巨人の村の娘は人間   作:UMI0123

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 ――創造海賊団が“コリーダコロシアム” 近辺に拠点を構えてから数ヶ月が過ぎた。彼女たちはシノギ候補として出た、エンターテイメント、食品、みかじめ料、お酒を程よく行う事で莫大な資金を手に入れることに成功したのだった。

 

「船長、今日の予定ですが……」

 

「ちょっと今日の予定はバラしておいて」

 

「よろしいのですか?そこそこ名の知れた商人との会談がありますが」

 

「大丈夫そっちはテゾーロに行かせるから。今日は裏で私が求める()()()()()のオークションがあるから」

 

「……木ではなく?」

 

 秘書となって数ヶ月が経ったステラは仕事姿が板につき周辺住民からは美人秘書と少し有名になっていた。

 彼女たちは資金稼ぎを行っている内に裏の者たちとのパイプがある程度繋がっているためシャボンディ諸島で行われるオークションではなく裏のオークションにも呼ばれるようになっている。

 

「まあステラも着いてくれば分かるよ。私が欲しいのが金の成る実だってことが」

 

「そうですか……まあそっちの方がお金になるのならいいです」

 

 ステラは自身の父がギャンブル狂いでギャンブルの資金のために人買いに売られた結果、この世はお金が全てだと思っていた。しかしテゾーロと出会ってからは、その考えが少しは緩和されたのだった。

 

「もう、ステラを現金な子に育てた親の顔が見てみたい」

 

「私が現金な子になったのは貴女を見て来たからです」

 

「そっかそっか、私のいい所を見て可愛い子に育ったんだね」

 

「……耳イカれてんのか」

 

「聞こえてるからね!!?」

 

 聞こえる言葉が都合の良いことにしか聞こえないディアンヌを小さな声でディスったステラだったが、ディアンヌが持つ地獄耳には聞こえていて大きめの声でツッコまれた。

 二人はある程度の掛け合えを終えるとオークションに向けて身支度を始めた。

 

「留守番はどうしますか?」

 

「うーん、キャンドラーは周辺の島を調査して貰ってるから無理だとして、手の空いてるのはレオちゃんだけだけど、レオちゃん一人に任せるのは少し心配になるからなぁ……。よしトンタッタ族に数人派遣して貰って」

 

「分かりました」

 

 ステラは“六式”の中で覚えてる“月歩(ゲッポウ)”を使ってグリーンビットへと向かった。

 ステラはこの数ヶ月間で“指銃(シガン)”、“鉄塊(テッカイ)”の才能がない事が分かったので他4つの六式だけを集中して練習した結果“月歩”だけ習得出来たのだ。

 

「ふぅ、このオークションは今後の資産運用のやり方を決める大事なことだから多少は荒事になったとしても奪わなきゃね」

 

 ディアンヌはグリーンビットから帰って来たステラを連れてドレスローザを離れた。ディアンヌが向かう先は表向きは海賊で溢れかえっている無法地帯だが、その地下では裏社会の者たちによるオークションが行われていた。

 

「相変わらず面倒な所でオークションやってるよね」

 

「はい島自体は無法地帯なので、美人な私たちに発情した男どもが襲ってきますからね」

 

「自分のこと美人とか言っちゃってるよこの子」

 

 二人は穏やかに話しているが、何度も発情した男たちが襲って来ていた。しかしディアンヌの前にはチンピラたちも歯が立たなかった。襲って来る男どもをディアンヌは能力を使って土の檻で捕まえていた。

 

「やっとオークション会場に着いたけど何人襲ってきたかな?」

 

「えっと……23人ですね」

 

「まだいい方か」

 

 何度かこのオークションに来ていた2人だが、過去には50人もの男に襲われたことがあるので20人程度では動じなくなっていた。

 

「ようこそ!!皆さんはこちらが目当てで来たのでしょう!!!超人系(パラミシア)の中でも金持ち向けの悪魔の実その名は――!!!」

 

「まさかそんな実があるなんて……」

 

「そうこの実があれば私たちの戦力増加と資金調達が簡単になる一石二鳥な“悪魔の実”なんだよ。だからこの実だけは力ずくで奪いに行く必要があるんだよ」

 

 裏社会の金持ちたちが集まるオークションにディアンヌとステラは挑むのであった。

 

 

 ――ドレスローザ近海の小島

 

 ディアンヌがドレスローザを出発するころキャンドラーたちはドレスローザ近海の自然溢れる小島に居た。

 創造海賊団には数ヶ月の間に戦力を増強して下っ端が数百人入っていた。キャンドラーはその下っ端たちを連れてドレスローザ近海にある小島に来て居た。

 その島は希少な植物がある可能性があったので、ディアンヌの命令によってキャンドラーが派遣されたのだが、キャンドラーは植物にそこまで詳しくなかったので無駄足となってしまった。

 

「この島は自然が多いのに何故船長はレオグロウではなくおれを派遣したのだ」

 

「キャンドラーさん、向こう岸に小船が!!」

 

「小船だと?」

 

「はい!小船が1隻」

 

「“前半の海”ならまだしも新世界を小船で航海するバケモンが居んのかよ」

 

 新世界の海は他の海に比べて波は高く凶暴な生物達が生息しているのだ。そんな海を小船で渡るなど自殺行為に等しい。そんな航海をするのはよっぽどの馬鹿か、そんな航海を可能とするバケモノしかいないのだ。

 

「まあいい、海賊なら下に付けるか海軍に引き渡せばいい。もし難民だったら助ければいいだけだ」

 

「流石副船長だ!!」

 

「――っ!!?お前らおれの後ろに下がれ!!」

 

「……強い気配がすると思って来てみたら、おれと同じ立場の者か」

 

 キャンドラーの“見聞色”に引っかかった者はディアンヌと同レベルもしくはそれ以上の覇気を持つものだった。

 感知して数秒後に森から出てきたのは背中に巨大な剣を背負い、羽根のついている帽子を被った男。新世界の強者の中でも有数の剣豪“鷹の目”ジュラキュール・ミホークだった。

 

「“鷹の目”何の用だ!ここはおれらの縄張りだぞ!!」

 

「おれは流れ着いただけだ。……だが貴様のような強者とやるのもまた一興だ」

 

 そう言った鷹の目は背中に背負う黒刀『夜』を抜きキャンドラーと対峙した。

 

「おれ相手に背中のを抜いてくれるなんて光栄だぜ」

 

 そう言うキャンドラーの額には汗が滲んでいた。

 鷹の目は相手を強き者と認めない限り背中の『夜』を抜かないと有名なのだ。そんな鷹の目がキャンドラー相手に『夜』を抜いたことからキャンドラーを強き者と認めているのだろう。

 

 

 ――創造海賊団拠点

 

 ディアンヌたちが出発したころテゾーロは商人との会談を行うための準備を始めていた。

 

「船長も人使いが荒い。私だって忙しいのだ」

 

「仕方ないですよ。最重要任務があるとかで」

 

「それは分かっている。だが私が忙しいことには変わりないのだよ」

 

 そう言いながらも準備を進めるテゾーロは真面目だった。

 真面目なテゾーロは資産運用を中心とした仕事を請け負っていて、創造海賊団の資金の八割は彼の手で動かすことが出来た。しかし今日の会談ではお金を使うことを極力控えるようにとの命令がディアンヌから伝えられていた。

 

「はぁ……商人相手に金を使わずどう引き込めばいいんだか……」

 

「テゾーロさん程の手腕があれば簡単ですよ」

 

「買い被りすぎだ。私は船長に比べたら足元にも及ばん」

 

 そう言うテゾーロだったが、テゾーロのお金に関してのことは天才と呼べる程の才能を持っていた。そんなテゾーロの手腕があったからこそ創造海賊団はここまで大きくなれたのだ。

 

「まあ私なりに出来ることはやるさ」

 

「頑張って下さい!!」

 

 派手なスーツを着込んだテゾーロは商会の扉を開いた。そんな彼の前に居たのは白髪の初老と若いにも関わらず海賊相手に全く動じないで笑顔を崩さない女性の姿があった。

 

「創造海賊団とやらの船長は私と同じく女性と聞いていたが?」

 

「船長は急な予定が入ったので代理として私が参りました」

 

「私との会談より重要な予定とは、さぞかし重要なのだろうな……例えばそうだな……裏で行われるオークションとかな

 

「――何を仰っているか分かりませんね」

 

「君はまだ未熟な様だな。少し顔が引きつっているぞ」

 

 海賊テゾーロ相手に全く引かず、引くどころか押している彼女は元々小さな商会だった“リオネス商会”をたった半年でドレスローザの三番手の商会にまでにのし上げた手腕を持つ女傑だった。

 

「ふふ…冗談だ。これから会談なんだ楽にしてくれ」

 

 そんなことを言う女傑だったが、そんな彼女の目はテゾーロが少しでも気を抜いたら全てを持って行ってしまいそうな獣の目をしていた。

 

 ――今それぞれの戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 “創造海賊団”副船長でありディアンヌの右腕であるキャンドラーとディアンヌと同じ“王下七武海”であり若くして世界に名を轟かせる剣豪“鷹の目のミホーク”の戦いが今始まろうとしていた。

 

「おれは貴様を知っている。貴様は1世代前の……」

 

「おれのことは別にいいだろ。お前が背中のを抜いたってことは本気で来るんだろ“鷹の目”!!」

 

 キャンドラーはミホークに先手を取られるのは悪手と考えたのか先に殴り掛かった。武装色の覇気によって黒く染まった腕から放たれる相当な威力になる。

 しかし新世界にて剣豪として名を馳せるミホークの武装色はキャンドラーの遥か上をを行っていた。

 

「貴様はその程度の覇気なのか」

 

 ミホークが『夜』を一振した衝撃だけでキャンドラーのことを吹き飛ばした。そしてその斬撃はキャンドラーの武装色をいとも簡単に突破して腕を傷つけた。

 

「貴様のことを見て武者ぶるいしたが……期待外れか」

 

「逃げんのか!!」

 

「おれも七武海だ。これ以上続けたらおれは貴様を殺めてしまう。そうなればおれの立場も危うくなる筈だ。だからこれ以上の戦闘はどちらにとっても利は無い筈だ」

 

「……おれのことを殺すだと?お前には無理だろ若造が」

 

 まだ若いミホークの言葉にキレたキャンドラーは先程とは比べ物にならない程の覇気をその身から溢れ出した。

 

「それが貴様の本気か……面白い」

 

 キャンドラーから溢れ出る覇気にミホークは冷や汗を流したが、『夜』を強く握りその顔には笑みを浮かべていた。

 今度はミホークが先に動きその場で『夜』を振り下ろした。『夜』から放たれた飛ぶ斬撃は山をも簡単に割る程の威力を誇るがキャンドラーが拳を前に突き出すと消えてしまった。

 

「見事!」

 

「油断するなよ」

 

「油断などしていない」

 

 キャンドラーが“剃”で一気に距離を詰めて背後を取り殴りつけたが、ミホークには見えており『夜』で受け止められてしまった。更にミホークは受けた拳を吹き飛ばすと同時にキャンドラーの体を斬り裂いた。

 傷は致命傷にはならなかったもののその傷は深くこれ以上の戦闘は危険な程の出血をしてしまった。

 

「体の鈍りが見える……貴様が()()()()()を降りてから何をしていたか知らないが、今のままじゃ船長に迷惑をかけるぞ」

 

「ま…て」

 

「……」

 

 ミホークは声をかけるキャンドラーを無視して自身の船へと向かって森の中を進んで行った。

 その堂々とした背中にキャンドラーと調査しに来ていた下っ端たちは10数秒その場から動けずキャンドラーの治療が遅くなってしまった。そのミスによって下っ端たちの給与が減給されるのだが、今の彼らには知る余地がなかった。

 

 

 

 拠点から誰も居なくなったのを気に庭から侵入して盗み入ろうとする曲者がいたのだが、そいつらはもれなく庭にから生えている植物に絡め取られていた。

 正面突破しようとした曲者もいたのだがトンタッタ族の攻撃に歯が立たず紐で縛られていた。

 

「自分の奇術があれば大人間なんて弱いれす!!あっでも仲間たちは違うれす」

 

「流石“戦士長”れす」

 

「もう自分は戦士長じゃないれすよ」

 

「そうれしたっけ?でも私たちからすればいつまでも戦士長は戦士長れす!!」

 

 大人間が拠点に居ない今、拠点の守りはトンタッタ族“元戦士長”レオグロウと数人のトンタッタ族だけだった。

 しかしトンタッタ族は1人居るだけでもそこら辺のチンピラは退治出来るので数人居て、更に“元戦士長”が居るとなれば拠点の防衛を突破するのは不可能に近いだろう。

 

「誰も……居ないんじゃないのかよ。話が違う……じゃねぇか」

 

「誰の命令れすか」

 

「命令なんて受けてねえよ」

 

「あっそうなんれすね」

 

「信じるなよ!!!」

 

 捕まった盗人は最後の力を振り絞ってレオグロウにツッコンで気絶してしまった。

 

「あれ?気絶しちゃったれす……ああ眠ちゃっただけれすか」

 

 純粋なトンタッタ族は盗人がツッコミ魂に最後の気力を振り絞って気絶したことが理解出来ずに盗人は疲れて寝ているということで納得したのだった。

 

 




 タイトルの『夜』はミホークが持つ剣のことでした。
 やっぱりミホークは若い時から才能を見せていたと思うので若い時点で世界に名を轟かせる剣豪と表記させてもらいました。
 そして女性商人として出てきた彼女は次回かその次かにでも名前を出しますのでお願いします。

 評価と感想を良ければしていってくださいお待ちしております。

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