巨人の村の娘は人間   作:UMI0123

19 / 35
眠れる獅子

 ――ドレスローザを中心に勢力を拡大している創造海賊団だが、元々四強と呼ばれていたビッグマム海賊団、白ひげ海賊団、金獅子海賊団、ロジャー海賊団のうちビッグマム海賊団と白ひげ海賊団も縄張りを大きく広げていた。

 その理由としては金獅子が表舞台から姿を消したことだった。金獅子がインペルダウンから脱獄したことは海賊や一般人からしても恐怖する出来事だったが、金獅子は脱獄後にナワバリの島を捨て置いてどこかへ消えてしまったのだ。結果そのシマを取り込もうとビッグマムが動き、それを邪魔しようと白ひげも動いたのだ。二つの大海賊が小競り合いを起こしているうちに二つの海賊も動き出したのだ。それはワノ国を乗っ取った百獣海賊団と若くして王下七武海に所属する創造海賊団だった。

 

「金獅子の縄張りはある程度取れたけど、量ではカイドウのところに負けちゃったな」

 

「仕方ないだろ。おれたちは七武海だから入りたがる海賊が少ねェんだ。それに海賊団をやってきた年数も百獣の方が長ェんだ」

 

「七武海ねぇ〜……そろそろ潮時かな?」

 

「流石に早いんじゃないか?ドレスローザと海賊としての地盤は強固の物となったかもしれねェが……辞めたら即海軍は攻めてくるだろ」

 

「そうなんだよねぇ。私が七武海を辞めたら中将以上の海兵を送り込んでくるのは確実だろうし、因縁のあるアイツが来る可能性もあるからね……」

 

 現在の海軍は黒腕が現役を引退したことにより唯一の大将となったセンゴクだったが、そのセンゴクもとある事件を切っ掛けに昇格した。センゴクが昇格したことにより大将の席が空白となったが、その事件の関係者だった中将が大将の席に座ることになったのだが、そのうちの一名がディアンヌとの因縁を持っているのだ。

 

「クザンか……それと同レベルの“自然系(ロギア)”が二人も居る。やっぱりまだ早いと思うぞ」

 

「そうだね。抜けるとしたら例えば……大きな戦いでもあったら抜ければいいっか」

 

「七武海はそのままでいいとして、これからどうするんだ?この国で出来ることはあまりないだろ……あるとすれば国家の乗っ取りくらいか?」

 

 ドレスローザは天竜人となったドンキホーテ家からリク王家へと譲り渡された国である。

 そんなリク王家は国民を思う気持ちと戦争を好まないことで国民から信頼されていたが、今では創造海賊団の方が国民に信頼されているだろう。

 しかし性格は国民に好かれているが彼が持つ力ではドレスローザを豊かな国にすることは叶わなかっただろう。そこへ現れた救世主とも呼べる創造海賊団はドレスローザを一気に発展させた。その実績により国民からの信頼を得て、彼女らを王へと考える国民も少なくないのだ。

 

「キャンドラーは国乗っ取っちゃってもいいの?」

 

「おれはこの国が強く豊かになりゃあいいだけだ……それに今の王には何の思い入れもないからな」

 

「まあ気分しだいかな?特にあの王族がムカつくとか気に触るとかはないから潰すつもりは無いけど……乗っ取りは考えておくよ」

 

 ディアンヌの気分次第で潰すされると知ったらリク王家はどんな気持ちだろうか……王族だろうと容易く潰せる力を持つのがディアンヌ達創造海賊団なのだ。

 そんな力を持つディアンヌ達でも気合いを入れて相手をしなければいけない相手が居るのだ。

 

「団長!!」

 

「ノックぐらいしろ!」

 

「別に気にしなくていいよ。で、どうしたのかな?」

 

「ドレスローザ上空にき……“金獅子”の船が!!!

 

 自分が尊敬するロジャーと同じ時代を生きながらもロジャーの死に様を見ることが叶わなかった大海賊“金獅子”のシキがドレスローザ上空に現れたのだ。

 彼が持つ能力のフワフワの実により船を浮かしてドレスローザへと訪れたのだ。

 船が一隻しかないことから金獅子はドレスローザを攻めに来た訳では無いとディアンヌは考えているが、金獅子一人居ればドレスローザを滅亡へと追い込むことは不可能ではないのでディアンヌは見聞色の覇気を最大限まで発動させていた。

 

 

 

「インペルダウンを脱獄してから表舞台から姿を消していた筈の金獅子がなんの用かな?」

 

「ジハハハおまえがロジャーの所に居たのは知ってるぞ!そんな野郎が世界政府の犬になってるのが許せねェんだよ!!」

 

「なに?それだけを言いに来たの?」

 

「いいや、おれはお前の実力を分かっているぞ。おれの下につけ」

 

「嫌だって言ったら?」

 

「そん時は潰すまでだ」

 

 シキの言葉を最後に二人から言葉が放たれることはなかった。放たれたのは弱者は気絶へと追い込まれてしまう程の圧を持つ覇気だった。

 二人の覇気はドレスローザ内まで届き、国民たちの一部は気絶してしまい……そして副団長はいち早く覇気に気付き、その場所へと急いだ。

 

「お前も器だとは……器を持つ者がァ!!政府の犬になるなどロジャーを侮辱してやがる!!!」

 

「私が船長を侮辱してるだって?決めつけはやめて欲しいよ。私は船長を尊敬してるし……船長を侮辱してるのはアンタの方じゃん金獅子!!」

 

「なんだと?」

 

「船長に勝ち逃げされて……マリンフォードへ攻め込んだはいいもののセンゴク、ガープに敗北して……脱獄したと思ったら表舞台から消えるなんて……それでもロジャー船長と同じ時代を生きた大海賊かよ!!!」

 

 ディアンヌの言葉はシキにロジャーや白ひげと争いながら勢力を拡大していた昔を思い出させた。

 ロジャー亡き今、白ひげは海賊らしい動きを見せずナワバリを守りながら船旅を続けているような海賊になってしまった。そんな自分と対等な実力を持つ海賊が居なくなった海に金獅子は興味が無くなってしまったのだろう。

 しかしディアンヌの言葉がシキの金獅子海賊団の提督だった頃の海賊としての熱量が再燃したのだ。

 

「言ってくれるじゃねェか小娘!!だがおめェみたいな海賊がまだいてくれて嬉しいぜ!!!」

 

「私はアンタの下につくつもりはないけど潰すのかな?」

 

「力でねじ伏せてやるよ!!――獅子威し“地巻き”!!

 

 シキが能力を発動した瞬間にドレスローザ町外れの大地が巨大な複数の獅子と化したのだ。その獅子はディアンヌを飲み込もうと動き出した。

 

「シキの能力は強いかもだけど……僕とは相性が悪いね!!」

 

 ディアンヌの能力は大地に愛された特殊な巨人なのだ。大地に愛された彼女の力はシキのフワフワの実の力に勝る影響力を持ち、シキによって生み出された獅子は大地へ還った。

 

「――ッ!こりゃあ分が悪りィな。今日のところは帰らせてもらうぜ」

 

「帰すと思う?」

 

「おれは海賊だァ!無理矢理にでも帰る」

 

 シキは能力を使って浮きながらディアンヌのことを殴り飛ばした。意表を突かれたディアンヌはノーガードで殴り飛ばされてしまった。その隙にシキは自身の船を飛ばし逃げ帰って行った。

 逃げ帰ると言ってもシキには負けたつもりはなく、それどころか投獄以前のような獰猛な笑みを浮かべていた。

 

 

「大丈夫かディアンヌ!」

 

「私は大丈夫だけど……()()()()()”を起こしちゃったかもしれない

 

「眠れる獅子だと?」

 

 インペルダウン投獄以前のような金獅子に戻ったのなら長い時間を掛けて練ろうとしていた計画は捨てて海の皇帝として返り咲くだろう。

 もしそうなったら元々金獅子のナワバリだった島たちは金獅子海賊団に奪い返されるだろう。しかしディアンヌは不安そうな顔どころか、どこか嬉しそうな顔をしていた。

 

「そう!シキの奥に眠っていた尊敬できる大海賊としての血を起こしちゃったよ」

 

「なんで嬉しそうなんだ」

 

「そりゃあ嬉しいよ。シキは海の支配者になりたいらしいんだよ?支配者になるんだったら世界政府主導のこの世界は邪魔だよね。だから彼は政府を潰す筈……そうなったら私とは同志だよね」

 

「そうだったなディアンヌの夢は天竜人と世界政府を引きずり下ろすだったな」

 

 二人はシキの襲来によって荒れた大地を直してからドレスローザにある創造海賊団の本拠地へと帰って行った。

 

 

 

 

 ――創造海賊団本拠地“トンハット”

 

 コリーダコロシアムのすぐ近くにある創造海賊団によって買い取られた建物はトンハットと名付けられ創造海賊団の本拠地となった。その場所近辺は商業区として発展し、トンハットはドレスローザの経済の中心へとなったのだ。

 

「大丈夫でしたか?」

 

「別に気にしなくてもいいくらいの事だったよ」

 

「そうでしたか」

 

「ねぇステラ。テゾーロの方の計画は順調かな?」

 

「私も一ヶ月に一度くらいしか会ってないので、詳しいことは分かりませんが、()()()の収益があまり良くないそうです。テゾーロ本人が勝負した場合は絶対に勝てるそうですが、それ以外は負けが多いそうです」

 

「まあ仕方ないか、テゾーロの部下達はただの海賊なわけでカジノは遊びでしかやったことの無いような人達だからね」

 

 テゾーロはマーリンと共に集めた莫大な資産を使って巨大な船を造り、世界最大のエンターテインメントシティを創り出した。しかしその運営はいいものとは言えず……。多少の黒字というのが現状だった。

 

「うーん……まあ黒字なだけで良しとするかな」

 

「その代わりと言っては難ですが、マーリンさんの商会は順調に売り上げを上げてますよ」

 

「あれ?さん付けだったかな?」

 

「あー、これは臨時秘書だった頃の名残りですね。今でもさん付けが染み付いてしまってます」

 

 ディアンヌがワノ国で二年の月日を過ごしている間にステラは“女傑”マーリンの手によって優秀な秘書へと強制的に変貌させられていたことをディアンヌへと説明した。

 しかし自分が一番に仕えている筈のディアンヌの前では最低限の仕事しかせず、それ以外は面倒だからとやらないのは変わっていなかった。

 

「そんな事があったのに私相手には仕事をちゃんとしないんだ……」

 

「いえ、最低限のことはやってますよ。残業、過重労働反対です」

 

「はぁ、まあいいや。レオちゃんはどんなことしてる?」

 

「レオちゃんですか?……彼は色んな種類の植物を研究しながら成長させてますよ」

 

 レオグロウは植物のことだけではなく環境全体を管理する環境師団の師団長なのだが、植物以外の物は師団員に任せて植物のことだけに没頭していたのだ。

 その原因は創造海賊団によってもたらされたドレスローザには存在しなかった海外の植物だった。今までは特定の植物しか育てることが出来なかったため、海外からもたらされた植物たちはレオグロウからしたら新鮮なものばかりで楽しいのだ。

 

「面白い植物はあったかな?」

 

「そうですね……団長が持ってきた食人植物がありましたよね」

 

「そうだね」

 

 ディアンヌが持ってきたのはボーイン列島に群生していた食人植物だった。これらは人を喰らう植物だ。しかし強度がそこまで無いので一定以上の強者には簡単に破られてしまう。

 

「その植物をあの島で育ててみた結果……鉄よりも硬い食人植物が産まれました」

 

「へぇ〜鉄より硬いのが産まれたんだ……ならその種子を繁殖させてレオちゃんに言っといて」

 

「分かりました」

 

 ステラはその場から去って行った。部屋に残ったディアンヌは創造海賊団の兵の推移を調べていた。

 かなり増えていた兵だったが、金獅子海賊団のナワバリ侵攻の際に百獣海賊団との小競り合いが起きてかなりの数の兵が死んでしまったのだ。

 

「団長入るぞ」

 

「どうぞ」

 

「上納金だ」

 

「やっぱりマーリンのところだけだよ。テゾーロは黒字だけど少しだけだし、レオちゃんは研究だから消費だけだからなぁ」

 

「少なくてすいません。ですが私の事業はカジノなんで安定はしてないんですよ」

 

 ディアンヌとマーリンが話しているところにテゾーロも上納金を持って入ってきた。その中身はマーリンに比べたら少ない。

 上納金は全て纏められてその半分を(きん)へと換金される。その金はテゾーロが運営するカジノの最上階にて保管され、創造海賊団の資産となる。もう半分はディアンヌが直接所持することになる。

 

「まあそこそこ集まったから……頼んだよマーリン

 

「とりあえずアガリの話はこれで終わりだから……お酒でも飲む?」

 

「わ、私は辞めておきます」

 

「え〜、マーリンはどう?」

 

「――っ!?私も辞めておこう」

 

 テゾーロはマーリンの酒癖の悪さを知っているため辞退した。しかしマーリンが入ってからディアンヌがお酒を飲んだことは一度もなかった。それなのにマーリンが辞退した理由は彼女の見聞色の覇気によって見た未来だった。

 二人が辞退したことでつまらないと思ったディアンヌはお酒を地下へと戻した。




 金獅子はこれから新世界の海へと戻り勢力拡大へと動き出します。それにより四皇は白ひげ、ビッグマム、金獅子、あと一枠を若い海賊が取り合います。
 金獅子の大地を操って獅子にする技はディアンヌ相手には不意打ちでないと効きません。雪を操る獅子威し“御所地巻き”は解除出来ません。

 評価と感想をしていただけると嬉しいです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。