考で虚ろに沈み──。

 

『もしも~し。

 久しぶりですねぇ、ファインドフィートちゃん』

 

 ──それを、甘く蕩ける声が優しく掬い上げた。

 ひと、ひと、と素朴な音を裸足が鳴らす。

 ころころ笑う鈴音が深々と『彼女』の耳朶を(ねぶ)った。

 

『元気にしていましたかぁ? 

 前は……そうですねぇ。

 お姉さんから託された時と、その後に一度声を掛けた時と……あとはレース中ぐらいでしたね!』

 

 指折り数えるのは、亜麻色の長い御髪(みぐし)を威光と共に侍らせる乙女。

 ひと、ひと、と静かに歩み、『彼女』の傍らで脚を止めてゆっくり腰を下ろした。

 白い長布を玉体に巻き付けただけの素朴な装束でありながらも、超常的な美を体現する女だった。

 あるいは、だからこそ彼女という存在のみを押し出せているのか。

 

 ……とはいえ、今の『彼女』に細かな所まで思慮を馳せる余裕はない。

 悍ましい粘度を宿す疲労が、眠気が、『彼女』の全てを絡め取ってしまう。

 

 それに、ついに至った無敗三冠──なんと素晴らしい響きなのか。

 歴史に名を遺す大偉業。

 数多のウマ娘が目指した一つの極致、一つの答え。

 それを掴み取った『彼女』は、どうしようもなく疲れていた。

 

 もうそろそろ一休みしてもいいじゃあないか、と。

 もう少しだけ、もう少しだけ、立ち止まってもいいんじゃあないか、と。

 

 臆病者の『彼女』は思考を経由しない本能のみで、そんな弱音に溺れていた。

 青い瞳を開いたまま、顔を白い床らしき何かに押し付けて独り倒れ伏す。

 

『──いいえ、いいえ。

 あなたは立ち上がらないと。

 だってほら、お姉さんと『約束』したのでしょう?』

 

 女性らしく嫋やかな指を『彼女』の頭に滑らせた。

 白く長い髪を心底愛おしげに撫で、『太陽』の如き金の虹彩で見下ろす。

 できの悪い子供に真摯に語りかけるように、優しく。

 

『それにほら、あなたの身体は立ち上がれるように出来ているんですよぉ。

 だって私達が調整しているもの。 私達が助けてあげるもの。

 だから……ほら、あなたが諦めなければ何度でも蘇る』

 

 ころころ、ころころ。

 軽やかに笑う声には一途な"愛"のみが滲む。

 僅かにでも交じる筈の呆れも、怒りも、常識も、憂慮も、何も無い。

 まるで他の概念を一切排した音だった。

 

 ありとあらゆる事で悩んで迷ってしまうヒトには──あるいは、ウマ娘には宿せない心の表れ。

 声には意思が宿る。

 意思を思想が形作る。

 ──だとするなら、乙女は『彼女』とは全く別の生命だ。

 

『……う~ん、困っちゃいましたねぇ。

 息がし辛くて疲れちゃったのかしら? それとも空をとぶのが怖いのかしら』

 

 困惑にも似た吐息を漏らし、そっと呟く。

 純白でしか無い空間には異物でしかない。

 

『でも、そうですねぇ。

 それじゃあこういう時は……そう、頑張れる理由を与えてあげないと』

 

 倒れ伏した少女の(かんばせ)を持ち上げ、膝にのせ。

 心底から湿った愛情を籠めて頬を撫でる。

 

『まだまだ夢の途上ですよ?

 頑張らないと叶いませんよぉ、お姉さんの為にも……ね?』

 

「…………」

 

『せっかく生き残ったのに、良いのですか?

 ほらほら、思い出して』

 

 優しげに微笑む(かんばせ)には一切の変化がない。

 変わらずに、単純で、純粋に過ぎる言葉をゆらりと零す。

 

『あなたの夢はなぁに?』

 

 深々と、澄み切った黄金の視線を差し向けて。

 己という女神の香りを染み込ませるように──。

 

『……それとも、もう一回消えたいの? 

 ねぇ、(ヒトミ)ちゃん』

 

「────ぁ」

 

 ──甘く囁く。

 『彼女』の奥に潜む、消えたはずの"名前"へと。

 大切な宝物(おもいで)にしか残っていない筈の"名前"へと。

 無様で愛おしい少女へ向け、真摯な想いで言葉を紡いだ。

 

『あなたの名前が消えた、あの日みたいに。

 あなたの存在がすべて砕けて忘れられるの』

 

 既に存在しないそれを態々この場限りで回帰させ、耳元に口を寄せて。

 脳髄に刻みつけるように、『彼女』にとって悍ましい過日を語る。

 

『ねぇ、覚えてる? 

 あなたの友達が、あなたのことを忘れていたのよ。

 あなた達との思い出を全て失っていて、悲しくなかった?』

 

『あなたが貰ったはずの飴玉なんて何処にも無いのに……それでも探したあの日みたいに』

 

 祝福を紡ぐ、呪詛を紡ぐ。

 それを受け、呆然と目を見開いた『彼女』の為に──心の底から湧き出る()()で頭を撫でた。

 

 芽生えかけた"諦め"という心を丁寧に踏み潰す。

 入念に、執拗に。

 裸足の熱に愛情を籠めて、踏み躙る。

 

 そして苦渋の過去を提示し、訪れるかもしれない現実と対立させる。

 その"愛"が『彼女』にとってどんな意味を持つのか、乙女は──太陽を背負う"女神"は、真の意味で理解なんぞしていない。

 けれど齎す結果だけは把握できていた故に、頓着することもなかった。

 

『ねぇ、本当に諦めていいの? 

 (ヒトミ)ちゃんみたいに、お姉さんの名前も消したいの?』

 

「……いや、だ」

 

 ぽつりと呟く。

 茫洋と零れ落ちた声は無機質だった。

 ひび割れていて、余熱を宿すだけの残骸。

 

 ──けれど、そんな残骸であっても、溢れてしまう。

 『姉』という存在は『彼女』にとって最後の(よすが)で、追憶の寄る辺で、己以上に大切な片割れだった。

 その名前を、葬るなど──。

 

『ええ、ええ! 

 だってあなたは優しいもの、そんなの我慢出来ないわよねぇ』

 

 青い瞳を覗き込む。

 恐怖に揺れる愛らしい色彩だった。

 それを慰めるために、こめかみに優しく触れて──。

 

 ──『彼女』の思考回路から余分な要素を引いていく。

 1引く1引く1引く1引く1引く1引く1引く1引く1引く1。

 3で割って2を掛けて、『彼女』の夢を叶える為に手を差し伸べる。

 

 ゆっくりと、丁寧に丁寧に思想を破綻させ、破棄させて。

 女神が信ずる、己の子供が"しあわせ"になる為の理想を押し付けた。

 

『でもでも、大丈夫よ! 

 確かに過去には居ないかもだけど、今と未来には存在するもの! 

 だって、ほら──』

 

 そして、そこに3000(全て)を与える。

 幼い頭脳を調律し、"しあわせ"に過ごすための()()()()()を注ぎ込む。

 

『見て、私を』

 

 両手を伸ばし、頭を捉えて抱きとめた。

 壊れ物を扱うかのように、そっと丁寧に。

 

 愛しの我が子。美しい星の子。哀れな混血の子。

 そんな『彼女』の耳に美麗な口を近付け、不純物のない愛を唄う。

 

『──あなたがファインドフィート。

 だから大丈夫、あなたがそこにあるもの。

 あなたが受け継いで、あなたが紡ぐの』

 

「……ぼく、が」

 

『そう、あなたが。

 忘れられたく無いのでしょう? 

 "()()()()()()()"じゃなくって、"他の誰でもない自分達"を遺したいのでしょう?』

 

 ──思い返すのは、テレビ越しの芝を駆ける流星群(きらきら星)

 ずっと昔に繰り広げられたレースの光景。

 それは世代を超えた『彼女』達にとっての憧れで──追い求め続けていた"答え"だった。

 

「……ぼくらは、忘れられたく無かった」

 

『えぇ、そうよねぇ。

 せっかく産まれてきたんですもの』

 

「ぼくらは、ただ……生きていた痕跡を、遺したかった」

 

『えぇ、えぇ。

 そのための手段だったのね』

 

「だって、あんまりじゃあないか。

 何かを遺す権利さえも無いなんて、そんなの……」

 

 ──年々弱まっていく身体能力。

 独りでは真っ直ぐ歩行も出来ない生命。

 そんな自分が忌まわしくて、『姉』がやがて至る結末でもある不完全な設計図(遺伝子)が許せなかった。

 

 けれど、何よりも恐ろしいのは。

 "そのせいで"何も遺せないかもしれない、"そのせいで"正しい命になれないという現実だ。

 

 確かに、『双子』はこの世に生きていた。

 不完全だとしても、生きていたのだ。

 だからせめて、二つで一つの命としてでも──生きていた痕跡を、遺したかった。

 

「ぼくらだって生きてるんだ。

 だから、せめて、せめて……」

 

 ──溢れる涙が、視界を覆う。

 ぽろぽろ流れて、頬を伝って、女神の手に熱を刻んだ。

 

 やがて、仮面の裏で堰き止められていた本性が顔を覗かせる。

 臆病で、無様で──けれど諦める事を諦めてしまった少年が、声を殺して泣きわめいた。

 

 苦しい。 哀しい。

 生きるという選択肢が齎したのは苦しみだらけで、痛みに喘ぐばかりの人生だ。

 ……それでも選んだのなら、走らなければならない。

 『約束』は守らなればならないのだから。

 

『──じゃあ、立ち上がらないといけませんねぇ』

 

「そうだ、立たないと」

 

 涙の上から正しい『ファインドフィート』の殻を被る。

 青褪めた瞳を無機質に装ってしまえ。

 自分の裡から目を逸らせ。

 胸元の傷跡()は、それを忘れないために残しているのだから。

 

『立ち上がって』

 

「ぼくが、姉さんの名前を、繋がないと」

 

『頑張って』

 

「ぼくが、姉さんを守らないと……」

 

 頭を持ち上げ、女神の膝から抜け出して。

 手をつき、膝を打ち──心臓の茨で残酷に締め上げた。

 痛みがファインドフィートを襲う。

 

 それでも──他に道はないのだ。

 御供瞳(ミトモヒトミ)は『姉』の為に走り続ける。

 かくあれかしと願われた通りに命を燃やす。

 

 所詮はマリオネット(女神の傀儡)でしかないとしても、最早これ以上の最善は存在しないのだから。

 

『──ふふ、ふふふ……やっぱり綺麗。

 なんて、なんて美しい』

 

 

 

 ◇

 

 

 

「……は、はは」

 

 気付けば、埃臭い床が視界を埋め尽くしていた。

 真っ白な空間は何処にもない。

 麗しき『太陽』の女神は何処にも居ない。

 

 ただの現実があった。

 見苦しくも美しい世界が、ファインドフィートを包容する。

 

「ははは……っ」

 

 ──心臓を茨で締め上げる。

 彼女自身の意志で強制的に駆動させ、機能を停止していた四肢を蘇生し──また、立ち上がる。

 

 何度でも何度でも、夢の果てに到達するまで。

 まるで罰の如き執拗さだ。

 だとするなら、どんな罪を犯したというのだろうか。

 

 産まれ落ちてしまった故の原罪か。

 独り生き延びたという大罪か。

 彼女は、きっとその両方に違いないと深く納得した。

 

「……姉、さん」

 

 苦しい。哀しい。

 生きているというのに、生きているからこそ。

 首を掻きむしって、今この瞬間にも泣き言を叫びたくなってしまう。

 

 願うべきでは無いと理解していた。

 想うべきでは無いと、これまでずっと自分に言い聞かせてきた事だった。 

 

 けれどファインドフィートは、それでも嘆かずにはいられない。

 

 死んでしまえたら良かったのに。

 死んでいられたら良かったのに。

 ……いっそ産まれてこなければ、良かったのに。 

 

「……でも、それでも、まだ。

 消えたくない、まだ、消えたくない……」

 

 御供瞳(ミトモヒトミ)は、こんなことのために姉と分かたれたのか。

 母の胎内で命を結んだのは、こんなに苦しむためだったのか。

 こんな、人身御供(ヒトミゴクウ)のように祈りを捧げるためだったのか。

 もう何も、何もかもが掴めない。

 

「消したくない……っ」

 

 みっともなく目を擦る。

 濡れる感触は、ずっと封じ込めていた心のほころび其の物だ。

 拭えど拭えど止まらない涙を、独りぼっちの道に落として。

 しとしと、ひたひた(わだち)へ飾り、ゆっくり、ゆっくりと歩き出した。

 

「ぅ、あぁ……ごめん、なさい。

 ごめんなさい、ごめんなさい……」

 

 何へ謝罪を捧げているのかさえ理解できず、無人の道を独りで歩む。

 

 すぐに泣き止むから、すぐに元通りになるから、せめて今だけは、と。

 喉を嗚咽で染め、尽きぬ涙を海のように滴り落とした。

 

 "夢"とは、所詮傀儡の夢。

 彼女らの願いは、彼女ら以外によって叶えられる。

 

 ありえざる終わりの続きを生きる彼女。

 ……正しい終わりは、きっと、ありえない。

 

 

 


 

 

 

 小さな花弁を幾つもつける、ささやかな花。

 何時かの時代、何処かの誰かが託した願い(花言葉)は"あなたを守る"。

 美しい願いで、健気な希望だった。

 

 "だからこそあなたが掲げるに相応しい"

 

 "麗しのカランコエ──ほら、ぴったり"

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。