巨人の村の娘は人間   作:UMI0123

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同盟と襲撃

 ――グラン・テゾーロ

 

 創造海賊団の仮本拠地であるグラン・テゾーロに“金獅子”のシキが訪れていた。その理由としてはディアンヌが金獅子にとある提案を持ち込んだからだ。

 その内容としては七武海の席を降ろされた創造海賊団が奪われたナワバリを奪い返すために四皇との繋がりを強めておく必要があった。勢力が四皇に近い創造海賊団でも三人の四皇を相手取っては完全に負けてしまうので白ひげを除いて唯一繋がりがある金獅子海賊団との同盟だった。

 ただそれだけでは金獅子海賊団に利がないので、金獅子海賊団が研究している植物の研究を環境師団が手伝うのを見返りとしていた。

 

「ジハハハ!!そろそろおれの下に付くつもりになったか!!」

 

「バカ言わないでよね。ナワバリは減ったけど新しい資金源は少しずつ確保してるし、そもそもここだけで事足りてるしね」

 

「しぶてぇこった。……だからこの話は受けてやってもいいんだが……少々旨みが少ねェな」

 

「じゃあ襲撃のことを忘れてあげるよ」

 

「随分と上から目線じゃねェかァ!!おめェはせいぜい七武海止まりの海賊だろうが!!」

 

 グラン・テゾーロで密談を行っていた金獅子がディアンヌの上から目線にキレて能力を使おうと地面を触ろうとした。しかし――

 

「私の船で好き勝手されては困るな」

 

「――っ!?」

 

 密談が行われている部屋の床が触手のように変化して、金獅子の動きを止めた。そしてその部屋の外から歩いて入ってきたのはこの船のオーナーであり、三英が一人ギルド・テゾーロだった。

 

「やっぱりさぁ……時間の流れってのは厳しいよね」

 

「どういうつもりだァ!」

 

「それはこっちのセリフだって。……シキはさ、まだ僕に勝てるとか思っているんだろうけどさぁ……テゾーロに止められてる時点で僕の敵じゃないから」

 

 テゾーロの実力は相当なものだが、他の四皇相手には軽く捻られる程の実力差が存在する。しかし金獅子は予め未来を見て攻撃避ける見聞色の覇気や覇気によって更に強固となった黄金の拘束を打ち破れる膂力と武装色の覇気……そしてロジャーを筆頭に数多のライバルや海軍のガープ、センゴクと争っていた頃に磨かれた覇王色の覇気をシキは老化と頭に刺さった舵輪と脚を切り落としたことによる衰弱により失っていたのだった。

 

「覇気や膂力が残ってねェかもしれねェがおめェみたいな小娘一人捻り潰すなんてのはこの力があれば十分なんだよ!!」

 

 シキは力だけで黄金の拘束から逃げるのを諦めて能力を使い空へと飛び立った。

 

「同盟なら結んでやってもいいと思っていたが、やめだ!やめ!!おめェらをこの船ごと海に落としてやる」

 

 窓の外へと飛び出したシキは能力を使って船をひっくり返そうとこの島で一番の高さを誇るホテル“THE() REORO(レオーロ)”に触れようとした。

 

「覚醒した能力でこのホテルは掌握している」

 

 黄金で出来たホテルが触手のようにうねり、空中に浮かぶシキを捕らえるために動き出した。しかしシキを主戦場である空中ではそう簡単には捕まえることが出来ないのでとある策をテゾーロは立てていた。

 空中に浮かぶシキを囲いように追う触手たちによってシキはテゾーロの策にハマろうとしていた。

 

「能力が覚醒してようとなァ!戦闘ってのは経験が物を言うんだよ!!」

 

「経験ならウチの船員たちもそこそこしてるけどね」

 

 だいぶ離れたところから叫んでいるシキにディアンヌは小さな声でツッコんだ。

 黄金の触手たちによってシキはテゾーロによってショーが行われる広場の中央まで追い込まれていた。

 

「ゴールドスプラッーシュ!!」

 

 船を着艦出来るように黄金の液体で満たされていた広場は噴火したかのように吹き上がった。真上にいたシキはもちろん黄金の液体を全身に被ってしまいテゾーロの支配下に置かれてしまった。

 そしてテゾーロは黄金の液体を個体に変化させてシキの動きを完全に封じた。自分たちの足場を持ち上げてディアンヌと共に完全に動きを封じ込まれたシキの目の前へ移動した。

 

「これで分かったかな?君はさ老いているんだよ。大海賊時代の前身を作り出した“伝説の海賊”君」

 

「……おれが牢獄にいる間に有望な奴らが育ったんだな」

 

「もう死ぬみたいな雰囲気を出してるけど、まだ死んでもらう訳にはいかないよ。今の私たちじゃあ金獅子のナワバリ全土を支配しきれないからね。……一応負けたんだからこっちの条件を飲んでもらうよ。まあ代わりと言っちゃなんだけど新しい旨味を用意してあげるから」

 

「旨味だと?」

 

 ディアンヌが用意した条件はこうだ。

 創造海賊団と金獅子海賊団は海賊同盟を結ぶ。

 金獅子海賊団はこれまで研究してきたデータを創造海賊団に提供する。

 創造海賊団は研究に使用する植物を創造海賊団“環境師団”が担当する。

 改めてディアンヌが提案した条件は研究に使用する植物を環境師団が完全に管理することとなった。そしてこの二つにプラスして創造海賊団が新たに入手した悪魔の実の力をシキに使うことだ。

 

「結構暴れちまったし条件が悪くなるのは分かるが……この最後のはおれにだいぶ力を与えることになるがいいのか?おめェらの喉元を食い破るかもしれんぞ」

 

「そもそも能力者はウチの子だからいつでも解除出来るし、そもそも気絶したら解除されちゃうからね」

 

「じゃあこの条件で同盟を結んでやるよ」

 

 そして同盟はグラン・テゾーロ上空、臨時VIP室にて“世界経済新聞社”社長を保証人として締結された。その情報は“世界経済新聞社”によって全世界へと運ばれた。

 

 

 

 ――マリンフォード

 

「よりにもよって創造海賊団と手を組みやがった!!」

 

「そうカッカッするなセンゴク」

 

 元帥室にはセンゴク元帥とガープ中将が金獅子海賊団と創造海賊団による海賊同盟の締結についての記事を読んでいた。

 海を統べる四人の皇帝と名高い四皇の一人が、あまりにも勢力を拡大させ過ぎたため七武海から理由をつけて辞めさせた創造海賊団と手を組んだのは他の四皇を出し抜くには持ってこいの出来事だった。

 

「ただでさえ奴らの七武海脱退は世界政府の戦力に大打撃と言うのに……四皇と手を組んだら政府の力では止められなくなる」

 

「脱退って何言ってるんだセンゴク。奴らは政府の命令で除名させられたんだろ?」

 

「……私はあいつらが海賊として本格的に動くために脱退したと聞いておるぞ」

 

「……政府の隠蔽工作か。お前は態々敵を増やして下の海兵の仕事を増やす必要が無いと考えておるからな。反対されることは目に見えてる」

 

 王下七武海の席を決めるのは海軍元帥であるセンゴクに一任されている。しかし世界政府に反抗的な動きを見せていた創造海賊団を“五老星”を筆頭に政府の人間達は疎ましく思っていた。

 そんななか起こったドレスローザ包囲網だ。この事件を口実に世界政府の“全軍総帥”であるコングがセンゴクに隠すように手を回して創造海賊団を追い出したのだ。その時に丁度、()()()()()()()()()()()が七武海の席を求めていた所だったため、コングは創造海賊団を追い出すことに躊躇いはなかった。

 

「……私は奴らが七武海入りするのは反対じゃった。しかし創造海賊団が脱退して戦力差が広がったため渋々許可をしたものの……創造海賊団を追い出してまで入れる程の実力もなければ……奴らには個人的な恨みもあった」

 

「それはあれか?潜入捜査をしていた海兵の潜入先だったからか?」

 

「……なぜ知っているかは問わぬが……そうだ。そもそもドレスローザ包囲網は奴らの策略によって起こされた可能性があると報告を受けていた」

 

 “ドレスローザ包囲網”後にドンキホーテ海賊団に潜入していたセンゴクの部下であるロシナンテはスパイをしていたのがバレたのか、殺害されてしまった。

 その後の政府上層部からのドンキホーテ海賊団の七武海入りの要請だった。センゴクとしては是が非でも七武海入りを防ぎたかったが、創造海賊団が七武海から居なくなった今、そこそこの戦力を持つドンキホーテ海賊団を拒否することは出来なかった。

 

「……もう七武海になってしまったのだ。これ以上の詮索と手出しは無用だ。お前もじゃガープ。勝手に動いたらお前でも処罰を与えなければならない」

 

「分かっておる」

 

『プルルルル……プルルルル……ガチャ』

 

「どうした」

 

 元帥室においてある電伝虫に一通の連絡が入った。それはマリンフォードの湾内を監視する監視塔からの連絡だった。

 その連絡はセンゴクやガープを驚かせる内容となっていた。

 

『“金獅子”のシキです!!“金獅子”のシキが複数の戦艦を連れてマリンフォード上空に現れました!!!』

 

「なんだと!?」

 

『プルルルル……プルルルル……ガチャ』

 

「こちらガープだ。どうした?」

 

 今度の連絡は海底監獄“インペルダウン”からだった。センゴクはマリンフォードからの連絡が忙しかったので仕方なくガープが電伝虫を取った。

 

『こちら“インペルダウン”!!……インペルダウンに創造海賊団が現れました!!

 

「っ!?分かった。そちらに海軍大将を向かわせる。……どうするセンゴク」

 

「サカズキとクザンをインペルダウンへと向かわせて、シキはあの時と同じように我々が受け持つぞ!」

 

「ボルサリーノはどうするんだ?」

 

「……念の為だが“エニエス・ロビー”に向かわせる」

 

 今のところ“司法の島”エニエス・ロビーが襲撃されたという報告を受けてはいないが、創造海賊団と金獅子海賊団の計画された襲撃事件だとしたら三大機関の全てを襲撃する可能性も考えられたので最低限の戦力を送っておく必要があった。

 金獅子海賊団相手にわざわざ元帥のセンゴクとガープが対応する理由としては以前の“金獅子”のシキによる襲撃は海軍側が勝利している。以前とは違い金獅子は部下も連れているがザイスが居ない今マリンフォードに居合わせた海軍将校数人で事足りるとセンゴクは考えていた。

 

 

 

 

「ジハハハ……居るんだろセンゴク!!ガープ!!あん時のリベンジだ!!!」

 

「おいおいワシは幻でも見ておるんか?」

 

「安心しろ私もだ」

 

 二人の目の前に居たのは空に浮く複数の戦艦を率いるように先頭に立つ十数年前に戦ったシキの姿だった。

 

「こりゃあ骨が折れそうじゃわい」

 

「……すまんなガープ。私の判断ミスだ」

 

「前回と違っておれは冷静だァ!!今回は半壊で済むと思うなよ」

 

 シキのその言葉を皮切りにシキが率いる“金獅子海賊団”の大船団がマリンフォードの中央を目指して進み始めた。

 マリンフォードの中央で待つ最強の海兵とも言えるガープとセンゴク。背中に羽織った正義の名が刻まれたコートを脱いで、久しく見せていなかった本気を見せた。二人の後ろに立つ数名の中将達も迫り来る強敵を前にして気を引き締めた。

 

 

 ――“司法の島”エニエス・ロビー

 

「センゴクさんの予想どうり来ちゃいやしたか……それも副団長自ら来るなんて腹括らないといけないねェ〜〜」

 

「黄猿か……お前の能力は面倒だからなここで死んでもらうぞ」

 

 センゴクの命令によってエニエス・ロビーの護衛として派遣された黄猿だったが、来ても精々三英か六傑だと思っていた。そのためエニエス・ロビーに向かってくる創造海賊団の海賊船の船首に立つ“副団長”キャンドラーを見て溜め息を吐いて、気を引き締めた。

 

「あっしも“大将”としてここを落とされる訳にはいかないんでねェ〜〜〜。船ごと沈んでくれよォ〜〜。“八尺瓊勾玉”」

 

「レオグロウ頼むぞ」

 

「分かったれす!!モーサモサれす!!!」

 

 黄猿の体から放たれた無数の光の弾丸がキャンドラーが乗る船を貫こうと向かっていった。キャンドラーは一撃一撃の威力は高いが弾幕への対処は難しい。そのため念の為に乗り合わせたレオグロウが甲板に敷かれた芝生へととある種をまいて、能力を使い強制的に成長させた。

 成長した植物は斜め上から放たれた光の弾丸から船を遮るように成長して光の弾丸を受け止めた。海軍大将の攻撃を防ぎきれたのは環境師団による品種改良のおかげだろう。

 

「三英まで来てるなんてほんとに想定外だねェ〜〜。遠距離がダメとなると詰めないといけないねぇ〜〜」

 

「来いよ黄猿。正面から潰してやる」

 

「熱いのはサカズキ一人で十分なんだよォ〜〜。“天叢雲剣(あまのむらくも)”」

 

 黄猿はその手に自分の半身を越す巨大な光の剣を生み出した。その巨大な剣を片手に光の速さでキャンドラーへと襲いかかった。しかしキャンドラーは見聞色の覇気によってその素早さに反応し、光の剣を武装色の覇気を纏った三節棍で受け止めた。

 それに加えて三節棍の独特の軌道により黄猿の体にもぶつかった。武装色を纏った攻撃は“自然系(ロギア)”の能力者である黄猿にも当たりエニエス・ロビーへと送り返した。

 

「効くねェ〜〜」

 

「何冗談言ってやがる。“羅天(ラテ)”」

 

 キャンドラーはエニエス・ロビーの上空へと“月歩”を使って飛び立った。そして手に持つ三節棍を一直線になるように固定するとそのまま黄猿目掛けて放り投げた。武装色を纏った三節棍はキャンドラーの手から離れてから数秒は残っているので“自然系”の黄猿にも少なくないダメージを与えることとなる。

 

「“八咫鏡”」

 

 黄猿は手を円を作るように構えて光を照射した。黄猿はその先に一瞬で移動していた。

 しかしそんな移動をキャンドラーが許す訳もなく光の先に先回りをして武装色を纏った拳で黄猿のことを殴りつけた。

 移動を読まれていることなど黄猿にも分かっていた。そのため移動した先で予め“天叢雲剣”構えておきキャンドラーの拳を受け止めた。

 

「そんな攻撃分かってるに決まってるでしょ〜〜〜」

 

「チッ……海まで落ちろ」

 

「それはちょっと無理な相談だねェ〜〜〜〜」

 

 拳を受け止められたキャンドラーだったが、今度は前蹴りで黄猿のことを海に落とそうとした。黄猿も脚を振り上げて応戦したが、空中でのことだったので可動域が少ない。そして光の速度で動こうとすると一瞬隙が生まれてしまうため普通の蹴りでの応戦となったのでキャンドラーの前蹴りの威力には勝てずに海まで蹴り飛ばされてしまった。

 

「やっちまったねェ〜〜〜」

 

 その言葉を最後に黄猿は海へと落ちて行ってしまった。黄猿とともに護衛に来ていた海兵たちは黄猿を引き上げるために海へと急いだためエニエス・ロビーの守りがガラ空きとなった。

 

「エニエス・ロビーを砲撃で攻撃しろ!!」

 

 沖で待機していたキャンドラーの船たちは一斉にエニエス・ロビーへと向かい始めた。そして大砲の射程圏内に入ると一斉に砲撃を始めた。数名の海兵しか残っていないエニエス・ロビーには無数の砲撃から守るすべはない。そのため一瞬でエニエス・ロビーは火の海に包まれた。

 

「お前ら!!帰還するぞ」

 

「っ!?何故です!!このまま続ければ全壊させるのは簡単ですよ」

 

「お前ら黄猿を甘く見るな。あと数分程度で奴は戦線に復帰するはずだ。あいつほどの者が同じ手を食らうはずがねェからな。次はこの船を破壊されるかもしれねェ。この船が破壊されちまったら敵地に取り残されちまう。そうなったらこっちの敗北が決まる。だから帰還すんだよ」

 

「……っ!了解です!!」

 

 火の海に包まれ、多くの建物が倒壊しているエニエス・ロビーから創造海賊団は撤退した。その数分後に海から引き上げられた黄猿が悲惨な現場に現れた。

 

「……こりゃあ減給もんだねェ。じゃああっし達もマリンフォードに向かいやすか」

 

「いいんでしょうか?我々の任務はここの防衛ですが」

 

「防衛するもんは無くなっちまったでしょ……。それにこんなゴミみたいなのところをもう一度攻めてくる程のバカなら“新世界”で生きていないでしょォ〜〜〜」

 

『た、た、大将が司法の島をゴミって言ったァーー!!?』

 

「あ〜、今のはセンゴクさんには内緒で頼むよォ〜〜〜〜」

 

『エニエス・ロビー半壊』




金獅子海賊団→シキがテゾーロに敗北したことにより不利な条件で同盟を結びました。
マリンフォード→前回との違いは金獅子が配下たちをつれていてるのとガープ以外の中将がいること、そしてセンゴク、ガープの全盛期が過ぎていることです。
エニエスロビー→キャンドラーは元から黄猿と正面から戦うつもりはなく無力化が目的でした。そのためキャンドラーの討伐を目的としていた黄猿は海に落とされてしまいました。緑牛が多少消耗していたキング、クイーンに勝っていると見られる描写が原作にあるので黄猿も四皇幹部以上四皇未満のキャンドラー相手でも互角に戦えると考えました。

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