巨人の村の娘は人間   作:UMI0123

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鬼に竹竿

 ――創造海賊団の幹部を決める六傑杯は予選から大盛り上がりであった。しかし大どんでん返しが第一試合で起こってしまったためそれ以降の試合は予選最終試合を残してあまり見所のない試合になってしまった。

 しかし最終試合では海賊船の船長だった者や短い期間で海軍将校まで登り詰めた軍人上がりの者だったりと強者が多く揃っていた。

 

『予選最終試合開始!!!』

 

 最初に動きを見せたのは軍人上がりの男だ。その男は自身の異名に相応しい武器に覇気を流し振り回す――しかしそんな単純なことだとしても、強い武装色の覇気を持つものが行ったとなれば弱い戦士達は場外まで吹き飛ばされた。

 ある程度リーチを持つ武器を振り回しているので、遠距離では勝ち目がないと思った戦士達は距離を詰めて攻撃を仕掛けた。

 しかし彼は体術も一流だった。全方位から迫ってくる戦士達を受け流しつつ、隙を見せたものから場外へと蹴り飛ばした。それでも手加減はしているようで、武装色の覇気を流してはいなかった。

 

「下っ端どもの質はだいぶ低いようだ。組織の上位陣が居なければ王下七武海の名に相応しくないな」

 

「酷い言い草だなァ!でもその上位陣に勝てねェからてめェもここに居るんだろ」

 

「……」

 

 因縁を付けてくる男を無視して元海兵の男は生き残っているある程度強い者たちに意識を向けた。

 男にとって無視されたのは屈辱的なことだったようで怒りに任せて襲いかかった。ただでさえ技術で劣っている者が怒りに任せて襲いかかったら勝てるだろうか――否である。

 

「一流はどんな時でも冷静さを保つぞ」

 

 元海兵の男は後ろから襲いかかって来た男の脇腹へとその手に持つ武器を叩き込んだ。彼の放った攻撃によって砕かれた骨は大きな音を響かせた。

 その音は生々しく他の戦士達を萎縮させてしまった。しかしそこで一切恐れず彼の前に立つ者が居た。

 それは新世界で一船長として海賊たちをまとめ上げていた元海賊船船長だった。

 

「ケツから言って……死ね!!」

 

「断る」

 

 武器を持たない元船長は自身の拳に覇気を流して殴りかかった。彼女が持つ覇気は元海兵の男に近いレベルまで極まっているので二人の勝負は彼らの戦闘技術で勝っている方に軍配は上がるだろう。

 彼女は武器を持つ男にはリーチでは勝てないので一気に懐へと潜り込もうとした。

 

「さっきのを見ていなかったのか?おれは体術も一流だ」

 

「ケツから言って……私は勝つ!!」

 

『ふむ……私はお前より体術が優れているからお前に私は勝つって事か』

 

『解説ありがとねモンピート』

 

 元船長……デルエリの言葉をディアンヌに伸びた髭を触りながら説明したのはデルエリ海賊団元副船長のモンピートだった。

 そんな彼は第二試合の勝者である。六傑の席が確約されている彼は幹部以外入室が許されていない実況室に入室が許されていた。

 

『でもデルエリの喋り方って変だよね』

 

『あいつは昔からあの喋り方だ。……きっと頭が残念なんだろ』

 

『まあアホの子ぽいもんね』

 

「聞こえてんぞ!!モンピート!!!」

 

 デルエリは元海兵の男を翻弄するスピードで拳を打ち込んでいた。そのスピードに防御しか出来ない元海兵の男だったが、デルエリが実況に反応したことで隙が生まれた。

 その隙を元海兵だった男が見逃すはずがなく若干遅くなった拳を紙一重で避けるとデルエリの腹へと蹴りを入れ込んだ。デルエリはギリギリの所で覇気を流して防御したのでダメージはあまり受けなかったが、場外ギリギリまで吹き飛ばされた。

 

『やっぱりアホの子だったね』

 

『実力はあるんですが……まあ私が一応頭脳担当なんでアイツに頭を期待しちゃダメだろうね』

 

 

 二人がデルエリがアホの子という事実を改めて確認している頃、コリーダコロシアムから一番遠い港ではとある人物が不法入国していた。

 しかしコリーダコロシアムに居る団長とテゾーロ以外の幹部だけでドレスローザ全土を監視するのは不可能に近いので気付かれていなかった。

 

「……マジで誰も居ないな」

 

「お前の目は節穴か?」

 

「お前はこっち側だろ。流石に因縁がない相手には将星は出してこないか」

 

「おれがこんなルーキー海賊団に負けると思われてるなら心外だな」

 

 ザイスが不法入国した港には先客が居た。その男はカラフルな服に全身を包んで、キャンディーのステッキを持っていた。

 その男はビッグマム海賊団の長兄でありながら将星ではない無冠の実力者シャーロット・ペロスペローだ。

 

「それとおれは……いやビッグマム海賊団は金獅子の野郎とは組むつもりはない。ペロリン♪」

 

「おれたちだってビッグマム海賊団とは組むつもりは端からねェよ。ただここは敵地のド真ん中だ。敵の敵は味方ってことで不干渉で行こうって話だ」

 

「それはおれも賛成だ」

 

 ペロスペローは地下にある港から地上へ向かって歩き出した。ザイスはペロスペローが出た出口とは逆の出口へと向かって出ていった。彼が歩いた後には少し()()()()()()()

 

「……舐めてっと足元掬われるぞ」

 

 その一言は静寂に包まれた港に消えていった。

 

 

 ――コリーダコロシアム

 

「だいぶ押されてるね」

 

「デルエリも頑張ってはいますが……まあ相手の方が上手でしたがね」

 

「思ってたんだけどさ。何でモンピートの方が強いのにデルエリが船長なの?」

 

「私は彼女を支えるのが生きがいみたいなもんで……それに船長なんて柄じゃないんです」

 

 実況室ではディアンヌとモンピートは談笑していた。それは目の前で行われているデルエリ対ヴェルゴの試合だった。

 素の力はデルエリが勝っているため実況に反応した際に食らったダメージ以外は特に大きなダメージを受けていない。しかしそれでもヴェルゴは冷静さを欠いていなかった。それは元軍人としていくつもの死線を超えてきたからなのか……それとも……。

 

「海賊ってのは誰かしらに恨まれているもんだろ?」

 

「何言ってやがるんだ!!――ッ!?」

 

 ヴェルゴのその言葉を合図にステージに残っていた戦士達がデルエリに向かって走り出した。最初のうちは捌けていたが、ヴェルゴとは違い武器を持っていないので数名に懐へと潜られてしまった。懐へと潜り込んできた者たちはデルエリの動きを止めるため四肢を固定した。

 

「お前らどういうつもりだ!!」

 

「おれたちはお前のデルエリ海賊団に潰されたんだよ!!」

 

「お前らそれでも男か!!」

 

「海賊に卑怯とかないだろ?勝者だけが正義だ」

 

 デルエリが完全に動きを止めたのを見るとヴェルゴは竹竿に覇気を込めてデルエリのことを吹き飛ばした。自分のことを捕まえて離さなかった男たちごと吹き飛ばされたデルエリは空中で身動きが取れずに場外へと落ちてしまった。

 ――こうして最初と最後だけ盛り上がった予選は五名の実力者たちを他の勢力へと轟かせることとなった。

 

『勝者ヴェルゴ!!!』

 

「……何故ヴェルゴは海軍を辞め、ここに入ったんだ……あいつは仲間や部下からの信頼は厚かったはずなのだが……」

 

「センゴクさん。それはヴェルゴとか言う海兵が政府の闇を見たから……もしくは」

 

「闇を見たのは有り得るが、後者の方は奴に限ってないだろう。奴の評判は良かったはずだ」

 

「まあ今となっちゃおれたちには関係ないですけど」

 

 コリーダコロシアムの観客達に紛れ込んでいたのは海軍の中でも上位の者たちであった。

 彼ら程の者が七武海の幹部を決める大会に来ていたのは、創造海賊団が七武海の中でも異端な勢力だったからだ。それは鷹の目にも言えるが、どちらともに海の皇帝と呼ばれる四皇に迫る実力者なのだ。そんな彼女の船が幹部を決める大会を開くともなると世界の均衡が崩れる可能性があるため海軍の中でも実力者である“元帥”センゴクと一度ディアンヌと戦ったことのある“大将”クザンが派遣されたのだ。

 

「ただでさえ革命軍とか吹聴する組織が世界政府加盟国でクーデターを起こして忙しい時期なのに……何故今やるんだ」

 

「そっちの方はたまたまでしょう。革命軍の情報はセンゴクさんと大将、そして一部の中将とゼファー先生だけなんですから」

 

「ああ分かっておる。だが四皇の方は示し合わせたかのように動きが無くなっている。……それは創造海賊団と組んだのか……または創造海賊団を潰すつもりなのか」

 

「あの個々の我が強すぎる四皇が他の海賊と組むことはないでしょうに。まあそんな奴らをまとめ上げるカリスマが現れない限りですがね」

 

 彼らが話しているのはロジャー世代の一つ前に生きた伝説の海賊であり、現四皇を部下に持った最凶最悪の海賊ロックス・D・ジーベックのことだった。

 ロックスはガープとロジャーによって討ち取られたが、その意志は受け継がれていた。ビッグマムには支配力が……白ひげには圧倒的力が……金獅子には謀略力が……百獣には暴力が……そして全員にそのカリスマ力が受け継がれた。ロックスのような圧倒的強者でも負けることを知った彼らは各々の長所を伸ばしていった。そんな今の彼らはロックスでもまとめることは不可能だとセンゴク達は考えていたが、ディアンヌからはロックスに近いカリスマ性を秘めているように思えていた。

 

「……あの海賊の話は辞めろクザン。奴の存在は消されたのだ」

 

「……あいつは危険な存在でしたからね」

 

「あいつの話はもういいだろ。私たちは仕事をしに来たのだ」

 

「――ッ!?センゴクさんちょっと失礼させてもらいます」

 

 クザン達がすれ違った人物にクザンは驚いていた。その人物にセンゴクは見覚えがないのでクザンが何故驚いているのか分からなかった。しかしクザンが驚くような人物なので、クザンにとって重要な人物だろうと思い仕事中だが止めなかった。

 

「やあ、初めましてか?」

 

「――ッ!?誰だ」

 

 その人物が角を曲がったので追いかけると誰かに話しかけられた。その声は同じ女性だったものの強い者がもつ圧があったので別人であったことは明らかだった。

 

「私は三英が一人。経済師団“師団長”のマーリンだ」

 

「……おれが追っていた奴は何処に居る」

 

「なんの事だが分からないな」

 

「なんの能力を使ったか知らないが……おれを連れて来て何が目的だ?」

 

 クザンは相手が三英だということを聞き、気を引き締め直した。その証拠に足下からは冷気が漏れ出し、若干だが地面が凍り始めていた。

 

「そうカリカリするな。私たちは海軍と事を構えるつもりはまだないんだ。君を呼んだのは、きっと起こるであろう襲撃に手を貸してもらいたいからだ」

 

「襲撃だと?並大抵の海賊じゃあディアンヌ……いやお前で充分だろ」

 

「それが四皇幹部が相手だとしてもか?」

 

「……コリャセンゴクさんに相談しなきゃいけねェ案件じゃねェの」

 

 ただの海賊が動くのと四皇が動くのとでは天と地程の差がある。そんな四皇が動くとなると大将クラスが動かなければ行けない事案となるのだ。

 

「まあ君たち海兵は各国要人と市民の命を守ってくれればいい。襲撃者は我々だけで対応させてもらう」

 

「そりゃあそっちにも面子ってのがあるもんな。……だけどそれはこっちも同じなんで、世界政府加盟国に大将と元帥が居るにも関わらず襲撃者を海賊に任せるなんてことは出来ねェのよ」

 

「……ならお帰り頂こう」

 

 マーリンは交渉が上手くいかないと分かったら殺気を漏らし始めた。それに合わせてクザンも漏らしていた冷気の温度が一気に下がり始めた。

 険悪な雰囲気になり始めて、殺気を漏らしている二人の間に仲裁へと入った勇気ある者が居た。

 

「マーリンさん。団長は“大将”青キジとの戦闘は望んでいませんでしたよ」

 

「……出て来なくても戦闘するつもりは端からなかったんだが……まあありがとう」

 

「――ッ!!?何故生きている」

 

「貴方も分かっているでしょうが、創造海賊団に救われたんですよ。それと()()()はありがとうございました」

 

「それはおれの親友が自身の正義に基づいて動いて守り抜いた命だ。おれに礼を言うことじゃねェ。……だがあの島は()()()()()()()で完全に消滅した筈だ。そんな島から何隻も来た軍艦に知られずに救い出せるはずは……」

 

 目の前に立つ人物は自分の親友が命を懸けて守り抜いた子供の顔にそっくりだった。強いて言うなら髪の色が真逆とも言えたが、血の繋がりがあることは確かだろう。

 青キジの掲げる正義を変える原因となったとある島へのバスターコールから逃げきった人物が目の前に現れているので多少だが動揺していた。

 しかし自分も子供を一人逃がしているので、不可能ではないと分かっているのだが、どうやって逃がしたのかは分からなかった。

 

「やり方は教える訳にはいかないが……君の能力を利用させて貰っただけだ」

 

「そうだったのか……まあここにも生き残りがいた事はおれの心に閉まっておこう」

 

「ありがとうございます。……では先程の話に戻りますが、マーリンさんが提案したことをそちらが呑まれないのなら……そうですね……元帥殿には帰って頂き、貴方一人で戦うというのであれば団長も承諾しますよ」

 

「……それはなら政府も納得するだろう」

 

「ではそういうことで」

 

 マーリンとクザンの密談はこの世界では珍しい白色の髪色を持つ女性によってどちらも納得出来る結果となった。




七つの大罪のデリエリとモンスピートは個人的に好きなキャラクターでしたので名前を変えて出しました。
 あー、スパイがいっぱいだなー(棒)まあ強い組織にはスパイが付き物ですよね。
 六傑確定者
 アーサー、ステューシー、モンピート、ヴェルゴ
 あと二人は誰でしょうね。次回は本戦でトーナメント戦です。ですが六人なのでアーサーと誰かがシードになります。

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