巨人の村の娘は人間   作:UMI0123

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女傑

 ――“リオネス商会”は半月前までは小さないち商会でしか無かったが、とある女傑が代表に就任した瞬間から変わったのだ。彼女が持つ経営術とカリスマ性で周りの小さな商会を傘下に加えて行き今ではドレスローザ三番手の商会まで成り上がったのだ。

 

「私が海賊相手に動じないのが不思議か?」

 

「――いえ、そんな事ありませんよ」

 

「それは私が強いからだよ」

 

 そう言った女傑はテゾーロの目の前から消えて、テゾーロの後ろへと移動していた。そんな彼女は自身の人差し指をテゾーロの首に突き付けていた。

 

「ね。私が君みたいな海賊に負けるわけないでしょ」

 

「(なんで商人が六式を使えるんだよ!)そうみたいですね。ですがこれは宣戦布告とも取れますが?」

 

「流石に七武海相手に喧嘩は売らないさ。だがこれだけは覚えておいてくれ……君んところのトップが何を考えているか知らないが、もしこのドレスローザでふざけた真似をするなら潰すと

 

「……今のところはそんな予定はないですね」

 

「今のところか……は〜ははは…面白いな君は。勝ち目のない相手に下手に出ることなく不利益になることは言わないか。そこだけは評価してやろう」

 

 女傑はテゾーロの行動に笑うと、テゾーロの行動を褒めたたえた。顔は笑っているものの瞳だけは冷たく光っていた。

 

「……ドレスローザの“女傑”として有名なマーリンさんに褒められて光栄ですね」

 

『リオネス商会代表“女傑マーリン”』

 

「そう褒めるな。私から見ても君の手腕は天才と呼べるものだ。だがまあ今は足りないがな」

 

「分かっております。ですが私たちは貴女ごときはただの踏み台としか思っていませんので」

 

「――っ!?私が踏み台ですか……もし本気で言ってるなら貴方たちをドレスローザから追い出します」

 

「出来るものならやってみて下さい」

 

 テゾーロからの宣戦布告ともとれる言葉にマーリンは青筋を立てていた。

 マーリンは今まで自分に逆らうものは存在せず、それどころかマーリンの圧倒的なカリスマ性に自ら下に着く者しか居なかったためテゾーロのような対応を取る者は初めてだった。

 

「アーサー!」

 

「お嬢、こちらからの武力行使は我々が裁かれてしまいます」

 

「構わないわ。隠蔽工作すればいい」

 

「……分かりました」

 

 マーリンの後ろで何の反応も見せていなかった初老の執事が動いた。執事はマーリンと同じように六式の一つである“剃”でテゾーロの後ろへと一瞬で移動した。

 しかしテゾーロは後ろにいるはずの執事を身体をひねりながら蹴り飛ばした。

 蹴り飛ばされた執事は壁へとぶつかり意識を失ってしまった。

 

「はぁ……お前は海賊を舐めすぎだぞ。最初はこちらからの交渉だったから下手に出てたが、少しふざけすぎだ」

 

「――さっきはどうして動かなかった」

 

「お前から殺気を感じなかったからな。それにあの距離まで近付かれても防げる自信があるからだな」

 

 テゾーロは足を組んで先程までとは真逆とも言える高圧的な態度を取っていた。

 高圧的な態度を取りながらも周囲への警戒は忘れないテゾーロは注意深い人物だった。

 

「ふぅ……私は穏便にことを済ませたいので、あまり反抗的な態度を取らないでください。そうすれば悪いようにはしませんので」

 

「どっちが君の素だろうか?」

 

「私の素は……おれの方ですね。まあ滅多に出すつもりはありませんけどね」

 

「そうか……まあそっちの方が人と会う時はいいな」

 

「……なぜ態度が変わらないのですか?」

 

 テゾーロの実力を見たら普通は萎縮してしまい下手に出るはずだがマーリンは下手に出ることはせず先程と変わらず上から目線だった。

 

「……君は何故私が“女傑”と呼ばれているか知っているか?」

 

「たった半月で周りの小規模商会を傘下にしていきドレスローザ三番手まで成り上がったその手腕を讃えてでは?」

 

「もちろんそれもあるが、一番は私自身の腕っ節だよ。先程も見せた通り私は“六式”をマスターしている。それに私は能力者だからな」

 

「能力者……だから女傑ですか。まあいいでしょう」

 

「そろそろ本題に入りましょうか」

 

 この会談は創造海賊団からリオネス商会へと求めた会談であり、その内容としてはドレスローザでのリオネス商会が持つ商権を売ってもらうことだった。

 今の創造海賊団はある程度の事業に手を広げているが、それはコリーダコロシアム近辺でしか出来ることしかなく、これからもドレスローザで勢力を広げていくとなるといつかは頭打ちが来るので、ドレスローザ1の成長株であるリオネス商会が持つ商権を買い取れば、リオネス商会の成長を止めて、創造海賊団の勢力拡大に繋がるのでディアンヌはリオネス商会を狙ったのだ。

 

「私たちの商権を買い取る……私が商権を売るとでも?」

 

「思っておりません。ですので私が来ました」

 

「それは武力行使も辞さないということですか?」

 

「そんなことは一言も言ってませんよ。ただ私のところは交渉が得意な人が少ないのでね」

 

「私としては武力行使の方が手っ取り早くていいと思うけどな。そちらが私に勝てないと思うならいいですけど」

 

「先程の動きを見ても萎縮せず武力行使を提案するってことは、相当な実力者なのでしょうね。私も海賊なので武力行使の方がいいと思ってたところです」

 

 言葉を終えたテゾーロはマーリンへと殴りかかった。殴りかかると言っても普通に正面から殴りかかった訳では無い。テゾーロは“剃”でマーリンの後ろへと移動して上から殴りつけた。

 

「流石だ。パンチが重い……だが“六式”に関してはまだまだだな!“指銃(シガン)”」

 

「指銃もかよ!」

 

 マーリンは六式の指を使った攻撃、“指銃”をテゾーロの体へと撃ち込んだ。テゾーロの体は常人を凌駕する耐久度を持っているが、マーリンの攻撃はテゾーロの筋肉を突き破っていた。

 

「“血子達(チルドレン)”!!」

 

「――なッ!?特殊な能力だな」

 

 テゾーロが見たのは、マーリンが自身の指先をナイフで切り裂くと地面へと血が落ちた。なんとその血が蠢き出し、やがて小さな人の形へと変化して行った。小さいと言ってもドレスローザに居るトンタッタ族よりは大きくて、マーリンの腰辺りまでの大きさのあるマーリンの分身体が4体マーリンの血から産み出されたのだ。

 

「私を楽しませてみろ。踊れ!」

 

「分身にしては速すぎだろ」

 

 マーリンの血から産み出された分身たちはスピード、パワーは本体に比べて劣るものの戦闘技術自体は同じなので、4体の分身から放たれる剃からの指銃の攻撃にテゾーロは守ることで精一杯だった。

 しかもこの分身たちを攻撃したとしても元は血なのでマーリン本体にダメージを与えることが出来なくてすぐに元に戻るため、分身4体からの連携攻撃から抜け出して本体にダメージを与えるか、マーリンの体力が限界を迎えるかをしない限り分身たちは消えないのだ。

 

「殺しはしないから安心しろ。……だから存分に血闘(けっとう)をしようじゃないか

 

(クソ……分身共の連携が突破出来ない。一体一体の攻撃は軽いが確実にダメージが蓄積してる……これは時間が過ぎるほど私の方が不利になるな)

 

 マーリンの血から産み出された4体の分身たちが放つ指銃は1回1回のダメージは少ないものだが、それが4体から何度も撃ち込まれれば結構なダメージが蓄積してしまっているのだ。

 

「……これはギャンブルに出るしかないか――“笑帝”!!

 

 テゾーロは残り少ない覇気を使いマーリンと自分の間に居る分身体を破壊してマーリンへの突破口を開いた。その行動に少しは驚いたマーリンだが、直ぐにテゾーロの攻撃に備えた。

 

「私は船長に拾って貰えたのだ!……だから失敗など許されない!!」

 

「そんなの私には関係ないな――“飛ぶ指銃・赫弾”

 

 残り少ない覇気を全て右腕に流したパンチは当たれば動物系(ゾオン)の能力者であるマーリンでも相当なダメージになる攻撃だったが、当たる前にマーリンが能力を使って強化した飛ぶ指銃によってテゾーロは気絶させられてしまった。

 

「その攻撃は少し危なかったな。……アーサー起きているのだろ」

 

「お気づきでしたか」

 

「当たり前でしょ貴方があの程度で気絶するわけないからな。その男を捕らえて、人質にするぞ」

 

 アーサーは一度も気絶しておらず、もしマーリンが危険な状態になったら動こうと静観していたのだ。

 アーサーはマーリンの命令に従いテゾーロのことを鎖で縛ろうとした。しかし何かを感じ取ってテゾーロから離れたのだ。

 

「あれ?避けられちゃった」

 

「……君がディアンヌか?」

 

「その通りだよ。私が創造海賊団“船長”のディアンヌだよ」

 

「オークションはどうしたんだ」

 

「……あれ?知ってたんだ。まあお目当てのものは手に入れることが出来たからね。急いで帰ってきたよ」

 

 

 

 ――少し時間は戻りオークション開始時刻

 

「本当にあの実を取れるんですか?私たちも昔では考えられない量の資金を用意して来ましたが、ここに来るのは裏社会の有名人たちや長い期間生き残ってきた海賊たちですよ?勝てるんですか?」

 

「普通は無理だね。でもそこの所は気にしないで大丈夫だよ。だって私は七武海だもの」

 

「早速始めて行きましょう!!まずは――」

 

 オークションが始まってから売られるのは武器だったり、奴隷だったりとお目当ての悪魔の実どころか悪魔の実は一つも売りに出されていなかった。

 

「悪魔の実は出ませんね」

 

「そうだね……もし出なかったら……私としては口実ができるからいいんだけどね」

 

「口実ですか?」

 

「そう口実」

 

 二人が話している間もオークションは進んでいるが、悪魔の実は一つも売り出されなかった。やはり悪魔の実は客引きのために用意されたもので売りに出されることはないのだろう。

 

「次の商品ラストとなります!!次は能力者の奴隷です!!」

 

 司会の言葉に会場がざわつき始めたが、司会が次に放った言葉に客たちは黙ることになるのだ。

 

「私がお前らが言う言葉を言った証拠はあるのか!!それにここは政府の役人どもに容認されてるんだぞ!!!手を出すつもりか!!!」

 

「やっぱり腐ってるな。……ステラ動くよ」

 

「了解です」

 

 ディアンヌは地面に手のひらを付けると能力を発動した。ディアンヌの力は大地を操る力なので司会がいる舞台から司会を捕まえる檻を創り出した。

 

「なっ!?これは能力者の仕業か!!?」

 

「そうだよ。私がやったんだよ」

 

「おいおいアイツは七武海の……」

 

「馬鹿だろ!政府に容認されてるのに七武海が手を出すなんて」

 

 ディアンヌはこのオークション来る時から目当ての悪魔の実が客引きに用意されて売りに出されないのではないかと疑っていた。そのためある作戦を事前に用意していたのだ。その作戦とは主催者を七武海の権限で捕らえて、その間にステラが悪魔の実を盗み出すという作戦だった。

 主催は政府に容認されていると反論していたが、ディアンヌは裏オークションが政府に容認されるわけないとの一点張りで海軍に関係者を渡したのだった。

 

「これですよね船長が求めていた悪魔の実は」

 

「そうそう。この悪魔の実だよ」

 

「いろいろ画策して手に入れましたが誰に食べさせるんですか?」

 

「……候補としてはキャンドラーか、テゾーロなんだけど……死なない武力を考えるとキャンドラーが良くて、資金の運用を考えるとテゾーロが良いんだよね」

 

 この悪魔の実はディアンヌが述べていたように金の成る実であり、今後創造海賊団が大きくなるためには重要な実だから失くす訳にはいかないので創造海賊団で二番目の実力者であるキャンドラーが候補に上がっているが、キャンドラーはその悪魔の実を使いこなせている絵が浮かばなくて、逆にテゾーロは絶対に悪魔の実を上手く使いこなせるのだが、実力はキャンドラーから数段下なのでディアンヌは悩んでいた。

 

「まあそれは後に考えればいいか」

 

「……あのテゾーロが心配なので早く帰りませんか?」

 

「悪魔の実は後でいいか……じゃあ急ぐよ」

 

 二人はやって来た海軍に地上にいるチンピラ共を任せて“剃”を使い船へと戻って行った。船を飛ばして戻って来た結果テゾーロが人質になる寸前で助けることに成功したのだった。

 

 

「ウチの者が気絶しているけど何があったのかな?」

 

「決闘することは承諾済みだ」

 

「うーん……証拠が無いよね。それにこの現場をこの国の人が見たらどうなるかな?」

 

「……この事態を想定でもしていたのか?」

 

「まあ貴女のことは調べさせてもらったからね」

 

「……はぁ、君は私より一枚上手だったみたいだな。君たちの要求はリオネス商会の商権だったか?」

 

「そんなこと言ったかな?私の要求はリオネス商会が私の傘下に付くことだよ」

 

「……こりゃあ一枚どころしゃ済まないな……これを国の奴に見られたらこの商会は終わってしまうからな。要求を飲むさ」

 

 ――こうして創造海賊団はマーリンとアーサーという実力者とドレスローザ三番手の商会が持つ全権利を手に入れたため、本格的に勢力拡大へと動き出すのだった。

 それに合わせて新世界の怪物共、そして見習いの頃に苦楽を共にした同期たちも動き始めるのだった。




 マーリンとアーサーとリオネス商会の名前は七つの大罪のキャラと国名から取りましたが、特に関連性はありませんので。
 マーリンの実力はテゾーロ以上キャンドラーより若干劣るくらいです。ですが能力者なのでキャンドラーにも勝てる可能性はあるかも?
 血を操る動物系はあれしかありませんけど今は名前を出さないで置きますね
 仲間のために帰るディアンヌは優しいですね

 評価と感想を良ければしていってくださいお待ちしております。
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