巨人の村の娘は人間   作:UMI0123

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三人の英雄

 また違う爆心地ではドレスローザに珍しい魚人が二人も居た。片方は創造海賊団で頭角を現し六傑まで上り詰めたシーラカンスの魚人カンツイ。それに対して襲撃者である魚人は金色の髪を三つ編みで2つにまとめた身長は5m程ある筋骨隆々の男。その男は魚人にはあるはずのない二本の角を生やしているジャック。

 

「いやー、外に来て魚人と会うのは久しぶりだなぁ!!タイガーさんと会った以来か?」

 

「同じ魚人だからって容赦はしねェぞ!!」

 

「私も容赦なんてして欲しくないさ。だって……そんなことしたら……つまらないじゃないか!!!

 

 カンツイはギリギリの戦闘になればなるほど興奮する戦闘狂(へんたい)だった。それが理由で王国軍の兵士では出世は出来なかったが、彼女にとっては前線で戦うことが至高だったので出世出来たとしても蹴っていたのだが……。

 一方ジャックは戦いを楽しむということは尊敬するカイドウも同じなので理解出来ない訳では無いが、楽しむ戦いをするつもりは一切なく一方的に蹂躙するつもりだった。

 

「つまらないと思う暇もなく死ね!」

 

 ジャックは魚人には珍しい能力者である。魚人は海を主戦場とするのでカナヅチになる悪魔の実とは相性が悪いのである。しかしそのデメリットを上回る力をジャックは手に入れていた。その姿はさらに巨体と化し巨大な鼻と牙が伸びた。その姿はまるではるか昔大地を踏み鳴らしたマンモスのようだった。

 その伸びた鼻をカンツイへと振り下ろした。その巨体から振り下ろされた鼻は岩は破壊され、鉄は凹むだろう。そんな攻撃がカンツイに直撃したらタダでは済まないだろう。

 

「ふふふ!!……いい攻撃じゃないか!!!でも私は魚人柔術使いだ!!“引潮一本背負い”!!!

 

 ――しかしカンツイは魚人柔術の師範クラスである。カンツイはジャックの攻撃を覇気を流した腕で受け止め、その勢いを利用してジャックのことを背負い投げした。投げ飛ばされたジャックは建物を数軒壊して止まった。

 

「ふむ……建物を壊しすぎたか?……まあ団長さんなら許してくれるだろう」

 

「……舐めすぎてたみたいだな……だがなァ!!柔術なんてもんは効かねェんだよォ!!!」

 

「ふむ……どうしたものか……だがまあそっちの方が燃えるな!“雨溜(かいりゅう)一本背負い”!!」

 

 前日に降った雨によって出来た水溜まりを魚人柔術の一つである“水心”を使って掴みジャックへと叩き付けた。

 いくら魚人とはいえ彼は能力者である。水を勢いよくぶつけられたジャックは一瞬だが隙が出来た。カンツイはその隙を見逃さず攻撃を仕掛けた。

 

「“魚人空手『奥義』……武頼貫”!!!

 

 カンツイが使ったのは魚人空手の中でも奥義と呼ばれる一つだ。彼女は大気中の水を塊として腕に纏い相手の身体を貫く技をジャックへとぶつけた。その衝撃はジャックの強靭な肉体をも貫いた。

 

「ぐ……だがこれで逃げられねェだろ!!」

 

 しかしジャックが攻撃を受けたのは罠だった。自分の腹にぶつけられた腕を掴みあげると容赦なく顔を殴りつけた。

 カンツイは腕を掴まれて持ち上げられているのでその衝撃を逃がすことを出来ずにダメージをくらっていた。

 

「カンツイさん!大丈夫ですか!!」

 

「……大丈夫、大丈夫。私は大丈夫だから手を出しちゃダメだよ。手出したら死んじゃうからさ」

 

「タダの魚人のくせして頑丈じゃねェか!!!」

 

 カンツイのその言葉に思うことがあったのかジャックは思いっきり殴りつけてしまい吹き飛ばしてしまった。

 カンツイはジャックの拘束から逃れることは出来たものの大きなダメージをくらっているので、圧倒的不利な状況となってしまった。

 

「ハァハァ……だいぶダメージをくらってしまったが……そっちの方が燃えるってもんだ!!」

 

「燃え尽きて死ね!旱象(かんぞう)”!!

 

 ジャックが放った攻撃はシンプルだった。マンモスの姿となった状態で思いっきり脚を踏み込むことで人工的に地震を起こした。地震によって踏み込みが甘くなったカンツイへと覇気を流した鼻を振り下ろした。

 カンツイは揺れによって足に力が思ったように入らない。そんな状態で思いっきり振り下ろされた攻撃を受けたので地面にめり込んでしまった。

 一応覇気は流していたので致命傷にはならなかったが、これまでに積み重ねたダメージは彼女の覇気を大きく削っていた。

 

「そろそろ覇気にも限界が来てるだろ。……一応聞いといてやるが……百獣に入れ」

 

「……それはそれで楽しめそうだけど……一応団長さんには拾ってもらった恩ってものがあるんでね……最後まで戦わさせてもらうさ」

 

「……なら死ね!!」

 

 ジャックは動くこともままならないカンツイへと無慈悲な一撃を振り下ろそうとした。

 しかしその攻撃がカンツイに当たることはなかった。なぜならその攻撃を邪魔するかのように二人の間にある人物が降り立った。その者はジャックの強力な覇気が流れる鼻を片手で受け止めるとそのまま投げ飛ばした。

 

「……やはり六傑では荷が重い相手が出てきたか……誰の手によって手引きされたのやら。君はカンツイだったか?済まないな。オルビアを安全な場所に移動させていたら時間が掛かったんだ」

 

「お前は創造海賊団三英のマーリンだな」

 

「私も有名になったものだな」

 

『創造海賊団三英“女傑マーリン”』

 

 二人の間に立ったのは創造海賊団のなかでも五本の指に入る実力者“女傑マーリン”。彼女はジャックと同じく動物(ゾオン)系の能力者であるため能力の相性は互角。ただマーリンは幻獣種なので変則的な能力で言えばマーリンの方が上である。

 そして膂力はその体格と古代種ということでジャックの方が上である。よって勝者となるのはより悪魔の実を使いこなせていた方であるだろう。

 

 

 カンツイとジャックが戦闘を始めた頃、時を同じくして別の戦闘が始まろうとしていた。

 一方は元海軍中佐の“鬼竹のヴェルゴ”。彼は元海軍将校という創造海賊団のなかでは珍しい経歴を持っている。しかし元海軍将校ということでその実力は六傑のなかでも上位である。

 それに対して襲撃者は“西の海(ウェストブルー)”にある“花の国”を拠点とするギャング“八宝水軍”だった。その中でも棟梁のサイ、副棟梁のブー、そして前棟梁で隠居人のチンジャオは創造海賊団の下っ端では全く歯が立たなかったためヴェルゴが来るまでに大きく戦力が削られてしまった。

 

「お前はそこそこ強そうだな。お前んとこの下っ端たちはだいぶ質が悪かったが……お前はどうじゃ?」

 

 チンジャオはヴェルゴへと殴りかかった。チンジャオの拳に流れる覇気は隠居したことによって全盛期からは多少衰えてはいるものの強力な覇気の使い手であるヴェルゴと同レベルの覇気は持っていた。

 二人の強力な覇気のぶつかり合いは周りへと衝撃をもたらし、近くの建物はほぼ崩壊した。

 

「ふむ……筋はいいようじゃが。まだ足りぬぞ!!!」

 

「ウ……“西の海”のギャングが何故ここまで出向いて来た」

 

「この創造海賊団が全世界に影響力を伸ばし、銃火器売買のパイプになっておるから……戦争が勃発しておるんだろうが!!!

 

「……そうだなウチが全世界の繋がりを持つパイプになることでその仲介料を貰っているから辞めることは出来ないな」

 

 何故か言われたことに反論もせず素直に答えたヴェルゴは殴りかかって来たチンジャオの拳を覇気を流した竹竿で受け止めた。二人の武装色の覇気のレベルは同じなのに何故か竹竿は折れてしまった。

 チンジャオの拳は竹竿によって多少勢いが削れたため致命傷となる威力ではなかったが、ヴェルゴは立つのがギリギリになる程のダメージを受けてしまった。

 

「サイ、ブー後は頼むぞ……っ!?」

 

 もう立つこともままならないヴェルゴならサイとブーでも大丈夫だろうと思い二人に任せようと振り返ったチンジャオの目に入ったのは謎の植物に捕らえられ気絶している二人の姿だった。

 

「こんな相手にも勝てないなんて六傑失格れす!!」

 

「師団長!相手はあの八宝水軍の中でも最強と名高いチンジャオれす。負けても仕方ないれすよ」

 

「なら取り消すれす。お前は六傑れす」

 

 とんちんかんな事を言いながら現れたのはマーリンと同じ三英であり、ドレスローザに住まう一族“トンタッタ族”の元戦士長“創植のレオグロウ”だった。

 彼は基本的に戦闘はせずに新たにナワバリになった島の植物を調査し育てるのが仕事だった。

 しかし今回の襲撃者たちは三英が全員出るレベルの人数や強さなので仕方がなく出てきた。しかし戦闘はしていないだけなのでその実力は他の三英と変わらないものを持っていた。

 

「お前は……三英とやらか」

 

「そうれす!!三英のレオちゃんれす!!!」

 

『創造海賊団三英“創植のレオグロウ”(レオちゃん)』

 

「(レオちゃん?)なら本気で掛からないといけなそうじゃな。ドイサ“武頭”!!

 

「モサモサれす!!」

 

 チンジャオは自身の頭部へと覇気を流してレオグロウへと頭突きをしようとした。その頭突きは空中へと飛びそのまま落ちることで重力も相まってただの頭突きとは威力が比べ物にならないものとなっていた。

 しかしレオグロウは地面にある種を蒔くと『モサモサ』と言った。地面へと蒔かれた種はみるみると成長していき、やがてレオグロウを守るように成長した。

 

「この植物は“鷹の目”の斬撃でも生き残った植物の子孫れす!!」

 

「私が“鷹の目”の小僧に劣るとでも言いたいのか!!」

 

 この植物の種は創造海賊団がドレスローザに来て少しの頃に起こったキャンドラーとミホークによる戦闘が行われた島に生成されていた植物に少し手を加えて強度が増した種だった。

 この植物は()()ミホークによる斬撃に耐える強度を持っていたので、衰えたチンジャオの攻撃一発程度なら耐えていた。

 

「“鷹の目”のことは知らないれすが……きっと劣っているれす」

 

「師団長。そんなこと言っちゃ悪いれすよ。チンジャオはガープの攻撃で自慢の頭の錐が凹んじゃって、老人化が進んじゃったんれす。彼が悪いんじゃないれす。悪いのはガープれす」

 

「「てめぇの言葉が一番悪いだろ!!!」」

 

 レオグロウの言葉を注意していたはずの師団長補佐は段々とチンジャオを貶す言葉を言っていたので気絶していた筈の八宝水軍の二人はツッコミを入れていた。ただツッコミを入れたらまた気絶してしまったが……。

 そして補佐の言葉を聞いたチンジャオは怒りが爆発していた。しかしそれが功を奏した。怒りが爆発したチンジャオは頭へと一気に血が昇ったことによって凹んでいた筈の錐が以前のような鋭さを持って復活したのだ。

 

「――っ!?この頭を治して頂きありがとう!!!この島で起こっている鎮圧を手伝おうでないか」

 

「なんか手伝ってくれるらしいれすよ」

 

「ならバレた分も手伝ってもらうれすよ!!」

 

「分かった」

 

 人を疑うということを知らないトンタッタ族が相手だったのもあり()()()()()()()()八宝水軍はドレスローザで起こっている襲撃の鎮圧を手伝うこととなった。

 ちなみに立つことがやっとのヴェルゴは忘れ去られその場に放置されていた。それは植物に捕らえられたサイとブーも同じであった。

 

 

 また別の場所では六傑であるステューシーが今回の襲撃の主犯格の一人でもあるペロスペローと対峙していた。

 

「歓楽街の女王が傘下に居たとは想定外だ。ペロリン♪」

 

「久しぶりね。ビッグ・マムが開いたお茶会以来かしら?」

 

「そうだな。あん時も味方って訳ではなかったが……今じゃあ敵だ。死んでもらうぞ」

 

「これでも裏社会をそこそこ長い間生きてきた私をそう簡単に倒せると思わないことね」

 

「本当『長い間』ですね」

 

「うるさいわね!!」

 

 そばに居る黒服の洩らした言葉にイラッときたステューシーは脛を軽く蹴飛ばした。手加減はしているので骨が折れるようなことは無かったが痛いことには変わりなかった。

 

「――痛いです」

 

「痛いなら黙ってなさい!」

 

「仲間割れか?こっちにとってはいい事だけどな。ペロリン♪」

 

「“飛ぶ指銃(しがん)”」

 

「不意打ちで通ると思ってるのか?“キャンディウォール”」

 

 ステューシーが不意打ちで放った“飛ぶ指銃”だったが、ペロスペローは反射神経のみで反応して飴で出来た壁を創り出し飛んでくる指銃を防いだ。

 

「あら、やっぱり相性が悪いわね」

 

「お前は昔から気味が悪かったが……やっぱりせい――」

 

「それ以上のことはSecretよ。それ以上のことを詮索するのなら本気で消さなければならないから」

 

「ならお前は本気を出さないのか?」

 

「そんなことは言ってないじゃない。私は今出せる力を出して勝てなければそこまでって話よ」

 

 ステューシーは一瞬は殺気を漏らしたがそれ以降は友人と喋るかのように一切警戒していなかった。それに対してペロスペローはステューシーのその態度を不気味に思い警戒を解くどころか更に警戒を強めた。

 

「出せる力か……なら本気を出すとも言ってねェ訳だな。まあ容赦はしないがな!“キャンディガン”!!」

 

「あら私の真似かしら?でも使い慣れない技は強い相手に使うものじゃないわよ」

 

 ペロスペローは指に生み出した飴を纏うとそのままステューシー目掛けて飛ばした。まるでそれは先程ステューシーが使った“飛ぶ指銃”のようだった。ただ使い慣れてない技なのでステューシーの“飛ぶ指銃”に比べたら遅く避ける暇を与えてしまった。

 

「引っかかったな!“キャンディアロー”!!!」

 

 ペロスペローは空中に居るステューシーへと飴で出来た弓と矢で射ろうとした。しかしステューシーは六式の全てをマスターしているので“月歩(げっぽう)”を使って簡単に避けた。

 しかしそれもまたペロスペローによって作られた囮だった。ペロスペローの本命はキャンディガンとキャンディアローの間に放った終末の雨(キャンディシャワー)だった。上空から降り注ぐ飴で出来た矢はステューシーでも避けることは出来ず多少のダメージを負ってしまった。

 

「ちょっと油断しちゃったわね。まあこの程度の怪我なら生命帰還でどうにかなるけど……まあ必要はないわね」

 

「何ボツボツ言ってやがる!まあ動けないなら“キャンディマン”をしてやる。ペロリン♪」

 

「何してるんだ?私はペロスペロー程度なら倒せると思っていたのだが……まあそれは後で確認させてもらう。ペロスペロー君にはこの襲撃の責任を取ってもらうぞ」

 

 ステューシーの前に現れたのは最後の三英。創造海賊団の資金管理を一手に行う財務師団の師団長であり、自身のポケットマネーが創造海賊団の資金に迫る大富豪“黄金帝ギルド・テゾーロ”だった。

 

『創造海賊団三英“黄金帝ギルド・テゾーロ”』

 

「嫌に決まってんだろ。それにこの襲撃はおれが考えた訳じゃないぞ」

 

「そんなのどうでもいいんだよ。私が求めているのは襲撃に参加したペロスペローを捕まえたという事実だけだ」

 

 その言葉を後に彼は攻撃を仕掛けた。彼の耳に着けられた黄金で出来たイヤリング、手首に着けられた黄金で出来たブレスレットがウネウネと動き出した。

 二種類のアクセサリーはテゾーロの腕を纏い隠すように変化した。

 

「君を捕まえたら……そうだな公開処刑をエンタテインメントショーとして出すのも一興だな」

 

「逆に殺してやるさ。ペロリン♪」

 

 




今回は六傑の三名と三英が出てきました。
カンツイ&マーリンVSジャック→何故人魚は男女居るのに魚人は男しか居ないのだろうか……。鼻による攻撃は柔術では受け流すのが難しかったらしい
ヴェルゴ&レオちゃんと愉快な仲間たちVS八宝水軍→同じレベルの覇気を持っているのに何故ヴェルゴは負けたのだろうな〜。チンジャオは頭に血が昇ることで頭の血行が良くなって頭が伸びたんでしょうね
ステューシー&テゾーロVSペロスペロー→ビッグマムは裏社会の人を招いてたまにお茶会を開くのでステューシーとペロスペローに面識はあります。

今回の話は原作の因縁が少し絡んでます。ヴェルゴ、レオちゃん、八宝水軍はドレスローザ編に登場した因縁で、ステューシーとペロスペローは上のとおり、ステューシーはCP0でテゾーロは奴隷だったので面識があるかも?なのでこのようなマッチアップを作りました。
次回はアーサーと六傑の最後の一人が出演とディアンヌsideとなります(多分)

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