巨人の村の娘は人間   作:UMI0123

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朝日

 日が沈むことにより真の力を発揮したマーリン相手にクイーンは苦戦しながらも古代種の驚異的な持久力によって戦い続けていた。

 ――夜明けまであと1時間。

 

「ゼー……ゼー……“ブラック光火”!!」

 

「何度も言わせるな。同じ攻撃が通用すると思うな!」

 

「……その体制で避けられるか!!」

 

 クイーンの口から放たれる光線はマーリンの覇気を突き破る力があるので大きく避けてしまった。

 これまでに“ブラック光火”を三回撃ってきたクイーンはマーリンが大きく避けていることに気付いていたのだ。その隙を狙われて疫災弾を撃ち込まれてしまった。

 

「……これは毒か」

 

「ただの毒じゃねェ!!……それはおれの最高傑作の……“疫災弾”だ!!!それに含まれる病原体はおれ様が……創り出した独自の病原体だ!!……病気の恐ろしさは分かるだろ!!!かの有名なロジャーだろうと病気で弱くなった!!!」

 

 マーリンがくらった病原体はクイーンが自作した病原体なのでクイーンから抗体を奪い取らない限りどんなものでも死へと追い込まれる死の弾丸だった。

 

 ――マーリン以外がくらった場合だが……。

 

「病気か……私の能力を知らないようだな。私は()()()()()()

 

「――っ!!?これは……おれは疫災のクイーンだ!!てめェみてェな女には負けねェ!!!」

 

 

『百獣海賊団幹部“疫災のクイーン”懸賞金4億2000万ベリ』

 

「今どき男女差別とは酷いものだ」

 

 

 

 ――マーリンがクイーンと戦闘を行っているのと同時刻のドレスローザでは……。

 

「マーリンは厄介払い出来たから……これで出掛けられるね」

 

 彼女が読んでいる新聞にはとある事件が書かれていた。『聖地マリージョアからの逃亡!!?とある魚人の奴隷が聖地マリージョアから母国へと帰還』

 聖地マリージョアからの逃亡という一大事件を政府が流出させるはずがない。そのためディアンヌは世界経済新聞社に定期的に少なくないお金を払い情報を買い取っていた。一人にしか渡さない情報を新聞にしているのは世界経済新聞社のプライドによるものだろう。

 

「マリージョアから脱獄するなんて凄いことするなぁ……どんな人なんだろう……目指すは魚人島だね」

 

「何が『目指すは魚人島だね』ですか。私の仕事を増やさないでくれませんか?」

 

「げっ!?ステラには計画のメインを押し付けていた筈なのに……」

 

 ディアンヌの仕込みは完璧だったはずだ。キャンドラーに()()()()の調査をお願いしたのも、マーリンを百獣海賊団との戦闘が必ず起こる場所へと向かわせたのも……1番厄介だったステラをとある計画の一部に組み込むことでディアンヌから離れるように仕向けたのも、全ては仕事をほっぽり出して魚人島に行くためだった。

 

「あの計画は長期的にみた計画なので一度帰って来てただけです」

 

「ただ運が悪かっただけか……仕方ないね。堂々と行かせてもらうよ!!」

 

 ディアンヌがステラへと命令した内容とはドレスローザの完全掌握に必要なことなので進めた内容を書類へとまとめようとステラは帰ってきてたのだ。

 ディアンヌはステラとの基礎的な速度の差を使ってステラから逃げようとした。しかし初速はそこまで差が無かったので簡単に捕まってしまった。

 ステラは逃がさまいとディアンヌのことを羽交い締めにして拘束した。逃げようと思えば逃げられるが、無理に振りほどくとステラに怪我をさせてしまうので無理やり逃げることは出来なかった。

 

「私たち創造海賊団は王下七武海という地位にあるんです!!その船の団長が白ひげのナワバリになんか行ったら戦争になります。そんな面倒くさいことにしないでください。私の仕事が増えます」

 

「あー、やっぱり自分の仕事が増えるのが嫌なだけなのね」

 

「当たり前です。私は必要最低限の仕事をやって生きていきたいんです。……ただでさえ面倒な計画に組み込まれているんですから」

 

「でもあの仕事はステラしか出来ないでしょ?」

 

「……全く表舞台に立たないのは私しか居ないですけど……私はテゾーロと一緒に仕事がしたいので」

 

 ステラはディアンヌに買い取られたので恩は感じていて、今のテゾーロが率いる財務師団はまだ不安定な状況にあるためテゾーロと仕事は出来ていなかった。

 しかし本音を言うとテゾーロと共に仕事がしたいのだ。根が面倒くさがりなステラがディアンヌの秘書という忙しい役職に着いているのはテゾーロと対等な存在でありたいという想いからだった。

 

「テゾーロも言ってたでしょ。『ステラが居ると集中が出来ないから安定してから来てくれ』って言ってたでしょ」

 

「…………話をすり替えて行こうとしていませんか?テゾーロの話をしても私は離しませんよ」

 

「チッ……そんなことしてないよォ〜〜♪だから離してね!」

 

「可愛くしても無駄です。それに小紫ちゃんはどうするんですか!あの子は団長にしか懐いてないんですから」

 

 ディアンヌがワノ国から連れてきた小紫は未だにディアンヌにしか心を開いていなくて、もしディアンヌがドレスローザから居なくなってしまえば小紫は一人寂しい思いをしてしまうのだ。

 

「……それもそうだね」

 

 ディアンヌは家族を失った後にロジャー海賊団の皆が居たことによって寂しい思いをしていなかったが、日和が今頼れるのはディアンヌしか居ないのだ。そんな日和をディアンヌが置いていけるはずがなかった。

 

 

 

 夜明けまで1時間を切ったマーリンは少しながら焦っていた。夜が明けてしまうとマーリンは弱体化してしまいこれまでの疲れが一気に襲ってくるだろう。

 マーリンは後のことを考えずに全力でクイーンのことを潰そうとしていた。

 

「この病原体に汚染された血液を飲ませてやる」

 

「おれが創り出したんだ。抗体くらい持っているさ!!ムハハハ!!!」

 

 マーリンの手にあるのは自身に感染していた病原体を血液を通して全身に巡る前に感染した血液を体の外へと出した。

 その血液の血液の球をクイーンへと投げ付けた。クイーンは病原体の抗体を持っているので避けようとしなかった。もし避けてしまうとマーリンに大きい隙を晒してしまうからだ。

 マーリンはクイーンが避けないことを分かっていた。そのためマーリンの仕込みは完璧に発動したのだ。投げ付けた血液の球はクイーンの口へと入り込んだ瞬間に棘の生えた球体へと変化して行った。棘の球体はクイーンの体の中から切り裂きながら降りて行き、やがて胃を傷だらけにして胃酸で能力が解除された。

 

「いくら古代の動物だろうと中は脆いだろ。外が固いなら中を攻めるのは戦闘において普通だ」

 

「ゼー……ゼー……体内に傷が付いた程度でおれを倒せると思うなよ。おれはカイドウさんを守る災害だぞ!!!」

 

「お前が災害か……その程度で災害なら私はなんだ?厄災かなんかか?」

 

 二人が話している間も夜明けが刻一刻と近付いてきている。これはクイーンの作戦なのだが、マーリンは分かっていながらも話をしていた。それは何か理由があるのだろう。

 先に動いたのはマーリンだった。あと数分のところまで夜明けが迫っているのだ。マーリンから動かざるを得なかったのだろう。

 

「そろそろタイムリミットだ。私もそろそろ帰らなければいけないからな。刺傘(さかさ)

 

「帰れると思ってんのか?無理に決まってんだろ!!!無頼男爆弾(ブラキオボムバ)”!!!

 

 マーリンは夜になることによって高まっている覇気を傘だけに流すことで鉄をいとも簡単に貫く武器へと変化した。

 それを全体重を乗せた頭突きをしてくるクイーンの頭へとぶつけた。二人の強力な武装色のぶつかり合いは周りへ衝撃波となって彼女らの仲間たちへと降りかかった。

 そして武装色勝負で勝ったのはマーリンだった。武装色を流していたので頭蓋骨を突き破られることはなかったが、クイーンは海へと向かって吹き飛ばされてしまった。クイーンが受けたダメージは相当なもので気絶してしまった。それを見たクイーンの部下たちはクイーンの回収へと向かった。

 これにてマーリンは百獣海賊団の撃退の仕事を完遂した。

 

「マーリン様、追いますか?」

 

「辞めておけ。君たちだけで百獣海賊団の下っ端は倒せない」

 

「マーリン様が居れば勝てるんじゃないですか?」

 

「私も限界なんだ眠らせてく……」

 

 マーリンはそう言って気絶するように眠ってしまった。マーリンが眠ると同時に朝日が昇っていた。マーリンは夜明けが来たことにより今までの疲れが一気に襲ってきたことによって眠ってしまった。

 これはマーリンが食べた悪魔の実の弱点である。日が落ちることによって大幅に強化される代わりに夜が明けるとそれまで戦ってきた分の疲れが襲ってくるのだ。

 

 

 

 とある島ではキャンドラーが密かに調査へと来ていた。その場所は自然が生い茂っているのだが、島の中央付近にはその場には似つかない建物が建っていた。

 そこはとある組織のマークが付いていることから、その組織に組みした者たちが使っている建物だろう。

 

「こんな島あったんだな……新世界に入ったら直接ドレスローザへと向かったから知らなかったが……そして何故ここにいるんだ()()()

 

「あらら〜……めんどい相手が来ちまった。だがここは政府管轄の島だ。……お前がここから先に入ってきたら七武海から除名される」

 

「そんなことを言っていいのか?今ではおれ達も四皇に迫る実力を持つぞ。そんなおれ達を七武海という枷から外してもいいのか?」

 

「お前らはいつか裏切るだろうに……」

 

 チャンドラーと対峙するのは海軍大将となった青キジことクザンだった。クザンは軽い言葉を放っているが冷や汗を流していた。目の前に立つキャンドラーは前にあった時とは比べ物にならないほどの覇気を感じられていたからだ。

 

「そりゃあ、自由に生きるってもんが海賊だ」

 

「……で、入ってくんのか?」

 

「ここまで来て何も調べない訳にはいかないからな」

 

「……楽出来ない相手は面倒だな。“アイス(ブロック)両棘矛(パルチザン)

 

 クザンが作り出したのは氷で出来た五つの矛だった。氷の矛をキャンドラーへと飛ばした。その矛は昔のキャンドラーの武装色と同レベルの硬度を持っていた。

 しかし昔のキャンドラーと同レベルなので今のキャンドラー相手には一切通じなかった。キャンドラーの武装色を流した拳が“両棘矛”をいとも簡単に砕いた。

 

「……随分と成長したな……めんどくせぇ相手だ」

 

「それはお互い様だと思うがな」

 

 そう言ってキャンドラーが取り出したのは黒く染っている三節棍(さんせつこん)だった。

 三節棍とは三つの棒を鎖で繋いだ武器だ。キャンドラーは三節棍の扱いがとても得意で、彼が持つ武装色の覇気を流すことで刀などの武器では届かないリーチからの攻撃で自然系(ロギア)だろうとダメージを与えることが可能となっている。

 

「三節棍か……珍しい武器を持ってんな」

 

自然系(ロギア)持ちには言われたくねェよ」

 

 キャンドラーは遠距離の攻撃手段を持っていないのでクザンへと走り出した。

 クザンは近距離戦をするとなると本気でやらなければキャンドラーには勝てないと分かっているので、今までのクザンからは一切感じられなかった武装色の覇気を流し出した。

 クザンが発した覇気を感じ取ったキャンドラーは早期に決着を付けようと更に速度を上げた。

 

「そんだけの覇気を持ってるなら自然系(ロギア)は要らねェだろ!!」

 

「おれは『ダラけきった正義』がモットーなんでね、覇気持ち以外の相手には防御が必要ねェ自然系(ロギア)は必要だぜ」

 

 キャンドラーが昔会った時のクザンは『燃え上がる正義』を掲げていたはずなので、キャンドラーは少し疑問に思っていた。しかしとある事件にクザンが関与していたことを思い出すと直ぐにキャンドラーは納得した。

 

「そりゃあクソみてェな()()()()()()()があったからか?」

 

「――なぜお前が知っている!?」

 

「知りてェか?おれ達が……だからだ」

 

 キャンドラーがある事実をクザンへと話すとクザンは少し安心したような顔をして戦うことを辞めて、施設の所へと帰っていった。

 

「いいのか?入っちまうぞ?」

 

「……おれは何も見てねェ。ただ寝てただけだ」

 

 クザンはアイマスクをして近くの木に腰掛けて眠りについた。キャンドラーは罠じゃないことが分かると中へと入っていった。

 




 マーリンVSクイーンの戦闘はもし最後の攻撃でクイーンが気絶していたらマーリンは負けていました。バンパイアの昼夜の設定はこの作品オリジナルなのでご了承ください。

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