巨人の村の娘は人間   作:UMI0123

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三大機関
世界の変化


 ――新世界、ドレスローザ

 

 ドレスローザは新世界の入口の近くに位置し、リク王が統治する国家である。この国は創造海賊団の本拠地が置かれ、ディアンヌとマーリンの手によって大きく発展した。そんなドレスローザだが創造海賊団が四皇カイドウとその配下と二人の四皇の配下による襲撃を受けた通称“ドレスローザ包囲網”によって大きな傷を負った。

 居住区の建物の半数以上が倒壊したが、この程度の傷なら創造海賊団の財力を持ってすれば簡単に修復可能だっただろう。しかしこれを世界政府は良しとせずに重大な責任問題として創造海賊団に責任追及をし、七武海の席から除名したのだ。

 七武海の席から除名された創造海賊団は、自分たちを捕らえに海軍の大将がドレスローザに来ることを察知してドレスローザからの撤退を決めた。本拠地を失った創造海賊団は新世界に広くあるナワバリへの影響力を失ってしまいその過半数を他の四皇に奪われてしまった。

 創造海賊団の庇護下から外れたドレスローザは原作通りドンキホーテ海賊団による策略によりリク王は犯罪者として投獄されてしまい同じく操られた国軍も皆指名手配者として追われる身となってしまった。

 

「どうしたそんなに睨んで」

 

「貴様が!誘導したのだろう!!あの時ドレスローザで襲撃が起こった時、貴様が創造海賊団がこの襲撃の原因と言って!!」

 

「フッフッフッ!!おれは情報屋と言った筈だ。そんな何処の馬の骨とも知らない奴の忠告を真に受けて、世界政府に創造海賊団の除籍を要請したのはお前だろう。……そして創造海賊団の配下であるマーリンがこの島を去ったことで金回りが悪くなりリク・ドルド3世が乱心。……それを本物の王家であるおれが救ってやったんだ。何処に疑問を持つ?」

 

「――!?貴様が私の体を操ったからだろ!!!」

 

「そんな証拠はどこにもない。国民を見てみろ。おれを英雄のように称え、王と認めてる!!今じゃあてめェや国軍は全て反逆者として指名手配者だ!!」

 

 ドレスローザにはドフラミンゴによってもたらされる発展とその裏にある誰にも気づかれない闇が産まれるのだった。

 

 

 ――グラン・テゾーロ

 

 “ドレスローザ包囲網”で減ったと言っても大量の船員を抱える創造海賊団。そんな人数を抱え込めるほど大きな島は奪われてしまったので巨大な都市を持つ船“グラン・テゾーロ”が仮の本拠地となっていた。

 

「あの事件から一年が経ったね」

 

「あの事件の黒幕である忌々しいドンキホーテ海賊団を捕らえるために海軍が動いたから、こっちも手伝ってやろうと六傑を一人向かわせたが失敗に終わってしまった」

 

「あいつは真面目だが……機転が効かねェ」

 

「最初に会ったのが海軍だったため戦闘を起こしてドフラミンゴに気付かれて逃げられた……バカなのかなぁ?」

 

 海軍の情報が間違っていたため予定時刻より遅れて向かうこととなり、隠れていたところを見つかり戦闘が起こってしまった。その戦闘音を聞いたドフラミンゴに勘づかれ逃げられてしまった。

 そんな失態を犯したヴェルゴ(・・・・)だったが、六傑杯で六傑の席をもぎ取るほどの実力者のため処罰はなかった。

 

「ヴェルゴの事はもういいだろう。次の議題だが、新世界で暴れていた“赤髪海賊団”が何故か最弱の海“東の海(イーストブルー)”へと向かったとのことだ」

 

「――!?へぇ、シャンクスがねぇ〜。なんか理由があるのかな?」

 

「……特に理由らしきものが見つからなかったので、休養として向かったのだと思われます」

 

「……休養ねぇ〜。それ以外の理由もありそうだけど……会いに行くのは難しいからなぁ〜。……まあ事後情報でいいか」

 

 元見習い仲間であるシャンクスが率いる赤髪海賊団は創造海賊団と同期で個々の実力も創造海賊団に迫るものを持っている。そんな海賊団が最弱の海とも呼ばれる“東の海”に行ったともなれば疑いたくもなるだろう。

 しかし今は本拠地すら見つかってないのでフットワークの軽いディアンヌでも赤髪海賊団が“東の海”へ向かったことの本意を聴きに“東の海”に向かうことは出来なかった。

 

「……他に何かないかな?」

 

『……』

 

「よし!じゃあ解散!!」

 

 会議が終わったディアンヌはホテルTHE() REORO( レオーロ)内に併設されているカジノへと向かった。

 カジノには一攫千金を狙う海賊や海軍、娯楽を求める貴族などが数多く挑んでいた。グラン・テゾーロはオーナーのテゾーロがこの船は中立だと多額の賄賂を世界政府に送って認めさせた特別中立区と呼ばれる独立国家となっている。特別中立区では海賊は略奪が禁止され、海軍は賊の捕縛が禁止、貴族の権力は無効というルールが定められている。

 

「何をしようかな〜」

 

「こりゃあ大物がおったなァ」

 

「……海軍中将の“茶豚”が何の用かな?」

 

「まあまあそんなカッカッするな。世間話でもしようや」

 

「トキカケ中将!!相手は“ドレスローザ包囲網”を起こした張本人なんですよ!!海軍なら賞金首は捕まえなければ!!」

 

『創造海賊団“団長” 創造のディアンヌ ヒトヒトの実(幻獣種)モデル“嫉妬の巨人(サーペント・シン)” 懸賞金15億4100万ベリー』

 

「私はあのことから世界政府が嫌いなの知ってるよね」

 

「でもこの船の元締めがルールを破ったりせんやろ?」

 

 ディアンヌの前に現れたのは茶色のハットに黄色の腹巻、背中に正義の文字が掲げられた服を羽織ってタバコを加えた男、海軍本部“茶豚”ことトキカケ中将だった。

 彼は大将候補になるほどの実力者だが頑固者であるため天竜人の直属の部下になるのは嫌だと拒否した。そんな茶豚自体はディアンヌは嫌ってはいなかった。

 “ドレスローザ包囲網”で七武海の席を一方的に除名してドレスローザから追いやったこと、そしてこれまで発展させたドレスローザの国民たちからも石を投げられたりしたことから、ディアンヌは世界政府とその加盟国が嫌いになってしまった。

 

「……時と場合に寄るんじゃない?知らないけど」

 

「こりゃあ怖いなァ〜姉ちゃん。だが今はその時じゃねェだろ」

 

「今は、“まだ”ね」

 

「それが聞けただけで、いい収穫だ」

 

 そう言って“茶豚”はディアンヌの前から去っていった。そのまま近くにあったルーレットに参加した茶豚は少しの時を待ってルーレットから背中を丸めて去って行った。

 そんな後ろ姿を見てディアンヌは年齢を重ねたおじさんの哀愁が漂っていた。

 

「あ〜、うんあの人には優しくしてあげよう」

 

「道の真ん中に突っ立ってどうしましたか?」

 

「何でもないよバカラちゃん」

 

 道の真ん中で突っ立っていたディアンヌを見つけて小走りで近付いてきたのは、背中が大きく空いた黒のドレスを身にまとった赤色の髪、太ももには蛇を星で囲ったようなタトゥーが掘られた小柄(・・)()女性。

 バカラと呼ばれた女性は“ドレスローザ包囲網”後に減った船員を集めるために新世界に残っているナワバリで人を集めた時にテゾーロの直属の部下として魅入られた子供だった。

 グラン・テゾーロではコンシェルジュ見習いとしてVIP待遇が必要な人に着き案内等などの仕事の補佐を表向きではしている。

 

「どこに行かれますか?」

 

「どうしようかな〜。……VIPルームの丁半でも行こうかな」

 

「……分かりました。VIPルームまでお連れします」

 

 VIPルームには世界各国の重鎮や海軍の将校など有名な人物が多く居た。その中でも有名人なディアンヌが入ってきても誰も反応しなかった。

 それはここにいる殆どがこの船のオーナー、ギルド・テゾーロはディアンヌの部下であることを知っているからだ。

 

「さっきの会議ぶりですね。ここは一つ勝負でもしますか?」

 

「望むところだよテゾーロ!」

 

 二人はテゾーロの直属の部下であるダイスがディラーをしているVIPルームの丁半へと向かった。

 そしてディアンヌは半に、テゾーロは丁に持っているチップの全額を掛けた。

 

「勝負ゥ!!」

 

 ダイスはサイコロを上へとぶん投げて鉄のツボに入れた。そしてダイスは巨大な斧を持ち上へと跳んだ。

 そして回転しながら勢いを付けて鉄のツボへと頭突きした。

 

「ン〜!キモティィ〜〜!!」

 

「あ〜、……あれは治らなかったんだね」

 

「無理でしたね。彼は体の隅々までドMなので。……今回も私の勝ちですね」

 

 ディアンヌはツボに頭をぶつける痛みに快感を感じているダイスを可哀想な人を見る目で見ていた。

 ダイスの頭突きによってツボが砕けてサイコロの目が見えた。二つのサイコロの目は3と1で結果は丁となりテゾーロの勝利となった。

 

「やっぱりテゾーロには勝てないかぁ〜。テゾーロはいい貰い物したよね」

 

「えぇそうですね。バカラはだいぶ優秀な子ですよ」

 

「そんな、優秀だなんて」

 

 テゾーロに褒められたバカラは頬を赤く染めて体をくねくねしていた。それを見たディアンヌは苦笑いしながらスルーしてあげた。

 なぜならテゾーロから見えないところにステラが立っていることに気づいたからだ。ステラはテゾーロの婚約者なのだが、テゾーロはイケメンで、グラン・テゾーロのオーナーである金持ちという好条件の男性なので虫が引っ付かないように見張っていた。

 

「そう言えば海軍の“茶豚”と会ったけど、他に有名人は来てる?」

 

「ふむ“茶豚”クラスの有名人ですか……“CP(サイファーポール)-AIGIS(イージス)(ゼロ)”なら来てますよ」

 

「CPが何の用?」

 

「天竜人の護衛ですね」

 

「権力を極力使わせないように注意しといて」

 

 ディアンヌは天竜人が自分の島に来るのは構わないが好き勝手されるのは嫌だった。

 天竜人が嫌いなディアンヌは直ぐにでも殴り込みに行きたかったのだが、テゾーロが作り上げたコネを無駄にしては行けないと思い、踏みとどまっていた。

 

 

 

 ――“万国(トットランド)

 

「あんの小娘がァァ!!!」

 

「ママ!これ以上城を壊さないでくれ!!倒壊しちまう」

 

 ビッグ・マムことシャーロット・リンリンが治める“万国(トットランド)”ではビッグ・マムがとある記事が載った新聞を見て暴れていた。

 城の中で暴れているため壁は崩れ落ち、止めようとしたホーミーズ達は壁にぶつかり動かなくなっていた。暴れ回るビッグ・マムを止めるのは難しいと分かっているので子供たちは押し付け合いをして最終的に長兄のペロスペローが貧乏くじを引いてしまった。

 

「ペロスペロー!お前は許せるのかい!?」

 

「おれだって許せねェさ!!だけど城で暴れて、もし崩れたら、弟や妹たちの半数は死んじまう」

 

「……そりゃあそうだね。済まなかったね。だけどそろそろお灸を据えてやる必要がありそうだよね」

 

「そうだ!!」

 

「ハーハハハマママ!!お前ならそう言ってくれると思ってたよ。じゃあ女傑の所へ行ってお灸を据えてきな」

 

(要らないことを言っちまった!!)

 

 ペロスペローはせっかくママの機嫌が治ったのにまた悪くされたら困るのでイエスマンとなっていたのだが、それが仇となりビッグマム海賊団のナワバリと裏稼業の稼ぎを荒らし回っている“女傑マーリン”の討伐を命令されてしまったのだ。

 ペロスペローは以前の“ドレスローザ包囲網”で同じ三英であるテゾーロに完敗しているので、今回も負けると戦う前から思っているので負けた時の言い訳を今のうちから考えているのだった。

 

(クソっ……あいつには勝てねェから……部下に責任を押し付けるか?……いやおれも一緒に処罰を喰らうだけだ!!)

 

「どうしたんだい?早く行ってきな。……もしかして嫌だとか言うんじゃないよねェ!!お前は前回の襲撃でミスしてるんだから……分かってるよなァ」

 

(もう無理だァ!!おれが生き残るには勝つしか道はねェ!!)

 

「そんなことないさママ。どうやって拷問してやろうかと考えてたところだ」

 

 ペロスペローはその長い舌を回しに回して口から出任せを言っていた。流石のビッグ・マムも相手の考えていることは分からないのでそれっぽいことを言っておけば嘘だとバレないのだが、そんな中でもペロスペローは長い間長兄として貧乏くじを引き続けていたので嘘を言うのが兄弟の中では一番上手かった。

 しかし口から出任せを言うのは得意なのだが顔色は変わってしまっていた。元々顔色の悪いペロスペローの顔は更に青白く染まり、冷や汗をダラダラと流していた。

 

「どうしたんだペロス兄」

 

「クラッカーか……よしお前も“女傑”の討伐に着いてこい」

 

「あー、おれはビスケット工場の手伝いが……」

 

「わざわざお前が手伝わなくてもウチの工場は回るだろうが!!」

 

「じゃあおれは行ってくる!!」

 

 クラッカーは面倒くさいことはしたくない末っ子気質なので適当に理由を付けてペロスペローの叫びの最後を聞く前にペロスペローの前から去っていた。

 ペロスペローは他の兄弟たちにも声をかけようとしたが、皆適当に理由を作ったり、本当に用事があったりと結局一人で“女傑マーリン”の討伐に向かうこととなってしまった。

 

 

 ――ワノ国、鬼ヶ島

 

「ウォロロロロ!!ジャックはこれまで真面目に頑張ってきたよな。ヒック」

 

「ズッコケジャックにしてはよくやっていたな」

 

「ムハハハ!!あの女に負けた以外は上手くやってたな」

 

「誰が言ってやがる。お前も負けていただろクイーン」

 

「てめェも拷問で侍が口を割る前に殺してるじゃねェか」

 

 ワノ国にある百獣海賊団の本拠地である鬼ヶ島ではカイドウが酒を飲みながら大看板であるキングとクイーンと話していた。話の内容は飛び六胞の中で頭一つ飛び抜けた実力を持ち、真面目に仕事をこなしているジャックについてだった。

 大看板の二人もジャックを認めていた。上から目線でジャックのことを褒めて、キングはクイーンをクイーンはキングを貶していた。

 

「そろそろジャックを大看板に昇格させてやってもいいんじゃねェかァ」

 

「あいつのことは認めているがまだ早いんじゃないですか?カイドウさん」

 

「それはキングに同意だぜ。あいつは真面目だが海賊としての経験が少ないんじゃないですか?」

 

「ウォロロロロ!!お前らァ!!おれに逆らおうってのかァ!!!」

 

 カイドウは酔っているため沸点がとにかく低かった。いつもだったら許している部下の反論に切れてしまった。

 切れたカイドウには百獣海賊団屈指の実力者である大看板の二人でも止めることは不可能なので部下たちが逃げるように声を荒らげた。

 

『てめェら!!カイドウさんの“怒り上戸”だ!!鬼ヶ島から即刻退避しやがれ!!』

 

 クイーンはスマシを使って鬼ヶ島内にいる船員達に逃げるように伝達した。

 そしてキングはカイドウの足止めをするために“人型”の自前の翼を使って飛び立った。そんな近付いてくるキングへとカイドウは口から“熱息(ボロブレス)”を吹き放った。そしてキングは自分へと飛んでくる高熱の炎を自前の炎を使って相殺した。

 

「……損な役割だな」

 

 これが鬼ヶ島の日常だった。

 

 




ドレスローザ→創造海賊団が七武海から除名されてドレスローザからの撤退を余儀なくされたところを原作と同じようにドフラミンゴによって奪われました。
ドンキホーテファミリー→ミニオン島での事件は起きてしまいロシナンテは死亡、ローは逃亡しました
マーリン→ビッグマム海賊団のナワバリを荒らし回っています
テゾーロ→グラン・テゾーロのオーナーとして奮闘中。
バカラ→まだ子供ながらラキラキの実の力を持っているので準幹部レベルに位置します
レオグロウ→植物の栽培中
ペロスペロー→長兄ということで貧乏くじを引くことが多いです
百獣海賊団→ジャックはそろそろ大看板になります。それに伴い災害の名前を背負い“旱害のジャック”と呼ばれます
補足→モネ、シュガー姉妹はまだドンキホーテ海賊団には入っていません。理由はドレスローザの奪取が原作より早い時期になっているためです。茶豚は個人的にガープに近い人間だと思っているので勝手に設定を作りました。

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